相変化を伴う解析事例の紹介 VOF+沸騰モデルによる焼入れ解析 出光興産(株) 生産技術センター 坂倉 圭 背景・目的 焼入れ冷却とは、高温に加熱した金属を急激に冷却して硬化させるプロセスです。 冷却媒体としては、水や油が使われます。 高温金属の表面では高温に触れた液体が激しく沸騰します。 この蒸気発生が著しい場合は、高温金属表面が熱伝達率の小さい蒸気膜で覆われる 膜沸騰状態となり、冷却が妨げられるために硬化が不十分となります。 また、この効果が金属表面上で偏って発生すると強度にムラが生じます。 このムラの発生では、金属表面における以下の3つの量が互いに影響しあうため、これら を一体的に解くシミュレーションが求められています。 (1)温度分布 (2)蒸気発生量分布 (3)気相/液相それぞれの流速分布 背景・目的 形状寸法 境界条件 解析条件 • ソルバー – STAR-CCM+ Ver.9.06 – 2次元軸対称モデル – 倍精度・分離型 – 非定常: • 時間刻み: Δt = 1.0e-6 [s] • 計算時間: t = 1.00 [s] 解析条件 気相: 水蒸気 密度 [kg/m3] 液相: 水 固相: 銀 理想気体モデル 997.5 10490.0 1.26E-5 8.88E-4 - - 0.06 - 100 100 - 生成熱 [J/kg] -1.34E7 -1.58E7 - 比熱 [J/kg-K] 1938.19 4181.72 234.0 0.025 0.62 418.0 粘度 [Pa-s] 表面張力 [N/m] 沸騰温度 [℃] 熱伝導率 [W/m-K] 解析条件 格子条件 初期条件 解析結果 【VOFコンター図】 動画 解析結果【温度コンター図&温度プロット図】 解析結果 【温度プロット図】 温度@中心 温度@表面 問題点 VOF+沸騰モデルによる焼入れ解析2: 解析条件 解析条件 格子条件 初期条件&計算条件 解析結果1 【VOFコンター図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 1 OFF 0.0 動画 解析結果1【温度コンター図&温度プロット図】 動画 ケース# 解像するオプション HTCxArea 1 OFF 0.0 温度プロット1 温度プロット2 温度プロット1 温度プロット2 解析結果1【温度プロット図】 温度@中心 ケース# 解像するオプション HTCxArea 1 OFF 0.0 温度@表面 解析結果2 【VOFコンター図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 2 ON 0.0 動画 解析結果2【温度コンター図&温度プロット図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 2 ON 0.0 温度プロット1 温度プロット2 温度プロット1 温度プロット2 解析結果2【温度プロット図】 温度@中心 ケース# 解像するオプション HTCxArea 2 ON 0.0 温度@表面 解析結果3 【VOFコンター図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 3 ON 50,000.0 動画 解析結果3【温度コンター図&温度プロット図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 3 ON 50,000.0 温度プロット1 温度プロット2 温度プロット1 温度プロット2 解析結果3【温度プロット図】 温度@中心 ケース# 解像するオプション HTCxArea 3 ON 50,000.0 28 温度@表面 解析結果比較 【VOFコンター図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 2 ON 0.0 解析結果比較 【VOFコンター図】 ケース# 解像するオプション HTCxArea 3 ON 50000.0 3次元解析 r25 40 15 r5 15 Solid • 固体領域 30 Fluid • 流体領域 31 初期条件 Fluid: • 初期条件 ・ 温度: T = 50 [℃] ・ 液相体積分率: α = 1.0 Solid • 初期条件 ・ 温度: T = 800 [℃] 解析結果4 【VOF等値面LES】 動画 解析結果4【温度コンター図&温度プロット図】 動画 温度プロット2 温度プロット1 温度プロット1 温度プロット2 まとめ ・遷移沸騰モデル、気液界面解像オプション選択による計算 は安定化した ・実現象に見られる液膜形成とその破砕は再現できていない ・金属温度低下の傾向は一致しており、焼入れ解析の温度 分布の定性的予測には活用できる
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