Nov-15 侵襲性髄膜炎菌感染症と予防ワクチン 侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)とは? ☆そもそも「(侵襲性)髄膜炎菌感染症」とはどんな病気ですか? 髄 膜 炎 菌 性 感 染 症 の 病 原 体 は 、 1887 年 に 発 見 さ れ た 髄 膜 炎 菌 ( Neisseria meningitidis あ る い は meningococcus)という細菌です。この菌が鼻水やセキによる飛沫で飛び散り他の人の、のど、気管の粘膜など から体に入って、気道を介して血中に入り、さらには髄液にまで侵入することにより、敗血症や髄膜炎を起こもの です。そして菌血症や敗血症、細菌性髄膜炎などの病気を引き起こすものです。いわゆる「髄膜炎」を起こす原 因菌の一つであり、小児の場合他の原因菌としてはヒブ菌や肺炎球菌などがあります。 初発症状は、発熱、頭痛、嘔吐など、風邪の症状に似ているため、早期診断がとても難しい病気です。髄膜炎 菌性髄膜炎は、他の細菌による髄膜炎と比べて、100 倍から 1000 倍の毒素を出すため、症状が急速に進み、 治療開始の僅かな遅れが致命的な結果になることがあります。意識障害、ショック、全身性出血などのために死 亡することもあります。発症後 2 日以内に 5~10%が死亡すると言われています。いったん発症してしまったら救 命するのも困難な病気です。 ☆ どの様な人が罹り易いのですか? 髄膜炎菌は、人にしか感染しません。人の鼻やのどの粘膜が、髄膜炎菌の定着 する場所です。眼の結膜や生殖器の粘膜に定着することもあります。髄膜炎菌が 鼻やのどの粘膜に定着している人から他の人への髄膜炎菌の伝 達は、鼻やのど の粘膜からの分泌物との直接の接触、あるいは咳をした場所から 1 メートル以内 の距離で呼 吸器からの飛 沫を吸い込 むようなことで起こりえます。具体 的には、 キスや真近での咳、飲食の器具の共用などで起こりえます。普段、人々の約 10% 程度が自分の鼻やのどの粘膜に髄膜炎菌を定着させています(多くは、病原性の ない、分類 不 能の髄膜 炎 菌 )。その定 着の割合 は、髄膜 炎 菌 性髄 膜 炎の流 行時 には上昇します。また、髄膜炎菌が鼻やのどの粘膜に定着している率は、年齢によ って違います。ノルウェーやイギリスにおける調査では、4 歳未満では、3%未満です が、年齢とともに上昇し、15-24 歳で 24-37%と最高値となり、その後は減少し、 高齢では、10%未満となります。 右図は日本における髄膜炎菌性髄膜炎の年齢別の統計ですが、0 歳代と十 代に多いのが見て取れます。 特に十代では学校やクラブ活動などの集団生活の場での流行もあります。(2011 年に宮崎県の高校の寮で 4 名が罹患し、1例が死亡した集団発生のことは覚えているかと思います) ☆ 予防する方法はありますか? 「メナクトラ」という世界でも使用されているワクチンが日本でも 2015 年 5 月から日本でも発売になりました。適 応は 2 歳以上の方に 1 回 0.5ml を筋注いたします。(当院では予約制で 1 回 23,000 円です) 接種することが推奨される人は、 ・髄膜炎ベルト地帯(右図)を含めた流行地に渡航される方 ・米国などの留学先で髄膜炎ワクチン接種を要求される方 ・メッカへ巡礼さえる方 ・学生寮などで集団生活される方 などです 引 用:VPD、横 浜 市 衛 生 研究 所、国 立 感 染 症 研 究 所 各 ウ ェ ブ サ イ ト 、サ ノフ ィ・ア ベ ン テ ィ ス 小児科
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