膝の痛み - 南大沢メディカルプラザ

理学療法士
水越 裕美
歩く時、立ち上がる時、しゃがむ時や段差を昇る時・降りる時な
どに、膝関節に痛みが出てきていませんか。膝関節は体重を支える
関節のひとつです。知らず知らずのうちに負担をかけている場合が
あるかもしれません。
痛みを起こす原因は、①筋肉・骨、軟骨、靭帯、血管・神経、軟
部組織の損傷と関節の変性、②血液性状の悪化、③筋肉や靭帯構成
上の異常、すなわちアライメント(体重の荷重部位)の異常が挙げら
れます。事故やケガなど急激な外力から起こるものと、日常動作な
どの慢性的な内力から起こるもの、さらに内臓などの他の部位の痛
みをかばうこと(防御的姿勢)から起こるものなどがあります。関節
にこういった障害が起こってくると、関節を構成する様々な組織に
変性、炎症、発熱、水腫といった異常状態が発生し、それが周囲の
神経を刺激し、痛みが出現することになります。痛みを引き起こす
メカニズムはいくつかありますが、その中で③筋肉や人体のアライ
メント(荷重点)の異常を考えてみたいと思います。
筋肉というのは働く方向が決まっています。しかし、障害によ
って骨がずれたり、変形してきたりすると、そのアライメントも
崩れてきます。骨の変形などは元に戻せないので治せませんが、
動作に必要な筋肉を鍛えて働きを正常にすることでアライメント
を適切な位置に移動し、痛みを和らげることは可能です。一見ど
れも同じように働いているように見える筋肉も実はひとつひとつ
役割が違います。それぞれが協力し合い、助け合って私たちの身
体(関節)のスムースな動きを作り上げているのです。
南大沢メディカルプラザ2リハビリテーション科
ここでいくつか運動を紹介します。様子を見ながら行ってみてく
ださい。
【うつ伏せでのかかと突き出し運動】
1、うつ伏せになり、両足を伸ばし足首を90度に曲げ、足指
を床に立てる。
2、膝を浮かせ、左右のかかとをグッと下へ15秒間突き出す。
【枕はさみ】
1、両足を伸ばして座り、両足のくるぶしの間に枕(厚さ10
センチ程度)をはさむ。
2、両足で挟むように力を入れ10秒間キープする。
体重がかかる関節を痛める最大の敵は「荷重」、「衝撃」、「ひ
ねり」だと言われています。膝関節の働きは曲げ伸ばしをするこ
とがメインの仕事です。「ひねり」の動作は得意としていません。
加齢とともに筋肉に弾性がなくなってくると、膝を開いた状態の
まま立ち上がりやすくなります。これを続けていると、O 脚や変
形性膝関節症を引き起こす原因ともなります。日常生活の中で大
きく「ひねり」を出さないようにするためには膝を閉じることで
す。たとえば、あぐらをかくときは足を前後にずらす、腰を掛け
るときは足を組むのではなく膝を閉じるなど、ねじりを出さない
方が膝に負担がかかりにくくなります。運動もさることながら、
日常生活の座るという姿勢を少し見直してみるのもよいのではな
いでしょうか。
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