2015年12月7日 投資情報室 米国経済・株式市場情報 過去の金利上昇局面における米国の高配当資産の動向 米国株式は2000年以降の各金利上昇局面で好調に推移 米国の高配当3資産(高配当株、MLP、REIT)のパフォーマンスも2000年以降の金利上昇局面において堅調に推移 米国の高配当3資産は主要先進国の金利水準等と比較して相対的に高い配当利回りを維持し、資金流入が期待される 米国の退職者層のインカム需要の高まりが、米国の高配当3資産を下支えすることを期待 米国市場は金利上昇局面へ 米国市場では、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ が予想されており、今後は金利上昇局面に入るものと予 想されています。10月27-28日開催の米連邦公開市場 委員会(FOMC)の声明文で、年内の利上げ開始が示唆 されたことや、米雇用情勢の回復基調が強まっていること 等を背景に、次回のFOMC(12月15-16日開催)におけ る市場の利上げ観測が高まっています。 今後のFRBによる利上げが予想される中、金利上昇が 及ぼす米国株式市場への影響も注目されていますので、 ここで過去の金利上昇局面における米国株式と米国高 配当資産のパフォーマンスを振り返ってみることにします。 過去の金利上昇局面において、米国株式のパ フォーマンスは総じて良好 2000年以降、米10年国債利回りが1%以上上昇した 期間において、米国株式はいずれの期間においても良好 なパフォーマンスを達成しました(図1)。一般的に、利上 げに伴い借入金利が上がると利払い費用が増えるため、 金利上昇は株価にマイナスに働くと言われていますが、 米国株式は長期金利上昇時においても好調に推移して います。 図1:金利上昇局面における米国株式のリターン 〈金利上昇局面〉 米10年国債利回りの 上昇幅 〈米国株式の騰落率〉 2001年10月末-2002年3月末 2001年10月-2002年3月 8.9% 1.2% (5ヵ月) 2002年9月末-2006年6月末 2002年9月-2006年6月 66.7% 1.5% (3年9ヵ月) 2008年12月末-2009年12月末 2008年12月-2009年12月 26.5% 1.6% (1年) 2010年8月末-2011年3月末 2010年8月-2011年3月 1.0% (7ヵ月) 27.8% 2012年7月末-2013年12月末 2012年7月-2013年12月 38.3% 1.6% (1年5ヵ月) 0% 20% 30% 26.5% 80% 左側:金利上昇局面における平均リタ-ン 右側:長期平均のリタ-ン 22.8% 20.5% 米国の高配当3資産(高配当株、MLP、REIT)の パフォーマンスも堅調 過去の金利上昇局面では、好景気を背景に金利が 上昇し、企業業績が景気回復と共に改善したことから、 株価が上昇したものと考えられます。 60% 図2:金利上昇局面における 各資産のリターン(過去15年間、年率) 18.5% 20% さらに、米国の高配当株、MLP、REITのリターンを、過去 15年間の長期平均リターンと同期間の中で長期金利が 上昇した期間における平均リターンと比較してみると、 むしろ金利上昇局面における平均リターンの方が長期平 均リターンよりも高かったことがわかります(図2)。 40% (出所)ブルームバーグ、金利上昇局面は米10年国債の利回りが上昇 した期間。米国株式:S&P500指数(配当込み) 13.5% 11.6% 10% 9.6% 7.9% 4.6% 0% 高配当株 MLP 米国 REIT 6.1% 米国ハイイ-ルド 米国投資適格 社債 社債 (出所)ブルームバーグ、(注)金利上昇局面における平均リターン:2000年11月末~2015年 11月末の内の金利上昇局面における各資産のリターンを年率換算。長期平均のリタ-ン: 2000年11月末~2015年11月末の各資産のリターンを年率換算。金利上昇局面は米10年 国債の利回りが上昇した期間。高配当株:S&P高配当貴族指数、MLP:アレリアンMLP指数、 米国REIT:FTSE/NAREITオール・エクイティREIT指数、米国ハイイールド社債:バークレイズ 米国ハイイールド社債指数、米国投資適格社債:バークレイズ米国投資適格社債指数 ※各指数は配当込み。高配当株は1999年12月末~2015年11月末(指数取得可能期間) ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイア セットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼で きると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料の グラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手 数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環 境の変動等を保証するものではありません。 1/2 〈審査確認番号H27-TB142) 米国経済・株式市場情報 金融緩和を背景に、主要先進国の長期金利は 低下基調で推移 図3:米国、ユーロ圏、日本の10年国債利回り推移 6 欧州中央銀行(ECB)による量的緩和を背景に、ユー 5 ロ圏の10年国債利回りは1%未満の歴史的に低い水準 4 (%) 米国 ユーロ圏 日本 で推移しています。また、日本の10年国債利回りも、追 3 加緩和により過去最低水準で推移しています(図3)。 世界的な景気減速懸念と原油安などにより、世界の 2 多くの国で緩和的な政策が行われるとみられており、特 1 に既に量的緩和を実施しているユーロ圏と日本の長期 0 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 金利は今後も低位で推移するものと思われます。 (年) (出所)ブルームバーグ、2001年1月末~2015年11月末 米国の高配当3資産(高配当株、MLP、REIT)の相 対的に高い配当利回りに注目 9 米国の高配当株は、米国景気の回復に伴い企業業績 7 ては、原油安で市場価格が下落したものの、米国エネル 5 キャッシュフローに支えられ、増配基調が続くことが期待 0 と比較して相対的に高いことから(図4)、主要先進国で 高配当株 今後、米国では、高齢化が進む中で、インカムに着目した 22 投資需要がさらに高まっていくことが考えられます。米国 20 新興国 国債 米国投資 適格社債 米国10年 国債 ユーロ圏 10年国債 日本10年 国債 (%) 米国ベビーブーマー世代が 65歳に達する期間 (2011年~2029年) 18 2011年 約4,200万人 13.3% 14 12 以上の人口の増加に伴い、定期的なインカムニーズが高 10 1980 2029年 約7,200万人 20.4% +3 , 000万人 16 な水準とは言えないかもしれません。今後、米国の65歳 期待されます。 米国 REIT 図5:(ご参考)米国における65歳以上の人口割合 24 まり、米国高配当3資産への注目度が高まっていくことが MLP 0.3 (出所)ブルームバーグ、2015年11月末現在。高配当株:S&P高配当貴族指数、 MLP:アレリアンMLP指数、米国REIT:FTSE/NAREITオール・エクイティREIT指数、 新興国国債:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド、米国投資適格 社債:バークレイズ米国投資適格社債指数 (ご参考)米国の高齢化の進展は、米国高配当 3資産(高配当株、MLP、REIT)にとって追い風 退職者層にとって必要なインカム収入を満たすのに十分 0.5 1 米国の高配当株、MLP、REITの配当利回りは他の資産 足元の米国10年国債利回りは、2%前後となっており、 2.2 2 ね良好な状態となっています。 万人へ大幅に増加することが予測されます(図5)。 3.5 2.9 3 持続的に上昇しており、米国REITのバランスシートは概 の65歳以上の人口は、2011年の4,200万人から7,200 4.0 4 されます。さらに、REITにおいても、金融危機後、賃料が まることが考えられます。 6.1 6 ギー生産の増加基調に変化はなく、今後も安定的な 度が相対的に高まっており、今後投資家からの注目が集 8.3 8 が改善し、今後も増配が期待されます。また、MLPにおい 金利が低下傾向で推移する中、投資対象としての魅力 図4:各資産の利回り比較 (%) 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 (年) (出所)国際連合、1980年~2050年 米国ベビーブーマー世代:米国で1946年~1964年に生まれた世代 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイア セットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼 できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料 のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税 金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来 の市場環境の変動等を保証するものではありません。 2/2
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