金戸 属酸化膜半導体集積回路用の最』 商複合論理モジュール設計手法

金属酸化膜半導体集積回路用の最適複合論理 モジュール設計手法
の研究
浅田 邦 博
東京大学 工 学部
電子工学科 助 教授
. は じめ に
今 日の V L S I 技
術 の 中心 の 一 つ は C M O S 技
術 であるが、 この 回路技術上 の特徴 の一 つ は、
論理 ゲ ー ト1 段 で 複雑 な論理関数を実現で きる複合論理回路が 利用 で きることであ る。 これ は■
と して A N D ゲ
ー トや O R ゲ ー ト等 の単純 ゲ ー トを
中心 とす るバ イポ ー ラ集積回路技術 と異 な る
点で あ り、 C M O S 技
術 で は複合論理回路 を利用 して高集 積密度 ・低消費電力 の V L S I を
で きる。 しか し、 いわゆる日的 に特化 したカスタム集積回路 ( A S I C ) で
実現
は、必 要 とな る論理
機能が多種多様で あ り、あ らか じめ最適の コ ンパ ク トな複合論理 ゲ ー トを ライブラ リと して用意
す ることは事実 上困難であ る3 つ ま り、 ライブラ リと しての使用頻度が低 い ことが 予想 され、通
常、 人手作業で設計 ・金録す るライブラ │ ) として は経済性が 低 い。
本研究で は この 問題 に対 し、 複合論理 ゲ ー トの 自動合成 手法を開発す ることで工学 的解決策を
見出す ことを 試みた。具体的 には、 ( 1 ) 論
理記述か らC M O S 複
合論理 回路 トポ ロジーを合成す る
手法 、( 2 ) 合
成 された 複合論理 回路 を使用条件下で最適 化す る手法、および( 3 ) 高
密度 マ ス クパ ター
ン生 成手法 の 3 つ の部分 に分け研究 したc 以 下 で は各手法 について報 告 し、最後 に これ らの 手法
を評 価 して ま とめ る.
2 . 複 合論 理 回路 トポ ロ ジー合成
1)1段
禎 合 ゲ ー トの トポ ロジー合成
論理記述 か らC M O S の
L u l 路トボ ロジーを合成す る手法 には、従来か ら論理式 レベルで 取 り
扱 う手法が ム
般 的であ る. こ れ は論理式を積和形や因数分解 され た ものに変換 した 上で、 積を
直列l m l 路
、和 をi t コl 卜
1 路で実現す る もので あ る。 合成 され る回路 トポ ロジー は、 直並列回路が
多重 に 人れ 子 にな った 構造 の もの に限 られ る. し か しC ヽ1 0 S 回 路 で は直並列入れ子 構造 の 同
路 だけでな く、排他的論弾和 回路 の よ うにその 他 の部類 に属す る布用なl r l lも多
路 い。 そ こで 本
研究で は この欠点 を 克日
R す るために多値の論理 系で因数分解 ・統 合を再帰 的 に行 う手法 を 、
トボ ロジー 合成 の 出発点 に用いた 、
*function
*input
XOR8
abcdef
Cl:XOR(a,b,C,d,e,9
else
C0
IXl l
DI夕
1)
吉
己'/1げ
句言
倫Illl和
命コ│!吉
,(8ブ 、ブ」!井1也由
a
b
C
d
e
f
g
h
Ond
D汁
妻
江
Single stage 72 FETs
IX1 2
l 段 後合 ゲー トとして合成 された 8 入力排他的論 l l f l 和
の手法 で合成 された│ │ 1 路
トボ
図 l は 8 入 力排他的論理和 の論弾記述 の 例であ り、図 2 は _ 1 1 述
ロジーであ る. こ の 例 で は回路 トポ ロジー は規則性 こそ高 い もので あ るが、直並列入れ 子構造
と して は表現で きな い ことに注意 され たい。
) 使 今回路 トボ ロジーの 多段 分解
1 段 の 使合論F 現ゲー トは多 くの場 合、 ト ラ ンジスタ教が最小であ るが、入力欺 の三ム
乗 にほぼ
比 例 して動 作速度 が悪 化す る欠点が ある. こ の性質か ら動作違度 とチ ッブ面積 との 間 に トレー
、
は段数 の 異 な る同 一
ドオ フ関係が存在す るた 1 / 1 最適設計で
機能 θ) 1 可
路 を比較検討す る必要が
あ るこ
多段論理 回路 の 合成手法 と して従来知 られて い る手法 は、 前項 で述 べ た因数 分解法を拡張 し
た もので あ るが、通常、単純論理 ゲ ー トの組合せを生成す る もので あ り、直並列入れ子構造以
外を合む、 一 般 の 複合多段論理 ゲ ー トは扱えないを そ こで 本研究で は論理式 レベルでの 囚数分
rB〕
解等 の 取 り扱 いで はな く、回路 トホ ロジー レベ ルで 多段化す る新 たな手法 を開発 した声
CND
図 3 ト ボ ロジー分解 の概念図
図 3 は その手法を説 明 した概念図であ る. 図 に示 され るよ うに この 手法 で は、 C M ① S 回 路
の n ヽ1 0 S 部 分 ( あるいは p M O S 部
分 で もよ い) を 取 り出 し、出力か ら接地点 に至 るほぼ 中
間点で回路 を上 下 2 つ の部分回路 に切断す る。切断点 は一般 には複数 となるが、出力が 接地す
る条件が 上部回路 と 下部回路 のそれそ れ の導通条件 の論理積である ことに着 目 し、( 1 ) _部論理、
上
(2)下
部論理、お よび( 3 1 両
者を接続す るための つ な ぎ回路 の 3 つ の部分 に分解で きる。複数 の切
断点があ る ときには上部 回路や下部回路が複数で きるが、それ らの導通条件を切断 された回路
トボ ロジーか ら抽 出 ・整理 し、 相補関係を も考慮 した_ 上
で異 なる論理 だけを前項 で述 べ た 手法
で 再 合成す る. 3 つ の 部分 に対 しそれぞれの入力数が所定 の救以下 になるまで再帰 的 に切断 ・
再 合成を繰 り返すi
Out
Gnd
》
昌
酌ヨ
(a)2‐stage 76 FETs
図 4 2段
Vdd
義拶
(b)3‐stage 84 FETs
、3段 に多段分解 された 8入 力排他的論理和
図 1 は 木 手法 で図 2 の 1 段 に1 路を多段分解 した例であ る. 分 解 によ り各段 の 入力数 は 8 か ら
4 、 2 と 減少す る反面、回路を構成す るた めの トラ ンジスタ総数 は増 加 して い る。
3 . 多 段複合論 理 回路 の速 度 ・面積 の最適化
一 般 に 1 つ の与 え られた回路 トボ ロジー に対 し、定 め られた負荷容量 と遅延時間内で動作す る
よ うな最小面積 の 回路 を設計す る問題 は、 A S I C 応
用で は重要な課題であ る。 この 種 の 問題 で
パ
は回路 の動作 モデル と面積評価 モデルが重要 となるが、比較的大 きな回路 に対 し多数 の 人カ タ
ー ンについて 計算 量 の点か らB l 能な手法 は、前者 について は抵抗 ―容量 回路 モ デ ル ( R C モ デル)
で あ り、後者 について は トラ ンジスタのチ ャ ンネ ル 巾の総和 が知 られて い る.
線形 モ デ ル と して は非線形 モデルに比 較 し簡 単であ るが、それ で も遅延を正確 に求 めることは
多 くの 計算 星 を必要 とす る。 しか し、容量 の片方 が常 に接地 された、分岐を含む は しご形 R C 匝 │
路 につ いて は、文献 〔4 , の 近似式が知 られてお り、本研究 で は これを採用 したぅ また回路面積
一
の評価 は レイアウ ト様式 に依存 す る部分が多 く、 般 には評価困難であ るが、ト ラ ンジスタ巾の
総和 を用 い る ことと した。
以 上 の 前提 に立 ち、多段複合論 理 回路 の トラ ンジス タ寸法 を所定 の 負荷容 量 を許容遅延時間 の
1.61 図
2 お よび図 1 の 各 8 入 力排他的論 理和 ゲ ー トに対 し、
もとで 最適化す る手法 を開発 したt ‐
荷容量 と許容遅延時間 に反
本手法 を適 用 した結 果 を図 5 に 示す。 この 図か ら分か ることは、( 1 ) 負
Total FETs wid
ァ
タg:θヵ」:
Load Cap.(p
図 5 負 荷容量 ・許容遅延時間 と回路面積 との関係
一
路 の段数 に応 じ
比例的 に面積 ( つま リ トラ ンジスタ巾の総和 ) が 大 き くな る 般的傾向 と、( 2 ) 回
ついて は段数が小 さい
て それぞれ最 も面積 が小 さ くな る領域が存在す ることの 2 点 で ある。( 2 ) に
回路 は低 負荷容 量か つ 許容遅延時間が長 い場合 に向 いてお り、段数 が大 きい距1 路はその逆で ある
ことも分か る.
の
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4.
図 6 ゲ ー トマ トリク ス くず しの 概 念 図
図 6は ゲ ー トマ トリクスを変形圧縮す る手法 の概念図であ る。 この圧縮 によ り、各 トラ ンジス
タは曲げ られ所定 の 巾 につめ こまれ る。 この よ うに圧縮 された トラ ンジスタレイアウ トは接続 す
るために グ リッ ドを用 いない多層迷路配線手法 を開発 した。
図 7は 本手法 で合成 された図 2の 8入 力排他的論理和 であ る。
図 7 多 層迷路配線手法 による図 2の 8入 力排他的論 理 和
5 。 まとめ
本研究 で は C M O S 複
合論理回路 モ ジュー ルの 自動合成 のために、論理記述か ら多段複合論理
ゲ ー トの トホ ロジー 合成、与え られた負荷容量 と許容遅延 時間の もとで の 面積 の最適化、 そ して
高密度 マ ス クパ クー ン合成 の 手法を研究 した。各手法 は有機的 に結合 してお り、全体 と して論理
記述か らの 高密度 モ ジュー ル合成手法 とな っている。 また各部を独立 な もの と して、他 の手法 と
組 合せ ることもで きる。
本手法 の 残 され た問題点 と して は、遅延 モ デル、 面積評価 モデルの精密化等が挙げ られ る。 ま
た適応回路規模 の 上限は現在 の計算機処理速度で は数百 ∼ 数千 トラ ンジス タのモ ジュール 回路 ま
でであ る。今後 は階層的 に本手法を発展 させて い きた い。
なお 木研究 で開発 され たプ ロ グラムの 一部を含む C A D ツ
ール ー
式が文献 1 9 1 と して 出版 さ
れて い ることを最後に付記 したい。
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