件名 国民的合意のないまま、 国民的合意のないまま、安全保障法制の審議 安全保障法制の審議を 法制の審議を拙速に行わないよう 拙速に行わないよう 意見書等 意見書等の提出を求める陳情 提出を求める陳情 【趣旨】 国に対して、安全保障法制の審議を拙速に行わないことを求める旨の意見書等を提出し ていただくよう陳情する。 【理由】 太平洋戦争終結から70年の節目を迎えた今日、改めて平和の尊さを受け継ぐ必要が高 まっている。 安倍政権は、昨年7月、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、平時から有事まであら ゆる事態に対応するため、自衛隊の任務拡大を打ち出している。安倍首相は、4月29日に アメリカの上下両院合同会議で日本の首相として初めて演説し、集団的自衛権を柱とする 新しい安全保障法制を今夏までに成立させる決意を表明した。今国会では、集団的自衛権 の行使を可能にする武力攻撃事態法改正、自衛隊法改正、国際紛争に対処する他国軍を後 方支援するため自衛隊を随時派遣できる恒久法国際平和支援法の新設、日本周辺に限らず 米軍や他国軍の後方支援を可能とする周辺事態法改正など、一括法として新しい安全保障 法制の整備を行おうとしている。 多くの国民は、なぜこの時期に安全保障法制の見直しをしなければならないのか、なぜ 自衛隊の海外派遣を恒常的に可能とすることが必要なのか、なぜ自衛のための武器の使用 が海外で必要なのか、大きな疑問を感じている。また、議論される法律の内容と意味につ いて、現実的な実感を持って充分に理解されていないのが現状である。 立憲主義の日本において、憲法に定められた国の在りようを根本から変えようとするの であれば、憲法改正の手続きを経なければならないことは明らかである。国政の運営は、 法律、特に現行の憲法にもとづいておこなわなければならない。また、国民の理解と合意 のもとに行われなければならない。その原則がないがしろにされるならば、地方自治も大 きく歪められかねない。 1 国民的合意のないまま、安全保障法制の審議を拙速に行わないよう 意見書等の提出を求める陳情 昨日 26 日、「安保法案」が衆議院本会議で審議入りしました。その翌日にこのような場をいただき感謝い たします。 私、初めての陳述で大変緊張しております。が、5 月 18 日陳情提出後短期間で集まった628筆もの署名 には、「戦争する国への道を阻止したい」「安保法制の審議を拙速させないで欲しい」の熱い想いが込めら れていることに勇気が湧きます。この間、自宅ポストに 82 円の切手を貼った封書が何十通も届き、陳情の重 みを実感しました。本日傍聴に駆け付けて下さった方々のエールも力にして趣旨説明をしたいと思います。 私は終戦時2歳でしたので、戦争の恐ろしさを記憶していません。が・・弱視のため赤紙がこなかった父、 4 人の子どもがみんな女だった父は、後ろめたい思いを持ち続けており、空襲で全てを失った時「これでよ うやくお国のために役立つことが出来た」と言ったそうです。戦後、姉から聞かされた時、国民の心をも苦 しめるのが戦争なんだと胸が凍る思いでした。 そのような幾多の民の想いが憲法 9 条を生み、「戦わない」国になることを宣言したのです。憲法 9 条が あるから、自衛隊は、一度も人に向けて発砲せず、一人も殺さず、一人の戦死者も出していません。日本は 戦後 70 年間、戦争に加わらなかったのです。「戦わない」一線がギリギリ守られて来ました。 それを安倍首相は、日本国民に何の断りもなく、4 月 29 日、アメリカ上下両院合同会議で演説し、新しい 安全保障法制を今年夏までに成立させる決意を表明しました。国のあり方を根本から変える法律をアメリカ で約束し、しかも短期間の審議で決めてしまおうなど、私たちは、絶対に認めることは出来ません。 元自民党副総裁の山崎拓氏は、TBS 報道特集(5 月 16 日)で、「1 法案=1 国会とすれば 11 年もかかるよ うな膨大な法案をいっぺんに何十日間でやっちゃおうと。これは法治国家とは言えない。民主主義とも言え ない」と厳しく批判しています。最近、86 歳になる姉から、「安保法制ってチンプンカンプンで全く分から ない」と電話がありました。多くの国民が姉と同じく、法律の内容と意味について理解されていないのが現 状だと思います。充分な審議の時間が必要なのです。 国政の運営は、法律、特に現行の憲法にもとづいて行わなければなりません。また、国民の理解と合意の もとに行われなければなりません。 その原則がないがしろにされるならば、地方自治も大きく歪められかねません。 国民・市民主権の声を この世田谷区からあげて行こうではありませんか。どうか、国に対して、安全保障法制の審議を拙速に行わ ないことを求める旨の意見書等を提出していただくよう重ねて陳情し、私の陳述を終わります。 2 国民的合意のないまま、安全保障法制の審議を拙速に行わないよう意見書等の提出を求 める陳情の陳述 3つの観点から、陳述をいたします。 まず、法案と国会審議についてお話しします。最初の資料は「海外活動拡大 論戦へ」 という読売新聞5.26夕刊の記事です。(それぞれの法案と内容が一覧表になった記事)イ ラク戦争の時に「イラク特措法」という法律がありました。これが、なんという法律に新 しく変わるのか、記事にある表を見ないで答えられますか。「国際平和支援法」恒久法と なります。その内容の変化を言えますか。物資の輸送・弾薬の提供や船舶検査も可能にな ります。街では、多くの人が答えられません。 次の資料は、イラク戦争の多国籍軍の後方支援部隊と襲われた車両です。前線よりも輸 送車列が狙われるのは、イラク戦争の経験からよく解ります。後方部隊が襲われれば、そ こが前線になります。イラク戦争が、大義が失われた戦争だったことは、記憶にあるとこ ろです。2011年の米軍撤退までにイラク民間人11万6000人と多国籍軍兵士4800人が犠牲と なったことが、米大教授らの報告書で明らかになりました。(英医学専門誌ランセット) 日本の政府は、この「国際平和支援法」と、「自衛隊法」改正などの10本の法律を一 括法案として通そうとしています。11万人の民間人を殺すかもしれない戦争、自衛隊員 の安全が損なわれるかもしれない戦争、根拠に正義がないかもしれない戦争に加担するの か、リアルな戦争の現実や歴史の経験から学び、慎重な議論を行うべきです。 日本は、満州国建設、国際連盟脱退、盧溝橋事件、第二次上海事変、日独伊三国防共協 定、南京占領と戦争への道をひた走った歴史を持ちます。戦線は歯止めなく拡大し、政府 はそれを追認しました。社会はあっという間に変化しました。政党活動は翼賛体制に変わ ってゆきました。 次に、世論についてお話しいたします。次の資料は、東京新聞5.24朝刊の記事です。地 方紙、全国紙の社説についてまとめてあります。地方では、根強い慎重審議の論説があげ られています。北海道新聞「平和主義を捨て去るのか」、高知新聞「時の政権次第になら ないか」、沖縄タイムス「やり方が乱暴で強引だ」などの声があります。これらの心配が、 すべて誤解というわけではないと思います。 次の資料は、自衛隊の戦争支援拡大 賛成?反対?全国街頭シール投票の結果です。野 田隆三郎(岡山大学名誉教授)ほか14名の方が呼びかけ、全国の都市60箇所(延べ69回) 3 で、市民が自発的に取り組みました。賛成 675名(9%)、反対 6,420名(81%)、わか らない 830名(10%)合計 7,925名という結果になりました。本日、すべての国会議員に 結果が届けられます。シール投票の良いところは、シールを貼ってくれる人と対話ができ ることです。街頭だけでなく、国会でも十分な議論が行われることを望みます。国民の合 意形成に不可欠だからです。 最後に、この陳情で、世田谷区議会に意見書等の提出を求めている理由を説明します。 安全保障は、国政の問題だからとお考えの方もいらっしゃるかと思います。しかし、戦争 になれば、地方自治に大きな制約がかかり、地域社会が否応なく変質してしまうことは、 先の戦争での教訓で明らかです。 今日、大きな政治問題となっている沖縄の基地問題について、沖縄では、辺野古新基地 建設反対を公約に掲げた翁長県知事の当選をはじめ国会議員選挙などで、圧倒的な民意が 示されています。しかし、政府は辺野古基地建設しかないという姿勢をかえず、基地建設 やオスプレイ飛行が強行されています。「東京の横田基地に今後オスプレイを配備する」 という米軍からの通達に対して、周辺自治体の市民は抗議の声をあげています。国の安全 保障が市民生活に優先するという社会を作ってはいけません。 憲法のもとの法の支配が損なわれれば、憲法に保障された住民自治権は大きな影響をこ うむります。 世田谷区議会は、区民の生活を守るためにも、国民的合意のないまま安全保障法制の審 議を拙速に行わないよう意見書等の提出をしてください。以上で、私の陳述を終わります。 4 国民的合意のないまま、安全保障法制の審議を拙速に行わないよう意見書等 提出を求める陳情審査の報告 2015 年 5 月 27 日 世田谷区議会への陳情「国民的合意のないまま、安全保障法制の審議を拙速に行わない よう意見書等の提出を求める」が、5月 27日、企画総務常任委員会で審査されました。 陳情審査当日までの 10 日間で、638 筆の賛同署名を集め、陳情を補う資料とともに、議 会に提出することができました。結果は「継続審議」となりました。なお、署名は、その 後も届き、合計 657 筆となりました。 経緯 個人が代表となり提出した陳情を、「せた連」という市民活動のメーリングリストで知り 合った多くの人たちが手伝う形でこの陳情は行われました。 当日は、陳情者代表2名が陳述を行い、出席議員の質問に答えた後、採決が行われました。 2名の陳述は別紙。 質問(1名、共産党中里光夫議員) 質問 「シール投票は、みなさんもやったのですか?どんな様子でしたか」 「はい。今回は中高生が敏感に反応しているのが特徴です。家族に自衛隊員がいる人とも 直接対話ができました。賛成の人も反対の人も国会で議論される法案の具体的内容をよく 知りません。他国の人を殺すという認識があまりありません。」 各会派の態度表明 自民(畠山晋一議員) 自民(畠山晋一議員) 国で審議している、不採択 不採択。 不採択 公明(佐藤弘人議員) 国会で審議中なのでしっかり審議してもらう。日本の平和と安 全は国際社会上の安全あってこその平和であり、憲法9条の専守防衛は揺らいで ない。1972 年以来9条の解釈は変らず、拡大解釈ないように、しっかり新しい3 要素で維持される。不採択 不採択。 不採択 民主社(中村公太朗議員) 国で議論されるべき、一方、多くの区民の声を届けるのが 地方議会の役割だ。趣旨採択 趣旨採択。 趣旨採択 F 行革(田中優子議員) 立憲主義の立場から、国民の理解が得られてない現状、趣旨採 趣旨採 択。 5 希望(佐藤美樹議員) 国会での審議を踏まえて国民的合意というのはどうやって形成 するのか難しいものがあるが・・。継続 継続。 継続 共産(中里光夫議員) 国のあり方を変える重要な問題を閣議決定で進めるのは、立憲 主義に反する。趣旨採択 趣旨採択。 趣旨採択 結果 和田秀寿委員長から、取り扱いについて「意見が分かれているので、継続としたい」と提 案があり、そのように決定されました。 今後について 「今後どうするか」陳述者と参加した傍聴者で意見交換をした結果、安保法制問題で、角 度を少し変えて、次の陳情も出そうという方向になりました。 6
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