愛徳学園宗教部通信 第 305 号

愛徳学園宗教部通信
第 305 号
2014 年
12 月
生徒の心に語り掛けたいこと
英語科
Y.Y
オーストラリアについて、みなさんはどれくら
○ 今月のみことば
K.K
いのことを知っていますか。クリスマスも近いの
で、もしかすると、「サーフィンしているサンタ」
「きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キ
や「トナカイではなくカンガルーがソリをひいて
リストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。こ
れが、あなたがたのためのしるしです。
」
(ルカ福音書2章11節、12接)
いる」なんてものを思い浮かべる人もいるかもし
れません。正直に言うと、私は留学でオーストラ
12 月は、皆さんもご存知のようにイエス様がお生まれになった月です。イエス・キリ
リアを訪れるまで、オーストラリアについてほと
ストの誕生の場面は、聖書ではどのように描かれているのでしょうか。上で紹介したのは、
んど何も知りませんでした。実際に生活してみて
聖書のルカ福音書の一節です。天使達がイエスキリストの誕生を告げ知らせている場面で
初めて、オーストラリアがとても魅力的な国であ
すが、この「あなたがた」とは羊飼いたちのことです。羊飼いたちは羊を放牧させて生活
ることを知ったのです。
の糧を得ているので、イエス様が誕生した夜も寝ずの番をしていました。そこへ天使達が
オーストラリアの魅力は何かと聞かれるとたくさんあるのですが、その魅力の一つに、
現れ、「あなたがた」のためにイエス・キリストはお生まれになっことを告げたのです。
様々な文化の融合というのがあげられるのではないでしょうか。日本で生活していると、
ここで注目して頂きたいのは、当時の社会で羊飼いは地位の低い、貧しい人々であった
ということです。羊飼いは定住せず、収入も低く、高い教育を受ていませんでした。しか
自分と異なる文化を持つ人に出会うことはあまりありませんが、私がいたオーストラリア、
特に西海岸では、アジアに近いこともあり、オーストラリア先住民、ヨーロッパ系の人々、
し、そんな人々のためにイエス様はお生まれになったのです。それは天使たちが、地位や
権力のある王様や学識の高い学者、財力のあるお金持ちではなく、羊飼いに救い主イエス
・キリストの誕生を告げ知らせたということからもわかります。救い主は、羊飼いのよう
な弱い立場の人のためにお生まれになったのです。
アジア系の人々、アフリカ系の人々、中東系の人々、と実に様々な人々と出会うことがで
きました。そして、この多様性は、彼らにとって特別なことではなく、普段から当たり前
のこととしてあるものです。つまり、彼らは普段からお互いにお互いの違いを受け入れ、
このことを踏まえて、今の現代社会を見てみましょう。現代社会は、「勝ち組」、「負け
調和を取って共に暮らしているのです。また、それぞれの文化を尊重する中で、お互いの
組」という言葉からもわかるように、常に優劣がつく競争社会です。ですが、イエス様は
文化を融合させ、独自のものを作り上げてもいます。そして、オーストラリアの人々はそ
地位の上下や貧富によって人間を差別することなく、弱い立場の人にこそ寄り添い光を注
の独自の文化に誇りを持っています。
いでくださいます。それは「人間」はどんなときでも、尊重されるべき大切な「ひとり」
違いを受け入れることも難しいことではありますが、受け入れるだけではなく、その多
だからです。イエス・キリストが私たち人間のためにお生まれになった、ということには
様性を融合させ、共に誇れるものを作り上げてきたのがオーストラリアの人々です。まだ
「あなたがた一人ひとりを大切に思っています」という神様のメッセージが込められてい
るのではないでしょうか。
クリスマスをお祝いするとき、イエス様は私たちのためにお生まれになったということ、
まだ人種間で差別があることも事実ではありますが、それでも、同じ国の人間として、文
化を越えて一つになっている姿に、私はひどく感銘を受けました。みなさんにも、この文
章をきっかけに、異なる者同士でも同じ方を向いて素晴らしいものを作り上げることがで
そして私たちは神様に愛されている大切な「ひとり」であることに是非心を寄せてみてく
ださい。
きることを再認識してもらい、より豊かな学園生活を送ってもらいたいと思います。