秋田県立養護学校天王みどり学園 加賀谷 勝 1 一卵性双生児の「WISCーⅢ」プロフィール表 140 125 120 120 100 115 80 兄 兄 110 弟 105 60 弟 40 100 20 0 95 言語性 動作生 言語理解 全検査 20 16 18 14 知覚統合 注意記憶 処理速度 16 12 14 10 12 10 兄 8 兄 8 弟 6 弟 6 4 4 2 2 0 0 知識 類似 算数 単語 理解 数唱 絵画完成 符号 絵画配列 積木模様 組合せ 記号探し ・言葉を理解して操作する力が高い反面、空間認知やイメージで作業する活動が苦手、聴 覚的短期記憶に課題がある等、驚くほど似ている結果であった。しかし、性格は兄が大 人しくて、弟が活発で感情の起伏が激しい。学校には、検査結果を基に苦手さをカバー する支援方法を伝えた。保護者には、お互い認められたい気持ちが強いので、毎日5分 でいいので、それぞれの話を聞いてあげたり、スキンシップをとったりするスペシャル タイムを設けて、 「あー楽しかった!」という経験を増やすことを勧めた。 2 「WISC-Ⅳ」を実施して感じていること ・準備に時間のかかる「組合せ」「絵画配列」がなくなったことや10の 基本検査でIQや指標得点を算出できるので、実施時間が短くなり、子 どもの負担が軽減された。4つの指標のバランスを考え、補助検査の WISCーⅣ検査器具 「絵の抹消」と「算数」は実施している。 ・新たに追加された検査は、子どもの興味を引いている。検査者も実施して楽しい。 ・言葉の意味を求める検査は、Ⅲでは口頭で質問していたが、Ⅳでは問題冊子を提示する ので、意味が分からなくても文字を見てイメージして答えられる。 ・言語性IQと動作性IQがなくなり解釈に戸惑ったが、言語性IQ=言語理解、動作性 IQ=知覚推理に置き換えて分析したことと、これまで以上にワーキングメモリーと処理 速度の読み取りを重要視したことで、子どもの全体像が見えてきた。 ・検査器具、検査問題、記録用紙を開示してはならないので、学校や保護者への報告の仕 方が難しい。 ・本校では学校用と保護者用の2種類の報告書を作成している。子どもの自己理解を促す 場合は、得意なところと苦手なところ、そして、具体的な支援方法を記載した本人用の 報告書も作成している。
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