平成 27年 7月 15日 脳神経科学 （第 9 話） 睡眠 睡眠物質と 睡眠の神経性調節 アンリ ピエロン 石森 國臣 ピエロンと石森の実験 睡眠とは 覚醒中に脳内にたまった睡眠物質が分解される過程 睡眠物質 （眠気） 覚醒 目覚め 睡眠 （睡眠物質がたまる） （睡眠物質の分解） 覚醒 睡眠 さまざまな睡眠物質 ＡＴＰ（アデノシン三リン酸） （神経）細胞の活動 アデノシン Ｘ 睡眠 カフェイン 成長ホルモンの分泌量 プロラクチン 母乳の分泌を促進・母性本能 メラトニン 時差ぼけ、睡眠リズムの 障害に効果 脳波の測定 脳波 （脳の神経細胞の 活動の総和） 脳波の測定 高周波数の脳波 （速波） 低周波数脳波 （徐波） 覚醒に近い脳波 高い筋活動 筋活動の低下 筋活動の消失（脱力） 眼球運動 眼球運動停止 急速眼球運動 （Rapid Eye Movement) 睡眠の深さ ２つの睡眠 ・ 徐波睡眠 （ノンレム睡眠） ゆっくりとした脳波（徐波）・・脳は休止している 筋肉の緊張の低下・・・・・・・身体も休止している ・ レム睡眠 覚醒時と同様の脳波（速波）・・・・脳は活動している 筋肉の緊張の消失・・・・・・・・・・身体は休止している 急速眼球運動・・・・・・・・・・・・・・・夢を見ている 一晩の睡眠の経過 入眠直後に深い徐波睡眠 徐波睡眠ーレム睡眠のサイクルを繰り返す 年齢による睡眠の変化 年齢による睡眠の変化 シマウマ（草食動物）の睡眠 立って眠る（浅い徐波睡眠） イルカの睡眠 左右の半球が別々に眠っている。 ヒトはどうして眠くなるのだろうか？ 睡眠の神経性調節 視床下部 脳幹 ウイルス性脳炎の患者 眠り病（嗜眠性脳炎）と 不眠の患者がいた。 (1915) C.V. エコノモ ウイルス性脳炎患者の脳 視床下部 睡眠中枢と覚醒中枢 視床下部 視床下部前部 睡眠中枢 視床下部後部 覚醒中枢 脳波 脳幹網様体を電気刺激すると、覚醒脳波が現れる。 Moruzzi and Magoun （1949) 脳幹網様体賦活系 睡眠調節に関連するおもなニューロン群 LDT:外背側被蓋核 PPT:脚橋被蓋核 脳幹網様体賦活系の実体 （覚醒の中枢） DR:背側縫線核 LC：青斑核 TM：結節乳頭核 レム睡眠の中枢 レム睡眠の中枢は離断 面より後ろ（脳幹）に ある 筋の脱力（筋弛緩） REM 脳を中脳のレベルで離断すると、筋弛緩、急速眼球運 動（REM)が記録できる 実験装置 徐波睡眠中枢（視索前野）のニューロンの活動 神経の活動電位 （スパイク） 睡眠中枢のニューロンは、 徐波睡眠の10秒ほど前から活動が上昇し、徐波睡眠中、高い活動が維持される。 レム睡眠中枢（LDT）のニューロンの活動 レム睡眠中枢のニューロンは、 レム睡眠の30秒ほど前から活動が上昇し、レム睡眠中、高い活動が維持さ れる。 覚醒中枢のニューロンの活動 覚醒中枢のニューロンは覚醒前から活動が上昇し、覚醒中に高い 活動が維持される 睡眠に関連するニューロン群の睡眠・覚醒中の活動パターン 主な役割 レム睡眠 レム睡眠・覚醒 PGO波 覚醒 オレキシンニューロン (Orx) 徐波睡眠 睡眠調節に関連するおもなニューロン群 徐波睡眠中枢 オレキシンニューロン(Orx) レム睡眠中枢 覚醒中枢 GABA ・ 神経の活動を抑制する・・（徐波睡眠の維持） ・ 睡眠薬 （ベンゾジアゼピン系） GABA様の作用（GABAの受容体に作用） （アルコールも神経活動を抑制） ノルアドレナリン、アセチルコリン 目覚まし物質（覚醒を起こし・維持する） 注意・集中しているときに放出される ヒスタミン 目覚めを維持する（覚醒の維持） オレキシン ・覚醒の開始・維持 視床下部 ・他の覚醒ニューロンを 興奮させる ・摂食を促進 （1998） 視床下部前部 徐波睡眠中枢 脳幹 （オレキシン神経） 覚醒中枢 覚醒中枢 高周波数の脳波 （速波） 低周波数の脳波 （徐波） 覚醒に近い脳波 （速波） 高い筋活動 筋活動の低下 筋活動の消失（脱力） 眼球運動 眼球運動停止 急速眼球運動 PGO波 PGO 波: 橋（Pons）、視床の外側膝状体 (lateral geniculate)、 大脳皮質視覚野(Occipital cortex)で散発的に生じる脳波 レム睡眠中も、PGO波によって、視覚野は活性化されている。 視覚情報はないのに、視覚野が刺激される。 夢の発現 夢幻様行動 レム睡眠行動障害 （脳幹の筋緊張消失部位の障害） レム睡眠中に出現する、手足や体幹の粗大な（暴力的、傷害を引き 起こすような）運動 殴る、蹴る、ベッドから飛び出す、銃を発射する・・・など 怒声や笑い声を伴う場合もある。 呼びかけると、容易に覚醒する。 覚醒した直前の行動を思い出すことができる。 金縛り 覚醒状態 レム睡眠の中枢のうち、脱力のシステムだけが活動した状態 ナルコレプシー （Narcolepsy） ・ 日中の過度の眠気 (daytime sleepiness) ・ 睡眠麻痺 (sleep paralysis) ・ 入眠幻覚 (hypnologic hallucination) ・ 情動脱力発作 (cataplexy) ・ 入睡時レム（sleep onset REM） オレキシンニューロンの欠損によって起こる
© Copyright 2024 ExpyDoc
