平成26年中の危険物に係る事故の概要

危険物事故関連情報
平成26年中の危険物に係る事故の概要
消防庁危険物保安室
16件(前年20件)となっています。
はじめに
平成26年中(平成26年
月
これらの事故による被害は、火災事故による
日∼12月31日)
に発生した危険物に係る事故について、概要及
ものが死者
び傾向を取りまとめましたので報告いたしま
60 人)
、損 害 額 21 億 8,622.0 万 円(前 年 44 億
す。なお、事故発生件数の年別の傾向を把握す
1,150.0万円。不明及び調査中を除く。以下同
るため、事故件数等にあっては、東日本大震災
じ。
)、流出事故によるものが死者
その他震度
人)
、負 傷 者 30 人(前 年 18 人)、損 害 額
弱以上(平成
年
月以前は震度
以上)の地震により発生したものを除いてい
ます。
人(前年10人)
、負傷者69人(前年
人(前年
億
2,421.0万円(前年
億4,132.0万円)となって
います。
(図
参照)
、表
危険物施設における火災事故の発生状況等
危険物に係る事故発生件数
ア
近年、危険物施設数にあっては年々減少して
火災事故による被害の状況等
いるところですが、事故件数については増加の
平成26年中に危険物施設において発生した
傾向にあり、平成26年中に発生した危険物に係
203件(前年188件)の火災事故による被害は、
る事故の件数は840件(前年771件)となってい
死者
ます。
損害額は21億4,007.0万円(前年43億3,482.0万
人(前年
人)
、負傷者64人(前年55人)
、
円)となっています。前年に比べ、火災事故の
平成26年中に発生した、危険物施設における
火災及び流出事故の合計件数は、599件(火災
発生件数は15件増加、死者は
203件、流出396件)と、前年に比べ35件の増加
は
となりました(前年564件:火災188件、流出376
となりました。
人増加、損害額は21億9,475.0万円の減少
また、火災事故
件)。
人減少、負傷者
件当たりの損害額は1,054
危険物施設における事故は、平成19年の603
万円で、これを製造所等の区分別に見ると、火
件(火災169件、流出434件)をピークとし、以
災事故の発生件数は一般取扱所が126件で最も
降はほぼ横ばいの状況が続いており、依然とし
多く、次いで製造所が36件、給油取扱所が26件
て高い水準で推移しています。また、平成元年
の順となっており、
以降事故が最も少なかった平成
年(287件:火
一般取扱所が1,499万円で最も高く、次いで、製
災113件、流出174件)と比べると、危険物施設
造所が603万円、移動タンク貯蔵所が288万円の
は減少しているにもかかわらず、事故件数は約
順となっています。
危険物施設
倍に増加しています。
ます。
外での火災及び流出事故の件数は22件(前年30
訳は、火災事故が
万施設当たりの火災事故の発生
件数は、危険物施設全体では4.76件となってい
無許可施設、危険物運搬中等の危険物施設以
件)と、前年に比べ
件当たりの損害額では、
危険物施設における火災事故の発生件数の推
件減少しており、その内
移を製造所等の別にみると、
最近の
件(前年10件)
、流出事故が
19
年間では、
Safety & Tomorrow No.162 (2015.7)
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弱以上(平成
年
月以前は震度
平成26年中に発生した危険物に係る事故の概要
火
災
被害
負傷
損害額
者数
(万円)
流
出
事
故
被害
負傷
者数
その他
危険物に
係る事故
発生件数
発生件数
818
203
1
64
214,007.0
396
0
25
42,391.0
219
無許可施設
9
6
1
5
4,615.0
3
0
0
25.0
0
危険物運搬中
12
0
0
0
0
12
0
5
5.0
0
仮貯蔵・仮取扱
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
小計
22
6
1
5
4,615.0
16
0
5
30.0
0
840
209
2
69
218,622.0
412
0
30
42,421.0
219
発生件数等
区分
危険物施設
危
険
物
施
設
以
外
危険物施設における火災・流出事故発生件数の推移
表
事故の態様
ᵹ಴੐᡿
(注)事故発生件数の年別の傾向を把握するために、東日本大震災その他震度
以上)の地震により発生した件数を除いています。
図
ᐔᚑ ర ෳ⠨ ෂ㒾‛ᣉ⸳ᢙ
ᐔᚑ ᐕ ઙ
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合計
死者数
一般取扱所、製造所及び給油取扱所の
上位を占めています。
(表 、表 、図
イ
ウ
施設が
発生件数
死者数
損害額 発生件数
(万円)
火災事故の発生原因及び着火原因
平成26年中に発生した危険物施設における火
参照)
災事故の発生原因の比率を、人的要因、物的要
出火の原因に関係した物質
平成26年中に発生した危険物施設における火
因及びその他の要因に区分してみると、人的要
災事故の出火原因に関係した物質(以下「出火
因が61.1%(124件)で最も高く、次いで、物的
原因物質」という。)についてみると、203件の
要因が28.1%(57件)、その他の要因(不明及び
火災事故のうち、危険物が出火原因物質となる
調査中を含む。
)が10.8%(22件)の順となって
火災事故が116件(57.1%)発生しており、この
いる。個別にみると、維持管理不十分、操作確
うち108件(53.2%)が第
認不十分という人的要因に続き、設計不良(物
類の危険物でした。
これを危険物の品名別にみると、第
53件(26.1%)で最も多く、次いで、第
参
照)
石油
石油類が18件(8.9%)
、
また、主な着火原因は、静電気火花が20.7%
石油類が14件
(6.9%)
の順となっています。
(42件)で最も高く、
次いで、
高温表面熱が16.3%
類が21件(10.3%)
、第
第
的要因)が高い数値となっています。(図
石油類が
Safety & Tomorrow No.162 (2015.7) 20
表
平成26年中の危険物施設における火災事故の概要
被
発生件数等
万施設
当たりの
発生件数
製造所
屋内貯蔵所
屋外タンク貯蔵所
屋内タンク貯蔵所
地下タンク貯蔵所
簡易タンク貯蔵所
移動タンク貯蔵所
屋外貯蔵所
36
5
1
0
1
0
8
0
70.48
0.99
0.16
0.00
0.11
0.00
1.19
0.00
0
0
0
0
0
0
0
0
34
5
1
0
1
0
0
0
21,708.0
484.0
9.0
0.0
3.0
0.0
2,302.0
0.0
件当たりの
損害額
(イ)/(ア)
(万円)
603
97
9
0
0
0
288
0
小計
給油取扱所
第一種販売取扱所
第二種販売取扱所
移送取扱所
一般取扱所
15
26
0
0
0
126
0.51
4.13
0.00
0.00
0.00
19.95
0
0
0
0
0
1
7
0
0
0
0
23
2,798.0
600.0
0.0
0.0
0.0
188,901.0
187
23
0
0
0
1,499
小計
152
11.78
1
23
189,501.0
1,247
203
4.76
1
64
214,007.0
1,054
発生件数
(ア)
製造所等の別
貯
蔵
所
取
扱
所
害
合計
(注)
死者数
万施設当たりの発生件数における施設数は、平成26年
損害額
(イ)
(万円)
負傷者数
月31日現在の完成検査済証交付施設数を用いています。
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㪊㪇
㪉㪐
㪉㪐
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(注)
ᐔᚑ㪉㪊ᐕ
㪊㪍
㪊㪉
㪉㪐
㪉㪎
㪉㪍
㪉㪉
ᐔᚑ㪉㪋ᐕ
ᐔᚑ㪉㪌ᐕ
ᐔᚑ㪉㪍ᐕ
件数20件未満の表記は省略しました。
簡易タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所の火災事故は過去
ていません。
図
危険物施設における火災事故件数の推移(過去の
年間発生し
年間)
(33件)
、過熱着火10.8%(22件)
、電気火花9.4%
396件(前年376件)の流出事故による被害は、
(19件)の順となっています。
死者
人(前年
損害額は
ア
人)
、負傷者25人(前年18人)
、
億2,391.0万円(前年
億3,949.5万
危険物施設における流出事故の発生状況等
円)となっています。前年に比べ、流出事故の
流出事故による被害の状況等
発生件数は20件増加、死者は変わらず、負傷者
は
平成26年中に危険物施設において発生した
21
人増加、損害額は1,558.5万円の減少とな
Safety & Tomorrow No.162 (2015.7)
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平成26年中の危険物施設における流出事故の概要
被
万施設
当たりの
発生件数
害
製造所
屋内貯蔵所
屋外タンク貯蔵所
屋内タンク貯蔵所
地下タンク貯蔵所
簡易タンク貯蔵所
移動タンク貯蔵所
屋外貯蔵所
40
0
73
5
43
0
75
1
78.31
0.00
11.41
4.45
4.92
0.00
11.12
0.95
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
2,603.0
0.0
14,268.0
2,775.0
4,955.0
0.0
6,199.0
0.0
件当たりの
損害額
(イ)/(ア)
(万円)
65
0
195
555
115
0
83
0
小 計
給油取扱所
第一種販売取扱所
第二種販売取扱所
移送取扱所
一般取扱所
197
65
0
0
7
87
6.74
10.32
0.00
0.00
61.62
13.77
0
0
0
0
0
0
18
4
0
0
0
3
28,197.0
4,861.0
0.0
0.0
6.0
6,724.0
143
75
0
0
1
77
小
159
61.62
0
7
11,591.0
73
396
9.29
0
25
42,391.0
107
発生件数
(ア)
製造所等の別
取
扱
所
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発生件数等
蔵
所
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平成26年中の危険物施設における火災・流出事故の発生要因
表
貯
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図
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計
合
計
死者数
損害額
(イ)
(万円)
負傷者数
(注) 万施設当たりの発生件数における施設数は、平成26年 月31日現在の完成検査済証交付施設数を用いています。
ンク貯蔵所が555万円で最も高く、次いで、屋外
りました。
また、流出事故
件当たりの損害額は107万
円で、これを製造所等の区分別にみると、流出
事故の発生件数は、一般取扱所が87件で最も多
タンク貯蔵所が195万円、地下タンク貯蔵所が
115万円の順となっています。
危険物施設
万施設当たりの流出事故の発生
く、次いで、移動タンク貯蔵所が75件、屋外タ
件数は、危険物施設全体では9.29件となってい
ンク貯蔵所が73件、給油取扱所が65件の順と
ます。
なっており、
件当たりの損害額では、屋内タ
Safety & Tomorrow No.162 (2015.7) 22
危険物施設における流出事故の発生件数の推
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㪌㪉
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⛎ᴤขᛒᚲ
㪎㪌
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㪎㪊
㪍㪌
㪋㪏
㪌㪍 㪋㪍
㪋㪊
⵾ㅧᚲ
⒖ㅍขᛒᚲ
㪋㪏
㪉㪍
㪉㪇
ደᄖ䉺䊮䉪⾂⬿ᚲ
㪏㪈
㪎㪐
㪍㪉
㪍㪇
㪈㪇㪈
㪋㪇
㪉㪌
㪉㪌
ደౝ䉺䊮䉪⾂⬿ᚲ
㪈㪍
ደౝ⾂⬿ᚲ
ደᄖ⾂⬿ᚲ
㪇
ᐔᚑ㪉㪉ᐕ
(注)
ᐔᚑ㪉㪊ᐕ
ᐔᚑ㪉㪋ᐕ
ᐔᚑ㪉㪌ᐕ
ᐔᚑ㪉㪍ᐕ
件数20件未満の表記は省略しました。
簡易タンク貯蔵所、第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所の流出事故は過去
図
危険物施設における流出事故件数の推移(最近の
移を製造所等の区分別にみると、最近の
年間発生していません。
年間)
11.1%(44件)の順となっています。個別にみ
年間
では、一般取扱所、移動タンク貯蔵所、屋外タ
ると、腐食等劣化によるものが37.4%(148件)
ンク貯蔵所、給油取扱所及び地下タンク貯蔵所
で最も高く、次いで、操作確認不十分によるも
が上位を占めています。
(表
のが13.4%(53件)、破損によるものが9.6%(38
イ
、
表
、
図
参照)
件)の順となっています。
(図
流出した危険物
詳しくは、消防庁ホームページをご覧くださ
平成26年中に発生した危険物施設における流
い。
出事故で流出した危険物をみると、ほとんどが
第
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/
類の危険物であり、その事故件数は、389件
houdou/h27/05/270529_houdou_3.pdf
(98.2%)となっている。これを危険物の品名
別にみると、第
石油類が171件(43.2%)で最
も多く、次いで、第
第
参照)
石油類が101件(25.5%)
、
参考
平成26年中の危険物に係る事故の主なポイン
石油類が88件(22.2%)の順となっていま
す。
ト、指導上の留意事項等に関する通知(
「平成26
ウ
年中の危険物に係る事故に関する執務資料の送
流出事故の発生原因
付について」
(平成27年
危険物施設における流出事故の発生原因の比
月29日付け消防危第
率を、人的要因、物的要因及びその他の要因に
122号))を各都道府県等に発出しました。詳し
区別してみると、物的要因が57.3%(227件)で
くは消防庁ホームページをご覧ください。
最も高く、次いで、人的要因が31.6%(125件)
、
http: //www.fdma.go.jp/concern/law/
そ の 他 の 要 因(不 明 及 び 調 査 中 を 含 む。)が
tuchi2705/pdf/270529_syobouki122.pdf
23
Safety & Tomorrow No.162 (2015.7)