● 北総鉄道2014年度決算 消費税率変更による先買いの反動もあり減収・減益 有利子負債、累積赤字とも依然巨額 千葉ニュータウンの新規入居は309戸と1982年以来の低水準 消費税率変更による先買いの反動もあり、 輸送人員は35,882千人と対前年比1.5%減 営業収益162億円(対前年△1億円)、 当期純利益は25億円(対前年△3億円)を計上するも 有利子負債は825億円を超え、累積赤字も177億円と依然、巨額 北 総 鉄 道 決 算 に つ い て (1)2014年度決算について <表①~④> 当会計年度における我が国経済は、消費税率引き上げに伴い個人消費に足踏みがみられた ものの政府の経済対策等の効果により、全体として緩やかな回復基調で推移いたしました。 しかしながら、いわゆる都心回帰は収まる気配をみせず、当社線沿線人口は、Ⅱ期線エリア (京成高砂~新鎌ヶ谷)で0.2%、千葉ニュータウンエリアでは0.01%の微増と前期に も増して伸び悩みの様相が明らかとなる一方で、高齢化や学齢人口の減少が進みました。 また、2010年7月より沿線自治体の補助と当社の負担による運賃値下げが行われてき ましたが、当該補助が終了することになったため、当社負担を継続しつつ、通学定期運賃を 除き2015年2月10日に普通運賃・通勤定期運賃について所要の改定を実施しました。 このような状況のなか、安全・安心で利用しやすい鉄道を目指し、駅のバリアフリー化、 高架橋の耐震補強、異常気象時の減災対策などを進めるとともに、需要の確保を図るため、 各種イベントの開催や接客サービスの向上運動などを積極的に展開し、業績の向上に努めま した。 その結果、定期外旅客は、対前期比338千人、2.9%減の11,311千人となりまし たが、消費税率変更による先買いの反動による減少等の影響を除き実質的には微増にとどま りました。区間別にみますと、千葉ニュータウン発着は360千人、5.2%の減になり、 Ⅱ期線内々では19千人、0.4%の増となりました。 定期旅客は、対前期比195千人、0.8%減の24,571千人となりましたが、消費税 率変更による先買いの反動による減少等の影響を除き実質的には20万人程度の増加にな りました。区間別では、千葉ニュータウン発着は、生産年齢人口や学齢人口の減少が続く一 方で期末入居増が戸数で309戸、0.9%増、人口で13人の微増と1982年以来の低 水準にとどまったことから427千人、2.6%の減少となりました。一方、Ⅱ期線内々は 矢切、秋山、東松戸周辺の住宅開発が堅調であったことから237千人、2.9%の増とな りました。 1 以上により、当期の輸送人員は対前期比533千人、1.5%の減の35,882千人とな りましたが、消費税率変更による先買いの反動による減少等の影響を除き実質的には20万 人程度の増加にとどまりました。 表① 千葉ニュータウンの入居戸数 入居戸数 2012 年度 2013 年度 2014 年度 (単位:戸) 差(対前年) 779 451 309 189 △328 △142 表② 輸送人員と旅客運輸収入 2014 年度 輸 送 人 員 定 期 外 定 合 期 計 旅客運輸収入計 前年 比 千人 % 11,311 △2.9 24,571 △0.8 35,882 △1.5 百万円 % 11,657 △2.2 営業収益は、前期に比べ1億4千3百万円(0.9%)の減収となる162億6千4百万 円となりました。旅客運輸収入につきましては、前期比2億6千1百万円、2.2%の減収 で116億5千7百万円となりましたが、消費税率変更による先買いの反動による減少等の 影響を除き実質的には2千万円程度の減少となりました。 営業費については、今年は車両5編成の定期検査があり、昨年より2編成の増加があった ことや、運賃改定のための営業機器の改造が発生したことなどによる修繕費の増加、電力料 の単価増などに起因する動力費の増加等により、前期に比べて6億1千3百万円(5.7%) の増加となる114億6千2百万円となりました。 以上により、営業利益は48億1百万円と前期に比べて7億5千7百万円(13.6%) の減益となりました。 また、営業外費用において独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構への支払利息が 減少したことなどにより、経常利益は前期に比べて6億8千3百万円(14.7%)減益の 39億6千3百万円となりました。 これから法人税等を差し引いた当期純利益は25億2千7百万円と前期に比べ3億6千 4百万円(12.6%)減となりました。 以上の結果、当期末の繰越損失は、いまだ177億7百万円、有利子負債は825億7千 3百万円と、依然として厳しい経営状況に変わりはありません。 2 表③ 比較損益計算書 (単位:百万円) 2014年度 2013年度 増 減 率 (%) 差 営 業 収 益 16,264 16,407 △143 △0.9 営 業 費 用 11,462 10,849 613 5.7 営 業 利 益 営業外損益 経 常 利 益 当期純利益 4,801 △838 3,963 2,527 5,558 △911 4,647 2,891 △757 73 △683 △364 △13.6 8.0 △14.7 △12.6 翌期繰越損失 17,707 20,234 △2,527 △12.5 表④ 貸借対照表 資産の部 科 目 負債及び純資産の部 科 目 金 額 金 額 百万円 資産の部 流動資産 固定資産 百万円 負債の部 12,104 流動負債 87,502 固定負債 負債の部合計 純資産の部 株主資本 資本金 利益剰余金 純資産の部合計 資産の部合計 99,607 負債及び純資産の部合計 9,349 83,065 92,414 7,192 24,900 △17,707 7,192 99,607 (注)記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。 (2)2015年度以降の見込みについて 沿線人口の高齢化による旅客需要の減少も既に一部地域で現実のものとなっており、首都 圏を含め我が国全体としても人口減少社会の到来が予測されるなか、今後の見通しについて は、より一層不確実性が高まり厳しい局面を迎えることが懸念されます。 今後も巨額の有利子負債に鑑み、金利動向に留意しつつ円滑な資金繰りの確保を目指し、 さらなる経費節減や増収対策に積極的に取り組んで行く所存であります。 3
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