進路指導室から第26号

平成 27 年 9 月 28 日
進 路 指 導 部
はじめに
現在、イングランドで、
「ラグビーワールドカップ 2015」が開催されています。さる、9月19日の試合で、日
本チームが南アフリカチームに34対32で勝利するという快挙を成し遂げました。ところで、ラグビーは他に
競技と異なり、
「出生地が日本」
、
「両親、祖父母のうち一人が日本出身」
、
「日本で 3 年以上、継続して居住している」
という条件を1つでも満たせば、日本国籍をもたない外国人選手も日本代表になることができます。これは、ラグ
ビーの場合、国籍よりも、所属しているチーム、そして、そのチームがある協会を優先する事情があるようです。今回
の日本代表チーム31中10人が外国人選手ですが、今回の快挙は、日本人選手と外国人選手が共に「勝利」という目
標をめざして1つになることができたからではないでしょうか。
さて、ラグビ―日本代表エンブレムはご存じですか。答えは「桜」です。選手たちが着用するジャージには、3つの
「桜」の花のエンブレムが着いていますが、エンブレムが作成された当時の関東・関西・九州の各協会を表してい
るとのことです。また、
「桜」のエンブレムには、
「正々堂々と戦い、敗れるときには美しく散れ」という意味が
込められていたと言われているそうです。今後の日本代表チームの闘いを注目していきたいと思っています。
大学の選択について
大学を選ぶ基準には、興味・関心、就職率、伝統などいろいろあるかと思いますが、その大学で行われている
特色ある研究に注目することもその一つだと考えています。
大学での研究を支える制度の一つとして、
「科学研究費助成事業」があります。この事業は、人文学、社会科学
から自然科学まで全ての分野にわたる独創的・先駆的な「学術研究(研究者の自由な発想に基づく研究)
」に取り
組んでいる研究者に対して支援を行うというものですが、先ごろ、平成27年度における「科学研究費助成事業」
の配分が決定したようです。この配分決定から、現在、各大学が力を入れている研究の一端を知ることができま
す。
いろいろなタイプの指定がありますが、その中で、
「特別推進研究」といって、
「国際的に高い評価を受けてい
る研究であり、格段に優れた研究成果をもたらす可能性のある研究(期間3~5年、1課題5億円程度を応募総
額の上限の目安とするもの)を紹介します。参考にしてもらえればと思います。
〔平成27年 特別推進研究 新規課題一覧〕
研究代表者
研 究 課 題 名
人文・ 市村 英彦 氏(東京大学・経済学研 多様な個人を前提とする政策評価型国民移転勘定の創成による尐
社会系 究科(研究院)
・教授)
子高齢化対策の評価
理工系 佐川 宏行 氏(東京大学・宇宙線研 拡張テレスコープアレイ実験―最高エネルギー宇宙線で解明する
究所・准教授)
近傍極限宇宙
福井 康雄 氏(名古屋大学・理学 星間水素の精密定量による新たな星間物質像の構築
(系)研究科(研究院)
・教授)
土山 明 氏(京都大学・理学(系) 太陽系始原物質の3次元構造から探る宇宙・太陽系における固定物
研究科(研究院)
・教授)
質の生成・進化モデル
山内 薫 氏(東京大学・理学(系) サブフェム秒分子イメージング
研究科(研究院)
・教授)
大越 慎一 氏(東京大学・理学(系) 光・電磁波に相関する相転移物質の創成と新機能
研究科(研究院)
・教授)
小林 修 氏(東京大学・理学(系) 水を媒介として活用する有機化学の革新
研究科(研究院)
・教授
新田 淳作 氏(東京大学・工学(系) スピン軌道エンジニアリング
研究科(研究院)
・教授)
荒川 泰彦 氏(東京大学・生産技術 量子ドットーナノ共振器多量量子結合系における個体量子電気力
研究所・教授)
学探求と新ナノ光源創成
山田 敦夫 氏(東京大学・工学(系) 新材料・新界面統合設計戦略に基づく革新的エネルギー貯蓄システ
研究科(研究院)
・教授)
クの構築
小野 輝男 氏(京都大学・化学研究 スピンオービトロニクスの学理構築とデバイス展開
所・教授)
生物系 高柳 広 氏(東京大学・医学(系) 骨免疫学の推進による新たな生体制御システムの理解
研究科(研究院)
・教授
審良 静男 氏(大阪大学・免疫学フ 自然免疫の包括的理解
ロンティア研究センター・教授)
遠藤 斗志也 氏(京都産業大学・総 ミトコンドリア生合成を司る細胞内統合的ネットワークの理解
合生命科学部・教授)
詳細については、文部科学省のホームページで確認してください。
また、平成16年度に法人化された国立大は、法人化以降、競争的環境と自主的・自律的な運営体制の下で、
教育環境の活性化や地域貢献などに取り組んでいます。こうした中、国立大は、第3期中期目標期間(平成28
年度~33年度)において、教育研究や地域貢献のため、さらなる改革・改善と発展が求められていますが、文
科省の有識者会議は先ごろ、各国立大の機能強化の方向性に応じた“3つの重点支援枠”を国が設定し、大学が
選択する1つの支援枠の評価を予算配分に反映させるなど第3期の「国立大学法人運営費交付金」の在り方につ
いて提言しました。
重点支援のタイプ
〔重点支援①〕
大 学 名
鳥取大、島根大、山口大、徳島大、鳴門教育
主として、人材育成や地域課題を解決する取組などを通じて地域に 大、香川大、愛媛大、高知大
貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色
など55大学
のある分野で世界ないし全国的な教育研究を推進する取組
〔重点支援②〕
筑波技術大、東京医科歯科大、東京外国語大、
主として、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で 東京学芸大、東京芸術大、東京海洋大、お茶
地域というより世界ないし全国的な教育研究を推進する取組
の水女子大、電気通信大、奈良女子大、九州
工業大、鹿屋体育大、政策研究大学院大、総
合研究大学院大、北陸先端技術大学院大、奈
良先端科学技術大学院大 15大学
〔重点支援③〕
北海道大、東北大、筑波大、千葉大、東京大、
主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍して、全学的 東京農工大、東京工業大、一橋大、金沢大、
に世界で卓越した教育研究、社会実践(注,研究開発成果を社会に 名古屋大、京都大、大阪大、神戸大、岡山大、
活かす)を推進する取組
広島大、九州大 16大学
以上に係る平成28年度概算要求額として、404億円が計上されていますが、各重点支援枠における具体的
な割合等については、今後、平成28年度の予算編成過程において決定される予定ですが、各大学の「位置づけ」
が明確にされつつあるように思います。
終わりに
TIPY(This is Pocket Yell)にこんなことが紹介されていました。
センター試験までの日数が減っていく中、模試ラッシュが続く中、みんなが自己嫌悪と戦いながら、こんなんじ
ゃだめだって頑張ろうとしていると思う。
悔しくて情けなくて涙も溢れますよね。誰もが通る道。だけど、いくら泣いたって合格するわけじゃない。
大切なのは、とことん泣いたら、また気持ちを切り替えて机に向かうこと!
絶対あの大学に合格するんだっていう気持ちを再確認して!
その涙や葛藤は絶対無駄になりません。
ラグビー日本代表の快挙は、これまで負け続けた悔しさと猛練習の賜物だと思います。まずは、自分に負ける
ことなく前に進むことが大切です。
(文責:進路指導部 池本 邦彦)