●技術紹介 <当社独自開発 海浜変形予測システム NeCST(ネクスト)> 沿岸域の海底地形は,さまざまな要素(来襲波特性,沿岸流、潮汐,長周期波,海底地形,構造物の 形状等)によって変化しています。変化した海底地形もまた,波や流れの特性を変化させています。こ のように様々な条件が互いに複雑に影響しあう海底地形変化を再現するシミュレーションシステム NeCST(Nearshore Circulation and Sediment Transport model)を当社が独自に開発しました。 NeCST は多様な外力(潮汐、波浪、風)を入力条件とすることができ,波-流れ-地形変化の要素が相 互に作用する海底地形の変化を再現し,海域での様々な対策検討の基礎資料を提供します。例えば,海 岸の侵食や堆砂,航路・泊地の埋没,海岸港湾構造物周辺の地形変化,河口域の地形変化等,様々な漂 砂問題の現象解明や漂砂対策施設の配置検討,周辺環境への影響評価に活用できます。 NeCST の構成と特徴 NeCST は,波浪変形計算,流れの計算,地形変化の計算,の全3Part で構成され,各 Part を順に繰 り返し計算することにより,波・流れ・地形の時間発展的変化を予測します。 ●Part1 波浪変形計算 回折項を加えたエネルギー平衡方程式(または,波作用量平衡方程式)を基礎式とする位相平均型 モデルにより,波高・周期・波向及びラディエーションストレスを計算します。波の浅水,屈折, 回折変形,構造物からの反射,波の再生を考慮した砕波減衰,流れによる波の変形を適切に評価し ます。 ●Part2 流れ(海浜流,潮流)の計算 潮流(水位変化による流れ),海浜流(波による流れ),吸送流(風による流れ)を計算します。こ れらの外力条件の時間変化を条件に,沿岸域で生じる複雑な流れを計算します。陸域と海域の境界 は移動境界として取り扱い,水位(潮位)変化による湿潤・干出を評価します。 ●Part3 地形変化の計算 Part2の波と流れの計算結果から底質特性に応じた底面せん断応力と漂砂量を評価し,各地点の水 深変化量を計算します。漂砂量は,掃流漂砂と浮遊漂砂の両者を考慮し,底質特性に応じて砂輸送 モデルと泥土輸送モデルを使い分けます。また,海底勾配の効果や岩礁等がある場合でも適切に漂 砂量を評価します。 オホーツク海 サロマ湖内 浅瀬の形成 図1:海跡湖口(インレット)における流況計算例 下潮時の湖口付近の流況 図2:狭隘部における潮流による地形変化の計算例 (担当:調査・解析部)
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