夜の釣り人

唐丹の民話・４話「荒川地区」
狐にだまされた
夜の釣り人
魚？
平成１９年３月
唐丹・愛ちゃんネットパソコンクラブ
目次
―狐にだまされた夜の釣り人―
唐丹民話の再話著作にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・２
１．喜びの大漁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・３
２．大漁の魚はいずこへ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・３
1
唐丹民話の再話著作にあたって
唐丹公民館の自主パソコンクラブ（設立：平成１７年６月／名称：唐丹・愛ちゃん
ネットクラブ）では、パソコンによる文章作成を習得した証と民話を伝承する狙
いを含めて民話の再話著作活動を実施しました。
文章作成の教材は、釜石民話の会（平成２年発足）の機関紙「釜石民話」を活
用させていただきました。
この釜石民話の中から、唐丹に関り、かつ再話できるものを選び。その根底
にあるものを変えないことを基本に「見やすく」、「読みやすく」、「分かりやす
く」するために小見出しを付け、写真や絵図などを挿入。できるだけ、関連す
る歴史や実話を織り込みながら作成しました。
いつの日か、この冊子が誰かの目に留まり、唐丹にもこんな話があったのか
と唐丹の「いにしえ」に想いをはせる一助になれば幸いと思います。
おわりに、この活用させていただいている民話は、釜石民話の会会員であり
ました唐丹町片岸の加藤ムツさんが採録（聴き取り）したものであり、第１集か
ら第６集に掲載の民話の数は９２編を数えます。
加藤ムツさんの民話を伝承したいという、この熱意と努力に敬意を表すると
ともに、故人となられました加藤ムツさんのご冥福をお祈り申し上げます。
なお、この物話の「狐にだまされた夜の釣り人」は、釜石民話第１集「狐に
だまされた話その２」を再話著作したもので、その原文は次のとおりでありま
す。
荒川部落で、夜釣りに出かけた男が、背負い籠にいっぱいに、ドンコ、ハモ
など釣って喜んで帰って来たそうです。ところが、山道にさしかかったとたん、
美しい花が咲き、立派な道路だったそうで、気持ちよくなって、どこまでも、
どこまでも歩いているうちに夜が明けてしまいました。
自分の着ていた着物を見たらかぎざきになり、手足は野ばらにかきむしられ
て傷だらけで、ドンコ、ハモは一匹もなくなり、さんざんなめにあったそうで
す。それからは、夜釣りに行かないことに、部落で話し合ったそうです。
原文は、おしまい
2
狐にだまされた夜の釣り人
１．喜びの大漁
荒川の男の人が、善宝寺嶋の方に陸まわりで夜釣りに出かけ、ドンコや
ハモなどいろいろな魚を背負い籠いっぱいに釣り、喜び鼻高々として、家
路を急いで帰って来ました。
（ハモとドンコ）
しばらくして、山道にさしかかったとたん、不思議なことに、周りには
美しい花が咲きみだれ、立派な花街道になっていました。
（不思議な花と道）
男の人は、気持ちがよくなってしまい、その道をどんどん行き、どこま
でも、どこまでも歩いているうちに、夜が明けてしまいました････。
２．大漁の魚はいずこへ
男の人は、ハッと気がつき、自分の着ている物を見てびっくりしました。
着物はかぎ裂きが一杯出来、手や足は野ばらに、かきむしられて傷だらけ
でした。
背負っていた籠の中のドンコや
ハモ、ほかの魚も一匹もなくなり、
さんざんなめにあってしまいまし
た。
それからは、狐にだまされると
怖いので、みんなでで話し合い夜
釣りには行かないことに、決めま
した。
3
（男の人をだました狐）
おしまい
◎釜石の民話・第１集：狐にだまされた話
○話し手：不詳
○聴き手：加藤ムツさん／片岸
その２
●再話著者：留畑孝子／片川地区（唐丹・愛ちゃんネットパソコンクラブ）
●写真撮影者：同上
●校正指導者：新沼裕／本郷地区（唐丹・愛ちゃんネットパソコンクラブ）
●再話完成：平成１９年３月
4

Download Report