「ユーロ/米ドル」の下落再開、「ユーロ/円」は日銀の 追加緩和

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【スペシャルレポート】
~VWショックでECBの追加緩和予測台頭~
「ユーロ/米ドル」の下落再開、「ユーロ/円」は日銀の
追加緩和予測も根強く、125~145円での乱高下継続!
株式会社CKキャピタル 代表取締役CEO西原 宏一(2015年9月28日)
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1)VWショックで、ユーロ圏経済は停滞へ
2015年初頭のユーロ/米ドルは、1月22日のECBの量的金融緩和導入決定により、想定以上の
speedで急落した反動で、調整局面が長期化していたが、それもようやく6ヵ月で終了。ユーロド
ルは再び動意をみせてきた。
きっかけはドイツの大手自動車会社のスキャンダル。
------------------------------------------------------------------------------------▽独VW、米国内で一部車の販売を停止=排ガス規制の不正回避で
[フランクフルト/ハンブルク 20日 ロイター]- ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(V
W)は20日、米環境保護局(EPA)から排ガス規制の不正回避を指摘されたことを受け、米国内の
販売店に対し、同社のディーゼル車の一部の販売停止を指示した。
同社のウィンターコルン社長は「顧客の信頼を裏切ったことを深くおわびする」との声明を出し、
この問題に関して外部調査を依頼したことを明らかにした。
EPAは18日、同社の一部車が排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを搭載していたと
指摘。同社に科される制裁金は、最大180億ドルに達する可能性もあるという。
VW社の広報担当は、該当車の一部販売停止を認めたが、具体的な台数については明らかにしな
かった。
ウィンターコルン社長は「内規や法律に対する違反を容認するようなことはしない」と強調し、
関係当局に全面的に協力する姿勢を示した。
(出所:ロイター)
------------------------------------------------------------------------------------このVWの排ガス不正問題は、米国に続き欧州やアジアで販売された車両についても調査の動き
が拡大。
混乱の中、ウィンターコルンCEO(68)は辞任を表明。創業78年のVWの歴史上、最大のスキャン
ダルに発展したこの不正操作は、ドイツに限らず、ヨーロッパの自動車メーカー株を軒並み急落
へと誘引した。
このVWスキャンダルは、金融市場に置き換えればLiborスキャンダル同様の重大な事件に発展。
質実剛健で誠実な工業国ドイツのイメージも大きく傷つき、この混乱は、当然通貨にとってマイ
ナスとなり、じわじわとユーロは軟調な展開へ。
2)追加緩和期待の高まりで、「ユーロ/米ドル」は下落再開。
VW株が急落し、ユーロ圏経済に暗雲が立ち込める中、ECBが量的緩和を当初の終了予定日であ
る2016年9月末よりも大幅に延長し、2017年半ばまで継続するとの予測が拡大している。
この予測が拡大している要因は、ECBのインフレターゲットを達成するためには追加緩和が必要
であるとの見方が背景にあり、予想をはるかに超える原油の急落が、現状のままだと、ECBのイ
ンフレ予測に到達するのは困難な状況といえるからである。
追加緩和予測の台頭はユーロドルを再び押し下げ、下落再開。
「ユーロ/米ドル」は長らく200日 SMAに絡む展開で、調整局面が長期化していたが、ECBの追加
緩和期待を背景に200日SMAを再びブレイクし、年初来安値である1.05ドルレベルにむけて、じわ
じわと下落中である。
3)「ユーロ/円」の下落は緩慢
「ユーロ/米ドル」の下落で、「ユーロ/円」も再び軟調になっているが、ECBの追加緩和予測
を横目に、日銀の追加緩和予測も台頭している。
「伸びない設備投資、4-6月期実質GDPのマイナス、日本株の急落」により日銀の追加緩和期待も
高まっている。
10月30日の日銀の金融政策決定会合での緩和予測が増えているわけであるが、ここで緩和しても
時期としてはサプライズではない。
日銀が緩和の効果を高めるため10月6-7日での決定会合において追加緩和を行う可能性が台頭し
ているので要注意である。
昨年の動きを振り返ると、2014年10月31日にまず日銀がダブルバズーカ、つまり「量的・質的金
融緩和」の拡大を突然発表し、
「ユーロ/円」が150円目前まで急騰。ただそれに対抗してか、今
年1月22日にECBが量的緩和を発表したため、
「ユーロ/円」は一転して126円へと暴落した。
「ユーロ/円」はBOJとECBという2大中央銀行の追加緩和の動向に翻弄される展開が予測されるた
め、昨年同様に日銀が先に動けば、まず「ユーロ/円」が反発するであろうから、その後のECBに
向けていい売り場の提供となる可能性が濃厚である。
ただトレードとしては、対円である「ユーロ/円」よりも、
「ユーロ/米ドル」のほうがわかりや
すい相場展開となる可能性が濃厚で、年末にむけて、日銀とECBの追加緩和の行方に注目である。
4)「ユーロ/円」は125~145円のレンジ
「ユーロ/円」を値幅分析すると、昨年の日銀の追加緩和導入後に到達した12月の高値149.772円
と、その後のECBの緩和で急落した4月の安値126.082円の間で推移。
150円~126円の大きなレンジでの推移が続いている。
「ユーロ/円」は126.082円という安値に到達した後、6月に141円レベルまで反発したが、この水
準は昨年12月の高値と今年4月の安値の61.8%で、強烈なレジスタンスとなっている。
直近の8/12、9/4、9/17でフィボナッチ・エクスパンションをすると、COP(第1目標)の133円前
半は一度下げ止まっているが、XOP(第3目標)も126円台でこの点からも150円~126円のレンジ
が継続する可能性を示唆している。
また、今年4月からの6月への上昇局面と、その後の下落局面でそれぞれトレンドラインを引くと、
「ユーロ/円」は引き続き下げるバンドの中にあり、緩やかに下げる動きが継続すると思われる。
結果、対円である「ユーロ/円」は10月の日銀の動向に翻弄されるため、対ドルである「ユーロ/
米ドル」のほうがトレードしやすいと想定している。
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