マティアス・ウィニガー 学長

早稲田大学創立 125 周年記念式典
祝辞
ボン大学学長
マティアス・ヴィニガー博士
このたびは、早稲田大学の創立 125 周年記念式典に際し、心からお慶び申し上げる機会を得ましたこと
を、たいへん光栄に存じます。ドイツのボン大学、ならびに、早稲田大学と連携を保っているヨーロッ
パの全ての大学を代表いたしまして、祝辞を述べさせていただきます。
近年、欧州の大学を取り巻く状況は、グローバル化の過程を反映して、根本から変わりつつあります。
特に高等教育と科学の分野において、欧州諸国は結束を強めつつあります。私たちの目標は、世界中の
大学とより効果的に競争することですが、のみならず、より友好的な関係を築くことをも願うものであ
ります。欧州においては、アジア、特に日本に対する関心が日々高まりつつあります。なぜなら、世界
においてもこの地域は、非常に高度な科学・研究が行なわれているばかりではなく、きわめて優れた高
等教育機関が存在する地域であるからです。
ほぼ半世紀にわたって、ボン大学は早稲田大学と緊密な学術的連携を保っており、同大学は私たちにと
って東アジアにおける傑出した、最も貴重なパートナーとなっています。両大学は 1960 年に教授の交
換を開始し、その後、交換留学生のための最初の奨学金制度を設立しました。その実績をふまえ、1998
年にはより強固なパートナーシップ協定を締結し、共通プログラムの数を増やしています。
両大学の関係は、近年、特に強いものになっております。早稲田大学の教旨である「地球市民の育成」
の下に、新プログラム「テーマに基づく海外学習(Thematic Studies Abroad)」が創設され、これを利
用して早稲田大学の学部生がボン大学に留学し、ドイツ語の特別コース、地域研究や、その他多くの学
問領域で学ぶことが可能となりました。同時に、両大学は、生命科学や IT に関する共同研究も開始し
ました。これらの共同プロジェクトは、ボン大学にとって特別な戦略的重要性を持ちます。なぜなら、
これらはボン大学の主要研究分野の中でも国際的に認知された 2 分野であるからです。1 年前、我々は
「共同研究プログラムのための覚書」に調印しました。
この共同研究から私たちが学ぶものとは何か。それは、有益な協調体制とは、徐々に、そして継続的に
育ってゆく、ということです。その過程には、成功、結束、刺激ある経験といった段階が含まれます。
最後に、1991 年にボンに設立された早稲田大学ヨーロッパセンターの活動が、両大学の連携に大いに貢
献しているということを申し上げます。このセンターがボン大学の近くにあることは、私たちにとって
大変有益なことです。なぜなら、同センターはあらゆる共同研究の遂行の助けとなっているからです。
欧州が留学生や国際的研究者にとってますます魅力的な場所になりつつある今、私はこのヨーロッパセ
ンターがさらにその重要性を増してゆくものと確信しています。
私たち、欧州の大学の代表者は、早稲田大学のさらなるご発展をお祈り申し上げます。また、私たちは、
私たちの相互関係がさらに深まることで、学生や研究者がその成果を享受できるようになり、ひいては
「地球市民の育成」に繋がるものと信じております。
3 年後にボン大学と早稲田大学のパートナーシップ成立 50 周年を祝うことができるのを楽しみにしてい
ます。ご清聴ありがとうございました。