ガールスカウト千葉県第63団 ホームページ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ <No.5> 『おばけめぐり』 瀬川 昌男 ・ 原作 スズキコージ ・ 絵 (金の星社) ========================================= もうすぐ夏キャンプですね! キャンプでどんなことをしたい?とスカウトに聞くと、 必ず返ってくる答えが、きもだめし、オバケの話、こわい話です。 そんなにみんな好きなの?オバケやゆうれいが・・・。 「こわい話だ~いすき!」っていうスカウトもいれば、 「きゃ~、やめて~~~!」って耳をふさいでしまうスカウトもいますよね。 そんなみなさんにオススメの本が、この『おばけめぐり』 です。 おばけのことをもっと知りたい人も、おばけ退治したい人も、 こわいけど見てみたい(そういうのを、「こわいもの見たさ」といいますね)人も、 さぁさぁ、おばけめぐりに出発しましょう! この本は、まず、表紙からして・・・すごいです!怖そうです! さすがは、スズキコージさんです! これで、すっかり怖気づいて、本を開く気もなくなってしまった人は、【怖がりレベル1】です。 お話は、山の中の一軒家での二人の兄弟の会話から始まります。 「おばけと、ゆうれいと、どう違うの?」と聞く弟に、 「よく知らないけど、人間は、死んだらそれでおしまいなんだよ」というお兄ちゃん。 「死んだことないくせに、なんでわかるのさ」と弟が・・・。 すると、二人の話を聞いていたおばけが、 「おばけは、いるのだよ~。もっと見たいかな~?」と出てきました。 ここで、キャ~~と声をあげた人は、【怖がりレベル2】です。 それから二人の兄弟は、おばけに連れられておばけめぐりに出かけます。 昔、山には、やまうばや、雪女、天狗、川には河童や牛鬼が、海には舟幽霊、ぬれ女、 町にだって、かまいたち、一つ目小僧、のっぺらぼう、ろくろ首、ざしきわらしがいました。 それに、今の世の中でも、トイレの花子さん、口裂け女、パソコンに出るおばけも・・・。 もっと、もっとたくさん、ここにも、あそこにもおばけはいるのです。 このあたりで、ぞくぞくっとした人は、【怖がりレベル3】です。 「おばけとゆうれいって、どうちがうの?」と弟が聞いてみたら、おばけは説明してくれました。 「ゆうれいは、ゆうれいになる前は生きていた。人だったり、ネコやイヌだったり。 それが死んで体から抜け出したものがゆうれいなんだ。」 「じゃぁ、おばけは死なないの?」 「そうだよ。生きているものだけが、死ぬことができるのだ。」 ・・・生きているものだけが死ぬことができる・・・深い意味のあることばですね。 でも、この話を聞いて、なんとなくぞわ~っとした人は、【怖がりレベル4】でしょう。 その後、おばけは、ゆうれいをたくさん見せてくれて、 それから、ゆうれいが出てきたらどうすればいいかも教えてくれます。 ゆうれいとの話し方、付き合い方、どんな場所でゆうれいに会えるか、 ゆうれいはどんな人間が好きか、どんな人間にくっついてくるか・・・。 さすがに、ここまで聞いてもちっとも怖くないよ!っていう人は、【怖がりレベル5】ですね。 でも、みなさんご安心ください。 このおばけは、最後に、悪いおばけや怖いおばけから身を守る方法を教えてくれます。 お守りや呪文です。覚えておきましょう! これさえ唱えれば、おばけも怖くない! さぁ、みんなで、お腹に力をいれて…「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!」 わけもなく背筋がぞくぞくっとしたら・・・、 「リン・ピョウ・トウ・シャ・カイ・ジン・レツ・ザイ・ゼン!」です。 この本のおもしろさは、スズキコージさんの絵ばかりではありません。 作者の瀬川昌男さんは、おばけとは一見かけ離れた世界、 宇宙や天文を中心とした自然科学の研究をなさっていて、 科学物の解説や翻訳なども手がけていらっしゃいます。 瀬川さんは、科学の発達する現代で、 科学の持つ「危うさ」にみなに気づいてほしいと願っています。 科学の恩恵による繁栄に反して、日本の、地球の美しさが失われつつあると警告します。 自然や霊を畏れ敬う心を持った私たちの祖先は、私たちより賢明だったのではないか、 そのような謙虚な心を取り戻してほしいという 瀬川さんのメッセージがこめられた本でもあります。 ほら、前にご紹介したインディアンの酋長のお話や、 地球温暖化防止に取り組むチームマイナス6%のプロジェクトなどが、 おばけやゆうれいとつながっているような・・・気がしてきませんか?
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