住まいかた未来予想図2015

振り返れば LiVES では、住まうことを自由に楽しむたくさんの住み手や
つくり手たちに出会い、さまざまな居住スタイルを取材してきました。
2015 年以降は、果たしてどんな住宅シーンが見られるのでしょうか?
予測が知りたい!ということで、建築・住宅分野でご活躍する先生方に聞
きました。これから注目されそうな新しい住まい方を教えてください!
家づくりはこう変わる
住まいかた未来予想図 2015
住まいかた未来予想図 2015
illustration_ Toru Ogasawara
青木 純
ヒトを主役に賃貸住宅のあり方その
中古住宅のリノベーションを資金
2008 年 東京工業大学大学院博士課
2006 年「ほしい未来は、つくろう」
ものをリノベーションするカスタマ
イ ズ 賃 貸 の パ イ オ ニ ア。「青 豆 ハ ウ
計 画 か ら 不 動 産 探 し、 設 計 ま で を
サ ポ ー ト。 リ ノ ベ ー シ ョ ン の 先 駆
程 単 位 取 得 退 学。05 年 よ り 藤 村 龍
至建築設計事務所主宰。著書に『批
をテーマにしたウェブマガジン「gre
enz.jp」を創刊。著作に『「ほしい未来」
ス」は 2014 年度グッドデザイン賞
を受賞。www.maison-aoki.jp
(メゾン青 樹 )
者として業界を牽引し続けている。
www.bluestudio.jp
(ブルースタジオ)
藤 村 龍至
判的工学主義の建築』
( エヌティティ
出版)など。ryujifujimura.jp
©Kenshu Shintsubo
(藤 村龍至 建築設 計事務所 )
鈴木菜央
は自分の手でつくる』(講談社 星海
社新書)。greenz.jp
( NPO 法 人グリーンズ)
物も時間も空間も、シェアして育てる
家を捨てよ、街へ出よう。
箱を解 体し、継ぎ足しながら住む
家は小さくシンプルに。人生は華麗に
賃貸住宅における、住み手の主
台としての賃貸なら職住超近
家と暮らしの関係は鉄棒と競技
るのは競技そっちのけで鉄棒に
戦後の日本住宅史をみると
が 主 流 と な っ た。95 年 ∼ は 消
自由に、小さな家に住む人が増
体性を引き出す余白のデザイン
接、二拠点居住など暮らし方の
みたいなもの。 のように思う。
萌えるようなもの。この鉄棒を
1945 ∼ 70 年 ま で は 近 代 和 風
え入るようなか細く透明な箱が
えるはず。できるだけシンプル
らし方。言ってみれば「小さい
は一層重視され、従来の時間が
選択肢は広がる。しなやかに楽
競技で大事なのは技や美しさで
駆使してあれこれ技を磨き、家
(例 : スカイハウス)
、その後量
主流となったが(例:HOUSE A)
、
に暮らして毎月の支出、長期間
家で大きく暮らす」家。タイニー
消費されていた仮暮らしの箱か
しく暮らすために物も空間も
あって、鉄棒はそれを支える道
を出、街へ飛び出す。アクロバ
産志向(例 : 最小限住宅)とな
この先 2020 年頃までは箱を壊
払い続けるローンや漠然とした
シェアハウス、 極小賃貸物件、
ら、時間の蓄積が価値に変わる
シェアをするから家は次第にコ
具。家も然り、大事なのは暮ら
チックだけど理に適っている。
り、70 ∼ 95 年ではアイコン建
し、ラフなディテールで DIY 的
将来の不安から開放される。本
車輪付きタイニーハウス、軽ト
生活の場に全国レベルでシフト
ンパクトに。本格的に家族単位
しの方だ。住宅デザインの関心
居心地良いけど新しい。そんな
築(例 : 顔の家)
、その後はコン
な「解体された箱」が主流にな
当にやりたいことができたり、
ラハウスとか楽しそう。いろん
していく。手が届く暮らしの舞
でのシェア住居も増えそうだ。
をモノ(家と言う箱)に限定す
住まいを今年は目指したい。
クリートの箱(例 : 住吉の長屋)
るだろう(例 : ゲーリー自邸)
。
人生についてじっくり考えたり
な暮らし方を実験しよう!
西 久保 毅人
1995 年 明治大学理工学部建築学科
卒業(小林正美教授に師事)。97 年
象 設 計 集 団、 ア ト リ エ ハ ル を 経 て、
2001 年 ニ コ 設 計 室 設 立。www.
niko-arch.com
(ニコ設計 室 )
大きな屋根で街をつつむ家
YADOKARI
世界中の小さな家を紹介するウェブ
メディア「未来住まい方会議」を運
営。ミニマルライフ・多 拠 点 居 住・
スモールハウスなど、小さくて豊か
な住スタイルを提案。yadokari.net
佐 藤 竜馬
米軍ハウスを拠点に数々のプロジェ
クトを手掛ける。メンバーは若手ク
リ エ イ タ ー 集 団。 LOCALSTANDA
RD を提唱し、米軍ハウスを中心に都
市デザインする。www.npoflag.com
( NPO 法人 FLAG )
城戸輝哉
する余裕が生まれる、そんな暮
不動産と建築のプロ集団、スマサガ
不動産 CEO。 資金計画と購入計画、
物件価値の目利き、設計施工、将来
の運用まで一貫し、中古リノベーショ
ンをプロデュース。suma-saga.com
(スマサガ不 動 産)
小さな家とともに移 動できる暮らし
米軍ハウスでつくる次世代コミューン
若者が街づくりの主役になる
敷地境界線なんていう古くさい
りの人たちもしあわせにするよ
アメリカで火が付いたタイニー
住、仲間とシェア、貸し出すな
これからの時代に求められるの
る心地良いコミュニティ…。互
リ ノ ベ や DIY の 楽 し さ が 浸 透
なる家に住めるわけで。そうす
も の は、 も は や な く な っ て し
うな、 建てることのよろこび、
ハ ウ ス・ ム ー ブ メ ン ト。2015
ど…。2015 年後半にはフラッ
は、住宅単体ではなく、都市や
いの存在を尊重しながら共存で
れば家を所有したまま住み替え
まって、道にも公園にもつなが
産まれることのよろこび。そし
年は日本でも小さな暮らし、家
トパック化されて郵送されてく
街単位の住み良い環境づくり。
きるグッドネイバーたちのイン
し つ つ あ る 中、「 築 30 年 超 え
の住まいでも長く価値が維持で
も可能。賃貸市場にも良質な物
るような、大きな屋根をかけて
て、こんな家をつくる人たちに
とともに移動する暮らしを実践
る家なんてのも登場するかもし
米軍ハウスのような、ゆったり
フラを構築する、米軍ハウス設
きれば資産になる」という考え
件が増える循環が生まれる。自
しまおう。街に差し出した屋根
は、「はみ出してくれてありが
やしつらえ。大切な家族も守り
ながら、ほんのちょっと、まわ
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石井 健
する人が増えるでしょう。小さ
れ ま せ ん。 実 は、2015 年 早 々
とした住居、豊かな植栽、消費
計プログラムをインストール
が常識になればいいなと。実際
分らしい暮らしを楽しみながら
とう!」と、国から補助金が交
な家を使い、季節や趣味に応じ
YADOKARI で も ス モ ー ル ハ ウ
材の購入が容易な何不自由無い
した次世代型の「ローカル・コ
に賢明な資金計画とエリア選定
街の価値をつくり出す若者が、
付されるような未来を!
て 住 む 場 所 を 変 え、 二 拠 点 居
スの発売を控えているのです!
暮らし、自然自発的に形成され
ミューン」を増やしていきたい。
があれば、賃貸に出して利益に
街づくりの主役になるはずだ。
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