九州大学【文部科学省 橋渡し研究加速ネットワークプログラム】シーズ:B12 拠点名: 九州大学 文部科学省橋渡し研究加速ネットワークプログラム シーズB ニーマンピック病C型の新規治療薬の開発 ニーマンピック病C型の新規治療薬の開発 プロジェクト責任者 熊本大学発生医学研究所 幹細胞誘導分野 江良 択実 プロジェクト責任者 熊本大学発生医学研究所 幹細胞誘導分野 江良 択実 研究概要 ニーマンピック病C型(NPC)は、ライソゾーム内に遊離型コレステロール、糖脂質が蓄積する先天代謝異常症で、ライソゾーム病の1つである。 国内に確定患者が10名、潜在的患者数としては約100名と予想されている。幼児期に発症し、肝障害、神経症状のために20歳ぐらいまでに死亡する。 今回、新たに治療薬候補化合物として、2-hydroxypropyl-g-cyclodextrin (HPGCD) を疾患由来iPS細胞から誘導した肝様細胞や神経前駆細胞を用い て発見した。この化合物は、NPC由来の肝様細胞での遊離型コレステロールの蓄積を阻害する。さらに疾患モデルマウスへの投与においても、肝障害 を改善し、生存期間を延長させた。本研究では、化合物のin vivo での有効性や安全性等の非臨床試験と治験届提出を行う。 センダイウイルス 薬剤の治療効果を解析 リプログラミング 分化誘導 NPC患者由来 皮膚線維芽細胞 NPC患者由来 iPS細胞 動物モデルで確認 ベットサイドへ NPC患者由来 神経細胞・肝細胞 NPC患者の治験 非臨床のPOC取得 研究目的 2-Hydroxypropyl-γ-cyclodextrin (HPGCD)のニーマンピック病C型に対しての非臨床POCの取得と治験届の提出 HPBCD HPGCDの優位性・革新性 HPGCD 1.知財 特許出願済(2013年)。 米国、欧州、日本で、先行特許ない。 2.効果はHPBCDと同等 3.高い安全性 ロードマップ ニーマンピック病C型(NPC)とは? ✓ 遊離型コレステロールが蓄積するライソゾーム病の1つである。 ✓ 神経障害、肝障害のために20歳ぐらいまでに死亡する。 ✓ 国内:バンク登録 8人、推定100人 海外:500人 ✓ Miglustat(ミグルスタット、糖脂質合成阻害剤)、骨髄移植治療等は 限定的な効果。蛋白補充、遺伝子治療は行われていない。 有効な治療法はない。 ✓ 2-Hydroxypropyl-β-cyclodextrin (HPBCD)が欧米で治験、 わが国でも使用、しかし、急性呼吸不全が起こり使用が中止。 H26年度 Cholesterol (フィリピン染色) 神経前駆細胞 Nestin Nucleus Cholesterol 2. 非臨床試験関連 3 5 4 健常者由来肝様細胞とNPC患者由来肝様細胞の アルブミン発現とコレステロール蓄積 分化誘導した肝様細胞の免疫染色(左)。 アルブミン(緑)と 核染色のpropidium iodide(PI) (青)、 コレステロールはフィリピン染色によって検出 (左)。 フィリピン染色の蛍光強度を測定しグラフ化(右)。 *P<0.01 3 2 1 0 2.5 2 N1-12 Normal *P<0.01 健常者由来とNPC患者由来の神経前駆細胞の Nestin発現とコレステロール蓄積 分化誘導した神経前駆細胞の免疫染色(左)。 Nestin(緑)と 核染色のPI(赤)、コレステロールはフィリピン染色 によって検出 (左)。フィリピン染色の蛍光強度を測定しグラフ化(右)。 1.5 1 0.5 0 HPGCD Miglustat N1-12 NPC6-1 6 5 治験相談、治験届提出等 企業、PMDAとの交渉 NPCモデルマウスでの有効性 NPCモデルマウスへのHPGCD投与スケジュール 4 3 2 フィリピン染色 Normal N1-12 AST ** NPC NPC6-1 # P<0.05 120 # # # β γ Mig 100 80 60 - β γ Mig - β Normal N1-12 0 *P<0.01 HPGCD投与による肝臓と小脳の組織像の改善 WT Saline Saline * HPGCD 200 0 HPGCD HPGCD WT Saline HPGCD HPGCD HPGCD投与によるNPCモデルマウスの生存期間延長 肝臓 (HE) 100 80 Saline 60 小脳 (Calbindin) HPGCD 40 p < 0.05 0 50 100 Days 150 細胞とマウスの急性毒性試験 HPGCDはHPBCDより高い安全性を示した。 NPC NPC6-1 160 140 HPBCD HPGCD Miglustat 3 Relative filipin intensity - フィリピン 染色 投与 サンプル回収 健常者由来肝様細胞 NPC6-1 Nestin PI 投与 8.5週齢 Mig HPGCDとHPBCDはNPC由来細胞で 見られるATP産生低下とオートファジー異常 を回復した。ミグルスタット処理ではこれらの 細胞機能異常を回復出来なかった。 LC3-I LC3-II p62 20 γ 投与 400 * 200 NPC6-1 α−tubulin 40 0 N1-12 投与 2.5 2 1.5 α β γ Mig *P<0.01 * * 1 0.5 0 N-12 Normal NPC6-1 NPC 神経前駆細胞でのコレステロール蓄積と シクロデキストリンの効果 HPGCDとHPBCDはNestin陽性のNPC由来神経 前駆細胞のコレステロール蓄積を顕著に減少させた。 ミグルスタット処理ではコレステロール蓄積を 減少出来なかった。 * p<0.01 * 野生型マウス * * 120 100 100 * * * 生存率 (%) ATP (fmol/cell) 140 8週齢 600 400 細胞生存率(%) 160 7週齢 800 600 0 オートファジーの異常 6週齢 ALT 1000 800 HPGCDはNPCで見られるコレステロール蓄積を顕著に減少 させた。既知の化合物2-Hydroxypropyl-β-cyclodextrin (HPBCD) の効果もHPGCD同様に効果が見られた。 しかし、 2-Hydroxypropyl-α-cyclodextrin (HPACD)、 ミグルスタットはコレステロール蓄積に効果は見られなかった。 5週齢 HPGCD投与による肝障害マーカー 血清トランスアミナーゼの減少 20 ATP 産生 投与 1000 1 0 4週齢 投与 4000 mg/kg HPGCD NPC6-1 NPC *P<0.01 α β γ Mig 薬剤化企業 が決定 治験届提出 が終了 4. 規制当局対応 生存率 (%) HPBCD Relative filipin intensity HPACD H36年度~ 治験実施戦略策定、プロトコール作成 コレステロールの蓄積に対するHPGCDの効果 - 治験審査委員会 倫理委員会 非臨床試験 が終了 NPCマウス等での急性・慢性毒性試験 (安全性試験) 3. 臨床試験関連 1200 N1-12 Normal 治験開始準備 iPS細胞を用いての安全性試験、メカニズム解析 NPC6-1 NPC * H31年度~ NPCマウス等での薬理動態試験 特許調査 * 6 H30年度 H31年度以降 HPGCDの 作用機序が 解明 至適投与条件の探索 IU/L (フィリピン染色) Relative filipin intensity Albumin Nucleus 7 H29年度 HPGCDのGMP薬 剤グレードの製品 が完成 HPGCDの合成 HPGCDのGMP下での製造法の確立 HPGCDの分析法の確立 HPGCDの物性評価 NPC6-1 Relative filipin intensity 肝様細胞 3年後の到着点 H28年度 1. 品質関連 分化誘導した細胞に見られたコレステロールの蓄積 N1-12 H27年度 * 80 60 40 14.4 mM HPBCD 60 14.4 mM HPGCD 40 p < 0.001 20 20 0 80 0 10 20 30 40 50 60 70 80 濃度 HPBCD HPGCD (mM) 0 0 12 24 36 時間 48 60 72 (hr)
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