小児 および 若年成人 における 突然死 病気・事故・虐待の 適切な鑑別のために Sudden Death In The Young アデレード大学病理診断部 南オーストラリア州法科学部門 ロジャー・W・バイアード Roger W. Byard 【著】 前橋赤十字病院 小児科副部長。 群馬県児童虐待防止医療アドバイザー 日本小児科学会小児死亡登録・検証委員会 委員長 溝口史剛 【監訳】 Third edition ■ B5判/上製カバー ■ 902頁 オールカラー ■ 定価:本体 45,000 円(+税) 乳幼児期・小児期 の 突然死事例 における 唯一無二 の 世界的名著、待望 の 邦訳刊行! 小児期と思春期における乳児突然死症候群を はじめ、事 故・虐 待・感 染 症など、予 期 せぬ 突然死の原因となる病態や疾病・外傷に焦点 をあて、包 括 的に解 説する。800 点 以 上の 剖検時所見・病理組織所見のカラー写真とあ わ せ、巻 末には剖 検に関 する情 報のパンフ レット・報告用紙・司法解剖ガイドラインを付した、 小児死亡における 「百科事典」。 小児・若年成人の突然死に直面し困 難を感じている病理/法医学者、 臨床医、法律家に有用な情報を 2015年 年 10月刊行 行 提供し道筋を照らす一冊。 明石書店 「原著(第 3 版) 日本語版刊行によせて」( 一部抜粋 ) 自身の無知に気づくことは、知への大きな第一歩である。ベンジャミン・ディズレイリ (1804–1881) 『乳幼児期、 小児期、 思春期における突然死 (Sudden Death in Infancy, Childhood and Adolescence) 』 のタイトルで出版された。 本書の初版は1994 年に、 (中略 ) 若年層の突然死の状況やそれに対しての取り組みは、この20 年で大きく変化した。特に乳児や幼小児の突然死に対しては、現場検証の実施は組織的 に包括的に行われるようになり、剖検も国際標準プロトコルに則って施行されるようになった。その結果、危険な睡眠環境というもののリスクが明確化され、 それにより睡眠環境の改善キャンペーンの実施に結びつき、乳児突然死症候群 (SIDS: Sudden Infant Death Syndrome) の実数は減少した。(中略 ) 病歴の再検証・完全な形の死亡現場検証・各種画像診断やその他の補助的検査を含む包括的剖検の3 つの要素を完全に満たしていなければ、突然に 死亡した乳児の死因をSIDSに帰することはできない、ということは極めて重要なポイントである。このようなステップを適切に踏まなくては、多くの内因死の 同定はしえず、また内因死ほど数は多くはないであろうが、外因死の同定もできないであろう。(中略 ) 若年層における剖検の対象となる内因死の種類は、ここ数年で変化してきており、生前に気づかれることのなかった先天性疾患により突然死をきたした、 という事例は年々減少している。このことはおそらく、多くの病態に対して家族のスクリーニングや遺伝子カウンセリングを含め、適切な出生前検査を行いう るようになり、また出生後の治療法に関しても改善しているためであろうと思われる。(中略 ) 幼小児における虐待死は、いまだに議論のある領域であり、多くの学説が提案されては破棄されてきた。乳児においては低酸素が硬膜下血腫の原因と なる、という説には明確な疑義が唱えられている。また揺さぶりのみで致死的となりうるということは、動物モデルにより証明されている。(中略 ) 若年層における予期せぬ突然死に対しての我々の理解はいまだに発展途上の状態であり、突然死に至る病態に対しても不明な点は多く、調査はしばし ば困難である。ある疾病の徴候を理解し、その疾病への新規治療への反応を理解する上では、注意深い剖検は欠かすことはできない。臨床医が生前に 実施した各種検査で十分と感じるようになってきたためか、残念ながら若年者においてすら、病院における剖検率は低下している。注意深く実施された包 括的な剖検は、 実際に治療に当たる医師や家族、 そして地域社会にとっても有用となる新規の事実を発見しうる究極の医学検査であり、 このような傾向は由々 しき事態である。若年層における予期せぬ突然死を解明する上で、剖検に基づく各種の研究が測り知れないほど貴重な役割を果たして来たことに、疑い の余地はない。冒頭で引用したディズレイリの言葉を見れば、私たちが既に答えを全て知っていると思うことは、大いなる誤りであるということが分かってい ただけるであろう。本書は、若年層に生じうる予期せぬ突然死の原因となる膨大な範囲の病態や外傷について要約した書籍である。それらの多くは、本 書の巻末の補足で示したような広く用いられているプロトコルに基づいた完全な死亡現場検証と包括的剖検評価の実施がなされない限り、同定することは 不可能であるということを改めて強調しておきたい。 ロジャー・W・バイアード アデレード大学病理診断部 南オーストラリア州法科学部門 内 容 構 成 第1部 序 論 第1章 小児における突然死:概説、ならびに問題点の整理 はじめに/突然とは、 どのくらい 「突然」 であるのか?/予期せぬとは、 どのぐらい 「予期しえない」 も のであったか?/死亡前に全く健康状態に問題はなかった、 とした場合の 「全く問題ない」 とは何 を指すのか?/突然死をきたす病態のうち、 主に報告が成人例のみに限られているものや、 小児 では理論的に起こりうるとしてのみ報告されている病態というものは存在するのか/概説/頻度 /突然死の原因/乳幼児ならびに小児の突然死症例の調査に関する問題点 第2部 非意図的損傷 第2章 事故 はじめに/損傷のタイプ/多発外傷/大動脈損傷/心臓震盪/腹部外傷/頭部外傷/溺死/ 窒息/塞栓症/熱傷/感電/中毒/異食症/違法ドラッグと薬物乱用/農場での死亡/穿通 性損傷/銃火器損傷による死亡/動物との接触による死亡/高体温症/脱水症/低体温症/ スポーツ関連死/医原性損傷/その他/事故と災害で死亡した事例の身元特定 第3部 意図的損傷 第3章 虐待死、ならびに自殺 はじめに/死亡現場調査/鈍的外力による頭部外傷/皮膚軟部組織損傷/骨折/胸腹部 損傷/熱傷/銃火器損傷(射創)/鋭器損傷/所見に乏しい虐待死、稀な虐待死、 およびそ の他の虐待死/性暴力被害/医原性殺人/代理によるミュンヒハウゼン症候群/心肺蘇生 にともなう損傷/宗教に関連する虐待(ritual abuse)/自傷/「虐待と酷似する病態」/心中 (Murder-suicide) /自殺/専門家証言 第4部 自然死(内因死) 第7章 呼吸器疾患 はじめに/気管支喘息/上気道閉塞/気管支肺異形成症/急性肺炎/急性間質性肺炎/嚢 胞性線維症/広範性肺出血/特発性肺ヘモジデローシス/緊張性気胸/Pickwic症候群/肥満 第8章 神経疾患 はじめに/脳卒中/腫瘍/てんかん/代謝疾患/感染症/中枢神経系の構造異常、 発達異常 /Rett症候群/Lafora病/Friedreich失調症/結節性硬化症 (Bourneville病) /神経線維腫 症/透明中隔−視神経異形成症/多発性硬化症/急性出血性白質脳炎(Hurst病)/ Guillain‒Barré症候群/Déjérine‒Sottas病/Joubert症候群/筋ジストロフィー/白質ジストロ フィー/家族性自律神経失調症/先天性中枢性低換気症候群/嚥下性失神/新生児驚愕症 /低酸素性虚血性脳症/乳児突然死症候群 (SIDS) 第9章 血液疾患 はじめに/異常ヘモグロビン症/悪性血液腫瘍/凝固異常症/血小板疾患/貧血/溶血性 尿毒症症候群/多血症/脾臓疾患 第10章 消化器疾患、および泌尿生殖器疾患 消化器疾患/泌尿生殖器疾患 第11章 代謝疾患、および内分泌疾患 代謝疾患/脂肪酸酸化異常症/炭水化物代謝異常症/アミノ酸代謝異常症/尿素サイクル異 常症/有機酸代謝異常症/その他の代謝異常症/高脂血症/Menkes症候群/Reye症候群 /出血性ショック脳症症候群/その他の疾患/内分泌疾患 第4章 感染症 第12章 その他の自然死 はじめに/心血管系疾患/呼吸器疾患/中枢神経系感染症/血液感染症/消化管感染症/ 泌尿生殖器感染症/全身性感染症 はじめに/結合織疾患/骨系統疾患/皮膚疾患/筋疾患/染色体異常/発達遅滞/免疫系疾患 第5章 心臓疾患 はじめに/感染症および関連疾患/先天性心疾患/先天性心疾患と遺伝子/心筋症/筋ジス トロフィー/弁膜異常症/腫瘍/刺激伝導障害/剖検時に所見が認められない病態 (negative autopsy) /その他の病態 第6章 脈管疾患 はじめに/大動脈の異常/冠動脈異常/静脈の異常/先天性血管異常/肺血管異常/その 他の血管障害 第5部 母体疾患、胎児期疾患、および新生児疾患 第13章 母体疾患、胎児期疾患、および新生児疾患 はじめに/妊娠合併症:母体死亡/妊娠合併症:胎児死亡/新生児殺 第6部 乳児突然死症候群 第14章 乳児突然死症候群 はじめに (歴史的背景を含めて) /疫学/診断/剖検実施前の諸段階/病理学的特徴/SIDS を引き起こしうる各種病態/虐待/殺人による死亡/結語 本 書 の 特 徴 ■ 事故・虐待を含め、 小児期に突然死をきたす病態の百科事典。 ■ 病理/法医学と臨床医学の懸け橋となる包括的な教科書。 ■ 著名な小児法医学者の単著による、 他に類書のない世界的名著。 ■ 全ての医学図書館、 病理/法医学教室、小児科学教室に ■ 子どもの突然死という混乱状況下の、 確かな道しるべとなる書。 組見本 80%縮小 12章 「その他の自然死」より 常備すべき一冊。 ■ 医療者のみならず、 警察、検察、児童相談所にとっても必携の書。 山中龍宏 ( 緑園こどもクリニック 前 日本小児科学会小児死亡登録・検証委員会 委員長 ) この本は、 「突然死」 を医学の一つの領域として明示しており、 小児の突然死のすべてが網羅されている。今回は第3版で、 前の版に比べ突然死の年齢層が幅広くとられている。事故によって死亡した事例では、 みる機会がない写真がたくさん収 載されている。各章末尾に示された文献の引用件数は膨大である。乳児突然死症候群 (SIDS) にも1章が割かれ、 1000編 を超える文献が示されている。まさに小児の突然死の成書となっている。突然死を経験して困ったら、 まずはこの本を開いて みるのがよい。 小児の突然死のすべてが網羅されたこの大著の訳出は、 わが国の小児の突然死に対して大きく貢献すると期待される。 荒川浩一 (群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 本書を 推薦します (敬称略) 教授) 本著書は、その内容を見て驚愕したという一言につきる。小児の内因性疾患に関して、第4章の感染症から第12章その他の自然死まで余すところ なく幅広く、 「突然死」 という切り口で記述されている。自分の専門としている気管支喘息のページを開くと、 その疫学ばかりでなく、 リスク要因、 発生 機序が詳述され、 肺過膨張や粘液栓のマクロ所見から好酸球浸潤・粘液の充満までの病理組織所見がカラー写真で見ることが出来る。まさに、 この 1冊で、 小児科専門医ばかりでなく、 研修医から救急科医師にいたるまで、 小児の突然死を来す内因性疾患を見逃さないように注意を喚起した名著 と断言できる。 岩瀬博太郎 (千葉大学大学院医学研究院法医学教室教授、兼、東京大学大学院医学系研究科法医学教室教授) 本書はこれまで日本では刊行されたことのない小児の突然死に関する網羅的な参考書といえるだろう。事例の写真も多く掲載され、 理解も容易で ある。本書が多くの法医学者及び小児科に関わる医療関係者の参考とされれば、 日本における小児の死亡事例において極力正確な死因判定が行 われるようになっていくだろう。それによって、適正な法執行がなされ、 また小児死亡の予防が可能となっていくことを祈ってやまない。そのために も、 多くの方にとって必読の書であると推薦したい。 ■ 著者 ■ 監訳者 ロジャー・W・バイアード ( Roger 溝口史剛 ( みぞぐち W. Byard ) オーストラリアの南オーストラリア州の州都アデレードにあるアデレート大学のジョージ・リチャード・ マークス病理診断部部長、および南オーストラリア州の法科学部門の上級法医科学専門アドバイザー を務める。専門は小児期突然死であり、これまでに同領域の専門誌に600 編に及ぶ論文を発表して いる。2008 年から 『法医学と病理学 (Forensic Science Medicine and Pathology) ( 』Springer Publishers, New York)の編集長/編集主幹を務めている。 オーストラリア国家勲章 (AO:Order of Australia) 受章、オーストラリア国家公務員章 (PSM: Public Service Medal) 受章。 [主な著書] 共編書に、 『乳児突然死症候群―これまでの進展と現在の問題点、および将来的な可能性 (Sudden (Arnold, 2001) 『乳幼児期・小児期の病理/ 、 Infant Death Syndrome—Problems, Progress and Possibilities) 』 『 、法医学事典 【第 2 版】 (Encyclopedia 法医学 (Forensic Pathology of Infancy and Childhood) ( 』Springer, 2014) 、単著に 『小児および若年成人にお of Forensic and Legal Medicine ) ( 』Elsevier/Academic Press, 2015) 、共著に 『病理 ける突然死 【第 3 版】 (Sudden Death in the Young ) ( 』Cambridge University Press, 2010) などがある。 /法医学アトラス (Atlas of Forensic Pathology) ( 』Springer, 2012) ふみたけ ) 群馬県前橋赤十字病院 小児科副部長。 1999 年群馬大学医学部卒、2008 年群馬大学大学院卒、医学博士。 群馬大学附属病院ならびに群馬大学小児科関連病院をローテート勤務し、2015 年より現職。 2012 年より群馬県児童虐待防止医療アドバイザー。 日本小児科学会認定小児科専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科 (小児科)専門医、日本小児 科医会認定子どもの心相談医、日本小児科学会小児死亡登録・検証委員会委員長、日本子ども虐待 医学会評議員、日本子ども虐待防止学会代議員。 NCPTC(米国子ども保護トレーニングセンター)認定 ChildFirst プロトコル 司法面接研修講師・ NCPTC 認定 RIFCR 通告義務者向け性虐待被害児面接研修講師。 認定 NPO 法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク理事、一般社団法人ヤングアシスト理事。 [主な翻訳書] 『プラクティカルガイド 子どもの性虐待に関する医学的評価』 (監訳、診断と治療社、2013 年) 『 、子ども虐待の身体 『 、子ども虐待医学 ̶ 診断と連携対応のために』 (明石書店、2013 年) などがある。 所見』 (明石書店、2013 年) ■ 翻訳者一覧 安藤桂衣( 群馬県前橋赤十字病院小児科 )、石毛 崇( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学 、井田久仁子( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 )、猪口 剛( 千葉大学大学 分野 ) 、浦野葉子( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 )、大津義晃( 群 院医学研究院法医学 ) 、緒方朋実( 群馬大学大学院医学系研究科小児科 馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 ) 、鏑木多映子( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 )、川戸 仁( 成田赤十字 学分野 ) 、木下あゆみ( 四国こどもとおとなの医療センター育児支援対策室(小児科))、 病院新生児科 ) 小林美帆( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 )、迫 恭子( 群馬大学大学院医学系研 、佐藤厚夫( 横浜労災病院小児科 )、佐藤幸一郎( 群馬大学大学院医学 究科小児科学分野 ) 、杉立 玲( 群馬県前橋赤十字病院小児科 )、鈴木里伊奈( 群馬大学 系研究科小児科学分野 ) 、関 満( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 )、 大学院医学系研究科小児科学分野 ) 明石書店 仙田昌義( 国保旭中央病院)、滝沢琢己( 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 )、千葉 文子( 千葉大学大学院医学研究院法医学、東京大学大学院医学系研究科法医学)、富田桂子(群 、鳥光 優(千葉大学大学院医学研究院法医学、東 馬大学大学院医学系研究科小児科学分野) 、中林洋介(青梅市立総合病院救急科)、橋本茉莉(東京 京大学大学院医学系研究科法医学) 、星岡佑美(千葉大学大学院医学研究院法医学)、堀越隆 大学大学院医学系研究科法医学 ) 伸(群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野)、牧岡西紀( 群馬大学大学院医学系研究科小 、槇野陽介(千葉大学大学院医学研究院法医学、東京大学大学院医学系研究科法 児科学分野) 、村松一洋(群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野)、溝口史剛(群馬県前橋赤十 医学) 、本村あゆみ( 千葉大学大学院医 字病院小児科、群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野) 、山口るつ子(東京大学大学院医学系研究科法医学) 学研究院法医学 ) 〒101-0021 東京都千代田区外神田6 - 9 - 5 TEL.03-5818-1171 FAX.03-5818-1174 http://www.akashi.co.jp/ [email protected] ■ 図書目録送呈 申込書 小児および若年成人における突然死 を 冊申し込みます。 ■ B5判/上製カバー/902頁 オールカラー ◉ 定価:本体45, 000円(+税) ISBN978-4-7503-4254-2 書店番線印 団体名 学校名 ご担当者名 住所 〒 電話 ( ) FAX ( ) メールアドレス ● 公費/私費 明石書店 〒101- 0021 東京都千代田区外神田 6-9-5 TEL. 03 - 5818 -1171 FAX. 03 - 5818 -1174 URL=http://www.akashi.co.jp [email protected] ■図書目録送呈
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