特集 気づきを高めて急変を防ぐ! 8 これで動ける!急変時対応 フィジカルアセスメントの極意—絶対おさえておきたいポイントはココ!— 経験年数の少ない看護師はなおさらでしょう。本 患者に最善のケアを行うにはどうしたらよいのか ・ 呼吸(breathing) 間(capillary refilling time;CRT, メモ 1)を評 章では急変の最重症の状態である心肺停止時に, を述べていきたいと思います。 呼吸数,呼吸の速さ,呼吸の深さ,呼吸パター 価するとよりよいでしょう。 ン,胸郭の動きを確認する 急変時におけるフィジカルアセスメント 〜「いつもと違う,何か変」に気づく〜 循環(circulation) 橈骨動脈の触知ができるか,皮膚の状態(冷 たく湿っていないか)を確認する 異常を判断したら, 「急変の宣言」を しましょう 急変の宣言とは,声を出すことです。このとき, 急変とは,予測される臨床経過から大きく外れ ・ 皮膚状態 看護師は患者の右脇に立ち,顔を患者の顔に 「○○さん,A は問題ありませんが B と C に異常 る変化であり,とくに大きなバイタルサインの変 皮膚が冷たく湿っていないか,チアノーゼは 近づけ,右手を患者の右前胸部へ持っていきま があります。救急カートと除細動器を持って来て ないか,発疹や発汗の有無など す( 化を伴う,死に至る可能性のある状況の変化です。 図2 )。気道が確保されているかどうか,音 急変時,看護師には生命維持や救命のための迅速 ・ 呼吸状態 や息を聴いて,感じて,視線は心窩部に持ってい な対応と,身体の不可逆的変化を最小限にとどめ 異常ないびきやいつもと違う寝息,リズムが きます。そのとき,胸郭の動きの有無を一緒に観 不整な寝息など 察します。右橈骨動脈の触知の有無を確認しなが ら,右前腕の皮膚の状態と爪の末梢血管再充満時 るための治療およびその介助,患者への安寧・安 楽なケアが求められます。しかし,急変対応は「患 ・ 体位 者の様子が何かおかしい!」と気づくことから始 けいれんや硬直など不自然な体位はないか まります( 図1 ・ 表情・顔貌 顔色が悪い(赤ら顔や青白い顔,土気色など) 急変の察知 第一印象 (外観をチェック) ABCの異常を評価 次の対応へ 図1 ・ ください」と応援を呼びましょう。 メモ 1 CRT(capillary refilling time)とは? 爪床を 5 秒間圧迫して離し,2 秒以内に再充満すると正 常と判断します。3 秒以上遷延する場合は,何らかの循環 障害が起こっている可能性が高いと判断できます。 )。 まずは外観をチェックしましょう (第一印象) 64 ・ ・ 気道(airway) 気道が開通しているか(発声できるか)を確 患者の右脇に立ち, 顔を患者に近づける! 視線は心窩部へ! 認する ・ いつもと違う, いつも 何か変という気づき ・ ・ ・ ・ 表情・顔貌 表情 皮膚の状態 皮膚 呼吸状態 呼吸状 体位 気道 呼吸 気道が開通しているか(発 声できるか)を確認する 呼吸数,呼吸の速さ,呼吸 の深さ,呼吸パターン,胸郭 の動きを確認する 異常があれば「急変の宣言」 応援要請し救急カートを用意 ・ A:気道の異常を評価 異常があれば気道の確保, :気 酸素投与を開始 ・ B:呼 :呼吸の異常を評価 異常があればバッグバルブマスクで呼吸補助を開始 ・ C:循環の異常を評価 心停止ならばただちに心肺蘇生を開始 :循 ・ 緊急避難的な処置の実施 緊急 ・ 詳しい観察を行うなどの判断 詳しい ・ 医師を呼ぶ 医師 など 急変時の流れ(文献 2・3・4 を参考に作成) 2015/4 Vol.5 No.4 ABC の異常を瞬時(15 秒ほど)に 判断しましょう 図2 循環 橈骨動脈の触知ができるか, 皮膚の状態(冷たく湿って いないか)を確認する ABC のチェック方法 心肺蘇生法 心肺蘇生法とは る目的で胸骨圧迫および人工呼吸を行うことを心 心肺停止状態の患者の呼吸・循環機能を維持す といいます。心肺蘇生法は,一次救命処置(basic 肺蘇生法(cardiopulmonary resuscitation;CPR) 2015/4 Vol.5 No.4 ・ 65
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