2015/7 ボーソー油脂視察

視察レポート
レポート作成者
市川営業所 相田 善広
視察日時
平成27年7月31日 金曜日 午前9時30分より
視察参加者
市川営業所 高橋部長・坂内課長・麻薙主任・品川・相田
松戸営業所 河手次長・中村課長・清水係長・細渕・謝花・三浦
名称
ボーソー油脂 株式会社
所在地
千葉県千葉市稲毛区六方町231(千葉工場)
TEL
043-423-5031
創業
昭和22年12月9日
資本金
13億5130万
代表者
片岡 治男 代表取締役社長
認証取得
JIS Q9001 登録対象事業所
業務内容
油脂の製造・加工・販売
飼料、その他副産物の製造・販売
油脂の製造加工用機械器具の設計・製造・販売・輸出
せっけん・化粧品の製造・販売
栄養補助食品、その他食品の製造・加工・販売
ボーソー油脂 株式会社 外観(千葉工場)
はじめに
ボーソー油脂は油の製造工程を2工場に分けて行っております。
今回視察させて頂いた工場は原油までを作る製油工程を行っている「千葉工場」です。
市販するために油の脱臭や充填等を行っている「船橋工場」は今回視察しておません。
1
原料(菜種シード)の輸入について
遺伝子組み換え菜種シード
カナダから輸入。バンクーバーから船が千葉港(日本サイロ)に入港する。
一度の輸入量は”7万トン”。
非遺伝子組み換え菜種シード → 森給食の扱う菜種油はこちらが原料です。
オーストラリアから輸入。メルボルンやパースから船が横浜港に入港する。
一度の輸入量は”400トン”。
*菜種原油70~80トンに相当
↑ 取り入れ口は大きい穴になっている
↑ 輸入された菜種シードを投入する場所
原料取り入れ口
← 見学中大型トラックが菜種シードを搬入に入庫。
満載の菜種シードをダンプのように荷台を持ち上げて
取り入れ口に流し込む。
原料はゆっくり流れこんで約20分で入りきる。
2
菜種油(菜種原油)ができるまで
千葉工場で行っている、菜種原油精製の工程は5工程。
① 前処理
原料(菜種シード)はクッキング(蒸煮)・圧扁後、乾燥させる。
↑ コンベア。原料取り入れ口より
ここに流れてくる。1~4ケ所稼働する。
↑ 中央の黒い粒が菜種シード。
この後、狭雑物と分ける為、ふるいにかける。
↑ 中央の装置がふるい。
↑ 分けられた狭雑物。
速い円運動で菜種シードと狭雑物を分ける。 コーンや葉・茎等、たまに石も入ることが…
↑ この装置で圧扁。
菜種シードを焙煎し、潰す。
↑ 焙煎は90℃で20分。
乾燥と合わせて行われる。
② 圧搾
圧搾機(エキスペラー)により菜種シードから油が搾られる。
↑ 圧搾機
↑ 搾られた後の菜種シード
*圧搾機は2機有り、1機200トン。一日400トン圧搾可能。
*ここまでの工程で搾られた原油が”菜種一番搾り”の油となる。
③ 抽出
溶剤(ヘキサン)を使用し、搾られた後の菜種シードから
更に原油を採取する。
↑ 円筒形状になっている。
抽出機回転方向
↑ 抽出機(ロートセル抽出機)
トレー
搾りシード
投入場所
②
①
⑱
搾りシード
排出場所
← 溶剤が放水
されている様子
溶剤放水場所
溶剤の流れ
*搾りシードを入れるトレーは18トレーあり、時計回りに90分かけてゆっくり回る。
溶剤放水場所より、新しくきれいな溶剤を流しこみ、①の投入場所まで反時計回りに流れ込む。
溶剤は①の投入場所にたどり着くころには、汚れ効果も薄くなっているが、抽出機が
時計回りに回転し、各トレーはきれいで効果の強い溶剤の放水場所に移動してくる。
はじめの投入場所付近①や②の搾りシードは効果の薄い状態の溶剤でも十分に
原油を抽出できる。溶剤放出場所付近になると、抽出した搾りシードから更に抽出をしなければ
ならない為、効果の強い溶剤が必要になるので、抽出機の回転方向と溶剤の流れは正反対に
しなければならない。
⑱の搾りシード排出場所にトレーがたどり着いたら、トレーの底が開き、抽出が終わった
搾りシードを下の階に落下させる。
↑ 抽出後の搾りシードを落下させ、
別の場所にパイプを通し移動
↑ 抽出後の搾りシードは乾かし
主に鳥の飼料になる
↑ パイプを通り移動した抽出後の
搾りシードはこの場所で飼料として
トラックに乗せられ、出荷される
↑ 近くにあった倉庫の掲示版
↑ その倉庫は整理整頓されてました
④ 脱ガム
少量の水を加えることにより、原油に含まれている
リン脂質等を水和させて、遠心分離機で取り除く。
↑ 分離した原油をパイプを通してタンクへ
↑ 遠心分離機
⑤ 原油タンク
菜種原油は一旦原油タンクにて貯蔵。
↑ 原油を貯蔵するタンク
*千葉工場での工程はここまでとなり、後の工程(精製工程)は船橋工場で行われる。
3
情報として
・原料(菜種や米)について
今後価格が上がることが検討されている。原因として、カナダで生産されている菜種が
霜による害が出ていて、今年の生産量は激減する可能性が高い。同じようにオーストラリアの
生産量も不作続きにより、減少している。
同じ緯度であればヨーロッパ(主にフランス)も生産しているが、ほぼ全てがヨーロッパで工業用
(バイオ燃料)として消費されてしまう。
大豆や米と比べればまだ値上がりも少しだが、今後いつ高騰するかはわからない。
現在、米油の生産が追い付いていない。理由として、テレビ等で米油が体に良いと紹介され、
人気が長続きしている。米油は「米ぬか」が無いと生産できない。現状、国内の米の消費量は少なく
なっており、原料が調達できないことも原因の一つ。
学校向けの米油の原料は国内産のみなので、原料不足の解消は現状難しい。
町中でよく見かける米の精米所から米ぬかを回収してほしいと以前連絡があったが、
精米所の数は多く、一か所の回収量は少ない。集めても日数がかかる為、その間に虫が湧いたりして
米ぬかが使い物にならなくなることから、町中の精米所から集めることも難しい。
タイ米等からの米油は現地での消費量が多い為、原料として米ぬかを輸入すると高く付く。
・遺伝子組み換え菜種原料と非遺伝子組み換え菜種原料について
ボーソー油脂では、別工場で精製・生産している。
・油の呼び方について
サラダ油→生食用
白絞油 →加熱専用
規格(ランク付)が高いか少し低いかで呼び名が変わるが、作り方に変わりは無い。
ランクはサラダ油の方が高いが、昔と違い現在はほとんど変わらない。
基準として、「0℃で5,5時間冷やし、原料に含まれる”ろう分”が白く結晶として出るかどうか」
で分かれる。
・シリコンについて
食品添加物の一つ。特性は油の泡を出にくくし、使用回数を増やすことができる。
もちろん使い続けると劣化し、泡が出やすくなってくる。
4
総 括
ボーソー油脂を視察させて頂き、普段学校に配達している商品の製造工程を実際に見ることができ
勉強になった。話では製造方法を聞いてはいたが、原料とはどんなものか、抽出するにはどれくらいの
規模の機械が必要か、また、現状油を精製・生産するのに、世界情勢を含めてどういうことになっている
のか、想像していたより情報を得ることができ良い経験ができた。
今回は、千葉工場のみの視察で菜種油が原油となるまでの工程だったが、
機会があれば、ボーソー油脂の船橋工場で出荷までの工程も実際見てみたい。
値上がり等、販売していくこちらにとってはデメリットな情報もあったが、状況を知っている
ということが、営業として栄養士様達に納得をしてもらう話をするうえで今後重要になると感じた。
以 上