Entertainment Imaging 2009 年 5 月 EI-80 コダック VISION3 カラーネガティブフィルム ご使用時の ND フィルター選択に関するご注意 このたび、コダック本社より以下の通知が参りましたのでお知らせ致します。 「VISION3 カラーネガティブフィルム(500T 5219/7219 および 250D 5207/7207)」と、複数のフ ィルターメーカーから供給されております各種NDフィルターとの組み合わせによる撮影テストを本社 にて実施した結果、アゾ染料*1と呼ばれる一般的な繊維加工品に使用されている染料で染色された布地 を、長波長側が十分カットできていない濃いNDフィルター(0.90 以上)をかけて撮影した場合、その 布地の赤みが強くなり、色再現に問題が生じることが判明いたしました。その問題とは、例えば、見た 目は黒色の衣類が、撮影後、茶色がかった色再現となるような不具合です。*2 NDフィルターは全波長域で均一に光量を落とすのが理想ですが、現実にはその特性はフラットでは なく、濃度が濃くなればエラー(不正な透過)が強調されるフィルターが存在します。ある種のフィル ターでは、短波長側に透過してしまう領域があります。また、長波長側を十分カットできておらず*3、 650nm付近*4から赤外にかけて透過率が上昇していくフィルターも存在します。 VISION3 フィルムと ND フィルターを組み合わせる場合、この色再現上の問題を回避するためには、 VISION3 フィルムの赤の分光感度域を完全にカバーしてカットする ND フィルターを選択する必要が あります。 本社のテスト結果から、0.90 以上の濃いNDフィルターを使用し、アゾ染料で染色された布地を VISION3 フィルムで撮影する場合、Tiffen社のNDフィルターを用いた際には上記の問題発生は確認 されておらず、理想的には、Tiffen社のIR NDフィルター*5をご選択いただくことが、色再現上もっと も安全であるとの結論に至っております。 (1 / 2) <補足説明> *1 アゾ染料は、人間の目には感じない長波長域に反射を持っています。たとえば人間の目には黒い布地 に見えても、実は目に見えない赤外に近い赤い光を反射しています。 *2 アゾ染料で染められた布地を長波長側が十分カットされていない濃いNDフィルターを通して撮影し た場合、人間の目には感じない長波長域の反射がフィルターを透過してフィルムに到達し、フィルム上 での布地の再現は見た目よりも赤みが強くなります。この場合、アゾ染料で染められた布地が黒の場合 は茶色っぽく、布地が青の場合は紫っぽくフィルム上に記録されてしまいます。 *3 長波長側を十分カットしていない濃いNDフィルターをかけて撮影した場合、主要な光はNDフィルタ ーでカットできますが、赤外に近い赤い光は不正に透過されてしまう場合があります。つまり、濃くな れば濃くなるほど赤外に近い赤い光を透過するフィルターとして機能してしまいます。 *4 VISION3 フィルムは、700nm付近まで赤い光を捉える分光感度を持っています。つまり、650nm以 上の不正に透過してしまう赤外に近い赤い光をVISION3 フィルムは捉える特性を持っているわけです。 *5 特に赤外に近い部分に感度を持つCCDやCMOSを使用したデジタルHDカメラに、長波長側を十分カ ットできていない濃いNDフィルター(0.90 以上くらい)をかけたとき、赤外に近い光のみ透過されて しまうため、画面全体が赤くなる現象が確認されています。この問題に対応するために、赤外領域まで 均一に光をカットする、Tiffen社のIR NDフィルターがすでに販売されており、国内への導入が始まり つつあります。 以上、ユーザーの皆様には大変ご不便をおかけ致しますが、取り急ぎご連絡させていただきます。 <この件に関するお問い合わせ先> 技術セクション TEL : 03-6891-2010 E-mail: [email protected] (2 / 2)
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