定義趣旨凝縮レジュメ パリ条約5条の4は、同盟国は国内生産物と外国生産物とを権利保護上区別すべきでない旨を規 定している。これにより、わが国では、生産方法の推定規定(104条)を外国生産物にも適用す る義務を負う。 〔41〕 間接侵害(101条) 定 義 間接侵害(特許法101条)とは、本来特許権の侵害とはならない一定の行為を一定条件の下に特許 権の侵害とみなすことをいう。 趣 旨 特許権の侵害は、権原なき第三者が業として特許発明を実施した場合に成立する。ここにいう実 施は、権利一体の原則より特許発明の全体の実施をいい、一部実施をいうものではない。 しかし、権利一体の原則を貫くと、最終的組立のみを個人的又は家庭的に行わせるような場合、 最終段階が業としての実施ではないから、何人も侵害の責任を負わないことになる。このため、予 備的行為を禁止しなければ、特許権の効力は著しく減殺されることになる。 そこで、法は、侵害の蓋然性の高い一定の予備的行為を特許権の侵害とみなし、特許権の保護を 強化している(101条)。 用語の説明等 (1) その物の生産に「のみ」使用するもの 実用的、経済的、商業的な他の用途がないことが必要である(東京地判S56.2.25:一眼レフカ メラ事件) 。 (2) 2号類型が改正にて追加された理由 行為者の主観を新たな要件として加え、その代わりに、「のみ」という客観的要件を緩和し、 適切な権利保護を図るべく平成14年改正で新たな間接侵害の類型として追加された。 ① 非汎用品要件(2号括弧書) 日本国内において広く一般に流通しているものが、間接侵害の対象から除かれる理由 取引の安定性の確保のためである。 (例) ねじ、釘、電球、トランジスター等 ・「広く一般に流通している」とは それが特注品ではなく、市場において一般に入手可能な状態にある規格品、普及品であ るという意味である。 ② 不可欠性要件 「発明による課題の解決に不可欠なもの」とは それを用いることにより初めて「発明の解決しようとする課題」が解決されるような部 品、道具、原料等をいう。 (例) 消しゴムで消せるボールペンの発明がある場合、そのインキに用いる特殊な顔料等 (3) 3号類型(その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為)が平成18年改正で追加さ れた理由 譲渡等や輸出がされると侵害物品が拡散して事後的な侵害防止措置が困難になる蓋然性が高い ため、侵害行為禁止の実効性を高め、模倣品の拡散を防止するべく平成18年改正により追加さ れた。 ① 所持の目的が、 「譲渡」、 「貸渡し」 、「輸出」を対象とする理由 当該行為が実行されてしまった場合に侵害物品が拡散するなどして、その後の侵害防止措 置が困難な状況に至る行為を対象とするためである ② 「使用」は所持の目的とされていない理由 使用と所持の行為態様が重複する場合が多く、行為後に侵害品が広く市場に拡散してしま 44
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