日本バプテスト連盟諸教会・伝道所 御中 「テロの犠牲者を悼み、祈りと思慮深い対応を求める理事会声明」 「だから、思慮深くふるまい、身を慎んで、よく祈りなさい。何よりもまず心を込 め て 愛 し 合 い な さ い 。愛 は 多 く の 罪 を 覆 う か ら で す 。不 平 を 言 わ ず に も て な し 合 い な さ い 。」( 一 ペ ト ロ 4 章 7- 9 節 ) 今月 14 日早朝(日本時間) 、パリで同時多発テロが起き 130 人以上が死亡、多くの負傷者を出 しました。また、その前日にはレバノンの首都ベイルートで 2 件の自爆テロが相次ぎ、43 人が死 亡、239 人以上が負傷しています。いずれも事件直後に過 激 派 組 織 IS( Islamic State)が 犯 行 声 明 を 出 し 、パ リ の 事 件 後 に は 更 な る 犯 行 予 告 を 発 信 し て い ま す 。これらの出来事に 世界中が衝撃をおぼえ、また遠く離れた日本に住むわたしたちも決して他人事ではない危機感、 日本国内でも起こり得るテロへの恐れの中にあります。 わたしたちはこの事態の中で先ず、突然の悲劇に襲われ生命を奪われた犠牲者とその家族、そ して今も日常生活を脅かされている人々のために主の慰めと護りを祈りましょう。いかなる理由 があろうとも決して許されない暴力行為に対して憤りを覚えるとともに、それを生み出す人間の 罪性を主に告白し悔い改めの祈りをささげましょう。 こ の 事 態 を 受 け 、フ ラ ン ス 政 府 は 即 座 に 報 復 攻 撃 を 実 施 し 、更 に こ れ を「 戦 争 状 態 」 だ と 位 置 づ け 、憲 法 改 正 や 大 統 領 の 権 限 強 化 、更 に は 移 民 政 策 の 見 直 し な ど 一 気 に 右 傾 化 さ せ て い ま す 。ま さ に 2001 年 9.11 同 時 多 発 テ ロ 以 降 の ア メ リ カ の 状 況 が 圧 縮 し て 再 現 さ れ て い ま す 。先 に 安 全 保 障 関 連 法( 戦 争 法 )を 成 立 さ せ 、ア メ リ カ と の 軍 事 活 動 の 一 体 化 を 可 能 に し た 日 本 政 府 は 、こ の 度 の フ ラ ン ス 政 府 や 議 会 の 対 応 に 倣 っ て テ ロ と の 闘 い に 歩 調 を 合 わ せ て い く こ と が 予 想 さ れ ま す 。フ ラ ン ス が 即 座 に 国 境 線 の 管 理 強 化 を 行 っ た よ う に 、 日 本 へ の 入 国 者 の 管 理 、「 危 険 分 子 」 の 排 除 を 強 め て い く で し ょ う 。人 権 感 覚 や 移 民 政 策 の 先 進 国 で あ っ た フ ラ ン ス に お い て 起 き た 事 件 を 反 面 教 師 と し 、移 民・難 民 の 受 け 入 れ 間 口 を ま す ま す 狭 く し 、管 理 と 排 除 の 論 理 で 外 国 人 政 策 を 図 っ て い く で し ょ う 。そ う し て 世 界 規 模 で 積 極 的 に 取 り 組 ま ね ば な ら な い 難 民 支援対策が著しく後退することを憂慮します。 そ の よ う な 事 態 が 予 想 さ れ る 中 、連 盟 理 事 会 は 諸 教 会・伝 道 所 の 皆 さ ま に 、テ ロ の 惨 事 を 憂 い つ つ も 、冷 静 に 事 柄 を 見 つ め 、暴 力 の 連 鎖 を 決 し て 引 き 起 こ さ な い 対 応 の ために、次のように熟慮し祈ることを呼び掛けます。 ―更なるテロ攻撃で犠牲者が生じないように ―報復に報復が重なり世界戦争の勃発を招かないように ―命の危機を逃れて国境を越えてくる人々を受け入れる間口が閉ざされないように ―対テロ政策で日本政府が米国を中心とする軍事活動に同調しないように ―日本政府が日本国内で生きる人々の権利を侵害したり制限したりしないように 特にイスラム教信仰を背景とする人々に対する差別や弾圧が起こらないように ―対立を生み出す根を見つめ、その解決と克服のため国際社会が努力できるように 2015 年 11 月 19 日 日本バプテスト連盟理事会
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