家庭における学習習慣の 形成に関する研究

平 成 22・ 23年 度 プ ロ ジ ェ ク ト 研 究
家庭における学習習慣の
形成に関する研究
-実施報告書-
北海道立教育研究所
発刊にあたって
このたび、平成22年度から取り組んできたプロジェクト研究「家庭における学習習慣
の形成に関する研究」の研究成果を報告書として発行することになりました。
北海道立教育研究所では、学校教育に関する専門機関として、各学校の教育活動の質
的な向上を目指し、国や道の施策等と結び付く様々な研究に取り組んできました。
「家庭における学習習慣の形成に関する研究」は、共同研究校との連携による、児童
生徒の家庭における学習習慣の形成を目指す具体的な方策の開発に関する研究です。
ご存じのように、平成19年6月に公布された学校教育法では、学力の重要な要素として、
①
基礎的な知識及び技能
②
これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力その他の
能力
③
主体的に学習に取り組む態度
が明確に示されました。
児童生徒に確かな学力を育むためには、教員が「分かる授業」を展開することはもち
ろんのこと、学力の3つの要素の一つである主体的に学習に取り組む態度を養うため、保
護者と連携しながら、家庭学習の充実を図り学ぶ意義を感得させることの重要性が指摘され
ています。
このような中、平成19年度からは全国学力・学習状況調査が実施されました。同調査
の児童生徒質問紙と教科に関する調査の平均正答率のクロス集計からは、「家で学校の
宿題をする」、「家で授業の復習をする」、「家で授業の予習をする」、「学校に行く前に
持ち物を確認する」と回答した児童生徒の方が正答率が高い傾向が見られ、学習習慣の
確立と正答率には一定の相関関係があることが明らかになっています。
現在、各市町村教育委員会や各学校においては、域内の児童生徒の実態や課題の把握、
学校改善プランの見直し、家庭、地域との連携による学習習慣、生活習慣の改善など、
学力向上に向けた様々な取組を行っています。しかし、平成22年度全国学力・学習状況調査
の結果においては、北海道は、全国と比べて、家庭学習の習慣が定着している児童生徒の割合が
低い状態が見られます。
このような状況を踏まえて、本研究は、平成19年度以降の道内外の優れた実践に見ら
れる学習習慣の形成の取組、共同研究校の児童生徒の実態などを基に、個別の「学習習
慣の形成支援プログラム」を作成し、実践、検証を通して効果的な学習習慣の形成に関
する道の在り方や方法について明らかにしようと努めてきました。
それぞれの学校において、本研究の事例を参考にしていただき、児童生徒の学習習慣
の形成に役立てていただければ幸いです。
平成24年3月
北海道立教育研究所長
酒
向
憲
司
目
■ はじめに
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
■ 研究の枠組み
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
■ 北海道の現状
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
■ 各学校の取組の変化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
■ 研究開始時の共同研究校の状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
研究の目的
家庭における学習習慣の形成の基本的な考え方
「学習習慣の形成支援プログラム」の作成
■ 児童生徒へのアンケート調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
■ 研究の成果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
■ 今後の課題(まとめにかえて)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
■ 共同研究校の取組
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
■ 資料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
1
はじめに
学力向上は、学校と教師に与えられた不易の課題である。
平成19年度から始まった全国学力・学習状況調査において、北海道の児童生徒の国語
及び算数・数学の「平均正答率」は全国と比較して下回り、上位県との差が大きく、極
めて深刻な状況にある。
これまで、学校現場では、学力とは何か、学力の基準は何かといったことについて、
様々な立場から議論されてきた。しかし、その定義はいずれも漠然としており、結果的
に教科書の内容を基準に考えられていたことが想定される。
しかし、平成19年に改正された学校教育法、第30条第2項に、「前項の場合において
は、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させると
ともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他
の能力を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければなら
ない。」と規定された。このことにより学校は、これら三つを児童生徒に身に付けさせ
る必要性が明らかにされた。
教育に関わる道立の専門機関である北海道立教育研究所には、各学校がこの定義を踏
まえて進めている、学力向上の取組を支援することが求められている。
本研究は、学力の育成に深く関わる「家庭における学習習慣の形成」を図る各学校の
取組に対して、理論と実践の両面から有益な情報を提供することを目指し、平成22年度
から2年間にわたり、道内4地域の小・中学校と共同で進めてきたものである。
2
研究の目的
知識基盤社会の進展により、国民には生涯学習の視点から学校教育等で学んだ知識・技能等
を常に「更新」していくことが求められている。そのため、児童生徒には、知識・技能等の更
新に必要な「学習意欲の向上や学習習慣の確立」が重要である。これらは学力の要素の
一つである「主体的に学習に取り組む態度」につながり、学校と家庭や地域が連携して
育んでいかなければならないものであると言える。
このことは、学習指導要領において次のように示されている。
小学校学習指導要領解説
1
総則編(平成20年8月
文部科学省)
各学校においては、教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下
に示すところに従い、児童の人間として調和のとれた育成を目指し、地域や学校
の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を十分考慮して、適切な教育課程を編
成するものとし、①これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。
学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、児童に生きる力をは
ぐくむことを目指し、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、②
基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決
するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくむとともに、主
体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かす教育の充実に努めなければなら
ない。③その際、児童の発達の段階を考慮して、児童の言語活動を充実するとと
もに、家庭との連携を図りながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮しなけれ
-1 -
ばならない。
(※下線及び①~③の番号は加筆、太字は前回からの変更点を示している。)
学習指導要領では、①、②において義務教育の目標や小・中学校それぞれの目標の達
成について、③では、
「学習習慣の確立」を配慮事項(二重下線)として示している。
①は、児童生徒に身に付けさせる知識・技能、育むべき能力や態度を示し、③は、生
涯にわたり学習する基盤を培うため、学校(教師)と家庭が連携して、児童生徒の学習
習慣を育むことを明確にしている。
本研究は、学習指導要領に示された児童生徒の学習習慣の確立を図ることを目的に、
学校全体の教育力を高める観点を重視した、個別の「学習習慣の形成支援プログラム」
を基に、共同研究校における実践を通じてその有効性を検証するものである。
3
研究の枠組み
本プロジェクトを推進するに当たっての研究仮説、研究内容は次の通りである。研究
方法として、フィールドワーク、各種調査をもとにした前後比較法などを用いた。
研究仮説
共同研究校(家庭や地域)の実情に応じた個別の「学習習慣の形
成支援プログラム」を作成し実践することにより、家庭における学
習習慣の形成及び定着を図ることができるであろう。
研究の内容
1
共同研究校(家庭や地域)の児童生徒の家庭における学習及び
生活実態と課題の明確化
(1) 全国学力・学習状況調査等の結果の分析
(2) 学校(教師)、地域からの聞き取り調査
(3) 学習意欲等に関わる児童生徒へのアンケート調査(※図1)
2
「学習習慣の形成支援プログラム」の開発
(1) 道内外の優れた実践の収集
(2) 共同研究校(家庭や地域)の実情に応じたプログラムの作成
3
開発した「学習習慣の形成支援プログラム」の検証・改善と成
果の普及・啓発
(1) 共同研究校による実践検証と検証結果を踏まえたプログラムの
改善
(2) 研究成果の普及・啓発方法
〔共同研究校〕
・羅臼町立羅臼小学校、羅臼中学校
・羅臼町立春松小学校、春松中学校
・白糠町立白糠小学校、白糠中学校
・古平町立古平小学校
・えりも町立えりも小学校
-2 -
4
北海道の現状
(1) 児童生徒の家庭学習の状況
本道の児童生徒の家庭学習の状況は、様々な課題が指摘されている。以下に重要と
思われる課題について調査結果を基に示す。
ア
家庭学習に向かう姿勢の課題
グラフ1
右のグラフ1は北海道の高校生
北海道高校生の家庭学習状況
の家庭学習の状況を、全国の調査
結果との比較で示したものである。
本道の高校生は、「宿題が出れば
宿題をする」割合が全国平均より
も高い一方、
「予習や復習をする」、
「興味あることを調べたり、確か
めたりする」、「試験があれば、そ
れに備えて勉強する」割合は全国
平均よりも低い。このことから、
本道の高校生は、家庭での学習について「受身」の傾向が強いことが読み取れる。
その一因として、「家庭における学習習慣の形成」に関する指導に、児童生徒の成
長・発達の観点が欠け、校種間の接続が十分に行われていないことが考えられる。
イ
宿題をすることの課題
平成23年度の「児童
(資料1)平成23年度全国学力・学習状況調査学校質問紙(家庭で学校の宿題をする児童生徒の割合)
生徒質問紙」の調査結
果(資料1)では、「家
で学校の宿題をする児
童生徒」の割合は、「し
ている、どちらかとい
えばしている」と答え
た児童生徒が前年度よ
り減少している。また、
平成22年度は、全国と比
べて小学校では10.7ポイ
ント、中学校では8.9ポ
イント低い。 家 庭 学 習
(宿題)を与える学校
の取組については、改善の様子がうかがえるのに対して(p.5)、宿題をする児童
生徒が減少しており、家庭学習の指導の在り方に課題があると言える。
ウ
家庭学習の時間の課題
本道の児童生徒の家庭学習の時間について、全国や他県と比較した。
比較したのは、全国の平均値、北海道と学力の平均値が近く通塾率がほぼ同じ沖
縄県と、国語、算数・数学の結果が連続して高い秋田県である。資料は平成22年度
の全国学力・学習状況調査(以下:「調査」)である。
-3 -
(ア) 小学校
グラフ2
グラフ3
グラフから、月~金の間に1日に1
グラフ4
時間以上学習する児童の割合は、沖縄県
と比較して25.2ポイント低く、休日の
学習時間は23.6ポイント低い。また、
全国や秋田県と比較して、16~23ポイ
ント低い。
(イ) 中学校
グラフ5
グラフから、月~金の間に1日1時
グラフ6
%
グラフ7
間以上学習する生徒は沖縄県と比較し
て大きな差はなく、休日の学習時間も
ほぼ同様である。しかし、全国平均や
秋田県と比較して8.7~13.2ポイント低
い。つまり、小学校ほどの大きな差は
ないものの、中学校の場合も家庭学習
の時間が全国と比較して少ないことが明らかである。
本研究「調査」の結果の比較などを通して明らかとなったことは、以下の①~③
の状況を踏まえて研究を進めていく必要があると考えた。
5
①
家庭学習は、学校等から課題を与えられて行う傾向が強い。
②
家で宿題をする児童生徒の割合が全国と比べて低い。
③
家庭での学習時間が明らかに短い。
各学校の取組の変化
(1) 家庭学習の課題の与え方についての教職員の共通理解
(資料2)では、国語の家庭学習の課題の与え方について、校内での教職員の共通
-4 -
理解の状況を示している。
(資料2)平成23年度全国学力・学習状況調査学校質問紙(家庭学習の課題の与え方についての共通理解)
こ の 質 問 は 、「 調 査 」 の
結果を受け家庭学習の改
善・充実を図るための手
立てを講じているか否か
を確認する内容ととらえ
ることができる。調査を
実施した年(平成20年)
から変化が見られており、
各学校では家庭学習の取
組を「学校全体」で行う
ことの大切さについて認
識が進んでいるととらえることができる。
(2) 学習課題(宿題)の提示
(資料3)は、算数・
(資料 3)平成23年度全国学力・学習状況調査学校質問紙(算数の家庭学習の課題量)
数学の家庭学習の課題
(宿題)を与えた状況を
示している。年々「よく
行った」割合は増加して
おり、教科指導として学
習課題(宿題)を与える
ことの重要性が認識され
てきているととらえるこ
とができる。ただし、平
成22年度は、全国平均と
比較すると、小学校では21.3ポイント、中学校では18.4ポイント低い。
(3) 保護者に対する働きかけ
(資料4)では、算数・
(資料 4)平成23年度全国学力・学習状況調査学校質問紙(学習課題(宿題)についての保護者への働きかけ)
数学の指導として、保護
者に対して、児童生徒の
家庭学習を促すような働
きかけを行っているかを
示 し て い る 。「 よく 行 っ
た」、「どちらかといえば
よく行った」割合は増加
しており、家庭における
学習習慣の形成に向け、
保護者の協力が不可欠であること、さらにその働きかけを継続して実施することの重
要性が認識されたことの結果ととらえることができる。この調査結果は、平成22年度
は小学校が全国平均と同様であり、中学校が、全国平均よりも11.0ポイント高い。
-5 -
6
研究開始時の共同研究校の状況
1年次に実施した共同研究校へのフィールドワークから、次のような状況を考慮した
研究の必要性が感じられた。
・学力向上は学校の最重要課題であるとの共通認識があった。
・「家庭学習の手引き」を作成し、宿題のフォローなど児童生徒一人一人への指
導に
多くの時間をかけていたが、担任任せにならない工夫が求められていた。
・家庭学習以上に授業の充実が重要であるとの認識が醸成されていた。
・学習指導要領の改訂に伴って教育課程や学習評価の改善が緊要な課題となって
いた。
・校種間連携、生徒指導、教員の指導力向上など個別課題の対応が求められていた。
・「真に児童生徒の成長につながる教育活動を展開したい」が、「多くの課題が
あり
7
一つ一つにじっくり取り組む余裕がない」というジレンマを抱えていた。
家庭における学習習慣の形成の基本的な考え方
学習指導要領では、「家庭との連携を図りながら学習習慣を確立する」と示されてお
り、学校と家庭の双方の役割が期待されている。「学校の教育力」と「家庭の教育力」
のどちらも、その内容を厳密に説明することは難しいが、最近の研究からは、学校の経
営方針やチームワーク、保護者の子育ての環境や学校行事等への関わりの強さなどと、
学力との強い関係が指摘されている。
このようなことから、本研究において、学習習慣は学校と家庭の教育力を基盤に、適切な家
庭学習の指導により育成されるものと考え、
「家庭学習の指導」と「学校や家庭の教育力の維
持・向上」の両面から「家庭における学習習慣の形成」を目指すこととした。
「家庭における学習習慣の形成」に関するイメージ図
8
「学習習慣の形成支援プログラム」の作成
6、7に基づいて、本研究では、学級活動の時間や日常的に行われる「家庭学習の指
導」と共同研究校において優先度の高い「学校の重点的な取組」の二つの要素からなる
「学習習慣の形成支援プログラム」を作成する。
「学校の重点的な取組」は、教職員が課題を共有し組織的に対応する必要があるので、
-6 -
学校の教育力の維持・向上に重要な役割を果たすと考えられる。また、「家庭学習の指
導」を他の教育活動と並行に展開することの相乗効果も期待でき、6に述べたジレンマ
にも対応できると考えた。
なお、家庭の教育力へのアプローチは、PTA研修会や参観日における情報提供など、
間接的なものにならざるを得ないことから、前述の二つの要素に関連させて位置付ける
ことが効果的と考えた。
(1) 古平小学校の「学習習慣の形成支援プログラム」
学校の取組
家
庭
(1) 家庭学習の手引の特徴
ア
学
習
期待される効果
(1) について
低・中・高学年に分けて時間の目安、
めあてを記載
イ
ア
学習の意義を共有できる。
国語、算数の学習の仕方を記載
イ
の
指
児童、保護者、学校で家庭
自学自習の手がかりを得
ることができる。
ウ
その他
導
ウ
特に低学年児童の保護者
学校から家庭に配付する「一週間の時
にとっては、家庭学習の内
間割」に、
「家庭学習参考欄」を設け、家
容をアドバイスすることが
庭学習のヒントとなることを記載
できる。
(2) 指導の方針
ア
(2) について
宿題は教師が提示するもの、家庭学習
放課後学習により、定着し
は児童が自主的に課題を決めて実施する
ていない内容についてじっく
ものと明確に区別
り考えることができる。
イ
全教職員で対応
ウ
放課後学習を実施。特に支援を要する
児童には家庭とも連携
(3) 宿題の扱い
(3) について
日常の授業内容と関連した課題を提示
宿題の必要性が実感でき、
取り組む意欲が継続する。
重
点
(1) 校内研究
国語科の読むこと領域で説明的文章を
組に差を感じることなく、児
的
題材に、「教えて」「考えさせる」授業
童も保護者も納得して取り組
な
づくり
むことができる。
取
ア
(1) 兄弟、姉妹で家庭学習の取
イ
組
家庭における学習習慣の形成や「学習
マナー」の徹底
ウ
毎月の校内研修で、全学年の宿題と家
庭学習に関する教師・児童・保護者の取
組状況を交流
-7 -
(2) 学習マナーの徹底
(2) (1)と同様に、児童も保護
「古平小学校学習のきまり」を作成し、
各教室に掲示
者も納得して取り組むことが
できる。
(2) 羅臼町(羅臼中)の「学習習慣の形成支援プログラム」
学校(例:羅臼中学校)の取組
家
庭
(1) 家庭学習の手引の特徴
ア
学
習
(1) について
5教科(国、数、社、理、英)の目指
ア
す生徒像、学習の仕方を記述
イ
の
指
期待される効果
庭学習の意義を共有できる。
授業の受け方や準備物、予習、復習の
イ
方法や家庭学習の行い方を記述
ウ
生徒、保護者、学校で家
自学自習の手がかりを得
ることができる。
目安の学習時間の設定
ウ
導
取り組む時間の目標を立
てやすくなる。
(2) 指導の方針
ア
(2) について
予習、復習など、常に授業との接続を
意識
生徒が「自己決定」した内
容や方法について、一人一人
イ
「シラバス」を作成
の理解度に応じて適切にアド
ウ
授業内容や理解度に応じて、家庭学習
バイスをすることができる。
の内容を自主的に決定
(3) 宿題の扱い
(3) について
授業で学習した内容を活用して、生徒の
考えを引き出すような問題を提示
重
○校外研修
授業内容のより深い理解に
つなげることができる。
教科指導と家庭学習の指導の
点
「道研フリープラン研修への参加」
方向性が明確になり、休業明け
的
羅臼町として、夏期休業中に2回、冬期休
の指導に生かすことができる。
な
業中に1回の計3回、のべ12名(羅臼町内の
取
小中学校教職員のうち24%)を道立教育研究
組
所に派遣
〔主な研修内容〕
・自校や自己課題の解決
・(目標を実現するための)指導と評価
の在り方
・教科指導と家庭学習の関連
・教科指導と道徳教育、特別活動との関連
・模擬授業
-8 -
(3) 白糠町(白糠小)の「学習習慣の形成支援プログラム」
学校の取組
家
庭
期待される効果
(1) 家庭学習の手引の特徴
ア
(1) について
1・2年については、「保護者用」と
ア
低学年では、保護者が児
学
して作成し、保護者が読み、児童に説明
童に家庭学習習慣を身に付
習
できる内容。「3年生用」「4~6年生
けさせ、その習慣を土台に、
の
用」については、児童が自分で読み、内
3年生から自学自習を目指
指
容を理解して取り組める内容
すという方針を明確に示す
導
ことができる。
イ
「低学年~20分以上、中学年~30分以
イ
自学自習の手がかりを得
上、高学年~50分以上」を目安として、
ることができる。また、取
「宿題コース」と「ぐんぐんコース」を
組時間の目標を立てやすく
設定。「宿題コース」は、学校が国語と
なる。
算数のプリントを配付し実施。「ぐんぐ
んコース」は自分で学習内容を計画
ウ
「家庭学習の手引き」ファイルに「が
ウ
保護者、担任から評価を
んばりカード」を一緒に綴じ、児童が月
受けることにより自己存在
初めに目標を立て、自分の取組を記録し、
感を味わわせることができ
月末に保護者がコメントを記載
る。
(2) 指導の方針
(2) について
児童一人一人の理解の状況を把握する。
ア
全学年で共通指導
イ
必ずはげましのコメントを記載
授業改善の方策、個別の対
応策を見出すことができる。
(3) 宿題の扱い
(3) 知識・技能を「剥落」させ
毎日、国語と算数の課題を提示
ないようにすることができ、家庭
学習の大切さを実感させること
ができる。
重
○小中連携
義務教育9年間を見通した、
点
・小学校の研修担当教員が中学校の校内研
発達の段階に応じた家庭学習の
的
修で、研究内容(「は・く・しょうの学
意義や、内容、具体的な実施方
な
び」)について説明し、中学校は小学校
法等について、理解を深めるこ
取
の授業研究を参観
とができる。
組
・小学校の取組を参考に中学校の手引きを
改善
・道研で作成した「学習に関するアンケー
ト」項目を観点に、お互いの取組を交流
-9 -
(4) えりも町の「学習習慣の形成支援プログラム」
学校の取組
家
期待される効果
(1) 家庭学習の手引の特徴
(1) について
庭
(えりも町教育向上対策委員会の取組を参考に)
学
ア
学校、保護者、町教委が一
児童用
体となり、統一した見解で家庭
習
家庭学習の意義や時間、内容、方法等
学習を推進することができる。
の
についてまとめたリーフレット「えりも
特に低学年児童の保護者に
指
小学校家庭学習のてびき」を配付
導
イ
とっては、家庭学習の実施内
保護者用
容や方法について知ることが
家庭学習の内容や方法、ノートの使い
できる。
方などについてまとめた家庭学習の手引
きを配付
(2) 指導の方針
ア
(2) について
ノート指導の統一、徹底
ア
(ア) 家庭学習用ノートを2冊(以下ノー
教師がノートを詳しく点
検する時間を確保すること
ト①、②)使用
で、児童の理解の状態を把
・児童は、家庭学習を実施した次の日
握し、その後の指導に生か
に「ノート①」を担任に提出
すことができる。
・児童は、「ノート①」を担任に提出
した日は、
「ノート②」で家庭学習。
「ノート②」を提出した日は、「ノ
ート①」で家庭学習
・担任は、提出されたノートをチェッ
クし、次の日に児童に返却
(イ) 書式や記載事項の統一
ノートの使い方をリーフレットにし
て児童に配付。保護者向けにもノート
の使い方の例を配付
イ
「家庭学習強化月間」の設定
イ
学習記録カードを活用す
5月、7月、9月、11月、2月を「家
.
庭学習強化月間」として設定し、児童に
ることで、児童が「家庭学
家庭学習を行った時間を学習記録カード
識化できる。
に記録
習に関するPDCA」を意
記録を蓄積することで、
「学習記録カード」は、学習時間目標、
始めた時間、終わった時間、学習した時
間、目標の達成等を記録し、一週間ごと
に提出
(3) 宿題の扱い
- 10 -
取組への意欲を高めること
ができる。
各学級で、授業と関連した内容の宿題を
提示
重
○校内研修
校外研修や実技研修により、
点
研究主題を「読む力を育み、豊かな表現
校内で研究を進める基礎となる
的
ができる子をめざして」と設定し、国語科
理論や実践方法を共有すること
な
の「読むこと」領域における文学的文章、
ができる。
取
特に物語教材の指導に焦点を当て、3年次
組
計画で研究を推進
ミニ道研(日高会場)や北海道国語教育
研究大会の参加など、国語科の理論や実践
に関する情報収集
全学年での研究授業、研究協議を実施
実技研修として、国語科における言語活
動の位置付け等について、道研所員による
模擬授業や講義を実施
9
児童生徒へのアンケート調査
「学習に関するアンケート調査」を実施した。調査項目は学習に向かう児童生徒の意
識を把握するもので、授業、学級経営、特別活動、生徒指導、道徳、教師の人間関係、
家庭学習など学校の教育活動全体及び家庭や地域での生活まで包含する内容となっている。
調査の目的は二つある。一つは児童生徒の意識の変化から「学習習慣の形成支援プロ
グラム」の効果を把握することである。他の一つは、児童生徒の学習の実態を「見える
化」(※)し、アンケート結果から指導の改善点について示唆を得ることである。
※「見える化」とは
「見える化」する
(田村知子編著
実践カリキュラムマネジメント
ぎょうせい
pp.20-21)
ある学校の例を挙げると、「グラフ化する」「放送で流す」「シールを貼る」「数値目標を設定する」「賞
状をわたす」「お便りを出す」といった手段で、学校の目標や取組み、成果や課題を誰にでも見えるよう
にしている。その目的は、「子どもの意欲向上のため」「教師が同じ目標で取り組むため」「保護者や地域
の人に参加してもらうため」である。つまり、子ども、教師、保護者や地域の人々、学校に関わる全員が、
目標や取組み、成果や課題を共有化できるようにすることである。
企業活動における「見える化」の意義
(早稲田大学大学院教授
遠藤
功)
「発見されない問題は、永遠に解決されない」として、問題発見が問題解決の第一歩であり、それを効
果的に行うための仕組みが「見える化」である。
本稿では、児童生徒の学習に関する実態をアンケート項目に沿ってグラフ化する
などして、その実態や課題を全教職員で共有することを「見える化」としている。
- 11 -
- 12 -
10
研究の成果
(1) 児童生徒の変容
本研究の成果を確認するため、平成21年度の「調査」結果から平成23年度までの数
値を基に検証を行った。ここでは、
「家庭における学習時間」
、
「宿題への取組状況」の変化を
示す。
ア
小学生の家庭における学習時間
グラフ8は、
グラフ8
「学校の授業時
間以外に、普段
(月~金曜日)、
1日当たりどれ
くらいの時間、
勉強をします
か」の質問に対
し、30分以上と
答えた児童の割
合を示してい
る。平成21年度
を基準にする
と、3校で学習時間の改善がみられ、現在は全道平均とほぼ同等の数値を示してい
る。D小学校については、全校的な取組に遅れがあったことや、学級経営の状況が影響
していると考えられる。
イ
中学生の家庭における学習時間
グ ラフ 9も ア
グラフ9
と同様の質問に
対して、30分以
上と答えた生徒
の割合を示して
いる。いずれの
学校も学習時間
に改善がみら
れ、平成21年度
はすべての学校
が全道平均を大
きく下回ってい
たが、現在は全
道平均に近づきつつある。
なお、グラフには示していないが、中学校における特に顕著な変化は、「全くし
ない」と答えた生徒が3校とも約15~30ポイント減少したことである。これは、次
のエに示す各学校の「宿題」の指導とも大きく関わりがあると考えられる。
- 13 -
ウ
小学生の宿題への取組状況
グラフ10は、「家で学校の宿題をしていますか」の質問に対し、「している」「ど
ちらかといえば
グラフ10
している」と答
えた児童の割合
を示している。
グ ラ フ で 示す
ように、ほぼ全
ての学校が全道
平均かそれ以上
を示している。
小学校において
は、宿題に関す
る指導は一般的
に各学級担任に
よって様々な取組が行われる傾向がある。高い値で推移している共同研究校では「家
庭学習の手引き」等により、ほぼ学校で統一した指導が行われていることが伺える
が、D小学校では家庭学習と同様、学級経営の状況が影響したと考えられる。
エ
中学生の宿題への取組状況
グラフ11もウと
グラフ11
同様の質問に対し
て 、「 し て い る 、
どちらかといえば
している」と答え
た生徒の割合を示
している。
平成21年度は3
校とも全道平均を
大きく下回ってい
たが、現在は2校
が全道平均を上回っている。なお、C中学校では、「宿題」を減らし、自分で計画
を立てる「家庭学習」への指導に重きを移しているため、生徒の回答として「宿題」
はやっていないと回答した生徒が多いと考えられる。研究協力を依頼した各学校に
おいても、北海道の傾向として示した、次の①~③の傾向は同様であった。
①
家庭学習は、学校等から課題を与えられて行う傾向が強い。
②
家で宿題をする児童生徒の割合が全国と比べて低い。
③
家庭での学習時間が明らかに短い。
- 14 -
①は義務教育9年間を見通した家庭学習の取組により改善を図る必要があり、各
学校とも、町教委等との連携を図り、小中学校が連携して学習習慣の形成を図る取
組を進めている。また、②、③については、共同研究校で実施した「家庭における
学習習慣の形成支援プログラム」により改善されてきている。今後も「学校全体の
取組」として継続していくことにより、全国平均、またそれ以上の成果を期待でき
ると考えている。
(2) 家庭における学習習慣の形成を図る取組のポイント
共同研究校における実践を通して、特に重要と思われる指導のポイントを次頁に示
した。いずれの内容も具体的で、指導の意図が感じられるものであることに注目したい。
- 15 -
【取組のポイント】
方法
具体的な内容
事項
全校体制づくり
管理職も含め、全員で担当する児童生徒を決め(家庭学習担任
制のような取組)、学校全体で家庭学習の習慣化を図る取組を支
援する体制を作る。
学業指導(※)の
学級(学校)に対する「帰属意識」や「規範意識」を育み、
「お
徹底
互いに高めあえる学級づくり」を推進する。そのため、児童生徒
※生徒指導提要 p18コラム
に「自信をもたせる授業」「コミュニケーション能力をはぐくむ
(平成22年文部科学省)
授業」「一人一人の実態に配慮した授業」を行う。
宿題、家庭学習と
の接続を意識した
一単位時間の指導内容とともに、
「宿題」もしくは「家庭学習」
で取り組むべき課題等についても一緒に構想する。
授業づくり
家庭学習の行い方
の指導
「宿題」、「家庭学習」ともに、教師が具体的な学習方法、内
容等についてきめ細かく指導する。また、保護者にも「保護者向
けのリーフレット」等を配付し、家庭学習の考え方や具体的な方
法、内容等について、参観日や懇談会などで説明する機会を取る。
家庭学習「コース」
の設定
自宅で「宿題」のみ実施する場合と、「宿題」と「家庭学習」
の両方実施する場合のコースを決め、基本的に児童生徒に選択(自
己決定)させる。課題の内容を児童生徒が自分の状態に応じて選
べるよう準備する。(チャレンジテストなど、学校で準備して児
童生徒に選択させることも考えられる。)
目安時間の設定
「手引」の準備(フ
ァイル加除式)
○年×時間(分)
、一週間で○時間など、目指すべき時間を決める。
児童生徒が、家庭学習を自分で行うことができるよう、家庭学
習を行う際の「方法」、「内容」、「注意事項」等をまとめて記述
したり、学習時間を「記録」できる欄を設けた手引きを準備する。
また、学校で準備したプリント類はファイルし、問題集など自
分で準備したものを実施した場合は、その内容や時間を記録する。
「手引」に保護者
児童生徒が自分で決めて取り組んだ内容や学習時間等について
のコメント欄を設 記入する欄と、保護者がそれを見て感想等を記入する欄を設け(一
定
週間に一度程度)、取組を保護者にも認知してもらう。
- 16 -
(3) 「校内研修」など、学校の重点的な取組と学習習慣の指導との関わりについて
各学校の「家庭における学習習慣の形成支援プログラム」に基づいた実践は、(1)
のアの学習時間や宿題の状況の変化からも、大きな成果を上げていることが分かる。
それぞれの学校が、児童生徒や地域の実態に応じて、「家庭における学習習慣の向
上」に向けて、主に「家庭学習」や「宿題」にポイントを当てて学校で重点的に取
り組むことによりこの結果につながったと考える。他方、「家庭における学習習慣
の形成支援プログラム」のもう一つの要素である「学校の重点的な取組」が学習習
慣の形成につながったと考えられる事例も確認できた。
ア
羅臼町立春松中学校
本校は、学習に関する手厚いサポートとともに、「基本的生活習慣の徹底」、「道
徳的実践の励行」、「情報発信」等に取り組んだ。特に、基本的生活習慣である「健
康安全」の実践として「欠席なしの日」を奨励し、校内に「欠席なしの木」のオブ
ジェを模造紙で作成し、全校生徒に「見える化」の工夫を行ったり、ブログでその
状態を保護者に情報発信するなどの取組が見られた。また、道徳的実践である「あ
いさつ」を教職員が率先して行うなど指導を徹底するとともに、清掃などに学校が
一丸となって取り組んだことが、
「がんばる」生徒及び教師を育む学校文化を形づくり、
それが「家庭における学習習慣の形成」につながったと思われる。
イ
えりも町教育向上対策委員会の取組
えりも町は、小学校から高等学校まで、町内すべての児童生徒の「学力向上」や
「生活習慣」、「学習習慣」等の定着を目指し、「えりも町教育向上対策委員会」(以
下、「対策委員会」)を設置している。
えりも小学校は対策委員会と連携し、対策委員会の取組と従来から自校が行って
いる取組を関連させて、家庭における学習習慣の形成に関わる様々な教育活動を展
開している。往々にして、「学校」、「教育委員会」がそれぞれの立場でそれぞれの
取組を実施してしまう場合があるが、えりも町では効果的な連携がなされており、
今後も継続した取組が望まれる。
ウ
白糠中学校の校内研修
本校は、道研の「組織マネジメント研修講座」で習得した手法を活用した校内研
修を実施し、次年度の校内研修の在り方等を検討する際、教職員の考えを「見える
化」する工夫を行っている。
(白糠中学校校内研修の記録
テーマ「次年度の校内研修の在り方」)
- 17 -
教職員の考えを「見える化」する意義は、「同僚性」の構築にある。このような
工夫を行ったことは、次年度の校内研修の実施内容や方法に教職員の意見が生かさ
れることになり、教員の主体性の発揮が期待できる。今後も学校の教育活動一つ一
つの取組に対する「見える化」の工夫が望まれる。
以上3つの事例を紹介したが、各学校の実践をマネジメントの観点から検討する
ことによって、「家庭における学習習慣の形成」には様々な要因が影響しているこ
とが感じられた。教科指導や家庭学習の手引による指導などの「直接的な取組」と、
校内研修の充実や教育機関との連携、道徳教育や学級経営など学校の教育力を高め
る「間接的な取組」の両面からのアプローチが必要であると考える。
11
今後の課題(まとめにかえて)
家庭における学習習慣の形成に関して、次の2つの課題を強調したい。
(1) 「家庭における学習習慣の形成」には、
「学級経営の充実」が重要な要素である。
(2) 「家庭における学習習慣の形成」には、教師、保護者ともに、児童生徒の学習に関す
る取組を「ほめる」ことが大切である。
(1) 「家庭における学習習慣の形成」には、
「学級経営の充実」が重要な要素である。
C小学校(pp.13-14)では、
グラフ12
第1回学習に関するアンケート集計結果(第6学年7月実施)
第1回「学習に関するアンケー
ト」を7月に実施した。グラフ
12によって「見える化」した第
6学年児童の実態を基に、教職
員全体で話合い、担任の児童へ
の指導の在り方を見直し、12月
から再出発した。特に重視した
のは、教師は「授業を充実させる」
こと、児童には「自分自身の在り
方を見直すための指導を充実する」ことである。
「授業を充実させる」では、児童の実態に応じた授業を展開する観点から教材研究
を徹底し、学級や個の状態に即応する柔軟な指導を心がけた。また、授業や家庭学習
- 18 -
の児童なりの頑張りや努力を認めるように心がけた。
「自分自身の在り方を見直すための指導を充実する」では、児童が数か月後に進学する
ことになる中学校の教諭に出前授業を実施してもらうなど、中学校入学に向けて現在
の自分の状態を見直し、進学に向けて意識を高めるような手立てを取った。併せて、
家庭学習に取り組むよう繰り返し声掛けを行った。
この結果、当該学級では、アンケートの14項目のうち1つの項目以外は全て向上し
たが、特に大きな変化を示したのが、学級集団の質に関わる「安心して学べる環境」
に属する質問項目である。つまり、児童の実態に応じた教師の適切な指導は、学級を
学びに向かう集団に変え、さらに一人一人を意欲的に学習に取り組む児童へと変えて
いった。また、「家庭学習」のカテゴリーに属する質問項目についても大きな伸びを
見せている(グラフ13)。
【アンケートの質問項目】
「安心して学べる環境」
ア
「家庭学習」
授業でわからないことがあると、先生
ア
に聞くことができる。
家では自分から勉強に取り組ん
でいる。
イ
先生は学習のことについてほめてくれる。
ウ
学校では落ち着いて授業を受けている。
エ
クラスは発言しやすい雰囲気である。
イ
家の人は学習のことについてほ
めてくれる。
そこには、共同研究校で取り組んでいる「学校の重点的な取組」と、「家庭学習の
指導」が影響していると考えられる。
それとともに、学級担任(中学校では教科担任も)がそれぞれの学級で行う「安心
して学べる環境」を整える指導は「家
グラフ13
第1回、第2回アンケート集計結果比較(抜粋)
庭学習の指導」にも大きく影響するこ
とが分かった(グラフ14)。つまり、
学級を学びに向かう集団に高めなが
ら、児童生徒一人一人が自らの力で様
々な不適応を解消し意欲的に学習活動に
取り組めるように指導・援助していく
「学
業指導」(p.16)が当学級において実
現した結果と考えられる。
・数値は質問項目の平均値
なお、他の共同研究校において実施
した学習に関するアンケートでも、「安心して学べる環境」の調査結果が高い学級ほ
ど「家庭学習」の調査結果が高いという結果が得られている。今後、各学校において、
「家庭における学習習慣の形成」を図る取組を実施する際には、「学級経営」の充実
など、学習集団の質を高める観点を重視する必要があると考える。なお、学級経営に
関して経験の少ない教職員が多い学校においては、羅臼町の取組(研修機会の拡充)
や、えりも小学校、古平小学校の取組(校内研修の充実)などが参考となる。
- 19 -
(2) 「家庭における学習習慣の形成」には、教師、保護者ともに、児童生徒の学習に関する取
組を「ほめる」ことが大切である。
(1)で行った教師の取組として、「授業や家庭学習の場面で児童の頑張りや努力を
認めるように心がけた。」「家庭学習に取り組むよう声掛けを繰り返し行った。」があ
る。そこで、調査項目「家では自分から勉強に取り組んでいる」と、次のア、イの調
査項目とのクロス集計を実施し、教師、保護者の児童への関わり方と家庭学習との関
係性を明らかにした。(グラフ14~17)
ア
「先生は学習のことについてほめてくれる」
イ
「家の人は学習のことについてほめてくれる」
【平成23年7月
1回目】
グラフ14 家庭学習と「先生は学習のことについてほめてくれる」とのクロス集計(1回目)
グラフ15
家庭学習と「家の人は学習のことについてほめてくれる」とのクロス集計(1回目)
1回目の結果から、教師や保護者の児童生徒への関わり方と、自発的な学習との間
の強い関係をうかがうことができる。
- 20 -
【平成24年2月
2回目】
グラフ16
家庭学習と「先生は学習のことについてほめてくれる」とのクロス集計(2回目)
※グラフ14(7月、1回目)と比較して、児童生徒の頑張ったことや努力したことを
認める(「ほめる」)指導により、「家では自分から勉強に取り組んでいる」数値に
大きな向上が見られる。
グラフ17 家庭学習と「家の人は学習のことについてほめてくれる」とのクロス集計(2回目)
.............
グラフ14と15で推測できることは、「児童生徒なりの頑張りや努力」を教師が「ほ
めてくれる(評価する)」と感じられないことが、家庭での学習の取組に影響してい
ることであった。(1)で述べた指導を充実した後の調査結果(グラフ16とグラフ17)
.............
を見れば、「児童生徒なりの頑張りや努力」を教師が「ほめている(評価する)」、保
護者が「ほめている」と感じられることが、「家で自分から勉強に取り組む」ことに
つながることが一層確かなことと考
えられる。なお、この関係について
は、他の共同研究校においても同様
である。
以上の結果から、図2のような循
環性のある指導と学習の関係が見え
....
てくる。つまり、教師が「児童生徒
.........
なりの頑張りや努力」を「ほめる(評
価する)」ことが、保護者の積極的な
関わりを生みだし、児童生徒の「家
庭における学習習慣の形成」につな
がっていくプロセスである。
- 21 -
(図2)「ほめる」と「家庭学習」との関係
「家庭における学習習慣の形成」は教育の目標の一つであるが、学力向上の下位目
標としての構造化も可能であると考える。そうした考え方の基で、平成23年度より家
庭における学習習慣の形成を目指す研究と並行して、本研究の共同研究校の多くに、
「北海道の児童生徒の学力向上プロジェクト研究」を継続して行っていただている。
このプロジェクト研究は、副題を「カリキュラム・マネジメントによる学校改善プラ
ンの充実」として、本道の児童生徒の学力向上を目指している。今回の研究で得られ
た知見に加えて、カリキュラム・マネジメントの考え方や学校評価を生かし、児童生
徒に「確かな学力」を身に付ける学校の取組を支援していきたいと考えている。
- 22 -
共同研究校の
取組
- 23 -
12
共同研究校の具体的な取組内容
(1) 古平小学校の取組と道研の研究との関わり(平成23年度分)
月
古平小学校の取組
4
○学校の課題(児童の実態)の確認、研究
5
主題及び、実施内容の確認
6
・具体的な取組内容の決定
7
道研の関わり
(研究主題)
「学びのつながりを意識した、
教えて考えさせる授業」
(研究副主題)
「確かな学力をつけるための学
習指導のあり方について」
研修全体に道研が協力
(具体的な実施内容)
・【理解深化】についてのさらなる取
組
・授業評価とノート指導の充実
・家庭学習を含めた学習ルールの徹底
・学びのつながりを生かすための教
材研究の充実
○6月23日 学校訪問(校内研修に参加)
○毎月の校内研修
・古平小学校の取組(研究)内容の聴取
・各学年、学級の家庭学習に関する取組
・家庭学習の取組内容について調査
内容と、児童の実態について全体で
確認
○「放課後ふるびら塾」の実施(町教委)
8
○通学合宿の実施(教育局、町教委事業)
○「どさん子元気アップチャレンジ」
・ウォーキング・チャレンジ(教育局)
・チャレンジテスト(教育局)
9
○第1回「学習に関するアンケート」実施
10
○校内研修
11
○9月29日 学校訪問(校内研修に参加)
・アンケートの活用方法の確認
・アンケート調査の具体的な活用方法につ
12
いて説明
・校内研修の充実に向けて
・道研機能の提供
(過去の研究資料の内容及び趣旨の説明)
・家庭における学習習慣の充実を図る方
- 24 -
・アドバイザーとしてワークショップに参
策(ワークショップ型の研修で、KJ
加(2名)
法的な手法を用いて具体的な方策を考
・全校体制で「家庭における学習習慣の形
える。
)
成」に必要な取組の決定
・全校放課後学習会の開催を決定
○校内研修(授業研究)
○10月27日 学校訪問(研究授業の参観、校
内研修に参加)
・授業づくりへの助言
・
(訪問後)メール等による指導案の添削
○放課後学習会
・授業づくりへの資料提供
○11月25日 学校訪問(放課後学習会の視
察、校内研修に参加)
・授業づくりへの助言
・
(訪問後)メール等による指導案の添削
1
○第2回学習に関するアンケート実施
2
○校内研修(研究のまとめ)
○学校訪問
・調査結果の説明、研究により明らかと
3
なった内容の提示
ア
共同研究校の「家庭における学習習慣の形成を図る取組」
古平小学校では、児童の「考える力」の育成を目指して、「教えて」「考えさせ
る」授業を展開することと、「考えさせる」ために必要な基礎的・基本的な学習内
容の定着を図ることの両面から取り組んでいる。
「家庭における学習の習慣化」は、
基礎的・基本的な学習内容の定着を図るための取組である。
家庭における学習として「宿題」と「家庭学習」の両方に取り組ませている古平
小学校では、この二つを明確に分けている。「宿題」は、教師が課題を提示するも
の、「家庭学習」は、児童が自主的に課題を決めるもので、これらの両方に毎日取
り組ませている。
「宿題」では、音読、ひらがなの練習(低学年)、漢字の書き取り、計算プリン
トなどを、授業進度に合わせて提示している。問題は主に担任が作成しているが、
計算プリントについては、算数のTT担当教諭が作成したり、採点をしたりして、
全職員が関わるような体制をとっている。
「家庭学習」の取組の内容は児童が自主的に決めているため、内容の質を向上さ
せることが課題であり、その解決の手立てとして、発達の段階に応じた家庭学習の
手引「古平小学校の家庭学習」を配付している。
この中では、低学年・中学年・高学年ごとに、めあてや家庭学習に取り上げると
よい問題、取組時間の目安などが示されている。
<古平小学校の家庭学習>
時間の目安 低学年 10~20分
中学年 30~40分
- 25 -
高学年 50~60分
め
あ
て 低学年 毎日勉強する時間を作ろう
中学年 自分から学習する習慣を身に付けよう
高学年 自分から考えて学習する習慣を身に付けよう
国語の内容 低学年 ・しっかり声を出して本を読みましょう。
・「、」や「。」に気をつけて、すらすら読めるようにれんしゅ
うしましょう。
・毎日つづけて読むれんしゅうをしましよう。
・書きじゅんや文字の形に気をつけて、ていねいに書くれんし
ゅうをしましよう。
・たくさん本とお友だちになりましょう。
中学年 ・毎日音読するしゅうかんを身につけましょう。
・教科書の内容を正しく読み取ることができるようにしましょ
う。
・正しい書き順で、正確に漢字が書けるように練習しましょう。
・とめ、はね、はらいに気をつけて、ていねいに書く練習をし
ましょう。
・体験したことを日記や作文に書いてみましょう。
・本をたくさん読みましょう。
高学年 ・情景を思い浮かべながら音読しましょう。
・声の大きさや読むスピードなどを工夫して読みましょう。
・読めない漢字の読み方やわからない言葉の意味を調べておき
ましょう。
・漢字のつくりや形を意識しながら練習しましょう。
・進んで読書をしましょう。
算数の内容 低学年 ・計算のやりかたをしっかり言えるようにしましょう。
・まずはゆっくり、そしてだんだんはやくまちがいなく計算で
きるようにれんしゅうしましょう。
(まちがったもんだいはかならず見なおし、もう一どやりな
おして書きましょう。)
中学年 ・教科書の復習や予習をしましょう。
・たし算、ひき算、かけ算、わり算の計算手順がしっかり身に
つくように、毎日練習しましょう。
・文章問題は、ひとつひとつの言葉を大切にして、正しく読み
取れるようにしましょう。
・三角定規や分度器、コンパスなどが正確に使えるようにくり
返し練習しましょう。
・わからないところはそのままにせず、必ず先生やおうちの人
に聞きましょう。
高学年 ・教科書の復習や予習をしましょう。
- 26 -
・参考書や問題集を使って、いろいろな問題にチャレンジして
みましょう。
・間違えやすい計算などは繰り返し練習し、計算力を高めまし
ょう。
・わからないところはそのままにせず、必ず先生やおうちの人
に聞きましょう。
その他
低学年 ・絵日記や作文を書くこともよいべん強です。
中学年 ・学校で学習した内容をふり返り、教科書や参考書、問題集な
どで復習しましょう。
高学年 ・学校での学習内容をふり返り、よくわからないところはもう
一度教科書やノートで復習しましょう。
・理科や社会、総合的な学習などの調べ学習にも計画的に取り
組みましょう。
※手引きは低・中・高学年ごとにA4版で作成し、配付。
※表記は、原文のまま
さらに、各家庭に配付する一週間ごとの時間割に「家庭学習参考欄」を設けて、
「家庭学習」で取り組むとよい課題を提示して、保護者への情報の提供、意識の向
上に働きかけている。学級によっては、帰りの会に「家庭学習参考欄」の内容を紹
介し、児童自身にも学習内容との関連を意識させている。
また、平成22年度からは、「全ての児童生徒がしっかりと授業内容を理解するこ
と」(学校長の学校経営通信より抜粋)を目指して、「放課後学習」の取組を始め
た。低学年・高学年ごとに週2回、時間は30分程度で参加は任意とした。取り組む
内容も、児童一人一人の課題に応じたものである。この「放課後学習」では、特に
支援を要する児童には家庭との連携も図りながら参加を促し、「宿題」や「家庭学
習」の解き方を指導したり、これまでの学習で定着が図られていない問題をもう一
度指導したりして、基礎的・基本的な学習内容の確実な定着を目指している。任意
の参加ではあるが、通年で7~8割の参加率があり、放課後学習に参加することが
当たり前になりつつある。
イ
校内研修の内容
古平小学校では、研究主題「学びのつながりを意識した教えて考えさせる授業~
確かな学力をつけるための学習指導のあり方について~」の下、国語科の読むこと
領域で説明的文章を題材に、「教えて」「考えさせる」授業づくりを行うとともに、
「家庭における学習習慣の形成」や「学習マナーの徹底」など、授業を支える日常
的な実践の充実にも取り組んでいる。
「教えて」「考えさせる」授業は、はじめに「教える」段階で、児童が考えるた
めの基盤を確実に身に付けさせ、次の「考えさせる」段階①で、「教えた」ことが
理解できているかを確認する。その上で、「考えさせる」段階②では、理解したこ
とを生かして解決を図る課題に取り組ませる。そして最後の「ふりかえる」段階で、
児童に自己評価をさせ、一人一人の理解の状況を把握し、授業改善につなげる。こ
- 27 -
のような授業を展開することで「考える」児童の育成を目指している。
また、授業づくりの際には、児童が考えるための基盤を確実に獲得する手立てと
して、古平小学校が、平成19年度より3年間、当研究所と共同で研究を行った「北
海道コア・アビリティ」の、学習の積み重ねを意識した授業づくりの考え方を生か
している。単元学習の最初の時間には、それまでに学習した内容のうち、関連する
ものを振り返るための時間を設定し、児童が学習内容の積み重ねを意識しながら学
習を進めることができるようにしたり、児童がそれまでの学習をどのように生かし
ているかを検証したりすることで、教師も指導内容の積み重ねを意識しながら取り
組んでいる。
また、「考える」ための材料となる基礎的・基本的な学習内容の定着のため、「家
庭における学習の習慣化」の取組とともに、学習マナーの定着を「古平小学校学習
のきまり」(表1)として作成・学級に掲示し、全校共通で授業に臨む姿勢や心構
えの定着化にも取り組んでいる。
(表1)
古平小学校学習のきまり
【学習用具】
・えんぴつは5本以上ふでばこに入れておき、10cm以下の短いものは使わない。
・ふでばこはつくえの中にしまい、使う用具のみおいておく。
・シャープペンシルは使わない。
・えんぴつ以外に赤えんぴつ(ペン)、定ぎ、消しゴムを入れておく。
・ノートに文字を書くときは下じきを使う。
【文字を書くとき】
・つくえと体の間はにぎりこぶし1つ分くらい間かくをとり、背すじをのばし
て腰かける。
・足のうらをゆかにつける。
・手でノートを押さえ、ノートから目を30cmくらいはなして書く。ひじをつく
えにつけない。
・教科書はノートの左がわにおく。
【本を読むとき】
・背筋を伸ばし、本から目を30cmくらいはなして読む。
・場所にあった声と聞き取りやすい速さで読む。
【話を聞くとき】
・話をする人の方を向いて聞く。
・話が終わるまで静かに聞き、自分の考えとにているところや、ちがうところ
を考える。
・発表中は、内ようをかくにんしながら聞く。
【発表するとき】
・「はい」と元気よくへんじをして、しずかに立つ。
・話し合いの時は、自分の考えをはっきりさせる。
・みんなに聞こえる声で、話す速さに気をつけて、最後まではっきり話す。
※表記は、原文のまま。
「家庭学習」の質的向上を図る取組として、古平小学校では、毎月、校内研修の
時間に、宿題及び家庭学習の取組の内容、取組の状況、取組を活性化するための教
師の働きかけ、また放課後学習への参加状況などを交流する時間を位置付けている。
平成23年度の1年間、交流を継続したことにより、教職員全体で全学級の取組状
- 28 -
況を共有するとともに、意欲的に取り組む児童が多い学級で、担任がどのような働
きかけを行ったかを他の教師が参考にすることができ、全校で統一した取組を可能
にした。このような、学年・学級にかかわらず、全校で同じ方針の下で指導が行わ
れることは、保護者の学校の指導に対する安心感・信頼感の醸成にもつながるもの
と思われる。
ウ
道研アンケートの状況
○
対象学年
第3学年~第6学年児童
○
○
実施時期
第1回目
平成23年7月
第2回目
平成24年2月
結果と考察
古平小学校の児童は、学年を問わず、「より有能になりたい」「より賢くなり
たい」という有能さへの欲求について、高い数値を示した。しかし、学習がうま
くいったときや成功したときに感じる有能感には、低い傾向が見られた。項目は
次に示した。
・有能さへの欲求
項目8:「自分がもっている能力をじゅうぶんに発揮したい」
項目15:「もっとかしこくなりたい」
・有能感
項目10:「勉強面では友だちからたよられていると思う」
項目23:「自分は勉強はよくできると思う」
二つの要素を比較したグラフを次に示した。
このことから、古平小学校の児童の傾向として、学習に対しての自己肯定感が
低いけれども、もっと賢くなりたいという思いは強くもっていることが明らかと
なった。
次に、学習に取り組む態度や意欲である学習行動レベルの項目、協同学習に注
- 29 -
目した。項目は次に示した。
項目11:「授業では友だちと協力して学ぶことも多い」
項目21:「授業では友だちに教えたり、教わったりすることも多い」
この項目は、第1回目と第2回目ともに高い数値を示した。
(表1参照)なお、
他の項目より高い数値を示したことを表すために、各項目の平均値を合わせて示した。
表1
<協同学習>
第3学年
第4学年
第5学年
第6学年
第1回目
3.23
3.15
3.00
3.21
第2回目
3.28
3.18
2.84
3.31
第1回目平均値
3.38
2.94
2.89
2.53
第2回目平均値
3.21
2.73
2.78
2.94
高い数値を示した理由として、校内研究での取組が考えられる。
校内研究で取り組んでいる「教えて」「考えさせる」授業の、「考えさせる」
場面において、「小集団などを活用した、お互いの考えを交流する学習活動」を
位置付けている。平成22年度の校内研究では、この交流場面の指導の充実に重点
的に取り組んだ。このことから、児童は、互いの考えを比較しながら聞き合うこ
とや、そこから、自分と異なる見方・考え方に気付くことができたことで、学び
の深まりを実感することができたのではないか。学びの深まりを実感できたこと
から、友だちと考えを交流しながら進める学習形態が定着したのではないかと考
えられる。
次に、児童の主体的な学びに関わる項目に、数値の伸びが見られた学級の分析
を行った。
(表2、3参照)なお、主体的な学びに関わる項目は次のように設定した。
項目29:「家では自分から勉強に取り組んでいる」(要素:家庭学習)
項目7:「テストがあれば、自分で計画を立てて勉強する」
(要素:自発学習)
項目19:「自分から勉強に取り組んでいる」(要素:自発学習)
表2 学級A
No.
(数値は学級平均)
質問項目
要素
29 家では自分から勉強に取り組んでい 家庭学習
第1回目 第2回目 増-減
3.00
3.25
0.25
2.69
2.75
0.06
自発学習
3.00
2.81 -0.19
30 家の人は学習のことについてほめて 家庭学習
2.69
3.00
0.31
2.75
2.88
0.13
3.13
3.25
0.12
る。
7 テストがあれば、自分で計画を立て 自発学習
て勉強する。
19 自分から勉強に取り組んでいる。
くれる。
1 授業でわからないことがあると、先 安心して学べ
生に聞くことができる。
る環境
18 学校では落ち着いて授業を受けてい 安心して学べ
る。
る環境
- 30 -
9 社会のために役立つような人になり 向社会的欲求
2.94
3.06
0.12
3.06
3.07
0.01
2.88
2.88
0.00
たい。
14 毎日の生活が充実していると感じて 充実感
いる。
5 いろいろなことを学ぶことは楽しい。おもしろさと
楽しさ
表3学級B
No.
(数値は学級平均)
質問項目
要素
29 家では自分から勉強に取り組んでい 家庭学習
第1回目 第2回目 増-減
2.00
2.92
0.92
2.00
2.60
0.60
2.13
2.83
0.70
1.83
2.84
1.01
2.00
2.76
0.76
2.13
2.88
0.75
2.50
3.24
0.74
2.79
3.48
0.69
1.46
2.08
0.62
る。
7 テストがあれば、自分で計画を立て 自発学習
て勉強する。
19 自分から勉強に取り組んでいる。
自発学習
12 先生は学習のことについてほめてく 安心して学べ
れる。
る環境
24 失敗しても学ぶことはおもしろい。 おもしろさと
楽しさ
18 学校では落ち着いて授業を受けてい 安心して学べ
る。
る環境
16 授業では友だちと話すことで、より 深い思考
深く考えることができる。
9 社会のために役立つような人になり 向社会的欲求
たい。
10 勉強面では友だちからたよられてい 有能感
ると思う。
2つの学級で共通に伸びの大きかった項目として、項目18:「学校では落ち着
いて授業を受けている」、項目9:「社会のために役立つような人間になりたい」
が挙げられる。
学級Aで一番伸びが大きかった項目、項目30:「家の人は学習についてほめて
くれる」、学級Bで一番伸びが大きかった項目、項目12:「先生は学習のことの
ことについてほめてくれる」は、保護者、先生と対象は異なるが、「ほめてもら
える」点で共通している。また、学級Aでは、項目5:「いろいろなことを学ぶ
ことは楽しい」、学級Bでは項目24:「失敗しても学ぶことは楽しい」と、どち
らの学級の児童も共通して、「学ぶことの楽しさ」を感じている。さらに、項目
1:「授業ではわからないことがあると、先生に聞くことができる」、項目12:「先
生は学習のことについてほめてくれる」と、共通して教師の存在が影響している
と考えられる。
これらのことから、主体的な学習に影響を及ぼす要因について次のように考察
することができる。
- 31 -
まず、進んで学習したいと児童が感じるためには、授業の成立が重要な要素と
して考えられる。学習規律が身に付き、互いの発言が受け止められる環境の中で、
今日の授業で何を学んだか、何ができるようになったかが実感できる授業、その
ような授業が成立しているときに、児童は、
「今日の学習にもう一度取り組んで、
確かめてみたい。」「もっと、いろいろなことを学んでみたい。」と思ったのでは
ないか。そして、自分が努力して解決したことや、できるようになった学習の成
果について、誰かに認めてもらうことで、自己肯定感を高めるとともに、そのよ
うな経験が生活の中で繰り返し行われたことで、学びの楽しさを感じられるよう
になったのではないだろうか。
児童生徒にとって学ぶ時間の多くは、学校の授業である。小学生の時期には、
授業は教師によって形づくられ、その教師から受ける影響は大きい。教師が日々
の授業をどのように実践し、児童とどのような関係を構築するのか、また、児童
の学習について、保護者へどのような働きかけを行うのかなど、主体的な学びを
成立させるには、このような、これまでも教師が行なってきたであろう事柄につ
いて、確実に、継続的に取り組むことが重要であるといえる。
エ
教育委員会独自の取組と道教委の事業との関連
古平町教育委員会独自の取組として、
「放課後ふるびら塾」がある。この取組は、
全国学力・学習状況調査の分析結果を踏まえ、児童の学習意欲の向上と、基礎学力
の定着を目指した取組として、平成22年度の夏季休業期間に「ふるびら塾」として
始まった。2学期からは、週1回、放課後学習をサポートする「放課後ふるびら塾」
と名称を変更して現在も継続している。
この事業は、平成22年度は道教委の「『まなび』環境づくりプロジェクト」を活
用して実施していたが、道教委の事業終了後の平成23年度は、町独自で「学力向上
推進事業」として予算を計上して取組を継続している。社会教育の視点から学校教
育をサポートする取組として、町の社会教育主事や町内在住の退職校長、この取組
に賛同した町民ボランティアなどが個別の指導に当たり、地域一帯となって学ぶ意
欲の向上と基礎学力の向上を目指している。
内容は、学校で出された宿題や、参加者に配付されている問題集等を、児童一人
一人のペース、学習状況に合わせて行う自主的な学習のサポートであり、多くの児
童が参加している。この事業に参加した児童やその保護者からは、「みんなと一緒
に学ぶことは楽しい。」「家でも集中して勉強に取り組むようになった。」などの声
が聞かれている。
また、道教委の事業の活用である、「チャレンジテスト」「巡回指導教員活用事
業」を活用した学力向上に向けた取組「『どさん子元気アップチャレンジ』事業の
ウォーキング・チャレンジ」による体力の向上、後志教育局による事業「ふるびら
通学合宿」を活用した生活リズムの定着と、学力と体力、生活習慣の面から児童の
育成に取り組んでいる。特に、「ふるびら通学合宿」に参加した児童に現れた変化
として、自ら進んで起きる時刻や寝る時刻を管理することの大切さが意識できるよ
うになるとともに、家庭学習に意欲的に取り組む姿勢が定着したことがあげられる。
- 32 -
(2) 羅臼町の取組と道研の研究との関わり(平成23年度分)
(羅臼小学校、羅臼中学校、春松小学校、春松中学校)
月
4
羅臼町の取組
道研の関わり
○地教委連携セミナー
5
6
(テーマ)
7
「効果的な家庭学習の習慣を身に付けさ
せる幼稚園、小学校、中学校、高等学校
それぞれのPTAと地域の役割」
【対象】PTA、教職員、教育委員会
(テーマ)
・テーマに関する講義・演習の内
容については、羅臼町教育委員
会と打合せにより、道研が作成
し実施する。
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校の
各校種間の連携をより進める工夫と課
題」
(基礎・基本の力の充実)
【対象】学校関係職員、教育委員会
8
○道研フリープラン研修
【Ⅰ期】8月3日(月)~8月5日(水)
・
「学級経営」
、
「各教科における言語活
動の充実」
、
「教科指導(国語科、社会
科、英語科)
」
、
「道徳の時間の指導」
、
「校内研修の在り方」
【Ⅱ期】8月8日(月)~8月10日(水)
・
「学級経営」
、
「各教科における言語活
9
動の充実」
、
「校内研修」
、
「学習評価」
、
10
「教科指導(国語科、数学科、理科)
」
11
12
- 33 -
・各学校の研究主題を把握すると
ともに、研究推進の方法や方向
性を含め、児童生徒の実態から
各自が希望する研修内容を確認
した。
・ 研修参加者のニーズに合わせ
て、研修内容及び方法を決定す
る。
・研修内容に合わせて、担当の研
究研修主事が、受講者の個別の
課題について具体的な助言を行
う。
・不明な点、疑問点の解消を図る
目的で、全員が模擬授業を実施
する。その後、授業反省を実施
する。
・授業反省では、一単位時間の指
導及び単元の指導計画等を見直
し、目標の実現を図る指導と評
価の在り方について研修を深めた。
1
【Ⅲ期】1月
・Ⅰ期、Ⅱ期と同様に、各学校の
研究主題を確認するとともに、
研 究 推進 の 方法 や 方向 性を 含
め、児童生徒の実態から各自が
希望する研修内容を確認した。
・
「各教科における言語活動の充実」
、
「教
科指導(国語科、数学科)
」
、
「学習評
2
3
価」
○フリープラン研修のまとめ
○次年度のフリープラン研修内容の設定
○次年度フリープラン研修の計画
ア
共同研究校の「家庭における学習習慣の形成を図る取組」
(ア) 各学校で統一して取り組んでいる内容
学校名
春松小学校
具体的な取組内容
・家庭学習の手引の作成、配付
・放課後学習会の実施
・授業内容と関連した宿題の提示
・提出された家庭学習への学級担任からのコメント
羅臼小学校
・学習の手引作成、配付
・放課後学習会の実施
・授業内容と関連した宿題の提示
・提出された家庭学習への学級担任からのコメント
・長期休業中の学習サポート
春松中学校
・「調べる力」、「語彙力」、「視写する力」、「書く力・読む力」、
「計算する力」等を高める宿題学習の実施
・ユニット学習の展開
(国語、数学、英語の基礎的・基本的な内容を確実に定着
させることを目的に実施する。各学年それぞれ国語、数学、
英語のグループを作り、教員を配置する。プリント学習を実
施する時間とはとらえずに、今後の学習を進める上での基礎
となる内容を扱う。)
・放課後学習
・長期休業中の学習サポート
羅臼中学校
・家庭学習の手引の作成、配付
・各教科シラバスの作成による、生徒の自主学習体制の確立
・朝の「まなび」タイムの実施
- 34 -
(週ごとに教科を決め、プリント学習を行い、基礎的・基
本的な内容について定着を図る時間とする。また、各教科の
学級担当者が、月~木で指導した内容から問題を作成し、金曜
日にテストを実施する。)
・放課後学習
・長期休業中の学習サポート
(イ) 学級担任、各教科担任で工夫している内容
○
家庭学習や宿題のやり方について、担任が自分の経験を児童生徒に伝え、具
体的な方法をイメージさせている。
○
授業で学習した内容を活用して、自分の考えを引き出すような問題を宿題と
して出している。
○
宿題には確認印を押し、家庭学習は添削してコメントを書くことで、自主的
な学習に意欲を持てるようにしている。
○
授業内容や理解度に応じて、家庭学習の内容や方法を自分で決めさせ、自己
決定した内容や方法についてアドバイスをしている。
○
1学期には、前の学年で学習した「国語」と「算数」の内容を行い、2学期
以降は前の学期に学習した内容を行う。前の学期の学習内容は冊子にしてあり、
復習を兼ねて1日に1枚提出させている。
イ
教育委員会独自の取組
羅臼町教育委員会は、教師の「児童生徒の興味・関心を高め、自ら課題解決がで
きる学習指導を展開するための力量を高める」、「自校及び自己課題を明確にし、
解決に向けた方策を検討し、実施する力量を高める」ことを目的に、道研のフリー
プラン研修を活用した教員研修の充実を図り、児童生徒の「家庭における学習習慣
の形成」及び「学力向上」を目指している。
本研修は、夏期休業中に2回、冬期休業中に1回の計3回にわたり、のべ12名(羅
臼町内の小中学校教職員のうち24%)の参加があり、参加者は各自が設定した課題
の解決に向け、それぞれ3日間の研修に取り組んだ。
【参加者が設定した研修課題一覧】
項
1
目
言語活動
内
容
・日常の授業内容に言語活動を取り入れる方策
・「書くこと」領域における言語活動の在り方と単元構成
の工夫(国語科)
2
教科指導
・単元や一単位時間の目標を明確にした授業の在り方 (社
会科)
・児童の興味・関心を高める学習過程の工夫(理科)
- 35 -
3
校内研修
・校内研修の進め方(学級経営の在り方などについて)
4
道徳教育
・学級経営、教科指導(英語、道徳)を通して行う道徳教
育の具体的な進め方
ウ
5
授業技術
・発問、課題提示の在り方
6
学級経営
・学級経営の充実を図る具体的な方策
フリープラン研修の成果
(ア) 研修で身に付けた内容
Ⅰ期~Ⅲ期の研修参加者に対し、授業参観や学校訪問時、あるいは電話により
研修の成果について聞き取りを行った。その結果、研修を通して次のような内容
が身に付いたと感じていることが分かった。
項
1
目
言語活動
内
容
・指導計画及び授業案の作成をとおして、言語活動を行
う目的を明確にすること、話合いだけが言語活動では
ないことについて、理解を深めることができた。また、
授業を実施する際にも、意識して取り組むことができ
るようになった。
2
教科指導
・単元や一単位時間の目標を実現するための、指導と評
価の在り方について深く学ぶことができたので、児童
生徒への指導内容や、授業中の児童生徒の状況を見取
る場面について深く考えるようになった。
・事前に評価規準を考えて授業に臨むことにより、児童
生徒への声かけや指導内容が変化したことを実感して
いる。
・指導案を作成する際に、常に目標、指導、評価の整合
性を意識するようになった。
・教科の特質を生かした指導の在り方(社会科での資料
の活用等)について学ぶことで、授業でのポイントを
身に付けることができた。
3
校内研修
・学級経営に関する校内研修の進め方についての研修で
は、学級担任間の交流を一層深めるため、研修担当か
ら先生方への声かけを積極的に行ったり、常に「児童
- 36 -
の様子」をキーワードとして話を進めたりするなどの
工夫が大切であることを実感した。
・校内研修の意義について理解が深まった。
4
道徳教育
・各教科で道徳教育を実践する際に必要な内容や、考え
ておくべき内容についての知識を身に付けることがで
きた。また、具体的な授業の進め方についてイメージ
をもつことができた。
5
授業技術
・児童への発問では、これまで「正解」を問う発問が多
かったが、研修後は児童生徒の「考え方」や「方法」
を聞くことを心がけるようになった。言語活動の充実
につながる方法論であると実感した。
・課題提示についても、教師の教材研究が深まるほど、
単元や一単位時間の中で児童生徒に問う課題の内容に
ついて吟味するようになった。
6
学級経営
・学級経営案にある学級目標及び指導の重点目標を評価
(数値化)し、評価の低い内容については、改善に向
けた具体策の検討を行った。
・評価の低かった「コミュニケーション能力」や「信頼
しあえる人間関係づくり」について課題解決を図るた
め、学級担任としての取組、学年としての取組、学校
としての取組という視点でこれまでの取組を振り返っ
た。児童生徒への指導は、学級担任はもとより全職員
で協力し、成長や課題を確かめ合いながら進めること
が、児童生徒の成長によりよい結果をもたらすことを、
校内研修会で助言した。
エ
道研アンケートの状況
アンケートの結果から、羅臼小学校、春松小学校については、次のような傾向に
あることが分かった。
(ア) 「安心して学べる環境」に関する数値が高い学級は、「家庭学習」や「自発学
習(自分から勉強に取り組んでいる。テストがあれば、自分で計画を立てて勉強
する。)に関する数値も高い。
(イ) 「安心して学べる環境」に関する数値が高い学級は、「向社会的欲求」(社会
のために役に立つような人になりたい。思いやりのある人になりたい。)に関す
る数値も高い。
(ウ) フリープラン研修に参加した教員のクラスでは、「おもしろさと楽しさ」(失
敗しても学ぶことは楽しい。いろいろなことを学ぶのは楽しい。)に関する数値
- 37 -
が高い。
(ア)、(ウ)については、学校で行っている校内研修に加え、フリープラン研修に参
加した教員が「授業づくり」や「言語活動の充実」等について課題をもって研修に
臨んだことにより、目標を実現するための指導と評価の在り方や、言語活動を充実
させるための言語環境の整備について深く学び、実践していることが理由と考えら
れる。さらに、授業(一単位時間の目標実現)と補充的内容、並びに発展的内容の
バランスがとれた家庭学習の実施につながったためと推察される。
また、(イ)については、充実した学級経営により、集団の帰属意識や規範意識が
高く、お互いに成長しあえる学級づくりが行われていることに起因すると推察でき
る。同様の結果は、他地区のアンケートにも見られる傾向だが、学校での学級経営
に関する様々な取組に加え、フリープラン研修への参加による教員の力量向上もこ
のような結果につながった一因と考えられる。
(3) えりも小学校の取組と道研の研究との関わり(平成23年度分)
月
学校の取組
道研の関わり
4
○学校の課題(児童の実態)の確認、研
・研究主題の設定に関わる資料提供
究主題及び実施内容の確認
・ワークショップ型の研修の提案
(前年度)
(研究主題)
読む力を育み、豊かな表現ができ
る子をめざして
○4月25日 学校訪問
(具体的な実践)
・今年度の家庭学習の取組の計画につ
国語科の「読むこと」領域の文学
いて調査
的な文章の指導において、児童に学
・アンケートの活用方法の確認
習の見通しをもたせたり、言語活動
・校内研修についての助言、資料提供
を工夫したりすることをとおして、
深い読み取りや豊かな表現ができる
ようにする。
○1学期学級経営案交流
5
○第1回学習に関するアンケート実施
6
○理論研修(研究仮説の決定)
アンケートの集計・分析
○特別支援学級交流
○研究授業(2年)
7
○研究授業(6年)
○仮説の検証、見直し①
○ミニ道研参加「教科指導(国語科)
」
○7月26、27日 ミニ道研(日高会場)
・
「学習評価」
、
「教科指導(国語科)
」
- 38 -
8
○校外研修交流
○2学期学級経営案交流
9
○研究授業(3年)
○実技研修①
○研究授業(5年)
○仮説の検証、見直し②
10 ○実技研修②
○実技研修③
11 ○今年度のこれまでの家庭学習及び校内
研究の取組に関する資料送付
○研究授業(1年)
○研究授業(4年)
○11月28日 学校訪問
・第1回アンケート調査の分析結果の概
要説明及び第2回アンケート調査につ
いての説明
・家庭学習の取組についての調査
家庭学習の取組に係る改善プラン例
12 ○仮説の検証、見直し③
(12~3月、次年度)等の提供
○第2回学習に関するアンケート実施
・校内研究についての助言
1
○校外研修交流
アンケートの集計・分析
○3学期学級経営案交流
○実技研修④
○1月26日 学校訪問(校内研修に参加)
・模擬授業の実施
・研究仮説の見直しに関わる助言
・アンケート調査結果の概要説明
・家庭学習の取組についての調査
2
○今年度の反省
3
○次年度の研修の方向性決定
ア
共同研究校の「家庭における学習習慣の形成を図る取組」
えりも町では、「えりも町教育向上対策委員会」(以下、「対策委員会」)を設置
し、町内の児童生徒の学力向上と学習習慣、生活習慣の確立に努めている。対策委
員会の中に「家庭学習改善部会」があり、児童生徒の家庭学習について、全国学力
・学習状況調査及びえりも高校2年生の学力等実態調査の結果を、「基本的生活習
慣」、「家庭学習及び読書習慣」、「学校での学習」、「国語の学習」、「算数の学習」
- 39 -
の5つの観点で分析し、「学年×10分」を家庭学習時間の目安として、改善に向け
た取組を行っている。
えりも小学校では、このような対策委員会の取組と従来から自校が行っている取
組を関連させて、家庭における学習習慣の形成に関する取組を実施している。
特徴的な取組としては次のようなものがある。
取
組
自己診断シート
内
容
児童の学習習慣・生活習慣の実態を把握するため、5月
に「自分の力を伸ばすために」というA4版1枚のシート
を活用し、児童による自己診断を実施している。対策委員
会の提言と関連した取組である。
児童用「えりも小
学校
家庭学習の
児童用として、家庭学習の意義や時間、内容、方法等に
ついてまとめたリーフレット「えりも小学校
家庭学習の
て びき」、保護者
てびき」を年度の始めに配付している。また、同時に、保
用「家庭学習の手
護者用として、家庭学習の内容や方法、ノートの使い方、
引」
家庭学習への対応の仕方などについてまとめたA4版3ペ
ージの資料「家庭学習の手引き」を配付している。
えりも町教育委員会においても、平成20年から「えりも
学びパワーアップ作戦」の取組の一つとして各家庭へ家庭
学習についてのパンフレットを配付しているが、えりも小
学校では、それ以前から独自に手引を作成し、配付してい
る。
家庭学習ノート
1冊を学校へ提出しても毎日継続して家庭学習に取り組
めるように、2冊の家庭学習用ノートを活用している。
児童用「ノートの
対策委員会の「家庭学習ノートのノート指導」の提言と
使 い方」、保護者
関連させて、家庭学習で使用するノートについて、全校で
用「ノートの使い
取り組めるように書式や記載事項をできるかぎり統一し、
方の例」
その使い方を「ノートの使い方」というリーフレットにし
て児童に配付している。また、保護者向けにもノートの活
用の仕方の見本を記載したA4版1ページの資料「ノート
の使い方の例」を配付し、周知を図っている。
家庭学習強化月間
対策委員会の「家庭学習強調週間の設定」の提言と関連
させて、5月、7月、9月、11月、2月を「家庭学習強化
.
月間」として設定し、児童に家庭学習を行った時間を記録
させることで家庭学習への意識化、意欲化を図るとともに、
- 40 -
児童の家庭学習の状況を把握している。
児童用「家庭学習
「家庭学習強化月間」に児童が家庭学習時間を記録する
チャレンジカー
学習記録カードである。「学習時間目標」、「始めた時間」、
ド」
「終わった時間」、「学習した時間」、「目標の達成」等を
記録する。A4版1枚につき、1週間分が記録でき、1週
間ごとに提出する。
イ
校内研修の内容
えりも小学校校内研究構造図概要
【児童の実態】
・読むことに課題
・語彙の定着、表現に課題
・聞くことに課題
【目指す子ども像】
・物語の場面の様子や登場人物の気持ちを表現できる子
・自分の思いや考えを豊かに表現できる子
・友達の発表を聞き、自分の考えに生かせる子
【研究主題】
読む力を育み、豊かな表現ができる子をめざして
【研究仮説】
①物語文における読み取りの観点と目的を明確にし、見通しをも
たせることにより、読み取る力が育つだろう。
②言語活動を工夫することにより、主体的に学習に取り組み、豊
かな表現ができるだろう。
えりも小学校は昨年度までの4年間、「自ら考え、意欲的に学習に取り組む子の
育成」を主題として、算数の基礎・基本を定着させる指導法の研究を進めてきた。
課題であった算数科については、学習の見通しをもたせることや算数的活動を取り
入れた課題解決学習、発表の場の設定などの手立てにより、学習意欲が向上したと
いう成果を見ることができた。一方で、自分の考えをもって発表ができるようには
なったものの、仲間の考えを聞いて自分の考えを深めたり、共通点や相違点を見付
けたりすることに課題が見られた。
これらのことから、今年度は、豊かなコミュニケーション能力を身に付けさせる
- 41 -
ことを目標に、研究主題を「読む力を育み、豊かな表現ができる子をめざして」と
設定し、国語科の「読むこと」領域における文学的な文章、特に物語教材の指導に
焦点を当て、3年次計画で研究を進めることにした。
今年度は理論研修や国語科の授業実践の検証を行うとともに、目指す児童生徒像
や研究仮説の改善、学習過程の明確化を目指す取組を行ってきた。具体的には、ミ
ニ道研(日高会場)や北海道国語教育研究大会への参加など、国語科の理論や実践
に関する情報収集を行ったり、全学年で研究授業、研究協議を行ったりした。
また、3学期には、実技研修として、国語科における言語活動の位置付け等につ
いて、道研所員による模擬授業や講義をとおして、理解を深めた。
さらに、「読むこと」領域の指導においては音読が重要であることから、音読カ
ードを活用して児童が家庭学習として取り組めるように工夫したり、朝のパワーア
ップの時間(月~水曜日)を活用して漢字の練習をしたりすることができるように
した。
ウ
各種データから見られる状況
表1は平成22年度の7月と2月に、町内の全ての小学校を対象に、授業日に「学
年×10分」以上の家庭学習を行った児童の割合を集計したもの(一部を抜粋)であ
る。表2は平成23年度の7月と11月に同様の調査をえりも小学校で実施したもので
ある。
表1と表2を単純に比較することはできないが、平成23年度のえりも小学校の数
値が平成22年度のえりも町の他の小学校の数値に比べて概ね高い傾向にあることが
分かる。家庭学習に関する取組の成果が現れているといえるだろう。
【表1】授業日に「学年×10分」以上の家庭学習を行った児童の割合(町内小学校)(単位は%)
1学年 2学年 3学年 4学年 5学年 6学年
平成22年7月
86.7
55.9
38.3
24.4
13.2
16.1
平成23年2月
81.4
67.8
73.9
35.9
21.1
14.3
【表2】授業日に「学年×10分」以上の家庭学習を行った児童の割合(えりも小)(単位は%)
1学年 2学年 3学年 4学年 5学年 6学年
平成23年7月
100.0
100.0
78.1
62.1
95.8
70.0
平成23年11月
100.0
76.9
54.5
86.7
48.0
10.3
また、平成24年2月に実施した保護者学校評価や児童アンケートにおいても、家
庭学習に関する意識や取組が児童や保護者の中で高まっていることが分かる(表3、
表4)。特に児童においては、目安となる「学年×10分」の家庭学習に毎日取り組
んだ割合が2倍近くに達し、全校児童のうち3人に1人が「学年×10分」以上の家
庭学習に取り組む習慣が形成されているといえる。教職員からの聞き取り調査によ
ると、家庭学習強化月間の取組が、継続して家庭学習に取り組む契機となり、家庭
学習の習慣化のために効果的だったことがうかがえる。
- 42 -
【表3】保護者学校評価で「よくあてはまる」「ややあてはまる」と回答した割合(単位は%)
評価項目
お子さんは、家庭学習の習慣が身に付
H22
H23
65
72
76
87
きましたか。
家庭学習の習慣を付けることができる
よう、家庭でも励ましていましたか。
【表4】児童アンケートで○△×のうち○と回答した割合 (単位は%)
質問項目
毎日、学年×10分の家庭学習に取り組
H22
H23
18
34
むことができましたか。
しかし、表2についてえりも小学校内における数値の変化を見てみると、ほとん
どの学年が7月の数値よりも11月の数値の方が低くなっている。
また、学年別平均家庭学習時間(表5)を見ても、減少傾向にあることが分かる。
上述のように、家庭学習習慣の形成が図られた児童がいる一方で、家庭学習への
意欲が低下し、家庭における学習習慣の形成という面では依然として課題が見られ
る児童もいることが分かる。
【表5】課業日の学年別平均家庭学習時間(えりも小)
(単位は分)
1学年 2学年 3学年 4学年 5学年 6学年
平成23年7月
46.4
31.6
32.2
37.2
103.3
107.3
平成23年11月
42.1
25.0
26.4
100.3
49.2
25.5
※表2を作成した際に使用したえりも小学校の基礎データを活用して平均家庭時間を算出した。
これらの結果は、家庭学習の取組を始めた当初は、児童の気持ちも新鮮であり、
意欲も比較的高い傾向にあるが、取組が継続していくと、次第に興味・関心が薄れ、
家庭学習時間が減少することを表していると考えられる。例えば、7月の調査では、
全学年を通じて2時間以上家庭学習を行った児童は、全体の18.5%であるが、11月
の調査では7%と減少している。一方、家庭学習を全くしていない児童の割合は、
7月の調査では0%、11月では2%であり、大きな変化はない。全体の数値が下が
ったとはいえ、家庭学習を全く行わなくなるわけではないようである。7月の一時
的に意欲が高まった結果よりも、11月の日常的な取組となった時期の結果の方が、
家庭における学習習慣という点では実態を反映しているとも言える。
しかしながら、このことは家庭学習時間の減少を容認することを意味しない。児
童の家庭学習への意欲を持続、向上させるための継続的な工夫が、学校の取組に求
められるということである。
校内における家庭学習時間の減少傾向について考えてきたが、さらに表2、表5
- 43 -
について学年別に変化を見てみると、第1学年は7月、11月とも全員が「学年×10
分」以上の家庭学習を行っており、しかも11月の平均家庭学習時間は42.1分であり、
7月の平均家庭学習時間とほとんど変化がない。これらのことから、継続して高い
レベルでのきめ細かな取組が行われていると考えられる。
第4学年は、7月に比べて11月の方が「学年×10分」以上家庭学習を行った児童
の割合も、平均家庭学習時間も増加している。この結果については、2学期に入り、
学習発表会の取組等を通じて、児童に達成感と自己肯定感が高まったことと関連し
ていると推察される。
第5学年は、11月の調査で「学年×10分」の家庭学習を行っている割合が48.0%
と多くはないが、平均家庭学習時間が49.2分とほぼ目安となる時間の50分に近くな
っている。これは、第5学年の88%が30分~60分の家庭学習を行っているからであ
る。つまり、第5学年の児童の多くは、ほぼ50分程度家庭学習に取り組んでいると
いうことである。全員が家庭学習に取り組むようになる指導が行われていると考え
られる。
エ
道研アンケートから見られる状況
上述した5学年について、道研アンケートから考察する。第2回「学習に関する
アンケート」では、第5学年は次のような結果となった。
【表 6】学習に関するアンケート(えりも小)
安心して学べる環境
家庭学習
欲求・動機
学習行動
認知・感情
有能さへの欲求
自発学習
有能感
2学年
3.12
3.07
3.33
2.94
2.81
3学年
2.32
2.47
3.29
2.55
2.28
4学年
2.40
2.52
3.12
2.35
2.00
5学年
3.01
2.92
3.36
3.02
2.10
6学年
2.51
2.26
2.95
2.07
1.88
校内全体
2.64
2.62
3.20
2.56
2.20
※1学年は、アンケートへの回答が児童にとって難しいことから調査を行っていない。
表6は「学習に関するアンケート」の構成要素のうち、本研究において特に着
目した要素「安心して学べる環境」「家庭学習」「有能さへの欲求」「自発学習」「有
能感」を取り出したものである。(p.67(表5)構成要素の説明)
一般的な傾向として、これらの要素のポイントは、学年が上がるにつれて低下
するが、この表から分かるように、第5学年のポイントは概ね高い傾向にある。特
に「安心して学べる環境」、「家庭学習」、「自発学習」のポイントは、隣接する学
年のポイントとの差が大きい。このことから「安心して学べる環境」と「自発学習」
が「家庭学習」に好影響を及ぼし、児童が家庭学習を行うための環境を整えている
と考えることができる。
- 44 -
オ
教育委員会独自の取組と道教委の事業との関連
アで述べたとおり、えりも町では、
「えりも町教育向上対策委員会」が設置され、
家庭学習改善部会や授業改善部会等が、それぞれの分野で改善策の検討や改善に向
けた取組を行っている。これは、えりも町が平成19年度に北海道教育委員会と連携
した北海道検証改善委員会の指定地域として、「北海道学校改善支援プラン」に基
づく学校改善に取り組んできたことを踏まえたものであり、町内の児童生徒の学力
向上や学習習慣、生活習慣の確立を目指した取組である。
- 45 -
資料1
「えりも小学校
家庭学習のてびき」(児童用)
資料2
家庭学習ノート(第5学年
国語、算数)
資料3
家庭学習ノート(第5学年
- 46 -
理科)
(4) 白糠町の取組と道研の研究との関わり(平成23年度分)
(白糠小学校、白糠中学校)
月
各学校の取組
4
○学校の課題(児童の実態)の確認、研究
5
6
7
道研の関わり
主題及び、実施内容の確認
【白糠小学校】
(研究主題)
学び方を身につけ、ともに学び
合う喜びを求める子を育てる授業
の創造
(具体的な実践)
「は・く・しょうの学び」の構築
研究全体に道研が協力
【白糠中学校】
(理想とする授業)
「自ら考える授業」
(具体的な実践)
一単位時間における「生徒自ら
が考える場」と「他者と意見を交
流する場」の設定
○小中連携に関わる校内研修の具体的内容 ○7月21日 学校訪問
(白糠小学校)
(白糠小学校)
・夏季休業中に研修担当教員が中学校の
・白糠小学校が実施しているアンケートに
校内研修に参加し、小学校の研修内容
8
9
ついて助言
についての説明を実施
・家庭学習の取組内容について調査
(白糠中学校)
(白糠中学校)
・空き時間等に小学校を訪問し、授業を
・家庭学習の取組について調査
参観
・道研アンケートの活用方法の説明
10
○校内研修(白糠中学校)
○10月31日 学校訪問(校内研修に参加)
・問題解決的な学習の在り方
・模擬授業の実施(英語、数学、道徳、
・アンケートの活用方法の確認
技術・家庭)
・問題解決的な授業の構築に必要な理論の
説明
・アンケート調査結果の概要説明
・授業参観
- 47 -
11
○道研「学習に関するアンケート」の概要 ○11月1日 学校訪問
説明(白糠小学校)
・アンケート調査結果の概要説明(白糠中
・アンケートの活用方法の確認
12
学校の結果を基に説明)
○白糠町教育研究所研究指定校公開研究会 ○12月2日 学校訪問(公開研究会に参加)
白糠小学校
・白糠小学校授業参観
○自主公開研究会
・白糠中学校授業参観及び助言
白糠中学校
○白糠小学校、学習に関するアンケート実 ○アンケート結果の概要説明
施
1
○校内研修(研究のまとめ)
○学校訪問
2
・調査結果の説明、研究により明らかに
3
ア
なった内容の提示
共同研究校の「家庭における学習習慣の形成を図る取組」
白糠町は小中連携の取組を通して、家庭における学習習慣の形成を図るとともに、
学力の向上を目指している。
(ア) 白糠小学校
授業における「は・く・しょうの学び」を支えるものとして、家庭における学
習習慣を形成するために、
「家庭学習の手引」ファイルを作成し取り組んでいる。
手引は、児童の発達の段階に応じて「1・2年生用」、「3年生用」、「4~6
年生用」の3種類を作成している。「1・2年生用」については、「保護者用」
として作成し、保護者が読み、児童に説明できる記載となっている。3年生以上
については、児童が自分で手引を読み、内容を理解して家庭学習に取り組める記
載となっている。
実施方法等について、児童には学級活動の時間に説明し、保護者には参観日や
懇談会、学校便りや学級通信を活用して協力を依頼している。
特徴的な取組として、低学年~20分以上、中学年~30分以上、高学年~50分以
上を目安として、「宿題コース」と「ぐんぐんコース」の二つのコースを設けて
いることが挙げられる。「宿題コース」は、学校からプリントを配付し、国語と
算数を実施する内容であり、「ぐんぐんコース」は自分で計画を立て必要な教科
の学習を行うものである。
また、「家庭学習の手引」ファイルに「がんばりカード」を一緒に綴じ、児童
が月初めに目標を立て、自分の取組を記録し、月末に保護者からのコメントを記
入してもらうなどの工夫を行っている。なお、学級担任も毎日提出される児童の
家庭学習にコメントを必ず書いて返却することにより、家庭学習への意欲化を図
るとともにその習慣化を目指している。
- 48 -
〈白糠小学校
項目
「家庭学習の手引」
記載内容の一部〉
記載内容
家庭学習の意義 「家庭学習はなぜするのでしょうか?」
□
ずばり!「かしこく」なるためです。
◆か・・・書く力、読む力、考える力がつきます。
◆し・・・調べることが上手になります。
◆こ・・・言葉をたくさん覚えます。
◆く・・・工夫する力がつきます。
□
そうすると・・・
◎学校の勉強がわかるので楽しくなります。
◎テストの点数がアップします。
◎いろいろな力がつき、自分の夢に近づきます。
実施方法等
「どのようにやればいいのでしょうか?」
□
めあてやきまりを決めて、毎日同じリズムでできるようにし
ましょう。 いつ、どこでやるのか書きましょう。
いつ?
どこで?
□
※児童が記述
※児童が記述
進め方
1
毎月のあめてを立て、がんばりカードに書く。
2
目標の時間をもとに、宿題やぐんぐんコースに取り組む。
3
がんばりカードに、取り組んだことと時間を書く。
4
月の終わりに、ふり返りを書く。
5
おうちの人に、ひとこと書いてもらう。
6
先生から書いてもらう。
□
宿題コース(~説明略~)
□
ぐんぐんコース(宿題コースがおわったらやりましょう。)
(取組例)
1
漢字の練習をしてみましょう。
2
国語で学習したことを音読してみましょう。
3
計算練習をしてみましょう。
4
日記を書いてみましょう。
5
家にある社会ドリルや理科の問題集をやってみましょう。
家庭における学習習慣の形成には、今後も継続的な取組が必要であることから、
児童の家庭での学習の様子等の聞き取りなどを基に、「家庭学習の手引」が児童に
とってより使いやすいものとなるよう修正を図っていくとともに、児童が家庭学習
を行った効果を実感でき、学習意欲を一層高める取組を、学校全体で行っていくこ
ととしている。
- 49 -
(イ) 白糠中学校
白糠中学校は、このような小学校での取組を土台として、中学校独自の取組を
実施している。具体的には「学習の手引」を生徒に配付し、学習の意義について
確認するとともに、学力を伸ばすために必要な事柄として、「生活のリズムを整
えること」、「授業を大切にすること」、「家庭学習を充実させること」を示して
いる。
家庭学習については、①学習時間を決める、②目標をもって学習する、③集中
して学習する、④体全体を使って学習する、の四つをポイントとして示し、家庭
学習の習慣化を目指している。
また、「国語」、「社会」、「数学」、「理科」、「英語」の5教科については、具体
的な学習方法として、授業に臨む際の留意点や家庭での学習方法、効果的なテス
ト勉強の方法などについて示している。
〈白糠中学校
項目
記載内容
学習の意義
□
「学習の手引き」
記載内容の一部〉
学習をすることで・・・
・自分の可能性が育ち、夢の実現につながる。
・考えたり、調べたり、経験したりしたこと、問題に立ち向か
う気持ちや出来るようになった時の喜びは、これからの頑張
る力になる。
・私たちが生きているこの社会をよりよくするために貢献出来
る人になれる。
・自分を高め、苦労する経験は将来に渡って、学び続ける力と
なる。
・将来の趣味や特技に生かして、豊かな心で生活が送れる。等
学力向上の方策 □
学力をつけるためには・・・
1
生活のリズムを整える
《生活リズムチェック》
①余裕を持って、登校できる時間に起きている。
□
②朝食を食べている。
□
③帰宅時刻を守っている。
□
④テレビやゲームは決めた時間を守っている。
□
⑤決まった時間に学習を始めている。
□
⑥次の日の授業の準備は必ず前日にしている。
□
⑦決まった時間に就寝している。
□
2
授業を大切にする(チェック項目は略)
3
家庭学習を充実させる
《家庭学習への取組チェック》
①決まった時間に学習を始め、学習時間を確保している。□
②学習計画表を作成している。
□
③その日の目標をもって、学習に取り組んでいる。
□
- 50 -
④最初に宿題を終わらせている。
□
⑤「ながら勉強」はしていない。
□
⑥学習する場所を整理整頓している
□
⑦教科によっては、音読しながら線を引いたり、まとめ
□
たりしている。
□
各教科の学習法 □
テスト勉強法
1
必ず学習計画を立てる
2
立てた計画を実行する
3
覚え方を工夫する
4
わからないことはそのままにしておかない
国語の学習法
国語の学習をすると・・・・
・相手の意見や考えを理解する力が付く。
・自分の考えや気持ちを伝える力が付く。
・情報を正しく理解する力が付く。
・想像力や豊かな感性が身に付く。
・国語(母国語)を大切にする心が育つ。
・言葉の学習や習得は、人間形成につながる。
・話す・聞く・読む・書く学習は、全ての教科の基礎になる。
授業の受け方
※具体は略
家庭での学習方法
※具体は略
効果的なテスト勉強
※具体は略
ワンランクアップするために
※具体は略
※社会、数学、理科、英語も同様の記載
今後は、家庭における学習習慣の形成に向けて、「学習の手引き」に、授業と関
連させた、より具体的な家庭における学習の内容や取組方法等を記載していくこと
としている。
イ
校内研修の内容
(ア) 白糠小学校
白糠小学校では研究主題「学び方を身につけ、共に学び合う喜びを求める子を
育てる授業の創造」のもと、5か年計画で研修を進めてきた。
具体的な実践内容としては、「は・く・しょうの学び」の定着を目指し、校内
研究を進めている。「は」は「はっきりさせる」段階とし、児童一人一人が学習
課題を把握し、解決すべき問題や目的・活動がはっきりしている姿。
「く」は「く
らいつく」段階とし、自分の生活経験や既習事項を使い、課題解決の見通しを持
って意欲的に自力解決に向かい、他者との交流を通して、納得がいくまで学び合
っている姿。「しょう」は「しょうかする」段階とし、課題解決の結果、学んだ
ことを実感し、自分のものとして身に付けている姿と定義している。
- 51 -
《は・く・しょうの学び》
は
(はっきりさせる)
解決すべき問題・目
的・活動がはっきり
している。
今日はこんなことが分
かればいいんだ。
く
(くらいつく)
自分の生活経験・既
習事項を存分に使
い、自力解決し、納
得するまで仲間と学
び合っている。
しょう
(しょうかする)
学んだことを実感
し、自分のものとし
て身に付けている。
こうすればできそうだ。
なるほど!そんな考えもある
今日はこんなことが分かった
どうすればいいのだろ
か。
ぞ!
う。
こうすればよかったんだ!
これができるようになったぞ!
個人での追究
集団での学び合い
この「は・く・しょうの学び」を、児童にも日常的に意識させるための掲示物
を作成し、学び方の定着を図る環境づくりに取り組んでいる。
平成23年度は、12月2日の公開研究会において、3年生の国語、4年生の算数、
特別支援学級の授業を実施し、その中で「は・く・しょうの学び」を身に付け、
生き生きと学ぶ児童の姿を通じて、これまでの研修の成果を発信している。
また、次年度に向けて、全国学力・学習状況調査の結果や学校評価、道研のア
ンケートを相互に関連付けた分析を行っている。分析を踏まえ、今後も「は・く
・しょう」をキーワードとして授業づくりを推進していくことや、発問を中心と
した国語科の授業改善に取り組んでいく等の方向性を明確にし、一層の共通理解
を図った取組を推進していく。
(イ) 白糠中学校
白糠中学校では、「は・く・しょうの学び」を身に付け入学してくる生徒に対
して、自ら考える力の育成を目指し、授業実践を積み重ねている。つまり、白糠
小・中学校ではともに、児童生徒に「考える」ことの楽しさやよさを実感させ、
学ぶ意欲を向上させる、問題解決的な学習活動の展開を目指し、様々な実践を行
っている。
生徒が自ら考える授業の構築に当たっては、研究主題「生徒が自ら考える教育
課程の創造~生徒が自ら考える授業の改善~」のもと、特に「教材の工夫」と「支
援・指導の工夫」に焦点を当て、教職員全体で次の内容について共通理解を図り、
研修を推進している。
◎教材の工夫
・課題は生徒の状況をとらえ、十分に考えることができる内容にする。
・課題を生徒にとって身近なものと結び付ける。
・課題によっては教科書に答えが出ているので、ほかの教材を使用する。
- 52 -
・体験的活動から考えられるような教材を使用する。
・演示や実物、具体物など、視覚に訴える教材を使用する。
・生徒が思考の流れを論理的にまとめられるように、また授業を振り返られるよ
うに、ワークシートを工夫する。
◎支援・指導の工夫
・意欲を引き出すために、例として生徒の作品や意見を紹介する。
・実物や映像など、視覚に訴える教材を使用する。
・(間違いを認められる雰囲気をつくった上で)よい間違いをしている生徒に解
答させる。
・生徒に学ばせる場面では、教師が待つことも支援である。
・課題を生徒の生活と結び付ける。
・指導に関わる生徒の実態を把握する。
・ノート指導においては、板書を書き写すだけでなく、思考の流れを振り返るこ
とができるように工夫する。
また、夏季休業中の校内研修に白糠小学校の研修担当者を招き、小学校の研修
について説明を受ける場を設けたり、教員が空き時間に小学校を訪れ、授業を参
観したりするなどして、白糠小学校の研修や児童の様子を把握し、連携を図って
いる。
さらに、平成23年度は、小学校と中学校が連携した研修の一環として、白糠小
学校の公開研究会(午後実施)と同日の午前に「自主公開研修会」を実施し、授
業づくりについての基本的な考えが共有された研究の発表及び授業公開を行って
いる。
次年度は、町の教育研究所指定の公開研究会が予定されており、自ら考える授
業づくりに向けて、研修担当教諭を中心に、さらなる研修の充実のための取組を
進めている。
具体的な取組の一つとしては、道研の研修講座を受講した教員が、講座で学ん
だワークショップ型研修の手法や演習シート等を活用してブレインストーミング
を行い、今後の研修を充実させる方策等について検討を行っている。その中では、
教育局の指導主事や道研の研究研修主事の積極的な活用、生徒へのアンケート調
査の実施など、具体的な方策案も多く出されている。
小学校、中学校とも、家庭における学習習慣の形成をとおして、児童生徒が学
校で実感した自ら考えることの楽しさを、学習内容の定着や、学習の深化につな
げることができるよう実践を進めているところである。
ウ
道研アンケートの状況
(ア) 白糠小学校
アンケートの結果から、白糠小学校の児童は次のような傾向にあることが分かった。
①学習に対しての自己肯定感が低い。
②もっと賢くなりたい(勉強ができるようになりたい)と強く思っている。
③自分からは計画的に勉強に取り組むことは少ない。
- 53 -
他県等で行われた同様の調査において、これらの項目については、学年が上が
るにつれて数値が低くなる傾向にあることが明らかになっている。白糠小学校の
場合、①については、学年間でややばらつきが見られるものの、総じて低い数値
となっている。
②については、どの学年も高い数値が表れており、「自分がもっている能力を
十分に発揮したい」、「もっと賢くなりたい」という有能さへの欲求が強く、これ
は①の有能感の低さの裏返しととらえることができる。
③については、総じて低い傾向にあるものの、低学年においては、中・高学年
に比べてかなり高い数値を示している。これは、今年度から低学年の家庭学習の
手引を保護者向けのものに修正し、懇談会等で丁寧な説明を行ったことで保護者
の意識が高まっていること、低学年段階では、保護者が児童生徒の家庭学習に積
極的に関わっていることなどが要因として推察される。
学習に関するアンケート〈白糠小〉※一部抜粋
認知・感情レベル 欲求・動機レベル
数値は校内平均
学習行動レベル
有能感
有能さへの欲求
自発学習
2.48
3.30
2.83
(イ) 白糠中学校
アンケート結果から、白糠中学校の生徒は、上記の白糠小学校の児童と同様に
①~③の傾向にあることが分かった。
①の有能感の低さ、②の有能さへの欲求に高さについては、学年間の差はあま
り見られない。
しかし、③の自発学習については、2・3年生と比べて1年生はかなり高い傾
向にあることが分かった。これは、1年生は、小学校6年生時(平成22年度)に
白糠小学校が作成した「家庭学習の手引き」に基づいた取組をした学年であり、
小学校時の取組が効果として表れていることが推察される。
学習に関するアンケート〈白糠中〉※一部抜粋
認知・感情レベル 欲求・動機レベル
エ
学習行動レベル
有能感
有能さへの欲求
自発学習
校内
2.05
3.30
2.69
1年
2.08
3.51
3.20
2年
1.95
3.15
2.34
3年
2.11
3.25
2.52
教育委員会独自の取組と道教委の事業との関連
あもい
白糠町は、中国の廈門市と姉妹都市提携をしており、町独自に中国語のALTを
配置して小学校において中国語の学習を行っている。
また、「語学力・基礎学力のびのび推進事業」の一環として、小中学校英語暗唱
大会やイングリッシュキャンプ、中国語スピーチ大会などの事業を行っている。
- 54 -
参考資料
- 55 -
1
学力向上に向けた国や道の取組
教育現場における「全国学力・学習状況調査」(以下:調査)の影響力は「全国平均
や他県との比較」を通して教師が学力の向上に関する自分たちのこれまでの取組を振り
返り、現状の改善に向けた取組を行う上で、重要なものとなった。「調査」結果から明
らかとなった本道の課題に対して、迅速に対応するため、北海道の児童生徒の学力の向
上を目指し、北海道教育委員会(以下:道教委)及び北海道立教育研究所(以下:道研)
は、国の取組と平行して、次のような施策や研究を実施した。
平成
19年
国の取組
道教委の取組
道研の取組
・平成19年度全国学力・
・北海道学校改善プラン「平
○北海道コア・ア
成19年度全国学力・学習状
ビリティに関す
況調査調査結果のポイント
る研究(~21年
について」
度)
学習状況調査
(悉皆)
平成
・平成20年度全国学力・
20年
学習状況調査(悉皆)
・北海道検証改善委員会・北
海道教育委員会
「北海道学校改善支援プラン」
・「学校改善事例集」
・
「平成20年度全国学力・学習
状況調査調査結果のポイント
について」
・平成20年度全国学力・学習
状況調査調査結果報告書
(北海道)
平成
・平成21年度全国学力・
・学力向上対策チーム報告書
○確かな学力の育
21年
学習状況調査(悉皆)
「平成21年度全国学力・学
成に資する学習
・平成19・20年度全国学
習状況調査調査結果のポイ
指導に関する研
ントについて」
究(~22年度)
力・学習状況調査追加分
析報告書
・全国学力・学習状況調
・チャレンジテスト
・平成21年度全国学力・学習
査の結果を踏まえた授
状況調査調査結果報告書
業アイデア例
(北海道)
・全国学力・学習状況調
査において、特徴ある
○食育の進め方に
関する研究
(~22年度)
・確かな学びをはぐくむ実践
ポイント集
結果を示した学校にお
ける取組事例集
平成
・平成22年度全国学力・
・「平成22年度全国学力・学
- 56 -
○家庭における学
22年
学習状況調査 (抽出)
・全国学力・学習状況調
査の結果を踏まえた授
業アイデア例
・全国学力・学習状況調
査において、特徴ある
習状況調査調査結果のポイ
習習慣の形成に
ントについて」
関する研究
・平成22年度全国学力・学習
(~23年度)
状況調査調査結果報告書
(北海道)
・チャレンジテスト
結果を示した学校にお
ける取組事例集
平成
23年
・平成23年度全国学力・ ・「平成23年度全国学力・学
○北海道の児童生
学習状況調査として実
習状況調査問題を活用した
徒の学力向上プ
施を予定していた調査
北海道における学力調査等
ロジェクト研究
問題・正答例・解説資
~調査結果のポイントについ
(~24年度)
料の配付
て」
・全国学力・学習状況調
・平成23年度全国学力・学習
査の結果を踏まえた授
状況調査問題を活用した北
業アイデア例
海道における学力調査調査
・全国学力・学習状況調
査において、特徴ある
結果報告書
・チャレンジテスト
結果を示した学校にお
ける取組事例集
- 57 -
2
先行研究の知見
平成19年度から実施されている全国学力・学習状況調査(以下:調査)では、調査結
果を活用した「学力向上」に関する学校の取組についての研究が行われている。次に示
す知見は、家庭における学習習慣の形成に関する取組を直接述べているものではないが、
今回の研究を進めるに当たり参考にしたものである。
(1) 国立教育政策研究所の実施した調査結果を活用した研究
平成19・20年度全国学力・学習状況調査追加分析報告書(以下:報告)
ア
平成19年度全国学力・学習状況調査追加分析結果
(ア) 学力層に着目した指導方法等に関する分析
この分析は、児童生徒の各教科別学力層に着目している。検証するのは次の2
つの内容である。
①指導方法等に関する取組が、各学校における高学力層及び低学力層の割合の増
減に関連するか否かを検証する。
②指導方法等に関する取組が、低学力層の児童生徒の関心・意欲・態度と関連す
るか否かを検証する。
(イ) 分析する質問項目(学校質問紙調査項目より)
①高学力層及び低学力層の割合の増減に関連する項目
- 58 -
②低学力層の児童生徒の関心・意欲・態度と関連する項目
(ウ) 学力層の考え方
学力層は、本調査の集計対
グラフ18
集計対象小学校に在籍する児童の国語Aの正答数分布
象となった児童生徒全員の正
答数分布の状況から四分位に
より分類し、正答数の高い順
に、学力層A、学力層B、学力
層C、学力層Dとしたものである。
例えば、小学校国語A では、
学力層A には17 問以上正答
した児童、学力層Bには15 問
から16 問正答した児童、学
力層C には13 問から14 問正答した児童、学力層D には12 問以下正答した児童
が分類される。図1に示したグラフは小学校国語A の正答数の分布である。
表3は、各教科における学力層と正答数の関係を示しており、表4は、それぞ
れの学力層の平均正答数を示している。
- 59 -
※本分析では、分析対象を小学校6学年(中学校第3学年)の全教科における解
答児童生徒数が21名以上の公立校としている。
イ
分析結果(①学校における指導方法に関する指導項目)
(ア) 学力層A及び学力層Dの両方で関連が見られた項目
(小:小学校、中:中学校)
国語Aと国語Bもしくは算数/数学A、算数/数学Bの
両方に関連が見られた項目)
施設・設備
・普通教室に教育用コンピュータが設置されている。(中26)
・普通教室に LAN が整備されている。(中27)
国語の指導方法
・家庭学習の課題(宿題)を与えた。(中53)
・目的や相手に応じて話したり聞いた入りする授業を行
った。(小52/中54)
・書く習慣を付ける授業を行った。(小53/中55)
・様々な文章を読む習慣を付ける授業を行った。(小54/中56)
算数/数学の指
・家庭学習の課題(宿題)を与えた。(中60)
導方法
・実生活における事象との関連を図った授業を行った。
(小60/中61)
教員研修
・教員が、他校や外部の研修機関などの学校外での研修
に積極的に参加できるようにしている。(中92)
国語Aもしくは算数/数学Aにのみ関連が見られた項目
国語の指導方法
・漢字・語句など基礎的・基本的な事項を定着させる授
業を行った。(小55)
(イ) 学力層Aとの関連が見られた項目
(小:小学校、中:中学校)
国語の指導方法
算数/数学の指
・発展的な学習の指導を行った。(小50/中52)
・発展的な学習の指導を行った。(小58/中59)
導方法
地域の人材・施
・ボランティア等による授業サポート(補助)を行った。
- 60 -
設の活用
(小66)
・学校でテーマを決め、講師を招聘するなどの校内研修
を行っている。(小88)
(ウ) 学力層Dとの関連が見られた項目
(小:小学校、中:中学校)
算数/数学の指
・家庭学習の課題(宿題)を与えた(算数A)。(小59)
導方法
(エ) 学力層Aと学力層Dの両方に関連しながら、学力層Aにより強い関心が見ら
れた項目
(小:小学校、中:中学校)
地域の人材・施
・博物館や科学館、図書館を利用した授業を行った。
設の活用
(小67/中67)
(オ) 学力層Aと学力層Dの両方に関連しながら、学力層Dにより強い関心が見ら
れた項目
(小:小学校、中:中学校)
学力向上
・「朝の読書」などの一斉読書の時間を設けている。
(小30/中32)
地域の人材・施
・地域の人材を外部講師として招聘し授業を行った。
設の活用
(中65)
今回、共同研究をお願いした学校及び教育委員会が実施している家庭における
学習習慣の形成に関する取組は、全国的にも学力向上に関して「効果のある取組」
として実施されている。共同研究校においては、今後も道教委の施策として実施
されている取組や、各学校や地域独自で実施している取組を継続することで、よ
り一層「家庭における学習習慣の形成」が図られ、「学力向上」に結び付くもの
と思われる。
ウ
分析結果(②学習に対する関心・意欲・態度)
指導方法等に関する取組と学力層Dの児童生徒の関心・意欲・態度との関連の
要約
- 61 -
( ※肯定的回答率
各教科の学力層別に、指導方法の取組の違いや指導に関わる活動の有無等と、学
習に対する関心・意欲・態度に関する項目において児童生徒が肯定的な回答をしている割合)
本道の児童生徒の課題は、「学力層D」の多さである。言い換えれば、「学力層
D」の児童生徒を減らす取組を充実することで、課題を克服することができる。今
回の研究結果から、国語、算数・数学の指導に関しては、個々の指導方法等の取組
だけではなく、それらを総合した学校全体の取組等の違いによる可能性も否定でき
ない。つまり、共同研究校でそれぞれ「学校の重点的な取組」として実施していた
内容が学力向上に重要な役割を果たすことが考えられる。
イ
平成20年度全国学力・学習状況調査追加分析結果
(ア) 学力層に着目した学校の指導方法とその特性に関する分析
平成19年度、平成20年度の調査とも悉皆で実施されているため、学校の取組に
対して、経年変化を見ることができる。その中で、19 年度から20 年度にかけて
低学力層を減らした学校、高学力層を増やした学校の指導方法は以下のとおりで
ある。
○低学力層を減らした取組
・長期休業期間を利用した補充的な学習サポート
・書く習慣、読む習慣を身に付けさせる授業
- 62 -
○高学力層を増やした取組
・地域の人が自由に授業参観するなど、学校公開日の設置
・職場見学や職場体験活動
○低学力層を減らし、高学力層を増やした取組
・学校図書館を利用した授業
・放課後を利用した補充的な学習サポート
・地域の博物館や科学館、図書館を利用した授業
(イ) 読書活動の充実
読書好きな児童生徒ほど、学力層、領域、設問形式によらず教科の学力が高い。
しかし、A層とD層の読書の内容や質が異なる可能性があり、児童生徒が、計画的
・効果的な読書活動を行えるような適切な指導が求められている。
(ウ) 社会関係資本と学力の関係(志水宏吉(大阪大学)「社会関係資本と学力」平成20年報告、お茶の水女子大学委託研究)
「社会関係資本」とは、「人間関係の豊かさが生み出す力」と定義される。
具体的には、児童生徒を取り巻く人間関係の豊かさ、その信頼関係・きずなの
強さを表すものである。本分析は児童生徒の「社会関係資本」が、保護者の諸
資本にどの程度規定を受けるのかを、保護者の「社会関係資本」、「経済資本
(世帯年収)」、「文化資本(「美術館や美術の博覧会に行く」、「本を読む」、「母
親の教育年数」などから統計的に取り出される要因)」との相関関係から検討し、
さらに、学力に対して与える独自の影響を分析した。
この分析によると、社会関係資本が低い児童生徒よりも高い児童生徒の方が、学
力は高いということが示唆されている。また、児童生徒の社会関係資本は、保護者
の文化資本・社会関係資本に規定されている一方で、保護者の経済資本とは相対的
に独立していることも示されている。
つまり、児童生徒の学力向上にとって、家庭・学校・地域における様々な人間関
係やコミュニケーションの在り方が大きく影響を及ぼしていると考えられる。(中
でも特に、学校
(図4)学力と学習習慣及び生活習慣との関係
を中心とした友
人関係が、学力
形成のために、
いわゆる大きな
資源となってい
る。)
(エ) 学力向上と、
学習習慣及び
生活習慣との
関係
この図は、
- 63 -
基本的な生活習慣及び学習習慣と、学力との相関につい示している。
(ウ)でも指摘したとおり、児童生徒を取り巻く様々な関係性の中で学力の向上
が図られることを示している。
(2) 児童生徒の学力水準を下支えしている学校の特徴に関する調査研究
(不利な環境にある子どもの学力の底上げに成功している学校の特徴
る分析―)
―「効果のある学校」研究手法によ
志水宏吉(大阪大学)・藤井宣彰(国立教育政策研究所)
この研究は、全国学力・学習状況調査のデータに基づいて、全国に存在する「効
果のある学校」(教育的に不利な環境にあると思われる児童生徒の学力水準を下支
えしている学校)をピックアップし、その教育指導・活動の質的特徴を導き出す研
究である。家庭の収入状況や就学援助率が児童生徒の学力に大きな影響があること
が明らかになっている中で、学力において高い水準を示している学校の特徴を導き
出し、それらの学校を「効果のある学校」、その取組を「効果のある取組」として
いる。なお、ここで言う効果は、その学校に通う児童生徒の学力の「平均的高さ」
よりも「ばらつきの少なさ」について述べている。
ア
効果のある学校の特徴(欧米の先行研究の知見)
①
校長のリーダーシップ
①
校長のリーダーシップ
②
ビジョンと目標の共有
②
教員集団の意志一致
③
学習を促進する環境
③
安全で静かな学習環境
④
学習と教授への専心
④
公平で積極的な教員の姿勢
⑤
目的意識に富んだ教え方
⑤
学力測定とその活用
⑥
児童生徒への高い期待
※エドモンズの先行研究
⑦
動機付けにつながる積極的評価
⑧
学習の進歩のモニタリング
⑨
生徒の権利と責任の尊重
⑩
家庭との良好な関係づくり
⑪
学び続ける組織
※サモンズらの先行研究
イ
日本で見いだされた効果のある学校の特徴
①
子どもを荒れさせない
対象校の中には、かつての荒れた状況を克服・改善する過程で取り組み
を組織化し、学力向上に向けて校内の教育環境を整備してきたという経験
を持つ学校が少なくありませんでした。その経験から、「荒れさせない」
ということがすべての前提になるという感覚が教師たちに共有されていま
した。「荒れ」の兆候に気を配り、「荒れ」を未然に防ぐことに多大な労
力が割かれますが、「本当にしんどくなる前にしんどいことをしておく」
というスタンスが要求されるのです。
- 64 -
②
子どもをエンパワーする組織づくり
「エンパワー」とは、無力感を感じていた者が自分自身に内なる力を感
じるようになる過程を指す言葉です。「子どもひとりひとりをないがしろ
にしない」「全ての子に向き合う」といった基本的な姿勢が教職員に共有
され、家庭状況や学力がしんどい子どもに積極的に働き掛けることの必要
性が常に意識されていることが重要です。
③
チーム力を大切にする学校運営
「効果のある学校」においては、教育的成果の多くは、一人の教師の名
人芸や個人プレーではなく、教員集団のチームワークや学校の組織力によ
ってもたらされていました。スーパーマン的な教師が多く集まらなければ
成果があがらないということはなく、様々な個性と力量を持つ教職員を上
手くまとめ上げ、チームとして様々な課題に対処する構えを形成していく
ことが重要です。
④
実践志向の積極的な学校文化
教師には「やればできる」「もっとうまくできる」と考える姿勢が求め
られます。ある課題に対する提案が出されたときに、「どうせやっても無
駄」とか「前も失敗した」という消極的意見が支配するような学校組織で
は成功はおぼつきません。動きの速い学校にこそ成功は訪れ、そのことが
教師の「もっとこの学校をよくしたい」という思いを一層強いものにします。
⑤
地域と連携する学校作り
効果のある学校ではほとんどが地域に開かれた学校づくりを推し進めて
います。それらの学校では第一に家庭学習支援を積極的に行い、第二に保
護者や地域住民の教育活動への参画を促し、第三に幼保・小中連携のネッ
トワークを構築しようと試みています。こうした学校・家庭・地域が一体
となったネットワーク作りが、学校を取り巻く環境を安定的で活力のある
ものとし、学力保障の「シナジー」効果を生み出すと思われます。
⑥
基礎学力定着のためのシステム
学力保障のための校内組織の存在、理念・目標の明確化、多様な学習形
態の追求、学力の実態把握と分析の推進がポイントになります。
⑦
リーダーとリーダーシップの存在
リーダーシップは欧米の研究でも最重要事項として挙げられています
が、日本の場合は必ずしもリーダー=校長というわけではありません。重
要なことは、教務主任や学年代表といったミドルリーダーを含め、リーダ
ーが層として存在することです。効果のある学校で発揮されているリーダ
ーシップとは、実際にはそのリーダー層とその他の教師たちの円滑なコミ
ュニケーションであり、ひとりひとりの教師の積極的参加と学校への愛着の促進
だからです。
※「しんどい子に学力を付ける7つの法則」(志水宏吉)
- 65 -
ウ
「効果のある学校」の実践における注意事項
(ア) 学校間の格差拡大を正当化してしまう危険性がある。
(イ) 学校としての学力向上と個人としての学力向上のバランスを図る。(より個人
の特徴の分析の必要性)
(ウ) 教員の多忙化を解消する。
(エ) 教職員集団のチームワークが集団化するおそれもある。
エ
図5
3
「力のある学校」のスクールバス・モデル
「力のある学校」のスクールバス・モデル 志水宏吉編 2009b 『「力のある学校」の探究』大阪大学出版会
栃木県総合教育センターの取組
栃木県総合教育センターでは、平成21、22年度の2か年間、学ぶ意欲を育むための指
導の在り方について、質問紙法を用いた学ぶ意欲の把握とその結果を生かした授業改善
の視点について研究を進め、平成23年3月にその成果を発表した。
道研では、この先行研究の成果と課題を参考に以下の取組を行った。
(1) アンケートの内容及び分析
家庭における学習習慣の形成には、学校における様々な取組や家庭・地域の働きか
けなどが影響する。中でも大切なことは、児童生徒自身が家庭での生活時間の中で「学
ぶ」ことを自分で選択し(意志)、実行に移す(行動)ことである。
「学ぶ」という行為を自分の意志で選択し実行するためには、学校での学習(授業
等)により、児童生徒の知的好奇心を刺激したり、具体的な「学び方」を身に付けさ
せたりすることが求められている。そして、安心して学べる環境の中で、有能感や充
実感を味わわせることができる教育活動を展開できていることが大切となってくる。
- 66 -
そこで、道研では、共同研究校の児童生徒の「学ぶ」意欲や家庭学習への取組及び
それに対する保護者の状況等を把握するため、「学ぶ意欲」に関する栃木県総合教育
センターの研究を参考にアンケートを作成し、共同研究校において実施してもらった
(p.12)。これらの項目は、(図2)の構成要素からそれに関わる内容を質問項目と
して提示したものである。
(表5)構成要素の説明
アンケートの内容は、学ぶ意欲の高まりを児童生徒の心の動きや実際の行動で3つ
のレベル(「欲求・動機」、「学習行動」、「認知・感情」)に分け、児童生徒一人一人
の状況や学級、学校の状況を把握するための内容となっている。
それぞれの共同研究校でのアンケートの実施と活用については、事前に道研から共
同研究校に質問項目の意味することや構成要素の内容を伝え、共同研究校がアンケー
トを実施する。その後の集計や分析は道研で行い、分析結果を共同研究校に提示した。
共同研究校では、分析結果を受けて、具体的な改善策を自校で検討するといった活用
方法となっている。
(2) アンケート結果の活用
共同研究校におけるアンケートの活用方法については、様々な方法が考えられるが、
道研では、pp.18-21で示した方法や次に示す方法を共同研究校に提示した。
アンケートの構成要素のうち特に欲求・動機レベルの「有能さへの欲求」、
学習行動レベルの「自発学習」、そして認知・感情レベルの「有能感」に着目
して分析を行った。これは、「学力向上」に関する教師の働きかけ、学校の教
育目標を達成するための学習活動を含めた様々な活動が、児童生徒の心の動き
(自信や意欲)にどのように影響を与えているのかを確認するためである。
- 67 -
(3) アンケート結果の具体的な分析
ア
欲求・動機レベルの「有能さへの欲求」、学習行動レベルの「自発学習」、認知
・感情レベルの「有能感」に着目した分析(道内A中学校)
(ア) 質問紙の構成要素及び質問内容
【構成要素】
・有能さへの欲求
・・・
より有能になりたい、
より賢くなりたいという欲求。
・自
・・・
自ら進んで学習に取り組んだり、計画を立てて
発
学
習
学習したりする行動。
・有
能
感
・・・
学習行動がうまくいったとき、成功したと感じ
ることが多い感情。ほめられることにより、高
まることがある。
【質問内容】※アンケート項目で次のように児童生徒に提示されている。
・有能さへの欲求
・・・
○自分がもっている能力を十分に発揮したい。
○もっと賢くなりたい。
・自
発
学
習
・・・
○自分から勉強に取り組んでいる。
○テストがあれば、自分で計画を立てて勉強する。
・有
能
感
・・・
○自分は勉強はよくできると思う。
○勉強面では友だちからたよられていると思う。
(イ) 分析
質問紙にある、例えば、「もっと賢くなりたい」、「自分がもっている能力を十
分に発揮したい」という欲求をもちながらも、自分の学習に対する行動、さらに、
学習に関して、自分や仲間感情について確認した。共同研究校での調査の結果、
各学年やクラスによって多少の違いはあるものの、学習に関しての有能感の低さが
明らかとなった。(図6)
(図6)道内A中学校2年生の実態
- 68 -
認知心理学では、児童生徒は学校での学習によって効力感(ここでは、先に述
べた有能感と同義にとらえる)が得られる一方で、学習によって同時に無力感が
生じることがあることが分かっている。
効力感とは
(デジタル大辞泉)
人が何らかの課題に直面した際、こうすればうまくいくはずだという期待
(結果期待)に対して、自分はそれが実行できるという期待(効力期待)や
自信のことを自己効力感という。 心理学者のバンデューラが唱えた概念で、
動機づけに大きな影響を及ぼす要因の1つと考えられている。自己効力感は、
その行動を実際に始めるかどうか、どのくらい努力を継続するか、そして困
難に直面したときにどのくらい耐えられるか、ということを決定づける。
つまり、学習に関しての効力感の低さは、学習された効力感よりも無力感の方
が大きいためであり、無力感が高ければ高いほど、実際の学習行動には表れない
と考えられる。児童生徒から発せられる「どうせ・・・」という言葉は、この感情
の働きから来ているものととらえることができる。
先に示した学級では「挑戦行動」(今よりも難しい問題に挑戦する行動)につ
いても当然のように低い数値を示しているが、充実感(毎日、明るく元気に生活
している。毎日の生活が充実していると感じている。)に関しては高い数値を示
している。さらに、この学校では、他の学年、学級においても「充実感」の項目
が高い数値を示している。学校全体ではおおむね過ごしやすい雰囲気があること
が明らかであり、充実感を感じる取組が学校全体で実施されていることを示して
いるととらえることができる。
なお、この学級は、第1学年時に、学級内で様々な問題行動が発生し、非常に
落ち着かない状況が見られていた。第2学年進級時に学級担任が代わり、今回の
この調査はそれから半年して実施したものである。学級担任への聞き取りでは、
「数多くの苦労を乗り越え、ようやくスタートラインに立ったようなものです。」
との声が聞かれた。学校全体の様々な取組、学級担任の学級経営にどのような「理
念」があり、教職員の「共通の取組」が生徒の気持ちや行動に変化を与え、学級
を「安心して学べる環境」へ、学校を「充実感」のあるものへと変えていったの
かは、前後比較することはできないものの、学級担任は授業中の生徒の変化と「家
庭学習」を提出する回数が増えた生徒の変容を肌で感じている。
イ
「安心して学べる環境」と「家庭学習」との関係に着目した分析
(図7)は、道内4地区の共同研究校(小学校)の「安心して学べる環境」に
ついての調査結果をグラフにまとめ、左から3年生~6年生の順に並べたもので
ある。この内容は、次の4つの要素、「授業で分からないことがあると先生に聞
くことができる」、「先生は学習のことについてほめてくれる」、「学校では落ち
ついて授業を受けている」、「クラスは発言しやすい雰囲気である」の要素別に
平均し、それらをまとめて示したものである。
- 69 -
( 図 8 )は 、 同 じ
(図7)道内4地区共同研究校(小学校)
「安心して学べる環境まとめ」
共同研究校の「家庭
学習の状況」につい
てまとめたものであ
る。この内容は、
「家
では自分から勉強に
取 り 組 ん で い る 」、
「家の人は学習のこ
とについてほめてく
れる」をそれぞれ平
均し、まとめて示し
たものである。
この調査結果は、
両方とも通常、学年
が上がるにつれて低
い数値を示す傾向があり、これらの傾向は栃木県総合教育センターの調査でも同様
の結果を残している。
しかし、共同研究校の調査結果は、この調査結果が当てはまらない状況が見ら
れた。つまり、それ
(図5)道内4地区共同研究校(小学校)(家庭学習の実施状況まとめ)
ぞれの学年における
「安心して学べる環
境」と「家庭学習」
の関係を「見える化」
することで、学校で
「安心して学べる環
境」、いわゆる学級経
営の充実が、「家庭学
習」の充実につなが
るという知見を見出
すことができる。
この2つの分析に
より、「家庭における学習習慣の形成」に関する学校の取組のうち、いわゆる「学
級経営」に関する取組が、家庭における学習習慣の形成に影響を与える可能性を見
出すことができた。これは「報告」の知見である児童生徒の学力向上にとって、家
庭・学校・地域における様々な人間関係やコミュニケーションの在り方が大きく影
響を及ぼしている。(中でも特に、学校を中心とした友人関係が、学力形成のため
に、いわゆる大きな資源となっている)にも通底するものである。
- 70 -
資料、参考文献
○
平成19・20年度全国学力・学習状況調査追加分析報告書
平成21年12月
文部科学省
○
栃木県総合教育センター「『学ぶ意欲をはぐくむ-「学習に関するアンケート」
を活用して-』」平成23年3月
○
初等教育資料
「『特集Ⅰ
自ら学ぶ子どもを育てる-学習意欲の向上を図る学
習指導の展開-』」平成22年6月
○
波多野誼余夫、稲垣
佳世子 「無気力の心理学
やりがいの条件」
中公新書
1981年
○ Edmonds,R.R. (1986). 'Characteristics of Effective Schools', in Neisser, U. (ed.),
The School Achievement of Minority Children, Lawrence Erlbaum Associates.
○ Sammons, P., Hillman, J. & Mortimore, P. (1995). Key Characteristics of
Effective Schools: A review of School Effectiveness Research. Institute of
Education and OFSTED
○
志水宏吉『学力を育てる』岩波新書、2005年
The mediocre teacher tells.
凡庸な教師は、ただ話す。
The good teacher explains.
よい教師は、説明する。
The superior teacher demonstrates.
優れた教師は、態度で示す。
The great teacher inspires.
偉大な教師は心に火を付ける。
William Arthur Ward
- 71 -
ウィリアム・A・ウォード(米)
研究協力同人
◇
◇
共同研究校(平成22年度~23年度)
羅臼町立羅臼小学校
校長
工
藤
崧
羅臼町立春松小学校
校長
髙
田
秀
康
羅臼町立羅臼中学校
校長
山
本
啓
治
羅臼町立春松中学校
校長
戸
田
秀
数
白糠町立白糠小学校
校長
藤
井
秀
紀
白糠町立白糠中学校
校長
渡
辺
仁
平
えりも町立えりも小学校
校長
坂
本
直
司
古平町立古平小学校
校長
鈴
木
裕
北海道立教育研究所プロジェクト研究員
企画・研修部
部
長
寺
田
研 究 主 幹
三
浦
主
伊
藤
都
章
髙
杉
直
人
大
西
中
川
花
松
大
脇
田
査
研究研修主事
研究・相談部
研究研修主事
弘
務
藤
井
一
志
有
潟
沼
史
朗
介
後
藤
あゆみ
均
赤
塚
恒
太
明
子
村
木
宗
徳
中
幹
也
山
田
木野下
尚
大
門
間
康
志
大
郁
子
福
本
正
規
城
圭
古御堂
附属情報処理教育センター
◇
研究研修主事
文
中
島
潮
徹
健
朗
転出者
鈴
木
淳(北海道教育庁渡島教育局教育支援課長)
菅
原
和
良(北海道帯広緑陽高等学校教頭)
丹
那
暢
仁(北海道教育庁後志教育局教育支援課義務教育指導班指導主事)
平成22・23年度プロジェクト研究
家庭における学習習慣の形成に関する研究
~ 実 施 報 告 書 ~
編集・発行
北海道立教育研究所
代表者
酒
〒069-0834
電話
向
憲
司
北海道江別市文京台東町42番地
011-386-4511
発行
- 72 -
平成24年3月