地域ゼミⅠ「絵本の読み聞かせを中心として異文化交流」最終報告書

地域ゼミⅠ「絵本の読み聞かせを中心として異文化交流」最終報告書
地域ゼミⅠ(留学生科目)担当者 立部文崇
留学生を対象とした「地域ゼミⅠ(立部担当)
」は昨年度に引き続き、今年度も小学校児童と全7回
にわたり異文化交流を実施しました。日頃、触れ合うことが少ない小学校児童に対して、留学生は自
分たちの日本語を使って何ができるのか、また何を伝えることができるのかということに挑戦しまし
た。本地域ゼミの具体的な「学びの課題」は以下の3点でした。
①日本語を使い,聞き手に伝えるということを実感すること
(聞き手への意識というもの重要性を考えること)
②「伝える」ために必要な聞き手への気遣いを身につけること
(聞き手に言いたいことはどのように伝えればいいのかということを考えること)
③日本語での発表に必要な会話特有の表現の重要性を知ること
上記3点の「学び」を得るために留学生が挑戦したタスクは、
「小学校1年生〜3年生への絵本の読み
聞かせ」
、そして「4年生〜6年生への母国の紹介」を行うというものでした。これらのタスクを行っ
た留学生からは以下のようなコメントがありました。
・ 教科書的な話し方くらい出来たら学校や日常生活に問題ない。言葉に関して工夫はもう要らない。
勉強して語彙量や文法を学べる、それが大事だと思っていた。この授業で学べたことは、話す時の
相手への気遣いである。誰かと話す時、相手に気を配って、意識して、相手に合わせて言葉を使う。
それこそ、伝えるという言葉の意味である
・ 自分の日本語レベルは日常会話なら問題ないと思いましたが、それは相手が大人だからです。低学
年と交流するとき子供しか使わない言葉で私は理解できませんでした。もちろん、私の言葉で通じ
ないときもありました。子供たちを理解しようと、相手の言葉から始めました。絵本の文章みたい
に「ね、よ」可愛い言葉を使いました。それで、距離感を縮めることができました。
上記2例のコメントは、留学生が受講後に提出したコメントのほんの一部です。ほぼ全ての学生が、
自分が話す対象への気づき、配慮の必要性について言及していました。また大人になってから失って
しまったこどもの視点というものに対する気づきも見られました。このような点から考えると先に挙
げた3つの「学びの課題」は十分に達成できたと考えられるのではないでしょうか。