高級果実の王様と してその王座を維持してきた温窒メ ロンは、 敷わら

愛 媛 大学 農 学 部農 場 級告
Univ)16:35-40(1995)
( B u l l E x p F a r m C o l l A gEhilne
r,
メ ロンの養液栽 培
村
上
司 ・秋
汎
Hydroponic Cuiture of Melon(C″
Hiroshi挿
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luRAKAMI and Hiroaki AKIYOSHI
結
高級 災実 の王様 としてそ の王座 を維持 して きた温=メ ロンは 、敷わ ら方式 の土 耕栽培 か ら始 ま り、
そ して良質な果実 の安定生産 が 可能 な金網 ベ ッ ド栽培方式 へ と発 展 して 今 日の 隆 嫌 を見 るに い た っ
た。 これ らの従米型 の土耕栽培 では、良質 な水 田土壊や稲わ らが最 も重要な資材 で ある。し か し、最
近 、 これ らの入 子が 困難な状況下 に あ り、 また、週休 2日 制 と定員 削減 に ともな う労 力面か らも この
栽培法 に よる生産 の先行 きが心配 され る。そ こで、近年 そ の対策 のひ とつ として、大衆消費 を 目指 し
た養液栽特 が行 われ るよ うに な った。 しか し、そ の栽培 には施設整備 にかな りの資金 が必 要 で あ り、
良品 の生産 には技術i的に も未解決 の部分 が 多 い。そ こで われわれは、養液 に よる メ ロン栽時 において
一
良質な果央 の生産 に結 びつ く栽培法 の 可能性 を検討す る こ ととした。そ の第 段階 と して、栽培 ベ ッ
ドの装 置 と養液濃度 の相連 が メ ロ ンの辞F種別生育 と収量 お よび果実品質 に及ぼす影響 につ いて調査 し
な 十の知 児を得 たのでその結果 を報告す る。
材料及び方 法
温笙 メ ロンア ール ス系統 の東海 R、 サ ンデ ー、 セ イ ヌ及 びナイ トの 4品 種用 いた。 1992年 8月 25日
に30℃の定温器 内で24時間催 芽 させた後 、 9月 9Hに 育 苗槽 に 移 植 して 育 苗 した。 養 液 濃 度 を EC
1 0mS/cmぉょび0.5mS/cmの 2段 階 に 調節 した ハ イポ ニ カ及 び シー トカルチ ャー (NFT)装 置を用 い 、
山を40cm間隔 に定植 した。 なお、 p II濃度 は栽特期間を通 して5.5-6.5に 調整 した。 生 育 調査 は 車
丈、彙往 (天英)及 び果径 につい て維時的 に行 った。 また、収 穫時 に葉柄長 を各品種 の 8、 9、 10節
につい て波」
定 した 。
央実 の収穫 は交配後 55「十日 (12月 2日 )に 行 った。果実 の 品質 調査 は室 内 で24時 間放 置後各 LXから
無作為 に取 り出 したそれぞれ 6個 体 について行 った。果実 の外観 的評価 は、肉眼に よ り、ネ ッ トの盛
り上が りの強弱、網 目の大小、優美 さについて 5段 階評価 を行 った。 また、果実 の 肉質 評価 につい て
は Brix及 び央 肉厚 を除 いて 、パ ネ ラー 5名 に よる辞】
質評価iで熟度 は硬 5-軟 1、果 肉色 は 黄色 5-白
1、 呑気 は 良 5-不 良 1の 5段 階 で示 した。
なお 、 シ ー トカルチ ャー装置 での生 育 は定植 十
貞後 か ら極端 に悪 く、途 中 で 調査 を断念 したので 、結
果は│工として ハ イポ ニ カ装 置 での調査を示 した。
-35-
果
結
① 草
丈
ハイポニカ ( E C 1 0 m S / c m 最も
) が 優れ、ついで 4 号
ー
に っ
ー
ハィポニカ ( E C O . 5 m S / c mあリ
) でシ ト カルチャ 装置は 3 、 4 号 ともにその生育は極端 劣
車丈 の初期 生育 は何れ の品種 にお いて も 3 号
た
。
4
3号 ハ イポ エ カ
号ハイポニカ
150
150
9/17
9′24
9′30
9′
17
10′8
24
9′
9′30
1078
月/ 日
月/ 日
第 1図 EC濃
0 0
0 5
︵Eo︶ 枢 冊
0 0
0 5
︵Eo︶ 呂 冊
R
―
ルス東' 毎
アー
― E l サツデー
ー基一 セイ
ヌ
ー
サイト
度 の 具 な る ハ イ ポ ニ カで の 4 品 種 の メ ロンの 草丈 の経 時 的変 化
② 葉 柄長
ハ イポ ニ カにおけ る葉柄長 は高濃度 の 3 号が 4 号 に 比較 してそれ ぞれ の 品種 間 に お い て 高 く、 なか
で もサ ンデ ーは もっ とも長柄 で あ リナイ トに 比較 して 5 側 以 L 長 か った。
40
0 0 0
3 2 1
︵Eo︶ 昭 躍 郎
0▼
第 2図 EC濃
③
3暑
4暑 ハ イポ三カ
ハ イポ ニカ
に
度 の異な るハ イポ ニ カでの 4品 種 の メ ロンの美柄長の比較 ( 収穫時 測定)
葉 径
ン ー の 伸長 が 大 きか った。
乗径 の肥 大 は ハ イ ポ ニ カ 3 号 では 東海 R 、 4 号 ではサ デ
-36-
ハ イポ ニ カ)
第 1麦 収 穫果実 の重量及 び外観 の評価 (3号
呆実 重貴
(kg) 密 度
揃い
9じ
1.46
東海 R
S
さV 外
U 太
盛り
T
ワ 0
品種 ( アー ル ス)
2.0
2.8
観
`
2.4
(100.0)
サ ン ァ
ー
1.42
3.2
28
2.4
3.4
3.4
3.0
3.7
3.4
( 97.3)
セイ ヌ
1.62
3.0
(111.0)
1.61
ナイ ト
3.1
3.4
(110.0)
注 ) S ∼ V i ネ ッ トの 状 況 を密 5 ∼ 粗 1 、 良 5 ∼ 不 良 1 、 太 5 ∼ 細 1 と 5
段 階 で 表 示 した。
W i S ∼ V の 総 合 評価 を示す 。
第 2表 収 穫果実 の品質 (3号 ハ イポ ニ カ)
X
果
Y
Z
品種 ( ア ール ス )
Bttx
東海 R
サ ンデ ー
12.2
3 . 8
4 . 0
3 . 0
2 . 4
13.4
3 , 8
3 , 0
3 . 0
2 . 4
セイ ヌ
13.4
4 . 0
2 . 5
2 . 3
2 . 4
ナイ ト
14.2
4 . 1
2 . 5
2 . 3
2 . 4
果 肉厚 ( c m ) 熟 度
肉色
香気
注) X ∼ Z : 食 味 テ ス トで熟度 は硬 5 ∼ 軟 1 、 果 肉色 は黄 5 ∼ 向 1 、
香気 は良 5 ∼ 不良 1 と 5 段 階 で表示 した。
察
考
し
温室 メ ロンは 、果実 の外観 は もと よ り方香、甘味、舌 ざわ り等 の風味 が最 も重要 で あ る。 しか 、
の
養液栽培 においては、栽培環境 が植物体 の生育 に とって好条件下 に あ る。す なわ ち、そ 恵 まれた環
境条件 下では養水分 を過乗J に吸収 し、枝実 の生育が旺盛 とな る反面 、果実 の肥 大や糖
の集積 の 不足 に
つ なが る危 険 を持 って い る。
ー
ー
ニ
の
ハ
を
今 回、 E C お よび p H 濃 度 を同 じくした イポ カ装置 とシ トカルチ ャ 装置 での生 育 比較
ー
ー
した生育調
試 みた が 、 シ トカルチ ャ 区 では定植直後 か ら生育 が極端 に劣 った。そ のために 、平行
シー ト
査 を断念 し、 ハ イポ ニ カ装置 の濃度 の相違 について だけ継続 調査を行 った。調査前 の予想 では
ハ
カルチ ャー装 置 は根 が空気 中 に さらされ る部分 が多 く、養液 中 にその大半 の根 が沈 んだ 状態 の イポ
ニ カに 比較 して根 の活性 がR L 盛とな リメ ロンの生育 も良好 とな る も の と推 測 して い た。し か しな が
シー
ら、期待 に反 してその生育は極 めて 悪 か った。 この こ とは、養液槽 の容量 が 小 さ く、 また、薄槽
ト部分 に流す養液 が少量 で あ ったた め 、液温 の上 昇 が促進 され、そ の結果 として根 の活性 が 阻害 され
た もの と考 え られ る。
よびE Cl.OmS/cmに
設定 した。育古床からE CO.5mS/cmお
育苗期間中、育高床のECを 0.5mS/cmに
での生育障害が懸念 されたが、 この区での根 の活性は
調整 した装置に定植を行った。E Cl.OmS/cm区
後 に保持 し
旺盛 とな り以後の生育も良好 となった。以後収穫時までの濃度差を絶えずE CO.5mS/cm前
た。その結果、高濃度区において生育速度や果実の肥大等が他の処理区に比較 して優れた。 したがっ
て、今後、 さらに濃度を高 くした場合の栽培試験を行ってみる必要があろう。
-38-
メ ロン果実 の 品質 に 関 わ る項 目は多岐 にわた るが 、外観的にはネ ッ トの粗密や盛 り上 り等、内部的
には肉質 や糖令 社等 が 考え られ る。 同 じ条件 卜の栽培 に も関わ らず果 実 中 の糖含量 において若子 の差
を生 じた。 この こ とは品種 特性 お よび栽培期間 の差 に よる影響が大 きい と考 え られ る。 特 に、外観 に
おけ るネ ッ トの盛 り上 りとバ ランスではセ イ ヌ とナイ トの 両品種 が優れ た。 また、品 質評価 の 中心 で
あ る糠合 望: はナイ トが最 も高 く、今回 の調査 においてナ イ トが養液栽培 におけ る有望 な品種 の一 つ と
考 え られ た 。
高級 央笑志 向か ら大 衆消費を 目指 した メ ロン栽培 は、そ の省資源 と省力化 を重 要祝 した とき、養液
に よる栽培 の メ リッ トは無限 の 可能性 を秘 めている と考 え られ る。 今後 は温室 メ ロ ンの特徴 で ある果
央 の外観 のすば ら しさをは じめ、果 肉 の糖合 曇の増加 や風 味、食味 の 向上 につ なが る栽培技術 を体得
す べ き1 1 々研鑽 を積 む必要があろ う。 ちなみに、1 9 9 3 年4 月 定植 メ ロンにつ いて は 前年 の経験 をふ ま
えて養液濃度 を高 く保 った り、生育 ス テ ー ジにお け るE C の 微調整 と糖集積時 の間欠水切 り等 の管理
をお こな った。 これ らの努力 の結果、果実 の肥大 お よび糖 の集積 も飛躍的 に 向 1 1 し、市場 での評価 も
素晴 ら し く、最高 の誉 けである秀 の ラ ンクを得、今後 の栽培上 の 励 み とな った。 今後 は 従 来 型 の上
耕、金細 ベ ッ ト栽培 と競 い なが ら、 高辞, 質メ ロンの安定供給 がで きるように励 んでい きたい。
摘
要
ハ イポ ニ カ とシ ー トカルチ ャー (NFT)の 2種 類 の水耕装
置を用 いて、 4品 種 の メ ロ ン (C″c例物本
ー
ー
物況οIフ
)の ■1育調査を行 った。 シ トカルチ ャ 装 置 では定植直後か ら生 育 が極端 に 劣 った。 これ は
養液柑 の容量 が 小 さ く、薄房 シ ー トに流れ る液量 が少 な く、液温が_上
昇 して根 の活性 を弱めたため と
思われる。 ハイポ ニ カ装置ではEC濃 度 が0.5mS/cm(4号装置)に 比べ て1.OmS/cm(3号装置)で 卓
丈、央実 の生育が優れ た。最 も生育 の良か った ハイポニカ 3号 で収穫果実 の品質を比較す ると、東海
R、 サ ンデ ー よ りもセイ ヌ、ナイ トが果実重、外観 の評価 が良か った。糖含量はナイ トが最 も高か っ
た。従 って、 ナイ トは養液栽特 における有望な品種 の一 つ と考えられる。
参考 文 献
( 1 ) 秋 好広明 ・村上汎司 ・吉井永利 ・官口
J 一夫 ・渡部潤一郎 . 1 9 9 3 . マ サ土土壊 における施肥の時期
および量 の相違 が メロンの生育 と果実品種 に及ぼす影響 . 愛 媛大学農学部附属農場報告 1 4 : 2 1
-27.
( 2 ) 福 山痔雄 1 9 9 1 . 各 種 養液 栽培 法 に おけ る温 室 メ ロ ンの 品質差 異 に 伴 った生理 学 的比較 研 究 . 愛
媛 大学農 学 部紀 要 3 6 ( 1 ) i 8 3 - 1 8 6 .
( 3 ) 能 橋 悟 ・狩 野広 美 ・景 山 美葵 陽 . 1 9 7 8 . 温 室 メ ロ ンの 栄 養 生理 に 関す る研 究 ( 第 1 報 ) 養 液栽
特 に お け る汽i を メ ロンの 養 分 吸収 の特 性 . 園 学 雑 4 7 ( 2 ) : 2 0 3 - 2 0 8 .
・張 洪 基 j 1 9 9 3 . ロ ッ ク ウール
栽 培 にお け る特 養液 管理 に 関す る研 究 ( 第 1 報 ) 因
の
試処 方培養 液 濃度 と生 育及 び 養 分吸収 の 関 係 . 園 学雑 6 2 別 2 : 3 1 8 - 3 1 9 .
(4)糠 谷 明
Summary
By emp10ying t、
vO hydroponic culture systems, 2ガHyponica and NFT, the gro、 vth of four
melon(C″ c″″ガ
s物 2JO L)cultivars was investigated After transplanting seedlings,EC Of nutirent
solutiOns was maintained at O.5 and 10 mS/cn during the growing season Plant growth was
seriously retarded in thc NFT system lt seems that roOt activity was irllpaired by increased
-39-
sized nutrient tank and the small amount
temperature Of nutrient s01ution beCause Of the Small―
In the Hyponica systemi the plant and
Of solution streaIIling on the thin iayers Of the systell■
Fruit grOWth were greater at EC 1 0 mS/Cm(HypOnica No 3)than at 05 mS/cm(HypOniCa No
ヽ
′
aS evaluated as more
4) In the HypOniCa No 3 cuiture, the appearance Of harvested fruit ヽ
excelient in 'Seine' and 'Knight' than in 'Tokai R' and 'Stlnday' '1(night' had the highest SOluble
s01ids cOntent amOng the fOur Cultivars
Thus thiS iS One of the proFlliSing CtlltiVarS fOr
hydroponic cuiture
-40-