水銀に関する水俣条約を踏まえた 今後の水銀廃棄物

水銀に関する水俣条約を踏まえた
今後の水銀廃棄物対策
平成27年10月22日
環境省
廃棄物 サイク 対策部産業廃棄物課
廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課
1
内容
1.水銀に関する水俣条約
(1)議論の背景
( )水俣条約の経緯と内容
(2)水俣条約の経緯と内容
2.水俣条約を踏まえた国内対策
(1)国内対策の概要
(2)水銀汚染防止法の概要
(3)水銀廃棄物対策の概要
(4)水銀血圧計等の回収促進
2
1.水銀に関する水俣条約
(1)議論の背景
3
地球規模の水銀循環
○ 環境中に排出される水銀(年間5,500~8,900トン)のうち人為的排出は約30%、自然的発生
は約10%、再排出・再移動は約60%。
○ 水銀の人為的排出の削減は、将来的に環境中を循環する水銀量を削減するために極めて
重要.。
(出典:Global Mercury Assessment (UNEP 2013))
4
世界水銀アセスメント(2002)
○2001年:国連環境計画(UNEP)が地球規模の水銀汚染に係る
活動を開始
○2002年:人への影響や汚染実態をまとめた報告書を公表(世界
水銀アセ メ ト)
水銀アセスメント)
• 水銀は様々な排出源から様々な形態で環境に排出され、分
解されず、全世界を循環。
ず
• 人への毒性が強く、特に発達途上(胎児、新生児、小児)の
神経系に有害。食物連鎖により野生生物へも影響。
• 先進国では使用量が減っているが、途上国では依然利用さ
先進国では使用量が減 て るが、途 国では依然利用さ
れ、リスクが高い。
• 自然発生源もあるが、人為的排出が大気中の水銀濃度や堆
積速度を高めている。
• 世界的な取り組みにより、人為的な排出の削減
世界的な取り組みにより 人為的な排出の削減・根絶が必要
根絶が必要。
5
世界の水銀使用の実態
○ 水銀使用量は年間約3800トン(2005)。近年、減少傾向にあるが、依然として様々な用
途に使用。
○ 零細小規模金採掘(ASGM)が最大の用途。次いで塩ビモノマー製造、クロルアルカリ
零細小規模金採掘(ASG )が最大の用途 次いで塩ビ ノ
製造 ク ルアルカリ
工業での使用。電池・計測機器等の水銀使用製品への使用も4割程度。
世界の水銀の使用量の推移及び供給源(1985 - 2005)(t)
世界の水銀用途(2005年)
出典:Mercury- Time to Act. (UNEP 2013)
=ストック
=クロルアルカリ工業
=リサイクル水銀
=鉱出
電気機器
5%
照明
4%
その他
8%
零細小規模
金採掘
ASGM
21%
計測機器
9%
塩化ビニルモノ
マー製造
歯科用アマル
ガム
10%
VCM
20%
電池
10%
(出典: Technical Background Report to the
Global Atmospheric Mercury Assessment
(UNEP 2008))
塩素アルカリ
工業
13%
6
我が国の水銀使用状況
○ 我が国の水銀需要は昭和39年(1964年)をピークに急速に減少。
○ 現在では、年間8トン程度の水銀を使用(照明、計測・制御器、無機薬品、電池等)。
歯科用アマルガム
0.3%
計測機器(工業用)
10.6%
ボタン電池
12.5%
照明
38.1%
合計
8.6トン
無機薬品
14.7%
計測機器(医療用)
23.8%
注:蛍光ランプは昭和31年~53年は機器計器、昭和54年以降は電気機器に該当
(出典:資源統計年報)
(出典: 我が国の水銀に関するマテリアルフロー
(2010年度ベース、2013年度更新))
7
1.水銀に関する水俣条約
(2)水俣条約の経緯と内容
8
水銀に関する水俣条約外交会議の概要
2013年
10月9日(水)
11日(金)
~11日(金)
外交会議(水俣市及び熊本市)
・9日(水): 開会セレモニー(現地視察を含む)(水俣市)
10日(木) 11日(金): 条約の採択
条約の採択・署名(熊本市)
署名(熊本市)
・10日(木)・11日(金):
○ 60か国以上の閣僚級を含む139か国・地域の政府関係者の他、国際機関、
NGO等を含め、1,000人以上が出席。
が
○ 我
我が国からは外務省、経済産業省、環境省等からなる政府代表団、NGO
国
務省、経済産業省、環境省等
政府代表団、
等が出席。
○ 9日に安倍総理のビデオメッセージ
9日に安倍総理のビデオメッセ ジ、10-11日の外交会議は石原環境大臣
10-11日の外交会議は石原環境大臣
(当時)が議長、10日に岸田外務大臣が条約及び外交会議の最終議定書
に署名。
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「水銀に関する水俣条約」の意義
○ 先進国と途上国が協力して、水銀の供給、使用、排出、廃棄
等の各段階で総合的な対策に世界的に取り組むことにより、水
銀の人為的な排出を削減し、越境汚染をはじめとする地球的規
模の水銀汚染の防止を目指すもの。
模の水銀汚染の防止を目指すもの
○ 世界最大の水銀利用
世界最大の水銀利用・排出国である中国や
排出国である中国や、化学物質
化学物質・廃棄
廃棄
物に関する条約をこれまで批准していない米国も積極的に交渉
に参加。多くの国の参加を確保しつつ、その中で水銀のリスクを
最大限削減できる内容に合意。
○“Minamata
○“Mi
t Convention“の命名は、水俣病のような健康被害
C
ti “の命名は 水俣病のような健康被害
や環境破壊を繰り返してはならないとの決意と、対策に取り組
む意志を世界で共有する意味で有意義 また 水俣病の教訓や
む意志を世界で共有する意味で有意義。また、水俣病の教訓や
経験を世界に伝えるとともに、現在の水俣市の姿を内外にア
ピ ル
ピール。
10
条文の主な内容①
前文
○ 水銀のリスクに対する認識や国際的な水銀対策の推進の必要性、水銀対策を進め
る際の基本的な考え方について記載。
○ 水俣病の教訓として、水銀汚染による人の健康及び環境への深刻な影響、水銀の
適切な管理 確保 必要性及び同様 公害 再発防止を記載 ( 本 提案を受
適切な管理の確保の必要性及び同様の公害の再発防止を記載。(日本の提案を受
け記載)
○ リオ原則を再確認
リオ原則を再確認。(汚染者負担原則及び予防的アプローチがリオ原則の中に含ま
(汚染者負担原則及び予防的アプロ チがリオ原則の中に含ま
れている。)
目的(1条)
○ 水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること。
水銀供給の削減と国際貿易の削減(3条)
○新規の水銀鉱山開発は各締約国の条約発効後禁止。
○既存鉱山からの産出は各締約国の条約発効から15年以内に禁止。この水銀は、条
約上認められた用途にのみ使用可。
○条約締約国への水銀の輸出は、条約上認められた用途又は一時保管に限定。水銀
の輸出に当たっては 輸入国の書面による事前同意が必要
の輸出に当たっては、輸入国の書面による事前同意が必要
○ 非締約国からの水銀の輸出/輸入は、相手国が条約上必要な措置を講じているこ
と/新規一次鉱山等以外の供給源に限定(その証明書が必要)
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条文の主な内容②
製品の使用削減(4条関連)
◆水銀を使用する以下の製品の製造 輸入 輸出を2020年までに禁止
◆水銀を使用する以下の製品の製造・輸入・輸出を2020年までに禁止
品目
例外
電池
銀
銀
水銀含有量2%未満のボタン形亜鉛酸化銀電池・ボタ
ン形空気亜鉛電池
スイッチ及びリレー
監視・制御装置に用いられる超高精密キャパシタンス
/損失測定ブリッジ 高周波RFスイッチ及びリレ で
/損失測定ブリッジ、高周波RFスイッチ及びリレーで、
水銀含有量が20mg以下のもの
一般照明用蛍光ランプ・高圧水銀ランプ、電
一般照明用蛍光ランプ・高圧水銀ランプ
電
子ディスプレイ用冷陰極ランプ(CCFL)・外
部電極蛍光ランプ(EEFL)
一定含有量以下の一般照明用電球型・直管型蛍光ラ
ンプ、一定含有量以下の電子ディスプレイ用冷陰極ラ
ンプ・外部電極蛍光ランプ
肌の美白用石鹸及びクリームを含む化粧品
(水銀1ppm超)
効果的・安全な代替防腐剤がない場合に、水銀を防腐
剤として使用している眼部化粧品
農薬、非農薬用殺生物剤、局所消毒薬
―
非電化の計測機器(気圧計、湿度計、圧力
計 温度計 血圧計)
計、温度計、血圧計)
適当な水銀フリー代替品がない場合に、大型装置に取
り付けられたもの又は高精度測定に使用されるもの
 歯科用アマルガムについては段階的使用削減のための措置
12
条文の主な内容③
製造プロセスにおける水銀使用の削減(5条・6条)
人力小規模金採掘(ASGM)(7条)
水銀の大気への排出(8条)、水銀の水・土壌への放出(9条)
水銀廃棄物以外の水銀の環境上適正な暫定的保管(10条)
水銀廃棄物(11条)
○ バーゼル条約の廃棄物の定義が適用される水銀廃棄物について、バーゼル条約に
基づいて作成された指針を考慮し、締約国会議が採択する追加の附属書の要件に従い、
環境上適正な方法で管理する。
汚染サイト(12条)、資金・資金供与の制度(13条)、能力形
成・技術援助等(14条)、健康に関する側面(16条)、情報の
交換(17条)、公衆のための情報・啓発及び教育(18条)、研
究・開発・監視(19条)
実施計画の策定
(20条)
:努力義務
発効(31条)
○ 50カ国の締結の日後90日目に発効 (9月末現在、15カ国が締結)
13
2.水俣条約を踏まえた国内対策
(1)国内対策の概要
策 概
14
国内対策の議論
環境大臣から中央環境審議会に対する諮問
(平成26年3月17日)
成 年
水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策に
ついて

環境保健部会:水銀に関する水俣条約対応検討小委員会(産業構造審
議会製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築WGと合同開催)
→ 既存法令等で担保されない条約規定事項等を措置するための新法の
制定を答申
 大気・騒音振動部会:水銀大気排出対策小委員会
→ 条約に基づく排出規制等を措置するため大気汚染防止法の改正を答申
 循環型社会部会:水銀廃棄物適正処理検討専門委員会
→ 条約に基づく水銀廃棄物管理等を措置するため廃棄物処理法下位法令
条約 基づく水銀廃棄物管理等を措置するため廃棄物処理法 位法令
に基づく措置を答申
15
水俣条約の構成と担保措置等との関係
環境への排出
水銀の一次採掘
水銀
次採掘
(条約第3条3)
水銀汚染防止法及び鉱業
法改正による措置
(実態なし)
(条約第8条)
(条約第9条)
大気汚染防止法改正による措置
水質汚濁防止法で担保済
目録作成
約
、 約
(条約第8条7、条約第9条6)
水銀の使用
水銀の貿易
水銀の輸出入
水・土壌への放出
大気への排出
廃棄
水銀添加製品の製造
(条約第4条)
(条約第3条6,8)
水銀汚染防止法による措置
外為法等による措置
水銀の暫定的保管
(条約第10条)
水銀汚染防止法による措置
水銀添加製
品の輸出入
(条約第4条)
外為法等による措置
実施計画
(条約第20条等)
水銀汚染防止法による措置
製造工程における
水銀の使用
零細・小規模
金採掘
(条約第5条)
(条約第7条)
水銀汚染防止法による措置
(実態なし)
水銀汚染防止法による措置
(実態なし)
水銀廃棄物
(条約第11条)
<廃棄物処理法上の
廃棄物>
廃棄物処理法政省令改正
による措置
<廃棄物処理法上の廃
棄物に該当しないもの>
水銀汚染防止法
による措置
汚染された場所
(条約第12条)
土壌汚染対策法及び水
質汚濁防止法で担保済
資金・資金供与の制度(条約第13条)、能力形成・技術援助等(条約第14条)、
健康に関する側面(条約第16条) 、情報の交換(条約第17条) 、公衆のための
情報・啓発及び教育(条約第18条) 、研究・開発 ・監視(条約第19条)
等
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2.水俣条約を踏まえた国内対策
(2)水銀汚染防止法の概要
水銀 染防
概
17
水銀による環境の汚染の防止に関する法律
(水銀汚染防止法)
水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保し、水銀による環境の汚染を防止
するため 水銀の掘採 特定の水銀使用製品の製造 特定の製造工程における水銀等
するため、水銀の掘採、特定の水銀使用製品の製造、特定の製造工程における水銀等
の使用及び水銀等を使用する方法による金の採取を禁止するとともに、水銀等の貯蔵
及び水銀を含有する再生資源の管理等について所要の措置を講ずる。
法律の構成
第1章 総則(第1条・第2条)
総則(第1条 第2条)
第2章 水銀等による環境の汚染の防止に関する計画(第3条)
第3章 水銀鉱の掘採の禁止(第4条)
第4章 水銀使用製品の製造等に関する措置(第5条~第18条)
第5章 水銀等を使用する製造工程に関する措置(第19条)
第6章 水銀等を使用する方法による金の採取の禁止(第20条)
第7章 水銀等の貯蔵に関する措置(第21条・第22条)
第8章 水銀含有再生資源の管理に関する措置(第23条
水銀含有再生資源の管理に関する措置(第23条・第24条)
第24条)
第9章 雑則(第25条~第30条)
第10章 罰則(第31条~第35条)
附則
※施行期日:我が国について条約が効力を生ずる日(第4章の一部は別途政令で定める日)
18
水銀による環境の汚染の防止に関する法律
(水銀汚染防止法)
第4章 水銀使用製品の製造等に関する措置(第5条~第18条)
○ 条約附属書Aに規定される製品を「特定水銀使用製品」とし、組み込みを含めて原則と
して製造を禁止、条約の認める除外規定に該当するもの等に限って例外的に許可
○ 優れた水銀代替・低減技術を有する我が国は、世界の水銀対策をリードする観点から
、特定水銀使用製品の指定に当たっては、製品ごとに条約で規定される水銀含有量の
深掘り 廃止期限の前倒しを措置(次ページ参照)
深掘り、廃止期限の前倒しを措置(次ペ
ジ参照)
○ 条約担保のため、把握されていない新たな用途のための水銀使用製品の製造・販売を
原則禁
原則禁止し、自主評価等に基づく例外的な製造を認める
、自 評価等
例外 な製造を認
○ 水銀使用製品の適正な回収のための国、自治体、事業者の努力責務
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特定水銀使用製品に係る製造規制の前倒し・深掘りの検討結果
産業構造審議会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 制度構築ワーキンググループ
中央環境審議会 環境保健部会 水銀に関する水俣条約対応検討小委員会
合同会合(第7回 平成27年7月30日) 資料より
合同会合(第7回:平成27年7月30日)
品目
乾電池
ボタン形アルカリ電池
電
池
ボタン形酸化銀電池
ボタン形空気亜鉛電池
スイッチ及び継電器
蛍
光
ラ
ン
プ
一般的な照明用のコンパクト蛍光ランプ
(CFLs)
一般的な照明用の直管蛍光ランプ
(LFLs)
電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ
(CCFL)及び外部電極蛍光ランプ
(EEFL)
一般的な照明用の高圧水銀蒸気ランプ
般的な照明用の高圧水銀蒸気ランプ
(HPMV))
化粧品
農薬系(駆除剤 殺生物剤)
農薬系(駆除剤、殺生物剤)
医薬品系(殺生物剤、局所消毒剤)
水銀含有量基準
の深掘りの有無
条約上の基準なし
廃止期限の前倒し
(条約は全て2020年末)
2017年末に前倒し
(水銀を使用しないこと)
(既に達成済だが周知期間を考慮)
条約上の基準なし
条約どおり(2020年末)
(水銀を使用しないこと)
(現状では達成できていない事業者も存在)
2%未満から
1%未満に深掘り
%未満に深掘り
深掘りなし(2%未満)
(おおむね達成済だが周知期間を考慮)
2017年末に前倒し
(安全性・性能劣化の懸念)
条約上の基準なし
条約どおり(2020年末)
(水銀を使用しないこと)
(関係者が多様であり 代替品への転換に期間を要する)
(関係者が多様であり、代替品への転換に期間を要する)
深掘りなし
深掘りなし
2017年末に前倒し
(おおむね達成済だが周知期間を考慮)
深掘りなし
条約上の基準なし
条約どおり(2020年末)
(水銀を使用しないこと)
(代替品への転換に一定の期間を要する)
1ppm以上から
水銀を使用しないことに深掘り
条約上の基準なし
(既に達成済だが周知期間を考慮)
(水銀を使用しないこと)
(既に達成済だが周知期間を考慮)
2017年末に前倒し
2017年末に前倒し
条約上の基準なし
条約どおり(2020年末)
(水銀を使用しないこと)
(関係者が多様であり、代替品への転換に期間を要する)
条約上の基準なし
(医療機器(血圧計・体温計):医療現場の実態等への対応に
一定の期間を要する)
(工業用機器:中小事業者が製造しており、代替品への転換
に一定の期間を要する)
条約どおり(2020年末)
非電気式計測器
(気圧計、湿度計、圧力計、
温度計、血圧計)
(水銀を使用しないこと)
20
2.水俣条約を踏まえた国内対策
(3)水銀廃棄物対策の概要
水銀廃棄物 策 概
21
我が国における水銀廃棄物の発生状況
分類
廃金属水銀等
水銀汚染物
水銀使用廃製品
具体例
(1)ポロシメーターに使用された水銀、廃試薬、排
ガス処理施設から回収された水銀
((2)水銀汚染物や水銀使用廃製品から回収され
)水銀汚染物や水銀使用廃製品から回収され
た水銀
水銀を含む汚泥、焼却残さ(燃え殻、ばいじん)
ボタン型電池、医療用計測器類、
工業用計測器類、蛍光灯、水銀スイッチ・リレー、
歯科用水銀アマルガム
歯科用水銀アマルガム、
ワクチン保存剤(チメロサール)、無機薬品
22
我が国における廃棄物等に含まれる水銀のフロー
(2010年度ベース)
水銀汚染物等
不溶化・固型化
最終処分場
*数字はトン
ばい焼等
水銀回収 52t+α
非鉄精錬スラッジ
水銀汚染
物等から
廃金属
水銀等
異物除去、蒸留
水銀引抜、
ばい焼等
廃金属水
銀等から
水銀使用
廃製品から
36.2
産廃由来の汚泥、ばいじん
3.4
試薬由来の水銀
0.9
測定媒体に用いられた水銀
0.7
ガス田から回収された水銀
0.6
一廃焼却施設から回収され
た水銀
その他の廃水銀(退蔵品
等)
ランプ類(産廃)
0.3
歯科用アマルガム
10
1.0
計測器(体温計、血圧計、
温度計等産廃)
0.5
電池(産廃)
04
0.4
その他産廃(スイッチ・リ
レー等)
一般廃棄物(ランプ、電池、
体温計等)
0.4
水銀使用廃製品
7t+α(市中保有)
中間処理
(破砕・焼却等)
4~9t
4
9t
40
9
61
6.1
輸出
72t
1.5
水銀使用製
品国内生産
4
5t
0.4
注)市中保有量が不明のため、
入口と出口の合計値は一致しな
い。
今後の廃金属水銀等及び水銀汚染物の処理の在り方
廃金属水銀等の処理の在り方
 これまでは有価物であった金属水銀が、水俣条約を受けて、今後
れ
有価物 あ
金 水銀が 水俣条約を
今後
は廃棄物となることがみこまれることから、新たに特別管理廃棄物
に指定し その収集運搬基準及び保管基準を追加
に指定し、その収集運搬基準及び保管基準を追加。
 金属水銀を安全に埋立処分するための基準(硫化・固型化)を追加。
水銀汚染物の処理の在り方
 水銀又は水銀化合物を一定程度含むものを「水銀含有等産
業廃棄物」として指定し、産業廃棄物収集運搬業、処分業、処
理施設の許可においてその取扱いを明らかにするとともに、
委託契約書及びマニフェストへの記載を義務づけるとともに、
廃棄物データシート(Waste Data Sheet)への記載を求める。
 特定の施設から排出される高濃度の水銀汚染物について水
銀回収を義務付け
24
今後の水銀使用廃製品の処理の在り方(一般廃棄物)
家庭から排出される水銀使用廃製品は、環境上より適正
な管理を確保するため 次の内容を検討
な管理を確保するため、次の内容を検討
(現在約7割の市町村で分別回収が実施)
全都清ルート等の既存の水銀回収スキームを活用し
た適正な回収の促進
先進的都市の事例の紹介等による、市町村の分別回
収の徹底 拡大
収の徹底・拡大
水銀が飛散しやすい蛍光管や体温計等の回収時に
おける留意点を明確化
加えて、使用者の水銀製品についての認識および適切な排出の促進のため
には、製品に関する情報提供を促進するための措置が必要。
25
今後の水銀使用廃製品の処理の在り方(産業廃棄物)
 「水銀含有等産業廃棄物」として指定(マニフェストへ
の明示等)
 収集運搬時
• 破損しやすい計測機器・照明機器の他の廃棄物
との混合禁止、破損することがないよう留意
 中間処理時
• 選別、破砕、切断時の大気への飛散防止
選別 破砕 切断時の大気への飛散防止
• 金属水銀を含有する計測機器等は水銀回収の
義務付け
• その他製品は水銀回収の促進
 最終処分時
• 安定型処分場への埋立禁止の明確化
• 不溶化等の処理が望ましい
26
2.水俣条約を踏まえた国内対策
(4)水銀血圧計等の回収促進
27
水銀による環境の汚染の防止に関する法律案
に対する附帯決議
((平成27年5月22日衆議院環境委員会)
成 年
衆議院環境委員会)
退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については、将
来的な不適正処理 リ クを低減するため短期間に集中的
来的な不適正処理のリスクを低減するため短期間に集中的
に回収・処分していくことが望ましいことから、市町村及び事
業者団体等と連携し効率的に回収等を行うスキ ムを早期
業者団体等と連携し効率的に回収等を行うスキームを早期
に構築、実施すること。
(平成27年6月11日参議院環境委員会)
退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については 将
退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については、将
来的な不適正処理のリスクを低減するため短期間に集中的
に回収・処分していくことが望ましいことから 市町村及び事
に回収・処分していくことが望ましいことから、市町村及び事
業者団体等と連携し効率的に回収等を行う枠組みを早期に
構築 実施すること。
構築、実施すること。
28
水銀使用製品の生産量と処理状況
年間
生産
量
照明機器
(蛍光管 冷陰極蛍
(蛍光管、冷陰極蛍
光 ラ ン プ 、 HID ラ ン
プ)
3.0t
医療用計測機器
(血圧計、体温計)
1.9t
工業用計測機器
(温度計、圧力計等)
0.8t
ボタン型電池
歯科用アマルガム
1.0t
0.02t
(表中の数字は水銀量、2010年ベースの推計)
表中 数字 水銀量
年ベ
推計
年間
処理状況
回収
量
使用又は
退蔵され
ている量
る量
使用量程度
家庭18-21t
病院等28t
(一廃)
水銀回収、埋立、焼却
0.2t
(産廃)
・ガラスくず、金属くず、廃プラ、汚泥として処理
水銀回収、セメント固化等
セメント固化等
・水銀回収
1.5t
・ガラスくず、金属くず、廃プラとして処理
・水銀回収、セメント固化等
水銀回収 セメ ト固化等
0 5t
0.5t
0.3t
使用量程度
1.3t
( 廃)
(一廃)
水銀回収、埋立、焼却
0.19t
(産廃)
・金属くず、汚泥として処理
金属くず 汚泥として処理
・電池工業協会による自主回収あり
・水銀回収、金属リサイクル、セメント固化等
0.36t
・金属くずとして処理
・大半は貴金属業者が回収
0.99t
29
水銀血圧計・水銀体温計の回収促進(これまでの取組)
環境省(平成26年度)
▼専用回収ボックス
 一般廃棄物
般廃棄物
一般家庭等の退蔵品を対象として、薬
剤師会 協力を得
剤師会の協力を得て、旭川市や阿蘇
旭川市や阿蘇
地域において薬局に回収ボックスを設
置する等のモデル回収事業を実施。
置する等のモデル回収事業を実施
 産業廃棄物
川崎市医師会の協力を得て医療機関に退蔵する水銀血圧
計・水銀体温計の回収促進事業を実施。
東京都医師会(平成24年度~)
東京都医師会では、平成24年度から医療機関に退蔵する水
銀血圧計・水銀体温計の自主回収を実施。
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水銀血圧計等回収マニュアルの策定
水俣条約(2013年採択)
水銀及び水銀化合物の人為的な排出を削減し、地球的規模の水銀汚
染の防止を目指すもの
染の防止を目指すもの。
廃棄物の段階では環境上適正な方法で管理することが求められている。
中央環境審議会答申(
中央環境審議会答申(2015年2月)、水銀汚染防止法附帯決議(2015年5月、6月)
年 月) 水銀汚染防止法附帯決議(
年 月 月)
退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については、将来的な不
適正処理のリスクを低減することが必要
適正処理のリスクを低減することが必要。
短期間に集中的に回収・処分していくことが望ましい
短期間
集中的 回収 処分し
く
望まし
平成26年度の川崎市での回収促進事業で得られ
た知見等
水銀血圧計等回収マニュアルの案を作成
セミナーを通して得られた御意見を踏まえ、
より医療機関の実態に即した内容となるよう改善
水銀血圧計等回収マニュアル策定・公表
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水銀血圧計等回収マニュアルの概要
都道府県医師会、郡市区医師会等が回収事業を実
都道府県医師会
郡市区医師会等が回収事業を実
施する際に参考となるノウハウ(※)を盛り込んだもの。
※回収スキーム、事業計画の手順、関係主体の巻き込み方、
※回収スキ
ム 事業計画の手順 関係主体の巻き込み方
周知方法、費用負担方法、廃棄物処理業者の選定方法等
回収マニュアルでは、都道府県医師会を事業実施
単位 郡市区医師会を回収単位として実施するス
単位、郡市区医師会を回収単位として実施するス
キームに沿って回収事業の手順を示していますが、
スキ ムや回収事業の詳細については それぞれ
スキームや回収事業の詳細については、それぞれ
の地域で実態に応じて適宜変更して頂くようお願い
します。
します
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(参考)排出事業者責任について
環境省が提案している水銀血圧計等の回収スキームでは、
水銀血圧計等(産業廃棄物)を排出する医療機関のほか、
水銀血圧計等(産業廃棄物)を排出する医療機関のほか
回収事業計画を策定し郡市区医師会を取りまとめる都道府
県医師会や 集荷場所を提供し医療機関を取りまとめる郡
県医師会や、集荷場所を提供し医療機関を取りまとめる郡
市区医師会など関係者が多数になりますが、排出事業者と
しての責任を有するのは 各医療機関になります
しての責任を有するのは、各医療機関になります。
【排出事業者の義務】
・自ら処理する場合は、処理基準に従う。
→他人に委託する場合も各種義務がかかる。
①委託基準
・許可業者以外に委託してはいけない
・収集運搬業者、処分業者それぞれと委託契約を締結
②産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付、確認
※最終処分が適正になされたことまで確認
③不適正処理が行われた場合 措置命令の対象になりうる
③不適正処理が行われた場合、措置命令の対象になりうる。
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(参考)水銀血圧計等の処理コストの今後
水銀需要
高
処理
処理コスト
ト
低
現在
2020年
回収事業推奨期
水俣条約上の水銀使用製品
の製造・輸出入原則禁止
の製造
輸出入原則禁止
現在、回収された水銀は有価物として輸出されているが、今後、水銀使用製品の製造
や輸出入の原則禁止により 水銀需要が減少するなかで 現状の処理コストが維持さ
や輸出入の原則禁止により、水銀需要が減少するなかで、現状の処理コストが維持さ
れるか不透明
水銀血圧計等を集中的かつ効率的に回収する取組が有効
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環境省の今後の取組み
回収事業の全国展開
マニ アル策定及びセミナ 開催の成果を踏まえ
マニュアル策定及びセミナー開催の成果を踏まえ、
より多くの関係団体と連携し、集中的かつ効率的な
回収事業の全国への拡大を図るための取組を検討。
事
全
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御清聴ありがとうございました。
環境省ホームページ
http://www.env.go.jp/chemi/
http://www env go jp/chemi/
問い合わせ先(環境省 適正処理
適正処理・不法投棄対策室)
不法投棄対策室)
[email protected]
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