宇宙の科学(第9章) 前回の問題の答え 太陽が属するHR図上のグループはどれ ? 科学技術理解Ⅲ(宇宙の科学) 第9章 恒星の一生 分子雲 原始星 分子雲コア(分子雲で特に密度の高いとこ ろ)が何かのきっかけにより重力崩壊し、 星が生まれる。 重力崩壊とは、自分自身の重力によって、ど んどん収縮し、より密度が高い状態になって いくこと。 重力崩壊 ⇒ 密度上昇 ⇒ 中心部では 温度・圧力が上昇し、収縮が止まる。 外側の収縮は止まらず、次々と中心部に ガスが降り積もる。 降り積もるガスが開放する重力エネルギー で中心部は輝き始める ⇒ 原始星の誕生 生まれたばかりの原始星は、まわりのガス 密度が高く、可視光では見えない。 その後、周囲の物質が吹き飛ばされて、星 が見えるようになる。 6 主系列星 電子 - 7 5 原始星から主系列星へ 原始星では、中心温度があまり高くないの で、核反応は起きていない。 原始星は徐々に収縮し続ける。それにつ れて中心温度が上昇する。 中心温度が1千万度を超えると、核反応が 始まる。 すると、星の収縮が止まり、安定して輝き 出す。これが主系列星の誕生。 3 原始星(つづき) 4 星間物質: 星と星との間の空間に存在する 物質。水素を主成分とするガスと固体微粒子 (チリ)から成る。 星間雲: 星間物質密度の高いところ。 分子雲: 星間雲の中でも特に密度が高く、気 体分子が存在するところ。 2 重力崩壊 星は分子雲で生まれる。 主系列星 巨星 白色矮星 超巨星 中性子星 1 陽子 + + 原子核 主系列星: 中心部で水素の核融合反応 が起こっている星。 中性子 - 星は一生の大部分を主系列星として過ごす。 主系列星は安定状態である。 HR図上での主系列星の位置の違いは、質 量の違いを表している。 重い星ほど高温で、明るい。 原子の構造の概念図 8 9 1 宇宙の科学(第9章) 進化の進んだ星(1) 進化の進んだ星(2) 水素が核反応を起こすとヘリウムができる。 ⇒ その結果、星の中心部では水素が減り、 ヘリウムがたまっていく。 中心部の水素が無くなると、その周辺部の 水素が核反応を起こし始める。 すると、ヘリウムコアは収縮し、外層部は 膨張して、赤色巨星となる。 ヘリウムコアはさらに収縮を続け、中心温 度は上昇する。 中心温度が1億度以上になると、ヘリウム が炭素・酸素に変換される核融合反応が 始まる。 ヘリウムが燃え尽きた後の進化は、星の 質量によって大きく違う。 10 大質量星の終末(1) 大質量星の終末(2) 太陽の数倍以上の質量の星の場合、温度 が十分に上がって、炭素の核融合が始ま る。 十分に重い星では、ネオン、マグネシウム、 けい素、鉄と順番に核反応が進行する。 鉄は最も安定な元素なので、それ以上の 核融合は起きない。 中性子星 鉄のコアが収縮して、その温度が30億度 を超えると、鉄の分解反応がはじまる。 鉄の分解反応によって、中心温度・圧力が 下がり、重力崩壊がおこる。 そして、外層部は爆発的に吹き飛ばされ、 超新星爆発がおこる。 超新星爆発で残されたコアは、中性子星 またはブラックホールとなる。 12 質量は太陽ぐらい、大きさは地球ぐらい。 密度は1立方cm当たり1トン程度。 電子の縮退圧で重力を支えている。 14 15 星の質量と寿命 重力崩壊のときのコアの質量がある限界 より大きいと、重力崩壊を止められるもの はない。 ⇒ 無限に収縮して、ブラックホールになる。 ブラックホールは事象の地平面を持つ。そ の内側に入ると、光さえも外に出られない。 16 太陽の数倍以下の質量の小・中質量星の 場合、炭素・酸素コアが核反応をおこす温 度には達しない。 星の外層がはぎ取られ、惑星状星雲とな る。 やがて星の芯(コア)がむき出しになり、白 色矮星となる。 白色矮星は徐々に冷えて、暗くなっていく。 白色矮星 ブラックホール 質量は太陽ぐらい、半径は10kmぐらい。 密度は1立方cm当たり10億トン程度。 全部が中性子。中性子の縮退圧または核 力で重力を支えている。 11 13 小・中質量星の終末 例えば、太陽と同質量のブラックホールの事 象の地平面の半径(シュワルツシルド半径)は 約3km。 17 星は一生の大部分を主系列で過ごす。 星の寿命は燃料である水素の量と、エ ネルギーの消費率で決まる。 重い星ほど(より激しく輝くので)寿命は 短い。 質量(太陽質 量単位) 0.1 1 10 寿命(年) 3兆 100億 3000万 18 2 宇宙の科学(第9章) 星の世代交代 星間物質 ⇒ 星の誕生 ⇒ 星の死 ⇒ ガスの放出、星間物質との混合 ⇒ 新世 代の星の誕生 星の中でできたヘリウム、炭素、酸素、・・・ などの元素は新たな星に取り込まれる。 我々の体を作っている物質も、もともとは どこかの星で作られた! 19 3
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