最新鉱山環境技術事情(2) —水処理技術<操業編>— 髙橋 達 連載 金属資源技術部生産技術課 1. はじめに 2. 水処理法概論 水中の重金属は主にアルカリ剤の添加によりpHを 上げることで水酸化物として沈澱または共沈により除 去される。 、 アルカリ剤には水酸化カルシウム (消石灰、Ca (OH) 2) 酸 化 カ ル シ ウ ム( 生 石 灰、CaO) 、炭酸カルシウム (苛性ソーダ、NaOH) 、 (CaCO3)、水酸化ナトリウム 、酸化マグネシウム 水酸化マグネシウム (Mg (OH)2) (MgO)などが使用されるが、これらはそれぞれコス トや中和能力、溶解性などに違いがあり、廃水に適合 したアルカリ剤を選定することになる(表1参照) 。カ ルシウム系のアルカリ剤は比較的安価であるため使用 されることが多いが、石膏を生成するため、沈澱物の 増加やスケールの付着により、水処理に悪影響を与え ることもあるため、注意する必要がある。 表1. 各種中和剤の特性比較(JOGMEC「坑廃水処理の原理」より) 中和剤 溶解性 沈降・脱水性 反応の速さ 中和能力 コストの安さ Ca(OH)2 ○ △ ○ ○ △ CaO ○ △ ○ ○ ○ CaCO3 △ ◎ △ △ ◎ NaOH ◎ × ◎ ◎ × Mg(OH)2 △〜○ △〜○ △〜○ ○ △〜○ MgO △〜○ △〜○ △〜○ ○ △〜○ ◎:極めて良好、○:使用に耐える程度に良好、△:中位、×:悪い 2015.1 金属資源レポート 23 (502) 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 前号では、鉱山の開発時に必要な環境技術の1つとして、シミュレーションを取り上げ、現在使用されているソフ トウェアや用途を紹介した。今回は、操業中に必要な環境技術として、水処理を取り上げることとしたい。水処理に 係る費用は利益に結びつかない支出であるため、なるべく処理費用を抑えたいところであるが、排水基準を満たすよ うに処理しなければならないため、鉱山を運営する会社は適切な(その鉱山に合致した低コストで効果的な)処理技術 を選択する必要がある。このレポートがその一助となれば幸いである。 操業中の廃水の発生は大きく分けて2つあり、1つは採掘現場からの発生、もう1つは選鉱・製錬後での発生である。 前者の廃水は、鉱石を採掘することでこれまで空気に触れることがなかった鉱石が露出し、空気中の酸素による酸化 が生じる。これが水に触れ、酸化した金属が水に溶解することで廃水が生じる。後者の廃水は、例えば浮選工程のあ る現場では、鉱石中からの金属の溶解に加え、有害な薬品を浮選剤として使用することで、環境に悪影響を与える廃 水が生じる。これらの水を適切に処理することなく近くの河川に放流すると、下流で河川水を利用する人々に影響を 与え、また河川に棲む生物にも悪影響を及ぼすことになる。 水処理自体はかなり古くから行われており、その技術はある程度確立されている。ここでは、その一般的な方法に 加えて、近年になって開発された技術 (微生物の利用等)も交えて記述したい。 2 連載 最新鉱山環境技術事情( 図1. 代表的な廃水処理フロー 中和澱物の処理は水処理の中でも比較的コストが高 いプロセスであるため、中和澱物を減容化する技術も 重要である。その代表例の1つに、澱物繰り返し法が ある。これはシックナで分離された沈澱物の一部をス ラリーの状態のまま再び中和撹拌槽に添加する方法 で、大きく2つのメリットがある。 1つは、繰り返された中和澱物が新たに生成される 水酸化物の核となり、密度が高く粒径の大きい中和澱 物を生成することである。そのため、沈降性が高くな り固液分離が促進され、さらに脱水性の向上に伴い含 水率が低下し体積が小さくなる。 もう1つは、中和澱物には未反応のアルカリ剤が一 部含まれることから、これを中和槽に繰り返すことで 中和剤の節約になることである。 以上のことから、大量の中和澱物が発生する廃水処 理において澱物繰り返し法は非常に有効なコスト低減 策である。 3. 含有元素別処理法 以下、鉱山廃水に主に含まれる元素・化合物につい て、それぞれ代表的な除去法を記す。 3-1.鉄 鉄は2価のイオンと3価のイオンで水中の安定性が異 なることを利用して除去する。図2によると、2価の鉄 はpHが中性まで安定に存在するが、3価の鉄はpHが4 を超えるとイオンで安定に存在できなくなり、水酸化 24 2015.1 金属資源レポート (503) 物として沈澱する。 そのため、鉄が2価で存在している場合は、曝気や 鉄酸化バクテリアなどにより水中の鉄イオンを3価に 酸化し、そのあとにアルカリ剤の添加によりpHを中 性にし、鉄を水酸化物として沈澱させる。 (曝気による反応)4Fe2+ + 4H+ + O2 → 4Fe3+ + 2H2O (水酸化物沈澱) Fe3+ + 3OH- → Fe(OH)3↓ 1475 1180 3+ Fe 885 Eh (mvolts) ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 2 O2 590 2+ Fe 295 Fe (OH) 3 0 FeS2 -295 H2 -590 -885 0 5 pH 10 図2. 鉄のEh-pHダイヤグラム ([SO42-]=10-3M,[Fe2+]=10-4M, 25℃。After Brown, 1985) 14 ドイツの電力会社RWE Power AGが操業するGarzweiler 石炭鉱山では、露天掘りのピット内に鉄が数mg/L含有 するpH5程度の廃水が発生している。ここでは、コン プレッサーによるエアレーションによって水中の2価 鉄を酸化させ、生じた水酸化鉄を砂ろ過で除去という 方法で廃水処理を行っており、薬剤の添加はない。 連載 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 2 図3. Garzweiler石炭鉱山の廃水処理場(緑色タンクはろ過装置) 3-2.銅 銅は廃水中に2価で存在することが多く、pHを7程 度にすることで水酸化物沈澱が生じるため、消石灰な どによってpHを上げて処理する。 Cu2+ + 2OH- → Cu(OH)2↓ 3-3.亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン これらの元素はpHを8以上にしなければ水酸化物沈 澱を生じない。そのため、アルカリ剤を多く添加して 重金属を沈澱させたのち、硫酸等の酸を添加すること で処理水を中性に戻す必要がある (逆中和) 。カドミウ ムやマンガンの処理では、高い反応性が必要なためア ルカリ剤として苛性ソーダを用いて処理するところも ある。 最近の国内の事情としては、亜鉛の排水基準が2006 年に5mg/Lから2mg/Lに厳しくなったことに続き、カ ド ミ ウ ム の 排 水 基 準 も2014年12月 に0.1mg/Lか ら 0.03mg/Lに変更になった(金属鉱業については2年間の 暫定排水基準0.08mg/L、非鉄金属第1、2次製錬・精製 業で亜鉛に係るものについては3年間の暫定排水基準 0.09mg/Lが設定された) 。そのため、これら金属を含 有する廃水処理の現場では一層厳しい管理が求められ ている。 3-4.ヒ素 ヒ素は高pH領域でも溶存体として安定に存在する ことができるため、アルカリ剤でヒ素単独の沈澱物を 生成することは困難である。そのため、ヒ素含有廃水 は鉄共沈により処理することになる。この鉄共沈とは 鉄が水酸化物沈澱する際にヒ素などのイオンも取り込 んで沈澱することであり、ヒ素以外にも上記のカドミ ウムなど高pHで水酸化物沈澱するものに対しても有 効な処理方法である。処理原水中の鉄濃度が高い場合 は鉄を処理する際に除去されるが、鉄濃度が低い場合 は硫酸鉄や塩化鉄を添加して鉄沈澱を生じさせて処理 することになる。 閉山した鉱山であるが、旧松尾鉱山(岩手県)の坑廃 水処理場では毎分17∼18㎥の酸性坑廃水が処理されて いる。この処理原水には全鉄が約200mg/L、ヒ素が約 1mg/L含有しており、pHは約2.2である。この処理場 では鉄を酸化させるため、鉄酸化バクテリアと原水を 反応させる酸化槽を設けている。水中の2価の鉄はバ クテリアの作用により3価に酸化され、その後中和槽 にて炭酸カルシウムによりpHを上昇させて鉄とヒ素 を沈澱物として除去している(図4参照)。 2015.1 金属資源レポート 25 (504) 連載 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 2 図4. 旧松尾鉱山坑廃水処理場の処理フロー(「旧松尾鉱山坑廃水処理事業の概要」抜粋) 3-5.ホウ素、フッ素 ホウ素やフッ素はアルミニウムとの共沈により処理 可能である。硫酸アルミニウムと消石灰を水に添加す る と、 鉱 物 の 一 種 で あ る エ ト リ ン ガ イ ト (3CaO・ Al2O3・3CaSO4・32H2O)が生成され、その結晶構造中 に取り込まれることで除去される。ただし、この方法 では高度な処理をする際に大量のアルミニウムの添加 が必要であり、さらに澱物の脱水性も悪いため澱物発 生量が多くなり処理コストが高くなるという欠点があ る。 これに代わる処理法として、様々なメーカーが開発 した吸着剤があり、高度な水処理が可能である。これ ら吸着剤は比較的高価であるため、安価な吸着剤の開 発が求められている。 また、新たなホウ素・フッ素除去としてメタエトリ ンガイト (3CaO・Al2O3・3CaSO4・7-8H2O)を利用した 方法を東北大学・飯塚らが報告しており、従来のエト リンガイト生成による方法に比して高い除去効果があ るとのことである。 26 2015.1 金属資源レポート (505) 3-6.シアン シアンは鉱石中には存在せず、浮選の抑制剤として、ま た金のリーチングで使用される。シアンの用途の詳細につ いては 「最新選鉱技術事情 鉱種別代表的プロセス編 (3) ‐ (http://mric.jogmec.go.jp/public/kogyojoho/2013-09/ 金‐」 MRv43n3-04.pdf)を参照されたい。毒性が強いため、 その廃水に対しては確実な無害化が必要であるが、そ の技術はすでに確立されているため、適切な処理を選 択することで安全に使用することができる。 水中に存在するシアン化物は大きく分けて3つに分 類されており、 (1)全シアン (total cyanide)、 (2)弱酸解 離シアン(weak acid dissociable; WAD)、 (3)遊離シアン (free cyanide)がある(図5参照)。これは、鉄シアン錯 体などは難分解性錯体であるが、これ自体は毒性が低 いためであり、基準を分けた方が合理的であるという 考えから作られたものである。世界銀行グループが 2007年に定めた 「鉱業のための環境、健康及び安全ガ イドライン (EHS Guideline) ( 表2参照)やアメリカ合 」 衆国環境保護庁(EPA)が定めた飲料水の基準などでは (1)∼(3)がそれぞれ考慮されているが、日本では全シ アンのみが環境基準・排水基準で定められている(な お、日本ではフェロシアン化物(M [Fe(CN)6]4-))は食 品添加物としての使用が認可されている。http://www. mhlw.go.jp/shingi/2002/07/s0726-6.html) 。 連載 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 図5. シアン化物の分類 表2. EHS Guidelineと日本の排水基準の比較 汚染物質 単位 基準値 日本 SS(Total) mg/L 50 pH 汚染物質 単位 基準値 150 フリーシアン mg/L 0.1 5.8-8.6 弱酸解離性シアン (WAD) mg/L 0.5 日本 2 S.U. 6-9 COD mg/L 150 120 鉄 (Total) mg/L 2.0 10 BOD mg/L 50 120 鉛 mg/L 0.2 0.1 0.005 油及び油脂 mg/L 10 30 水銀 mg/L 0.002 砒素 mg/L 0.1 0.1 ニッケル mg/L 0.5 カドミウム mg/L 0.05 0.03 フェノール mg/L 0.5 5 クロム(六価) mg/L 0.1 0.5 亜鉛 mg/L 0.5 2 銅 mg/L 0.3 3 温度 ℃ <3度差 シアン mg/L 1 1 (http://mric.jogmec.go.jp/kouenkai_index/2008/briefing_080328_4.pdf、一部改) 3-6-1. INCO法 現在、鉱山の現場で多く用いられているシアン処 理法がこのINCO法である。INCO法は、シアンを含 有する廃水に亜硫酸ガス (SO2)及び空気を吹き込 み、さらに触媒として硫酸銅を添加後、消石灰を添 加し撹拌することで、溶液中のCNはOCN-に変化す る(図6参照)。このOCN-は不安定であり、加水分解 して炭酸水素アンモニウムに変化する。SO2の供給 (Na2S2O5)で は液体SO2またはピロ亜硫酸ナトリウム も可能である。 この方法は遊離シアンとWADの処理に適してお り、鉄シアノ錯体は銅と結合し難溶性の銅鉄シアノ 錯体となる。 INCO法は、処理対象はシアン濃度が低∼中程度 含有しているスラリーで、処理水のシアン濃度を1 ∼5mg/L未満としたいときに適している。 2015.1 金属資源レポート 27 (506) 連載 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 2 図6. INCO法の概要図 (「Cyanide and removal options from effluents in gold mining and metallurgical processes」Kuyucakら、2013) 3-6-2.過酸化水素 シアン含有溶液に過酸化水素を添加することで分 解する方法である。 3-6-4.アルカリ塩素法 かつて多く用いられていたシアン分解法である が、薬剤費が高いため他の方法に代替され、現在で は一部で適用されるに留まっている。 この方法では、まずpHを10程度にした後、塩素 または次亜塩素酸ソーダを添加してCNClを生成し、 その後加水分解によりOCN-を生成する。 この方法は遊離シアンとWADの処理に適してお り、鉄シアノ錯体は銅と結合し難溶性の銅鉄シアノ 錯体となる。 処理対象はシアン濃度が低い溶液で、処理水のシ アン濃度を1mg/L未満としたいときに適している。 なお、スラリーに対し過酸化水素を適用すると、多 く消費されるため適さない。 Cl2 + CN- → CNCl + Cl CNCl + H2O → OCN- + Cl- + 2H+ 3-6-3.カロ酸 過酸化水素と硫酸との反応により生成するカロ酸 もシアンを分解する。 H2SO5 + CN- → OCN- + SO42- + 2H+ カロ酸は不安定であるため、現場にて生成して処 理に用いる。スラリー中のシアンの処理に適し、触 媒の銅も不要であるが、INCO法が使えない時に適 用される技術であり、固体を含まない場合は過酸化 水素による分解の方が好まれる。 その後塩酸を添加してpHを中性付近にすること で、OCN-の分解を促進する。 CNO- + H2O + 2H+ → CO2 + NH4+ 3-6-5.微生物 微生物によるシアン分解はアメリカのHomestake 金鉱山で1980年代に導入されて以来、各地に広まっ ている。好気的環境の下、下記の反応により分解が 生じる。 CN- + 2H2O + 0.5O2 + Bac → HCO3- + NH3 SCN- + 2H2O + OH- + 2.5O2 + Bac →HSO4- +HCO3- + NH3 NH4+ + 1.5O2 → 2H+ + 2H2O + NO2 NO2- + 0.5O2 → NO3 北米最大級の立坑(深さ2,250m)を有するカナダ のLaRonde金鉱山でもこの微生物によるシアン分解 28 2015.1 金属資源レポート (507) が行われている (図7、8参照) 。処理原水にはSCNが700mg/L含有しているが、これをカナダの基準値 である1.0mg/L未満まで処理している。また、微生 物処理により生じたアンモニアを硫酸アンモニウム として回収する試みも行われている。 連載 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 2 図7. LaRonde金鉱山のシアン分解処理施設 図8. LaRonde金鉱山のシアン分解処理フロー (Agnico-Eagle Mines Ltd.,“LaRonde Division”) 3-7.硬水 硬水とは硬度の高い水のことであり、カルシウムイ オンやマグネシウムイオンを多量に含有している。廃 水処理の際にアルカリ剤として消石灰などを使用する と、処理水中にカルシウムイオンが多量に残留する。 排水基準や環境基準にカルシウムやマグネシウムは規 定されていないが、世界保健機関(WHO)では硬度は 苦情が挙がりうる項目としており、地域によっては硬 度を低減する必要がある。 硬度の計算方法はいくつか存在するが、WHOでは 2015.1 金属資源レポート 29 (508) アメリカ硬度が使用されており、これは水中のカルシ ウム塩とマグネシウム塩の濃度を炭酸カルシウムに換 算 し、mg/Lで 表 し た も の で あ る。 表3にthe American Society of Agricultural Engineers及びWater Quality Association が作った硬度の基準を示す。 連載 最新鉱山環境技術事情( ) ─ 水処理技術≪操業編≫ ─ 2 表3. 硬度の基準 基準 硬度[mg/L] Soft <17.0 Slightly Hard 17-60 Moderately Hard 60-120 Hard 120-180 Very Hard >180 硬度の低減方法としては、二酸化炭素 (CO2)を吹き 込む、または炭酸ナトリウム (Na2CO3)を添加するこ とにより、水中のカルシウムを炭酸カルシウムとして 沈殿除去する。 Ca2+ + CO2 + H2O → CaCO3↓ + 2H+ 4.おわりに 様々な水処理法を紹介したが、究極の水処理方法と しては廃水そのものを低減することであり、水の再利 用を積極的に行うプロセスを構築することにより廃水 処理にかかるコストを低減できる。例えば、 「最新選鉱 ̶ ̶ 技 術 事 情 番 外 編 (3) 環 境 」で 述 べ て い る Watershedタングステン鉱山の開発プロジェクトでは、 従来、用水の繰り返しが困難とされていた逆浮選系に 30 2015.1 金属資源レポート (509) おいて、それぞれのプロセスで脱水を行うことにより 高価な廃水処理(フッ素除去)プロセスを省くことがで きた。安価な廃水処理技術の開発と同時に廃水を発生 させない技術開発は操業コスト低減のためにも重要な ことである。 また、廃水処理において重要なことはコスト低減や 排水基準の遵守だけではない。処理水を放流する河川 の下流域の人々に不安を抱かせないことも大切であ る。鉱山開発=環境破壊というように考える人は少な からずいるため、例えば河川を常時モニタリングし、 その情報も常時公開するなどにより、関係者に対して 丁寧に河川の環境が保全されていることを説明すべき と考える。そうすることで、周辺地域の環境だけでは なく、鉱山開発前と変わらない平穏な環境を求める地 域住民の「心の環境」も保全することにつながるのでは ないだろうか。 日本企業はかつての鉱害問題の経験から環境に対す る意識が非常に高いと思うが、残念ながら今でも環境 に対して意識が低いと思われる鉱山会社が海外にあ り、 環 境 汚 染 が 発 生 し て い る 地 域 が あ る (Jungie Mining Industry社によるピルコマヨ川の汚染 http:// www.elpotosi.net/2014/08/04/1.php、Grupo Mexico 社 に よるソノラ川の汚染 http://www.bbc.com/news/worldlatin-america-29306026) 。このような現場が少しでも 減っていくことを切に願う。 次回(3月号)は閉山後の鉱害対策として、尾鉱の水 封やパッシブトリートメント (自然力活用型坑廃水処 理)について紹介する。 (2015.1.7)
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