ロンドン・パリの車いすアクセシビリティ

SSKA頸損 No.114
2014 年 12 月 9 日発行
ロンドン・パリの車いすアクセシビリティ
東京頸髄損傷者連絡会
横田 恒一
2014 年 9 月 22 日~27 日の 6 日間、ロンドン・パリへ
旅行に行ってきました。今回は、私が見たロンドン・パリ
とユーロスターの車いすアクセシビリティについてお知ら
せします。
●ブリティッシュ・エアウェイズとヒースロー空港
飛行機はブリティッシュ・エアウェイズ BA006 便、成田
空港発、ヒースロー空港着を利用しました。ブリティッシ
ュ・エアウェイズのホームページにもありますが、エコノミ
●大英博物館とロンドン・アイ
ークラスの座席間隔は少し広くなっているようです。
大英博物館のアクセシビリティは良くできていました。
183cm の私でも膝が前の座席につくことはありませんで
正面入口の階段の両側にリフトがあります。館内にはエ
した。
レベーターがあり、フロアー内の 2,3 段の階段にはスロ
ブリティッシュ・エアウェイズはヒースロー空港、第 5 タ
ープかリフトがついています。
ーミナルに到着します。頼んでいた通り車いすはボーデ
ィングブリッジまで届けられていました。第 5 ターミナル
は巨大です。ここだけで成田空港第 2 ビルと同じくらい
あるのではないでしょうか。入国審査のビルとバゲージ
クレームのビルは別になるので空港内の電車に乗って
移動します。
●ヒースロー・エクスプレス
ヒースロー・エクスプレスはサイン通りに進めば乗るこ
ロンドン・アイは車いすで問題ありません。車いすが
とができます。ホームと車両との段差はほとんどありませ
乗降する時は一瞬あの大きな観覧車を止め、カプセル
ん。列車には一箇所車いすスペースがあり、車いす 2 台
の入り口にスロープをおいてくれます。カプセルはとても
まで乗ることができます。ロンドン中心部、Paddington 駅
大きいので車いすでも窮屈な思いをすることはありませ
までは 20 分ほどで到着します。
ん。
●ロンドンバス
ロンドンバスと言えば、あの赤い 2 階建てのバスです。
乗車客はバスの前ドアから乗るのですが、車いすは中ド
アから乗降します。ローフロアーになっていて、スロープ
が自動で出てきます。運転手が乗降を手伝うことはあり
ません。車いすスペースは中ドアの目の前にあり、車い
すを進行方向の反対向きに止めます。降車の時は車い
すスペースにある専用ボタンで知らせると停留所でスロ
●ユーロスター
ープを出してくれます。
ユーロスターに乗ってロンドンからパリへ日帰りしまし
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SSKA頸損 No.114
2014 年 12 月 9 日発行
た。ロンドンやパリへ行かれた頸損の方はいらっしゃると
●パリのバス
パリ(Garu de Nord 駅)からルーブル美術館へ直接行
思いますが、ユーロスターに乗った方は少ないと思いま
けるバスルートがありましたので利用しました。
すので少し詳しくお知らせします。
ローフロアーで車いすは中ドアから乗降します。ロン
ユーロスターはロンドン(St Pancras 駅)、パリ(Garu de
ドンバスと同様スロープは自動で出てきます。
Nord 駅)を 2 時間半ほどで結びます。
旅行代理店に断られたため、予約は自分でユーロス
ターのサイトでしました。障害者と証明する必要はなく、
●ルーブル美術館
長い入場の行列に並ぶと係の方がプライオリティ・ゲ
約半額の運賃で障害者本人と付き添い 1 名まで乗るこ
ートがあると教えてくれました。一般の方の入口の横に
とができます。私の場合、ひとり片道 69 米ドルでした。
国際列車なので乗り方は飛行機と同じです。チェック
イン後、手荷物検査、パスポートチェックを受け、待合ス
障害者、ベビーカー連れの方用の入口があります。並
ばずに入場できました。
ペースで出発を待ちます。ホームの番線は出発の 15 分
館内にはエレベータがあり問題ありません。フロアー
ほど前にならないとわかりませんし、アナウンスがあるま
にある段差にはリフトが用意されています。ただ、階段
でホームに行くことはできません。ロンドン(St Pancras
の踊場にあるミロのビーナスは車いすで近づくことは難
駅)、パリ(Garu de Nord 駅)とも出発前に駅員さんが私達
しいと思います。
のところに来て搭乗するよう教えてくれました。ホームに
行くとすでにリフトが用意されていて、それで車内に乗り
●北駅のエレベーター
込みます。ロンドンとパリではリフトのタイプが違います。
北駅のユーロスターのチェックインカウンターは 2 階
写真をご覧下さい。車内の車いすスペースは新幹線と
にあります。しかし、2 階へ上がるエレベータが 2 つとも
ほぼ同じです。2 列シートの通路側のシートがはずされ
壊れていました。そこへ行かなければ出国手続きができ
スペースが作られていています。
ずロンドンへ帰れません。駅員に「エレベータが壊れて
いる」と伝えると、始めは「そうだ。壊れている」と答える
だけ。どうしたらいいんだとしばらく粘っていたら、ようや
くマネージャーに連絡してくれました。マネージャーに
連れられ従業員用のエレベータを利用してなんとか 2 階
へ上がることができました。
日本では駅のエレベータが壊れているなんてまず考
えられませんが、パリはそういう街のようです。また、車い
すの海外旅行は何があるかわかりません。問題を解決
リフト ロンドンタイプ
する度胸と語学力が求められますね。今回は自分の語
学力の低さを痛感させられました。
最後に、旅行中に撮った写真と動画を Youtube にア
ップしてありますので、お時間のある時にご覧ください。
タイトルは「Power Wheelchair Travel London and Paris
2014」です。いつか旅行記をちゃんと書きたいと思いま
すが、いつのことになるやらです。
リフト パリタイプ
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