米国リートの投資環境について - Goldman Sachs

2015年11月27日
米国リートの投資環境について
各セクターのファンダメンタルズ及び今後の見通し(1/3)
情報提供資料
概要
 2015年7-9月期決算は事前予想を上回る堅調な結果となりました。中でも住宅、小売や産業用施設セクターが
相対的に好調で、多くの経営陣も強気に転じ、一部セクターでは物件の新規開発への意欲を強めています。
 米国商業用不動産のファンダメンタルズは依然として強固ななか、米国リートは実物不動産価格に対し割安な
状態が続いています。利上げ後でも長期金利の上昇幅は限定的に止まる可能性が高く、リート市場への影響
は軽微と見られ、むしろ不動産ファンダメンタルズの動向がより重要になると考えられます。
米国リートの7-9月期決算および各セクターの動向
 好調裏に終わった米国リート7-9月期決算
米国リートの2015年7-9月期決算は、FFO *成長率で
前年同期比+9.4%となり、市場予想を上回る結果とな
りました。個別銘柄ベースでは、62%のリートが市場
予想を上回る一方、市場予想を下回ったリートは僅か
14%となり、長期平均を共に上回る結果となりました
(出所:シティ・リサーチ)。*FFO:当期純利益に減価償却費を
2015年7-9月期決算 (2015年初来)
予想超過
2015年7-9月期
62%
長期平均
 市場心理が改善しつつある米国リート市場
グローバル金融市場の荒れた8-9月のリスクオフ相場
が過ぎ去り、10月以降は再び個別ファンダメンタルズ
に投資家の注目が回帰しています。なかでも市場予
想を上回る堅調な決算となった米国リートは、9月末比
+6.3%と堅調に推移しており、年初来でも前年末比
+1.5%と再びプラス圏に浮上しました(11月23日時
点)。しかし、セクター別リターンをみると、かなり爬行
色の強い展開となっています。
出所:シティ・リサーチ
20%
予想未達
25%
54%
0%
加算し、不動産売買損益等の特別損益を除外
予想通り
15%
40%
14%
32%
60%
80%
100%
期間:2005年1-3月期~2015年7-9月期
米国リートと米国株式の推移
115
期間:2014年12月31日~2015年11月25日
(2014年12月31日を100として指数化)
110
105
100
95
 各セクターの動向
米国リート
90
住宅セクター
米国株式
2015年初来のベストパフォーマーです。 7-9月期の入
85
居率は96.0%とほぼフル稼働の状態が続き、同期の
2014/12
2015/3
2015/6
2015/9 (年/月)
FFO成長率も+10.7%と相対的に強い成長率を維持し 出所:ブルームバーグ、GSAM 米国リート:NAREITオール・エクイティ・リート
ています。雇用環境の改善や家族形成数の増加に加
指数、米国株式:S&P500指数(共に配当込み、米ドルベース)
え、戸建て住宅から賃貸住宅への需要シフトがその背 セクター別トータル・リターン (2014年12月31日~2015年11月25日)
景です。経営者は総じて強気で、新規物件の開発に
住宅
14%
意欲的となっており、2016年以降は供給の増加ペー
ショッピングセンター
4%
スが加速する見込みです。
小売セクター(ショッピングモール/センター)
7-9月期決算はFFO成長率+9.9%と予想以上に堅調
でした。2015年初来リターンも相対的に良好です。立
地条件の良い優良物件に対する需要は根強く、テナ
ントの入れ替えや再開発を通じて賃料の上昇が続い
ています。一部地域のモールは米ドル高による海外観
光客需要の減退から影響を受けており、総じてショッ
ピングセンターの方がファンダメンタルズは堅調です。
産業用施設
4%
米国リート
1%
オフィス
1%
ショッピングモール
1%
ヘルスケア
ホテル
-13%
-20%
-30%
-20%
-10%
0%
10%
20%
出所:ブルームバーグ 米国リート:NAREITオール・エクイティ・リート指数(配当込み)
本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金
融商品の推奨(有価証券の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報等に基づいて作成されてい
ますが、弊社がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された過去のデータは、将来の結果を示唆あるいは保証するもの
ではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、また個別銘柄の購入・売
却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があります。本資料の一部
または全部を、弊社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは(Ⅱ)再配布すること
を禁じます。© 2015Goldman Sachs. All rights reserved. <22253-OTU-113148>
1
2015年11月27日
米国リートの投資環境について
各セクターのファンダメンタルズ及び今後の見通し(2/3)
産業用施設セクター
国外の貿易量は軟調にもかかわらず、Eコマース向け
中心に物流施設に対するテナントの需要は高まってお 10%
り、予想以上に賃料が上昇しています。また機関投資
家も関心を高めており、実物施設の売買が活発化して
います。そのような環境を好感し、当セクターの2015年 5%
初来リターンは比較的堅調に推移しています。
情報提供資料
セクター別 NOI(純営業収益)成長率の推移
期間:1998年第1四半期~2015年第3四半期
オフィスセクター
0%
ほぼ市場平均並みの2015年初来リターンとなりまし
た。雇用環境が一段と改善するなか、テナント企業は
賃貸スペースの拡大意欲を強めつつあり、ファンダメン -5%
タルズは緩やかな改善基調にあります。地域別には、
エネルギー企業の集うヒューストンや政府機関の集積
するワシントンDCなどは弱含むものの、西海岸やボス -10%
1Q08 1Q09 1Q10 1Q11 1Q12
トンやNYなど東海岸は改善傾向にあります。
住宅
リージョナルモール
ショッピングモール
オフィス
産業用施設
1Q13 1Q14 1Q15
出所:シティ・インベストメント・リサーチ&アナリシス
ヘルスケアセクター
2014年のベストパフォーマーの一つでしたが、2015年
初来は大きくマイナスとなりました。相対的に賃貸契約
期間が長く、利回りも高いため、年前半に長期金利上
昇の影響を大きく受けました。加えて、高齢者施設の
供給の増加懸念が当セクターの重石となりました。
ホテルセクター
2015年初来のワーストパフォーマーとなりました。新規
供給に加え、米ドル高や新興国経済の減速に伴う観光
客需要の減退懸念が主な要因です。当セクターでは、
運営コスト削減を狙い、M&Aを通じた業界再編の機運
が高まっています。
 全米リート協会(NAREIT)年次会合
2015年11月17-19日に全米リート協会(NAREIT)主
催による年次会合(Annual Conference)がラスベガス
で開催されました。今年も多くのリート経営陣や金融関
係者が参加し、様々な意見が交わされました。今年の
話題は、2016年の展望および割安なバリュエーション
に集中していた模様です。
今後の資本政策に関して、多くの経営陣は負債削減や
自社株買いには消極的で、物件の新規取得など前向
きな投資に意欲を強めてきています。特に商業用不動
産価格が上昇を続けていることもあり、中古物件の買
収より新規物件の開発に軸足を移してきたことも印象
的です。このことは、中長期的な米国不動産ファンダメ
ンタルズについて、リート経営陣がより強気に見はじめ
た証左と言えるでしょう。
セクター別 入居率の推移
期間:1998年第1四半期~2015年第3四半期
98%
96%
94%
92%
90%
住宅
リージョナルモール
ショッピングモール
オフィス
産業用施設
88%
86%
84%
1Q08 1Q09 1Q10 1Q11 1Q12 1Q13 1Q14 1Q15
出所:シティ・インベストメント・リサーチ&アナリシス
米国リート 利益(AFFO*)成長率の予想 (2015年10月末)
オフィス
産業用施設
ショッピングモール
ショッピングセンター
住宅
ヘルスケア
リート全体
2016年
2017年
+8.8%
+9.2%
+9.6%
+8.5%
+11.2%
+3.0%
+8.1%
+9.8%
+9.2%
+7.6%
+9.3%
+9.2%
+4.9%
+7.8%
出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ
*AFFO(調整後FFO):当期純利益に不動産売買損益等特別損益を除外、減
価償却費を加算したもの(FFO)に、経常的な管理・修繕コストを加算、借入
金元本返済額を控除したもの。賃貸収益によるキャッシュフローを示す指標。
本資料は、情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、特定の金
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2015年11月27日
米国リートの投資環境について
各セクターのファンダメンタルズ及び今後の見通し(3/3)
情報提供資料
米国リートの魅力的なバリュエーションと今後の見通し
 依然として割安水準で推移する米国リート
米国の実物商業用不動産に対する需要は依然として強
く、不動産価格は持続的な上昇を続け、2015年初来で 125
7.7%上昇、金融危機前のピークを20.6%上回る水準で
す(2015年10月末時点)。一方、米国リート価格指数
100
は、金利上昇懸念や夏場のリスクオフ相場の影響等で
上値が抑えられ、2015年初来リターンはほぼフラット、
75
金融危機前のピークにも未だ達していない水準です。
米国 商業用不動産価格とリート価格指数の推移
期間:1997年1月~2015年10月
800
米国商業用不動産価格指数(左軸)
米国リート価格指数(右軸)
700
600
500
400
その結果、リートの保有する不動産価値とリートの時価
300
50
総額を比較するバリュエーション指標(NAVプレミアム/
ディスカウント)は、足元で-7%と長期平均の+4%を大き
200
く下回っています(2015年10月末時点)。米国リートが割
25
100
安な状態が続いています。
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 (年)
出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ、ブルームバーグ
 利上げの影響は限定的と予想
12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利引
米国リート NAVプレミアム/ディスカウントの推移
き上げの見通しが強まっています。しかし、リート市場へ
期間:2001年1月~2015年10月
の影響は限定的に止まる可能性が高いと当社では見て 40%
います。その理由は、依然として米国のインフレ上昇圧
20%
長期平均:+4%
力が弱いなか、長期金利の上昇幅は限定的と見られる
ためです。実際に、債券先物市場が織り込む10年国債 0%
利回りの上昇幅は3ヶ月後で僅か0.07%、12ヶ月後でも
0.24%に過ぎません。
-20%
-7%
リート市場に与える影響は短期金利より長期金利の方
-40%
が大きいことを考慮すると、利上げに伴うリート市場への
影響は限定的と予想されます。即ち、米国不動産ファン -60%
ダメンタルズの動向の方が、今後はより重要になると考
2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 (年)
えられます。
出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ
先物市場が織り込むイールドカーブの形状変化
先物市場が織り込む今後の長短金利の変化幅
3.0%
1.5%
3ヶ月後
12ヶ月後
2.5%
2.0%
1.0%
0.89%
1.5%
スポット
3ヶ月フォワード
6ヶ月フォワード
12ヶ月フォワード
1.0%
0.5%
0.5%
0.40%
0.24%
0.07%
0.0%
0.0%
0
2
4
6
出所:ブルームバーグ 2015年11月25日時点
8
10 (年)
3ヶ月金利
10年金利
出所:ブルームバーグ 2015年11月25日時点
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