日英新租税条約(NNA掲載:2006年12月号)

2006年
(平成18年)
12月20日<水>
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1745号−2
恐れが増大すると考えられるため、
特典を享受できる者を一定の用件を
満たす適格者に限定する「特典条項」
が盛り込まれている。これは日米租
税条約に続いて2番目となる。特定
条項の狙いは、個人や企業が特典を
受けるためだけにペーパーカンパ
ニーを設立することなどを阻止する
[第2回]
日英新租税条約 ものだ。
Greenback Alan LLP
ただ、特典条項が適用される範囲
Tax Partner : Nick Nicolaou(ニック・ニコラウ)
が限られているため、新条約の特典
Senior Tax Manager : Edward Steigner
(エドワード・スタイガー)
の一部は乱用防止を狙った特典条項
1969年に結ばれた従来の日英
租税条約に代わって2月2日、
新たな租税条約が締結された。
すでに10月12日に発効、来月1
日から新しい源泉課税の税率が
適用される。2003年の日米租税
条約の締結以来、日本の租税条
約に対する方針は大きく転換し
た。日本はこれを1つのモデルと
して主要な貿易相手国とも同様の
条約締結を目指している。今回は
日英の新条約について、旧条約と
の相違点を中心に概要を示そう。
源泉課税の大幅軽減
は年金基金にも適用される。
に関係なく受けられる。全体として
また同様に10%以上保有していれ
日英租税条約の特典条項は日米租税
ば、税率は現行の10%ないし15%か
条約に比べて適用の幅が狭く、納税
ら5%に引き下げられる。保有期間
者には有利といえるだろう。
が6カ月未満でも、両国の居住者な
ら旧条約では15%のものが、新条約
持ち株の構成見直しを
では10%に軽減される。
新条約施行に当たり、特に新条約
利子所得(第 11 条)
の源泉税率を適用する必要がある場
旧条約では英国または日本の居住者
が相手国から受け取る利子所得の源
合には英国と日本での持ち株の構成
を見直すのが望ましいだろう。
泉税率は10%だったが、新条約では
新条約は、源泉課税を税額から控
銀行、保険会社、年金基金または年
除するのではなく、所得から控除す
金スキーム、証券会社、政府機関が
ることを選んでいる企業や個人にも
受け取る場合には免税となる。それ
影響を与えそうだ。新条約の下で
以外は引き続き10%が適用される。
は、所得から控除する場合の経済的
使用料(第 12 条)
な利益を見直す必要がある。通常
新条約と旧条約の最大の違いは、
著作権や特許権など日英間の使用
は、当期に損失がある場合だけ源泉
日英の居住者にとって源泉課税が大
料については、これまで源泉地国で
課税を所得から控除する方が望まし
幅に軽減された点だ。各所得の主な
10%の税率が課せられていたが、新
い。
変更点は次の通りとなっている。
条約では免税となる。しかし、支払
配当所得(第 10 条)
い使用料が通常の市場価格を超える
(以上の説明は、新条約の概要を示
新条約では、親会社が議決権のあ
場合、新条約の特典はその超過分に
したもので税務アドバイスではあり
る株式を5 0 %以上保有している場
は適用されず、源泉地国の法律に
ません。個々の詳細などについては
合、子会社からの配当に対しては、
従って課税される。
会計士または税理士に直接お問い合
株式を6カ月以上保有していれば、
源泉地国の課税がこれまでの10%か
租税回避阻止のための措置
ら0%、すなわち免税となる。これ
こうした課税上の特典を乱用する
わせください。)
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G5((1%$&. A/$1 LLP
配当所得に対する限度税率
現行
受益株主
議決権のある株式を25%以上保有している
子会社からの配当に対し、株式を12カ月以
上保有している場合
その他
税率
新条約
受益株主
税率
議決権のある株式を50%以上保有している子
10% 会社からの配当に対し株式を6カ月以上保有
しているか年金基金、年金制度の場合
0%
議決権のある株式を10%保有している子会社
からの配当に対し、株式を6カ月以上保有し
15%
ている場合
5%
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