(2015 年7月号掲載) 群馬県における温泉旅館・ホテルの外国人観光客への取り組み 一般財団法人群馬経済研究所 主任研究員 ~要 松下 均 約~ 1.政府は観光立国の実現に向け、訪日外国人旅行者の誘致と受入体制の整備に注力してい る。近年、その成果と円安の影響などもあって訪日外国人旅行者数が急増していることか ら、当研究所では県内温泉地の旅館・ホテルの外国人観光客(宿泊客)への取組状況につ いてアンケート調査を実施した。以下は、その結果の概要である。 2.回答のあった県内温泉旅館・ホテル(以下、旅館等)の半数では、外国人観光客の割合 が1%未満であるが、同様の調査を実施した5年前に比べれば受け入れは進んでいる。な お、外国人観光客の国・地域では、台湾や韓国が多い。 3.外国人観光客に対応するため旅館等の4分の1は、無線でインターネットに接続できるW i-Fi(ワイファイ)の整備やホームページの外国語対応などを実施している。 4.外国人観光客に対するこれまでの取組方針は、規模が小さい旅館等を中心に6割弱が消 極的であり、「外国人観光客に対応できるノウハウや人材の不足」、「館内設備等が外国 人に対応していない」等がその理由であった。 5.一方、外国人観光客に対する今後の取組方針では、国内の人口減少や高齢化などへの不 安から、「積極的」が増えている。 6.自社の立地する市町村が官民一体となって外国人観光客誘致に取り組む必要があるかど うかをたずねたところ、「取り組むべき」との回答が6割弱を占めた。また、外国人観光 客を増加させるための具体策としては、Wi-Fi環境充実などの「受け入れるためのインフラ 整備」や「海外の旅行会社やメディア等に対する宣伝活動」が多く挙がった。 7.今後も、本県を訪れる外国人観光客を増加させるために、①ターゲットとする国・地域 を絞った誘致活動の継続実施、②外国人観光客受入体制の整備・検証と小規模旅館等への 支援、③心のこもったおもてなしの実践、等々が必要となろう。
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