コンピューターが仕事を奪う 結論:人間だけが持っている

 Vol Vol 24
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コンピューターが
コンピューターが仕事を
仕事を奪う
本年4月20日に、コンピューターに組み込まれた
5種のコンピューター将棋ソフトと5人のプロ棋士が
戦う第2回電王戦の第5局が東京・渋谷の将棋会館で
指され、ソフト側が3勝1敗1引き分けで制した。
コンピューターの進歩は著しく、10年前、20年
前には想像のつかない技術革新が起こっている。今
後、小学校に通っている児童が成人に達したときにど
のような世の中になるのかを考えてしまう。
そこで、今回は有史以来、爆発的に進歩してるIT
(インフォメーションテクノロジー)技術の進展に対
し、子どもたちにどう対応し、教育すべきかを考えて
みたい。
人類が文化を持って歴史上に登場してからおよそ1
万年になります。この間人類は色々な発明をしました
が、最大の発明の一つが文字を創造し、印刷を通して
「本」を作りだした事です。 この本を作り、先人の
知的遺産を継承し、累積し創造していく課程で高度な
文明を築きあげたといって良いでしょう。
コンピューターは、この人類が発明した文字による
知識の蓄積を大規模で、正確に分類することを可能に
する技術であり、人間の想像を絶する規模に発展した
技術と言っていいのではないでしょうか。
このとんでもない技術の発達が、これまで人間でし
か出来なかった仕事をも徐々に代替えしています。
例えば、ロボットに人工頭脳を組み込み、有能な職
人以上に物を正確に作りあげる技能であり、米国や英
国では小論文採点に自動採点システムが導入され、人
間が2人ひと組で採点するよりも、人間とコンピュー
ターのコンビで採点したほうが低コストで精度が高い
ことが実証され、試験官の人数が削減されていること
など、数えたらきりがありません。
このような、人類の歴史上かつてない変遷の中で、
私たちは、教育の内容を変革する必要があります。
今の義務教育は知・情・意のバランスの取れた教育
というよりも、知識の専門技術力の伝授に重点があり
ます。つまり国語でしたら、どんな漢字を知っている
か、文章読解・文章作成等の実利的側面が強く、算数・
数学の領域では、たし算、引き算、かけ算、割り算を
基礎としてどのように問題を解くかが学習指導の内容
です。 つまり、読み書きそろばんの領域の教育が中
心です。
今月はコンピューターの発展と仕事について
特集しました。 有史以来大変な技術革新の中でど
のように子どもを教育するかを解説しています。
しかしこのような領域はコンピューターが
全部やってくれる世の中に代わってきまし
た。 さらに子どもたちが成人になる10年
後にはさらに高度な人工頭脳のロボットも誕
生し、ますます人間の仕事を奪っていくと考
えられます。
では、私たちはどのような教育を薦めてい
けばよいのでしょうか。 結論から言えば、
厳しい過当競争の中で自己研鑚を間断なく実
施することが大事であります。 その前提の
上で私はこれからの教育のあり方として、三
点提案したい。
第一は想像力豊かな子に育てる事であると
思います。
コンピューターに出来ないことは人間の
持っている豊かな想像力であります。 特に
時間軸の中でのある一点を認識する能力と多
次元の中での空間認識は是非身につけたい。
第二に抽象的概念を認識する能力であり、
豊かな感性を育成することが中心になる。
第三に人間の可能性をどこまでも信じ、こ
の前提の上に不屈の闘志をもって行動する積
極性を育むことが大事ではないでしょうか。
このような教育はコンピューターの発達し
た世の中でもたくましく生ききっていけると
確信します。
結論:人間だけが持っている創造性、豊かな感受性、独創性等の能力は実は人
間の中に内在しているのであり、この宝の山を開くための教育は「励ましと慈
しみ」の心情が鍵になります。このような教育をうけたものはコンピューター
が発達した中でも、主体性を輝かせ、生きていけると確信する。
つまり人間の無限の可能性を開く「自発・能動的教育」こそ今後の教育の本
流としなければなりません。