画像LSI特集に寄せて 富士通セミコンダクター株式会社 経営執行役副社長 ブロードバンドインフラや，3.5G，WiMAX，LTEといった広帯域無線通信ネット ワークの整備に伴い，人々の生活を支える情報サービスは拡大の一途をたどっています。 ソーシャルネットワークサービスの普及により，個人個人のニーズ，嗜好に合わせた様々 なコンテンツを，いつどこでも取得または送信できる環境が整い，それに従ってネット ワークを行き来する情報量が飛躍的に増大しています。スマートフォン，タブレットなど， 高機能・高性能なユーザ端末の急速な普及に伴い情報の種類も多様化し，マルチメディ ア（画像・映像・音声・音）コンテンツを身近な端末で自由自在に伝達・加工・蓄積す ることが当たり前にできる時代が到来しました。 更に広帯域ネットワーク環境の普及と多様なサービス提供環境のクラウド化が加速す る傍ら，情報サービスを受けるユーザ端末も多様化する局面を迎え，テレビ，エアコン などの身近な家電製品や自動車，医療・産業機器などにも，ネットワーク化の波は押し 寄せています。あらゆる機器がネットワークによって結ばれ，いついかなる場所におい ても，均質な情報サービスを，快適・安全に受けられる社会が実現されつつあります。 ネットワークを介して提供されるサービスに用いられるマルチメディアコンテンツは， 多様化するだけでなく，画像の鮮明化，動きの高速化，音質・臨場感の高揚といった質 的改善も急速に進みつつあります。マルチメディアコンテンツを用いる各種情報サービ スを容易に受けられるようにするには，ユーザ端末の ｢多機能化，高性能化，高速化｣ と， ｢低消費電力化，小型化，軽量化｣ が求められます。また，個人情報や知的財産の保護と いった ｢安心，安全｣ を追求するセキュリティ機能強化も同時に必要となります。 こういった多種多様なマルチメディアコンテンツサービスに求められるソリューショ ンは，Android，HTMLなどの環境普及により，オープン化が加速しつつあります。他 方では端末装置の多様化に伴い，各種マルチメディア処理について，個別機能の進化・ 改善や，専用化・カスタマイズのニーズも同時に高まりつつあります。 本特集号では，これら一連のマルチメディアコンテンツサービスの普及・加速に対して， 富士通セミコンダクターが取り組んでいる，画像処理に関する各種システムLSIに向け た基幹技術について，LSI商品だけでなく，各種ソリューション実現のためのソフトウェ ア技術，各種機能をLSIに集約するための設計・開発支援技術など，様々な観点から紹 介します。 富士通セミコンダクターは，最先端の画像処理技術，応用支援技術，設計・開発支援 体制を背景に，LSIソリューションの企画・開発から製造，販売に至るまで，一貫した サポートをお客様の視点に立ってご提供することにより，お客様のビジネスにご協力さ せていただきたいと考えています。 FUJITSU. 63, 4, p. 353（07, 2012） 353
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