Ⅲ 都市づくりの目標と基本方針(全体構想) 1.都市づくりの目標 1)開成町の将来都市像 本計画においては、次の基本理念を踏まえながら将来都市像を設定し、そ れを実現するための基本的な方向を定めるものとします。 (1)基本理念 開成町における都市づくりは、次の視点を基本理念として取り組んでい くものとします。 “利便性・快適性” ゆとりと潤いのある生活環境の中で、町民の日々の暮らしを支える生活 支援機能が整った便利で快適な生活を営むことができる都市づくりを進め ること “安全性” 災害に対する危機管理体制の構築や交通環境の整備など、町民が安全か つ安心して暮らせることができる都市づくりを進めること “保健・福祉” 誰もが健康で、社会の担い手として生き生きと活躍でき、住み慣れた地 域で安心して暮らし続けられる都市づくりを進めること “文化性” これまで守り育んできた地域独自の文化を今後とも大切に保全・活用し、 町民の誇りを醸成する魅力的で個性豊かな都市づくりを進めること “社会経済性” 豊かな町民生活を支える都市活動・産業活動を活力のあるものとするた めに、環境・基盤が整った都市づくりを進めること - 41 - (2)将来都市像 開成町が担うべき役割や都市機能、空間像が象徴的に認識できるよう、 次のとおり開成町の将来都市像を設定します。 人と水と緑が調和した活力ある快適都市 “かいせい” 開成町が持つ自然環境や歴史環境等の地域資源を大切にしながら、快適 な生活をおくることのできる都市機能の充実や活力ある産業基盤の整備を 進め、力強い“かいせい”を目指します。 (3)都市づくりの基本方向 将来都市像を実現する今後の取り組みの基本的な方向については、次に 示す3つの柱を設定します。 ○優れた地域資源の適正な保全と潤いのあるふれあい 環 境の整備 ○交流をうながすネットワーク環境の整備 ○優れた地域資源と調和した景観まちづくりの推進 ○安らぎに満ちた町民生活を育む福祉のまちづくりの推進 ○町民の日常的な暮らしを支える基礎的な生活の場の整備 ○地域資源の維持・継承を可能とする自然に優しい共生の まちづくりの推進 ○町民の安全な暮らしを保障する防災のまちづくりの推進 ○活力ある都市活動を営むことができる産業・経済活動の 場の整備 ○都市活動の活力を支える利便性の高い交通・情報システ ムの整備とそのネットワーク化 ○人口集積を受け止める新たな居住空間の整備 - 42 - 2)将来の都市空間構造 (1)将来フレーム ① 人口フレーム 全国的な人口減少社会の中、開成町では南部地区開発等による人口増が 見込まれ、既成市街地などの都市機能を高めながら、今後、目指すべき人 口は、平成 37 年で 19,300 人を想定します。 人口のフレーム 平成 12 年 平成 17 年 (単位:人) 平成 22 年 平成 37 年 (2000 年) (2005 年) (2010 年) (2025 年) 総人口 13,396 15,123 16,369 19,300 9,819 11,594 12,836 15,900 3,577 3,529 3,533 3,400 市街化区域 人口 市街化調整区域 人口 参考:第五次開成町総合計画「開成町主要指標検討資料」 ② 産業フレーム 産業フレームについては、過去の就業者数および産業別就業者の推移か ら、以下のように設定します。 産業のフレーム (単位:人) 平成 22 年 平成 37 年 (2010 年) (2025 年) 7,986 9,725 第 1 次産業就業者数 253 225 第2次産業就業者数 2,623 2,900 第3次産業就業者数 5,083 6,500 就業者数 参考:第五次開成町総合計画「開成町主要指標検討資料」 - 43 - ③土地需要フレーム 《住居系土地需要フレーム》 開成町の人口は今後も増加する見込みであり、平成 37 年で総人口 19, 300 人、市街化区域人口は 15,900 人を想定しています。 現在の市街化区域における飽和人口は、15,400 人であり、今後、必要 に応じて市街化区域の拡大を図り、対応するものとします。 目標年次の 37 年までに概ね 8.3ha の住居系市街地の拡大を見込みます。 将来市街地内 目標収容人口 現行市街化区域 配分人口 現行市街化区域 オーバーフロー人口 住居系 拡大市街地面積 基準年次 平成22年 目標年次 平成37年 ─ 15,900人 12,800人 15,400人 ─ 500人 ─ 8.3ha※ ※拡大市街地 8.3ha は、人口密度 60 人/ha で算出しています 〈参考:現行市街化区域の人口配分計画〉 面 積 開成駅周辺地区 人口密度 30.7ha 配分人口 2,500人 ※1 実績値(80 人/ha程度) 松ノ木河原地区 5.7ha 延沢西河原地区 3.8ha 300人 南部地区 26.8ha 1,600人 小 計 67.0ha その他 一般住宅市街地 174.0ha 区画整理等 実施済地区 合 計 ※2 241ha ─ 500人 4,900人 60人/ha 10,500人 ─ 15,400人 ※1:開成駅周辺地区 23.8ha(26.5ha の内、工業系用途地域 2.7ha を除きます) 、開成駅 屋敷下南地区 2.7ha、開成駅屋敷下地区 3.3ha、開成駅道通河原地区 0.9ha の合計で す。 ※2:現行市街化区域 284ha の内、区画整理等実施済地区 67.0ha、工業系用途地域 43ha を除きます。 - 44 - 《工業系土地需要フレーム》 開成町の既存の工業系土地利用での企業立地は、概ね完了していますが、 今後予想される土地利用は、研究開発機能や工業生産機能等の拡大が考え られます。ここでは、第 2 次産業就業者数の増加数に 66.0 人/ha を基準 に算出します。 本計画では、平成 37 年までに概ね 4.2ha の工業系市街地の需要を見込 みます。 基準年次 平成22年 将来市街地内 目標収容人口 現行市街化区域内 配分人口 現行市街化区域 オーバーフロー人口 工業系 拡大市街地面積 目標年次 平成37年 2,900人 2,623人 2,620人 ─ 280人 ─ 4.2ha※ ※第 2 次産業就業者増加数の算出で使用している 66.0 人/ha は、経済産業省の平成 24 年工 業統計調査から開成町を含む小田原・茅ヶ崎地区における値を採用しています。 - 45 - (2)広域圏の空間構造 「かながわ都市マスタープラン地域別計画」(平成 22 年 11 月改訂)で は、開成町を含む県西地域の将来都市構造をゾーンと拠点、連携軸につい て次のように示されています。 また、地域の拠点「開成駅周辺」の方針としては、なだらかな地形を生 かし自転車利用を推進するとともに、土地区画整理事業による新たな産 業・住宅機能の立地を誘導することで、都市機能の集積化、複合化を図る ことが示されています。 ゾーン 広域拠点 ・複合市街地ゾーン ・環境調和ゾーン ・自然的環境保全ゾーン 小田原駅周辺 地域の拠点 開成駅周辺、大雄山駅周辺、中井町役場周辺、 大井町役場周辺、松田、新松田駅周辺、 山北駅周辺、箱根湯本駅周辺、真鶴駅周辺、 湯河原駅周辺 県土連携軸 ・ 「県央足柄軸」を構成する「新東名高速道路」 の整備や、 「相模湾軸」を構成する「西湘バイ パス」の延伸を進め、 「東海道貨物線」の本格 的な旅客線化に取り組みます。 ・ 「酒匂東軸」を構成する「酒匂縦貫道路」の整 備を進めるとともに、 「酒匂西軸」を構成する 「酒匂右岸幹線」の整備や「大雄山線」の延伸 などに向けて取り組みます。 都市連携軸 ・広域拠点「小田原駅周辺」の中心市街地を迂回 する連携軸として、 「小田原環状軸」を位置づ け、商業・業務、観光・レクリエーションなど 多様な都市機能の交流連携の強化を図ります。 拠 点 連携軸 - 46 - (3)開成町の都市空間構造 県西地域としての広域的な構造や開成町の都市構造、さらに都市づくり の目標を踏まえ、次の基本的な考え方により、将来の都市空間構造を設定 します。 ■基本的な考え方 ○良好な自然環境や既成市街地における集積状況、立地特性などの土地 利用を踏まえた特徴あるゾーンを形成します。 ○開成町の自立性や利便性を高め、様々な交流活動などの受け皿となる 都市拠点を形成します。 ○都市間や都市内の様々な交流活動を支える都市機能や景観の軸を形成 します。 ■ゾーンの形成 区 分 ○北部地域「ふるさと」ゾーン 形成方針 ・優良農地の保全に努めていくとともに、豊かな自 然を守りながら居住空間の環境整備を進めます。 ・景観、歴史、自然環境を生かした町民の「ふるさ と」の顔づくりをめざします。 ○中部地域「くらし」ゾーン ・幹線道路の整備を促進し、生活道路や水路の整備 など既存市街地の住環境整備に努めます。 ・良好な都市環境が確保された「くらし」の快適生 活空間をめざします。 ○南部地域「ときめき」ゾーン ・市街化調整区域も含めた良好な住宅地、商業拠点 及び産業拠点の都市機能の集積を図ります。 ・広域で交流できる「ときめき」の拠点をめざしま す。 ■拠点と軸の形成 <拠点> 区 分 ○公共公益施設が集積する 行政・文化拠点 ○開成町の玄関口として魅力ある 商業・業務拠点 形成方針 ・既存の行政サービス機能(開成町役場、開成 町民センター、保健センター、開成町福祉会 館)の維持・強化 ・開成駅周辺における商業業務機能の充実 ・交通結節拠点として開成駅前広場の再整備 - 47 - ○都市活動の活性化を促進する 産業拠点 ○地域資源を活かした ふれあい拠点 ・中央地域の既存工業地の適正な維持 ・南部地区での地域環境を踏まえた産業拠点の 形成 ・酒匂川沿岸の緑地の利用促進 ・あじさいの里の活用促進 ・あしがり郷「瀬戸屋敷」の活用促進 ・北部地域活性化の推進(農業の6次産業化) <軸> 区 分 形成方針 ・都市計画道路 3・4・1 関本開成大井線にお ける沿道サービス機能等の誘導 ・沿道の市街化が見込まれる都市計画道路 3・ ○都市間、都市内における交流活動 4・2 和田河原開成大井線の整備 を支える都市軸の形成 ・都市軸とともに町民の南北方向の移動を担保 する都市計画道路 3・4・3 山北開成小田原 線の整備 - 48 - 3)都市づくりの重点プロジェクト 開成町のまちづくりを進めるリーディングプロジェクトとして、以下のプロ ジェクトを設定します。 地域・ゾーン 重点プロジェクト 1.都市計画道路 3・4・3 山北開成小田原線の整備(北部地域 の区間) ○北部地域 「ふるさと」ゾーン 2.広域的な観光拠点との連携強化と四季を通じた観光地とし てのステップアップ(瀬戸屋敷、農道・水路網、あじさい祭 等の既存の施設・環境・ソフト等の活用とその充実・強化、 さらなる施設・環境整備の推進、農業者の積極的な参画とイ ベント等のソフトの充実、等) 3.優良な農地の保全、人・自然にやさしい環境保全型農業と 広域観光の推進(あしがり郷「瀬戸屋敷」を拠点とした地域 資源を活かした農業の6次産業化の展開(農産物直売所の整 備等) 、ホタル公園の整備、小水力発電設備の設置、農業・ 自然とふれあい体験のできる体験型観光の充実、近隣市町と 連携した交流人口の拡大、等) 1.都市計画道路 3・4・3 山北開成小田原線の整備(中部地域 の区間) ○中部地域 「くらし」ゾーン 4.既成市街地における町民の主体性・積極性に基づく地区まち づくり(地域資源を活用した地域の魅力づくり、周辺環境に 配慮した産業拠点、住・商・工が調和した住宅地、等) 5.開成町役場を核とした災害応急活動の拠点整備(災害への 対応力を強化して耐震性能を確保、等) 6.都市計画道路 3・4・4 駅前通り線の整備と開成駅周辺商業 地区における都市機能の高度化・複合化 7.南部地区の企業誘致促進に向けた新規工業系市街地の開発 ○南部地域 「ときめき」ゾーン 8.南部第 2・3地区における新規住居系市街地の開発と土地 区画整理事業未実施区域における町民の主体性・積極性に基 づく地区まちづくり 9.都市計画道路 3・4・1 関本開成大井線の沿道における新規 商業系及び住居系市街地の開発 10.交通結節拠点として開成駅の機能拡充(開成駅東口駅前 広場の再整備等) ※6次産業化とは、農林漁業者(1次産業従事者)が これまでの原材料供給者としてだけではなく、 自ら加工(2次産業)・流通や販売(3次産業)に一体的に取り組み、経営の多角化を進めることです。 - 49 - 図 都市づくりの重点プロジェクト - 50 -
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