Johann Strauss Operetta Die Fledermaus

Johann Strauss Operetta Die Fledermaus
ヨハン・シュトラウス オペレッタ
こ う も り
∼あらすじ∼
ヨハン・シュトラウス
JOHANN STRAUSSⅡ(1825.10.25.∼1899.6.3.ウィーン)
オーストリアの作曲家でヴァイオリニスト。ヨハン・シュトラウスの長男で「ワルツ王」と呼ばれる。幼少期には父の反対で音楽教育を受けられず、
工業専門学校で教育を受けた。16歳の時に不行跡のために退学させられ、今度は銀行家になるよう教育された。しかし、母の理解のもと秘か
にバイオリンを習い、両親の別居後はドレクスラーに作曲を学んだ。1844年に市当局の許可を受け、15人編成の楽団を結成。その初めての
舞踏会は父からの圧力で妨害があったものの、満員となり自作の舞曲も演奏された。その後、市民からの支持を受け、父の楽団と競合するよ
うになり、ついには演奏旅行をするまでになった。1846年には表面的に父と和解をするものの、父の楽団に参加するのを拒み、独自の楽団を
率いた。1848年の革命では共和派に加わり、行進曲を作曲したことから、宮廷社会に入り込むことが遅れたと言われている。父の死後、父の
楽団を指揮するようになるが多忙により倒れたため弟のヨーゼフも楽界入りする。1862年には歌手として活躍していたトレフツと結婚、翌年に
は演奏旅行に出かけ、演奏会用の舞曲を作曲しはじめる。そして1865年から70年には、舞曲作曲の頂点に達し、ワルツの名作が次々と作曲
される。1870年には、母、弟との死別を体験するが、オッフェンバックやスッペから刺激を受け、ウィーンのためにオペレッタの作曲に着手し、
新たな開拓をはじめオペレッタの世界をも征服してしまった。洗練された豊かな感性から生出される舞曲や、異国情緒あふれるリズム、旋律と
叙情性において、ウィーン・オペレッタの新生面を切り開いた、偉大なる作曲家として今もなお愛し続けられている。 [主要作品]
『インディゴと40人の海賊』(初演1871年ウィーン)
『ローマの謝肉祭』(初演1873年ウィーン)
『こうもり』(初演1874年ウィーン)
『ヴェネツィアの一夜』(初演1881年ウィーン)
『ジプシー男爵』(初演1885年ウィーン)
原作:ロデリヒ・ベンディックスの喜劇『牢獄』(1851年)に基づいて、
アンリ・メイヤックとリュドヴィック・アレヴィが書いた喜劇『夜食』(1872年)
台本:カール・ハフナーとリヒャルト・ジュネがメイヤックとアレヴィの原作を手直しした。
作曲時期:1874年
初演:1874年4月5日アン・デア・ウィーン劇場
数あるウィンナ・オペレッタの中でも最高峰とされる作品で、「オペレッタの王様」とも
よばれる。ヨハン・シュトラウス2世特有の優雅で軽快なウィンナ・ワルツの旋律が全編
を彩り、その親しみやすいメロディーは全世界で愛されている。なお、物語が大晦日
登場人物: の晩の出来事を題材にしていることから、ウィーンをはじめドイツ語圏の国々の歌劇
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン男爵;金持ちの銀行家 場では大晦日恒例の出し物となっている。
ロザリンデ;アイゼンシュタインの妻 フランク;刑務所長 オルロフスキー公爵;ロシアの貴族で遊び人 作品構成:
アルフレード;声楽教師でロザリンデの昔の恋人 序曲
ファルケ博士;アイゼンシュタインの友人 第1幕 アイゼンシュタイン邸
アデーレ;ロザリンデの小間使い 第2幕 オルロフスキー公爵邸
イーダ;アデーレの姉 第3幕 刑務所
ブリント博士;アイゼンシュタインの弁護士 フロッシュ;刑務所の看守 第 1 幕
第1幕
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタインの妻ロザリンデは困ったことに直面していた。一つは役人を殴ってしまったことで5日間
の禁固刑を申し渡されてしまった夫。夫は刑の取り消しを要求したが、ブリント弁護士の下手な弁護でかえって刑期が延びでしまい、
8日間の禁固刑にされてしまう。それだけでも災難だが、家の前ではかつての恋人アルフレードが、毎日のようにセレナーデを歌っ
てロザリンデに思いを寄せている。しかも今夜ロザリンデの夫が刑務所に入るので、その留守にロザリンデと逢引しようと企んでい
る。ロザリンデの方もまんざらでもないのだが、なにぶん世間体が気になるのでどうすることもできない。そこへ夫の友人ファルケ
博士がやってくる。博士はアイゼンシュタインに、「舞踏会が今夜、オルロフスキー公爵邸で開かれる、そこで楽しんでから刑務所
に入ればいい」と勧める。しかし「妻はどうする」と言ってためらうアイゼンシュタイン。博士は「奥さんなんて黙っておけばいく
らでもごまかせる」といってそそのかす。すっかりその気になったアイゼンシュタインは、舞踏会に行くことを承知する。博士が去
ると、アイゼンシュタインは妻に「礼服を出して」と言う。「どうも夫は自分だけ楽しみにいくようだ」と察知した妻は、それなら
自分も……と決心し、小間使いのアデーレに今夜は暇を出す。アデーレはおばさんの具合が良くないので今夜暇が欲しいと言ってい
たが、実は姉から手紙で誘われて、オルロフスキー邸の舞踏会に行くつもりだった。喜んで去っていくアデーレと夫を見送ったロザ
リンデ。そこへアルフレードが現れる。久々の浮気にロザリンデもまんざらではなく、2人は一杯飲みだす。ところが、あろうこと
かそこへ夫を連行しに来た刑務所長フランクが現れる。夫がいないのに男を家に引き入れたことが知られるととんでもないことにな
る、と思ったロザリンデは、とっさにアルフレードを夫に仕立てる。後でどうにかするからというロザリンデに、アルフレードもア
イゼンシュタインに化けることを承知して、身代わりに刑務所に連れて行かれる。
第 2 幕
オルロフスキー邸では華やかに舞踏会が行われていた。この家の主オルロフスキー公爵は、ファルケ博士に「何か面白いことは無
いか、退屈だ」と言う。ファルケは、「今夜は こうもりの復讐 という楽しい余興がある」と告げる。やがて、女優オルガと名
乗ってロザリンデのドレスを着込んだアデーレや、フランス人の侯爵ルナールを名乗るアイゼンシュタインが現れる。アイゼンシュ
タインは、女優オルガにむかって「家の小間使いにそっくり」と言うが、彼女の方は「こんなに美しく優雅な女が小間使いなわけ
がないじゃない」とアイゼンシュタインをさんざんからかう。そこへ刑務所長フランクもシュヴァリエ・シャグランの偽名でやって
くる。めちゃくちゃなフランス語で挨拶するフランクとアイゼンシュタイン。そして仮面をかぶってハンガリーの伯爵夫人に変装し
たロザリンデが現れる。ロザリンデは、夫が刑務所に行かずに遊んでいる上に、アデーレが自分のドレスを着ていることに腹をた
て、夫をとっちめることを決意する。一方、アイゼンシュタインもこの伯爵夫人に目をつけ、自慢の懐中時計を取り出して、妻とは
まったく気が付かず口説きだす。この懐中時計を浮気の証拠にしようと考えたロザリンデは、言葉巧みにこれを取り上げる。そこ
へ人々がやってきて、仮面の女性の正体を知りたがるが、彼女はハンガリーの民族舞踊チャールダーシュを歌って「私はハンガ
リー人よ」と言う。さらに人々はファルケ博士に「 こうもりの話 をしてくれ」と言う。3年前ファルケとアイゼンシュタインが仮
面舞踏会に出かけた帰りに、アイゼンシュタインが酔いつぶれたファルケを森に置いて来てしまったときの話だった。そのため翌
日、ファルケは日も高くなった中、仮面舞踏会のこうもりの扮装のまま帰宅する破目になり、それを見た近所の子どもから「こう
もり博士」という変なあだ名をつけられたのだった。こうして話の種は尽きないが、オルロフスキー公爵の合図で晩餐が始まる。
夜も更けると舞踏会を締めくくるワルツが始まり、みんなが華やかに歌い踊る。やがて午前6時の鐘が鳴り、アイゼンシュタインは
あわてて「出頭する時間だ」といって去っていく。フランクも刑務所に帰らなきゃとばかりに2人して会場を後にする。同じところ
に行くとは全く思わず。
第 3 幕
刑務所の中ではアルフレードが相変わらずロザリンデへの愛を歌っている。酔っ払った看守のフロッシュがくだを巻いていると、そ
こへ同じく酔っ払ってご機嫌なフランクが戻る。酔っ払い同士が掛け合い漫才をしていると、アデーレがやってきて「自分は小間使い
だけれど女優になりたい、パトロンになって」と頼み込む。しかし、人が来るのでフランクはアデーレを留置場の空き部屋に入れる。
やってきたのはアイゼンシュタインだったが、既に牢には別人が入っているので驚く。そこで、アイゼンシュタインは様子をうかがう
ために、ブリント弁護士から服を借りて弁護士に変装する。刑務所を訪れたロザリンデは昨日の経緯を弁護士に話すが、怒ったアイ
ゼンシュタインは正体を現し、妻をなじる。ところが妻はあの時計を取り出し、逆に夫をぎゃふんと言わせる。そこにファルケ博士
とオルロフスキー公爵が現われて言う。「昨日舞踏会に誘ったのは、すべて私が仕組んだこと。3年前の こうもりの復讐 です」と。
では浮気も芝居なのか、と安心するアイゼンシュタイン。アルフレードは「ちょっと実際とは違うけどまあいいか」とつぶやく。ア
デーレはオルロフスキーがパトロンとなって女優になることになり、最後はロザリンデの歌う「シャンパンの歌」で幕となる。