M ’s ダイアリー ○ E A 文:もとき内科クリニック Vol.3 院長 大江 元樹 今年はインフルエンザワクチンが変わります! Q.インフルエンザは何種類あるでしょう? インフルエンザウイルスは A 型、B 型、C 型の 3 種類があります。C 型は臨床的には問題にな らないので、A 型と B 型の 2 種類が毎年流行します。A 型は図のようなウイルス粒子表面の 2 種 類の突起のヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)の種類の組み合わせにより、H1N1 型のソ連 型と H3N2 型の香港型が今まで毎年流行していましたが、2009 年に新型インフルエンザが流行し て以降、従来型のソ連型は消失し、2009 年に流行したウイルス(H1N1pdm09)がかわりに流行して います。 Q.今年のインフルエンザワクチンは? 今年のインフルエンザワクチンは変わります!昨年までのワクチンは A 型の H3N2 と H1N1pdm 09 の 2 種類と B 型 1 種類の合計 3 種類のウイルスに対するワクチン(3価ワクチン) でしたが、今年は B 型が 1 種類から 2 種類に増え、合計 4 種類のウイルスに対するワクチン(4 価ワクチン)に変更になります。そのため、例年よりワクチンの値段が上がります。 Q.インフルエンザワクチンの効果はあるの? 以前インフルエンザワクチンの効果はないという風評がでまわり、本邦ではワクチンの接種率が 激減しましたが、ワクチンの効果は世界的に数多くの研究にて証明されています。世界保健機構 (WHO)が発表しているインフルエンザワクチンの効果は、 ・65 歳未満の成人 -発症予防 79-90% ・65 歳以上の高齢者 -インフルエンザ・肺炎による入院 -インフルエンザ関連の死亡 80% ・6 か月以上の小児 -2 回接種後の発症予防 82% 30-70% とされています。大切なのはワクチンを打つ目的はあくまで重症化予防であり、発症予防ではない ということです。ワクチンを打ってもインフルエンザにかかる可能性はありますが、重症にはなり にくいということです。基礎疾患のない若者はインフルエンザにかかっても重症になることはまず ありませんが、65 歳以上の方は注意が必要です。糖尿病や、癌、心疾患、COPD などの病気を持 っていることが多く、このような方がインフルエンザにかかると重くなり命に係わる可能性があり ます。そのため、65 歳以上の方は定期接種の対象となっています。 Q.肺炎球菌ワクチンも打つ必要がありますか? 高齢者がインフルエンザにかかると肺炎を合併する可能性が高まります。この肺炎が命取りにな ることがしばしばあります。肺炎球菌ワクチン未接種の高齢者は、インフルエンザが流行する前に インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを打っておくと肺炎の予防効果が高いという結果が でています。今年から肺炎球菌ワクチンも国の助成対象となっていますので、今年助成対象の年齢 の方はおすすめです。 インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチン併用接種による年齢別死亡
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