おふくろが使った方言 ヒゲ・じーちゃんの母親は、愛知県南設楽郡千郷村徳定の出身です。現在では、愛知 県新城市千郷に変わっていると思います。 一時期名古屋に住んでいたことを除けば、ヒゲ・じーちゃんの妹が新城高校を卒業す るまで新城にいました。 何かの折に母親が言っていた”けなるい”という言葉を思い出し、それをホームペー ジで使ったことがあります。けなるいは、羨ましいというニュアンスの意味で使ってい ました。 暇に任せてお袋が使っていた方言を思いだし、書き連ね辞書で引いてみました。先ほ どの”けなるい”を辞書で引くと、 けなるい:”「けなりい」に同じ。”とあり、「けなりい」は”〔中世・近世語〕 うらやましい。けなるい。 ”と三省堂「大辞林」で定義されています。中世・近世では標 準語だった”けなるい”が全国的に使われなくなり、三河弁として残り、今では方言扱 いになったのではないかと勝手な想像をしています。 そこで思いつくまま新城で使われていた(現在でも使われているかどうかは確信があ りません)方言と思われる言葉を羅列してみます。 (思い出すままに書き付けました。あいうえお順ではありません) けなるい = 羨ましい こんきい = 非常に疲れた けっこい = きれい ひづるい = まぶしい あんき = のんき、安心な状態 おそがい = 恐ろしい ねち = 歯茎 やぐい = 出來が悪くて弱い おっさん(アクセントは”お”)= 僧侶 こすい = ずるい ちんじゅう = 癖毛 乱極な(らんごくな) = 乱雑な あげ = 油揚げ -1- にすい = 鈍い ちゃっと = すぐに ほれみん = それみたことか やっとかめ = しばらくぶり 会話の語尾にも特徴があります。 じゃん (そうじゃん=そうです、違うじゃん=違います) だら (そうだら=そうでしょ、違うだら=違うでしょう) りん (やりん=やりなさい) かーん (違うかーん=違いますか) のん (それでのん=それでねえ) あののんほい (それでね) バカ、バカ、バカ = 違う、違う、違う(相手の言ったことに対して同意しない ときに使う。会話の中で相手の発言を止めさせたい気持ちがある) ”バカ、バカ、バカ”については、中学を卒業するときに新城から離れたところへ行 く生徒(クラスの2/3の卒業生は、高校へ進学せず都会へ就職)に対して、社会科の 先生が、”みんなは、相手の会話の内容を否定して会話を遮るとき、バカ、バカ、バカ と口癖のように言っているが、新城から離れたらその言葉を使わないようにしなさい。 他所では本当に馬鹿と言われたと思って怒り出すから。”と忠告してくれました。今思 い起こせば、本当の教育とはこういうものだという見本のような話でした。 -2-
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