第 5 話 「常識を超える」ためには?

Vol5. 発行 南浦涼介
2015 年 11 月 17日
第5話
「常識を超える」ためには?
前回の授業で話した「常識を超える」ということ。多くの人がインパクトを持ってくれました。が,それと同
時にあったのが「実際にやろうとすると常識を超えるというのはとても難しい」ということ。確かにその通り。
今回は,
「どうしたら『常識を覆す』授業ができるのか」をもう少し考えてみたいと思います。
その3 真実はいつもひとつ,ではない。
その4 なんのためにやったの? 「ねら
い」を持ってやっていますか?
答えを押し付けようとしていませんか?
「なぜ」に応えていこうとするとき,それはある
意味で「推理」です。しかし,社会科で重要なの
は,
「答え」はいつも 1 つしかないわけではない。
たとえ「犯人」は一人だったとしても,
「なぜその
犯人が犯行をしようとしたのか」という動機は絶
対に1つではないということです。
「こうじゃない
かな」
「ああじゃないかな」という話し合いや議論
の中で,
「納得がいく複数の答え」が見えてくるこ
とが大事です。教師の示したいものも,その一つ
にすぎないのです。
最終的に行きつこうとするところが,単に「へ
え,そうなんだ」と,物知り博士をつくることに
なっていませんか?
この授業で口を酸っぱくして言うように,大事
なのは,その「新たに行きつく考えかた」が,
「社
会を分かり,社会に生きる」ために重要な何かに
なっているかどうか。ここを忘れてしまうと,単
なる物知り博士育成の授業になってしまいます。
新しい考え方
お雛様の並び方は,近代
化の中で,西洋化に従っ
て変わっていった。近代
の学校制度の普及や中央
政権体制の普及が全国に
それを広めた。
新事実
明治時代初期までは,
左:お内裏様
右:お雛様
だった。
その2 その情報は本当に「相手」は知ら
ないことなのか?
実はね…。と得意げにあなたが言おうとしてい
ること。それ,ほんとうに相手は知らないことで
すか? 意外に,すでにそのこと自体が常識って
ことはありませんか?
「子どもはこのくらいでも驚くだろう」という
態度が,実は子どもからしっぺ返しを食らうのは
こういう時です。
考えるための
情報
近代の
天皇・皇后
の並び方
奉安殿と
ご真影
考えをくつがえす
でも情報
昔の
お雛様の
写真
なぜ疑問の生成
どうしてお雛様の順番
は入れ替わってしまっ
たの?
もとの素朴な考え方
お雛様の並べ方は
右:お内裏様
左:お雛様
だ。
その1 自分の相手をよく見るということ
「常識を覆す」ためには,相手の持つ「常識」
をよく見るということが大事です。
「常識」とはみ
んなが同じものではありません。
「あの人たちにと
って」のものです。
「あの人たち(あの子たち)は,
どういう常識の枠内にいるのか」
「どんなふうに偏
った理解をしているのか」
「何が足りないのか」と
いうことをよく見ていくことが大事です。
「子ども
をよく見る」って,こういうことなのかもしれま
せん。