K INEMA JUNPO R ESEARCH 興行分析 11 月度レポート < 2 0 1 2 年 1 2 月 2 0 日> 大手 13 社の 1 〜 10 月累計成績まとまる 2012 年の総興収は 1900 億円超が確実に I NSTITUTE K INEMA JUNPO R ESEARCH I NSTITUTE 興行分析 11 月度レポート まずは 11 月の興行成績から。東京ロードショー館 74 館の集計は総動員数 789548 人(前年同 月比 116.9%)、総興収は 11 億 06981960 円(同 117.6%)と、いずれも前年を上回った。また、 今月は 2012 年 1 月~ 10 月までの大手 13 社の累計興行収入がまとまったので紹介しよう。大手 13 社については、前号を参照していただきたいが、その興収は 1491 億 7452 万円で、前年対比 104.6%だった。今年は、後半「エヴァンゲリヲン」 (T.JOY = Khara)、「のぼうの城」 (東宝=ア スミックエース)が大ヒットしていることから、最終で前年の 105%は達成できるだろう。昨年 の年間興収が 1811 億円だったことから、1900 億円台に乗ることは間違いなさそうだ。興収の内 訳はいろいろ問題もはらんでいるが、全体としてはカッコがついたと言えよう。 ところで、その内訳についてだが、昨年の邦洋のシェアは、邦画 54.9%、洋画 45.1%だった。 それでは、今年はどうなるか。前号でも触れたが、今年の洋画は苦戦が続いた。 さきごろ、2012 年の外国映画興収トップ 10 が発表された。 1 「ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル」 (パラマウント)53 億 8000 万円(11 年 12 月公開) 2 「バイオハザードⅤ リトリビューション」 (ソニー)38 億 1000 万円 3 「アベンジャーズ」 (ディズニー)36 億円 4 「メン・イン・ブラック 3」 (東宝東和) 32 億円 5 「アメイジング・スパイダーマン」 (ソニー)31 億 6000 万円 6 「ダーク・シャドウ」 (WB)21 億 5000 万円 7 「マダガスカル 3」 (パラマウント)20 億 5000 万円 8 「ダークナイト ライジング」 (WB)19 億 8000 万円 9 「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」 (WB)19 億 5000 万円 10 「TIME/ タイム」 (FOX)18 億 2000 万円 1 位の「ミッション:インポッシブル~」は実際は昨年公開作品で、厳密に 2012 年公開作品か らは 40 億円超作品すら生まれていない。確かに、トップ 10 に並ぶ、この種の SF アクション系は 日本の高齢層を中心とした観客には馴染みにくいところがある。しかし、韓国や中国では、同じ 作品が大ヒットしている。この洋画の不振については、あらゆる角度から調査する必要があると 思う。作品力と言ってしまえばそれまでだが、一方で、どのような作品が公開されていても、映 画を見る習慣のあるファンも一定数いるはずである。彼らはどこに行ってしまったのだろうか。 例えば、2004 年を振り返ってみよう。洋画興収ランクを見ると 1 「ラスト サムライ」 (WB)137 億円 2 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 (WB)135 億円 3 「ファインディング・ニモ」 (BV)110 億円 4 「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」 (ヘラルド=松竹)103 億円 と年間で 100 億円超が4作品もあった。今、この作品を公開しても、同じようなヒットにはな らないだろう。それだけ、観客の意識が変わってしまったのだ。 2 K INEMA JUNPO R ESEARCH I NSTITUTE 一方、今年の邦画のヒット作をみると 「BREAVE HEARTS 海猿」 (東宝)72 億強 「テルマエロマエ」 (東宝)59 億強 「踊る大捜査線 THE FINAL」 (東宝)59 億前後 「エヴァンゲリヲン新劇場版」 (ティ・ジョイ=カラー)50 億円以上 「おおかみこどもの雨と雪」 (東宝)41 億円以上 と 5 作品が 40 億円を超えている。 以上の数字から、今年の邦洋シェアは邦画 60%、洋画 40%程度になると予想されるが、この 差がさらに開くかもしれない。12 月上旬の興行ランキング 10 に入っている洋画は「007 スカイ フォール」 (ソニー)と、10 位くらいに「人生の特等席」 (WB)がかろうじて食い込んでいるくら いである。外国映画は、一定の選別を経て公開されるわけで、日本映画よりも一段階、難関を超 えている分、面白いはずである。全体の年間興収が 2300 億円くらいのなかで、邦画 60、洋画 40 というのなら問題ないが、1900 億円という低次元のなかでの邦高用低では、邦画がいいと喜 んではいられないのではないか。 3
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