産経新聞 27.3.24 【主張】道徳教科化 「愛国心」を堂々と育もう 道徳の教科化に対し、相変わらず「価値観の押しつけ」などと反対意見がある。 しかし、道徳は、立場による価値判断の違いを知るなど物事を多角的にみる力を養う。公共心、愛国 心などを否定する偏向教育こそ改め、子供たちの心を捉える指導を工夫したい。 道徳は、小学校で平成 30 年度、中学で 31 年度から教科書を使い、記述式で成績評価が行われる「特 別の教科」に格上げされる予定だ。この指導指針となる学習指導要領改定案について文部科学省が意見公 募(パブリックコメント)したところ、6 千件の意見が寄せられる関心の高さをみせた。 賛否の割合は集計されていないが、賛成では「正直、誠実」など徳目を例示した改定案について「分 かりやすくてよい」など評価する意見があった。 一方、反対意見では「偏狭なナショナリズムにつながる」 「国の考え方を子供に植え付ける危険性が極 めて高い」などの批判があったという。 しかしこうした特定の考え方を押しつけるような指導は、教科化を提言した中央教育審議会の答申で、 道徳教育とは「対極にある」と明言されたことを知ってほしい。思いやりや正義、公正さなどを教えるの は押しつけではなく、戦後教育に欠けていたことだ。 改正教育基本法で教育の目標として明示された「国と郷土を愛する態度」も、道徳教科化に伴い重視 されているが、 「愛国心の押しつけ」と反発がある。だが自国の伝統文化を知らず誇りを持てなければ、他 国への尊敬の念も生まれず、国際社会で信頼も得られないだろう。 内閣府の世論調査をみても、 「国民の間に『国を愛する』気持ちをもっと育てる必要がある」と考える 人は 75%と多い。 これまで学校では、愛国心や公に尽くすことの大切さを教えることを避けてこなかったか。先人の偉 業だけでなく失敗も含め、社会のために苦闘した物語などを積極的に取り上げ、考えることを通し、育ん でいきたい。 意見公募では、道徳の授業を成績評価することについて「教師の求める発言をする子供が増える」な ど懸念する意見もあった。道徳は教師の資質、指導力が何よりも問われることを肝に銘じ取り組んでほし い。
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