アトラクション 和紙を着る 紙衣(かみこ) 紙衣(かみこ)は、千年以上も昔、修行僧の衣料として使われていた記録もあり、 中世には武士の胴服や陣羽織などに用いられ、雨露を防ぎ、丈夫で軽く、寒さから身 を守る、戦陣にはなくてはならぬ衣料となりました。伊達政宗や上杉謙信、そして豊 臣秀吉も紙衣の陣羽織を愛用していました。江戸時代に入って一般の人々にも普及し、 俳人、茶人、粋人の間で絹のように光沢がなく「わび・さび」にも通じる独特のその 風合いから「衣の極致」とまで賞賛されました。そのような紙衣が現在でも着用され ているひとつに奈良の東大寺があります。毎年行われている「修二会」 (お水取り)は、 今日まで 1260 数回を超え、天平の昔から一度たりとも休まずに行われています。 「修二会」(お水取り)に参籠する練行衆(僧侶)は、2 月から 3 月という厳冬に身を 守るためと、心の清浄さを示して白い紙衣を着る習わしになっています。 今回製作した紙衣は、細川紙に柿渋、藍、墨、顔料等を用いて絞り模様に染めて、 一枚の紙から一枚の布になるため柔らかさ、表情、風合いを考えながら仕上げました。 そして、細川紙と同じ紙料を使い、新潟県の佐潟と佐渡島で栽培・収穫された茶綿(木 綿)を漉き込んだオリジナルの和紙(木綿和紙)を使用し、現代のファッションとし ての新しい可能性の提案と和紙の活用方法の一つの道しるべとしました。 岡嶋多紀氏プロフィール 木綿と和紙(健康な二つの素材) 現代の様々な素材の混乱の中、「綿から生まれ、綿にかえる」という理念か ら木綿と向き合い、対話しながら木綿の力を提案してきました。そして創作活 動して行く過程から和紙に出会い、和紙の原料の楮も木綿と同じくその用と美 は人々の生活の中で確固たる文化を築いていることから、木綿との融合、和紙 の更なる可能性を求め試行錯誤してきました。約 20 年前から訪れた埼玉伝統 工芸会館での展覧会「木綿は生きている。織物から和紙へ」 (1998 年)から始 まる活動では、作り手(小川町、東秩父村の手漉き和紙職人)と使い手(作家、 デザイナーなど)との対話・交流をしながら和紙の可能性を探求する「かみの みぞ展」 (2004 年〜)を企画し、展覧会を開催し来場者の多くの皆様にも和紙 の持つ魅力を伝えながら、作品を発表しています。 2004 年 「かみのみぞ展」〜和紙の抱擁力に魅せられた作家達の楽描〜 2006 年 「かみのみぞ展」〜紙の道 2008 年 「かみのみぞ展」〜小川和紙との芸術的接点〜 2014 年 「かみのみぞ展」〜和紙を伝え、描く〜 伝統への接点〜
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