TDK Magnet World TDKマグネット ガイドブック 磁石の基本性質 磁性体と磁化のしくみ 磁力線 磁石の磁極と磁力線 鉄が磁石に吸いつくのはなぜ? N S 鉄も内部に微細な磁石をもちます。 磁石には磁極(N極・S極)があり、 ただし、ふだんは微細な磁石の向きはバラバ 磁力線はN極から出てS極に戻ります。 ラで、互いに磁力を打ち消し合っているため、 同極どうし・ 異曲どうしの作用 方位磁針が南北を 指すのはなぜ? 引力 N 北磁極 S N S 方位磁針 S N S 北極点 S 地球 N N S N S N 磁石は異極どうしは引き合い、同極どう 方位磁針が南北を指すのは、地球が1つ しは反発し合います。 の大きな磁石となっているからです。 S N ◎ S このため、鉄は磁化されて全体として磁石と しての性質を示すようになり、互いに吸い寄 微細な磁石 N N 微細な磁石の向きがそろって磁石に吸着。 このあと、 外部磁界を取り除くと? 磁化されてから、外部磁界を取り除くと、元の 状態に戻るものを軟磁性体といい、磁化を残 軟磁性体は、 元の状態に戻る 硬磁性体は、 磁化を 残して永久磁石となる N極・S極単 独には分割 N 着磁パターン されない 製造されたばかりの磁石材料はまだ磁化 S N S N をもっていません。着磁機の強力な磁界で 分割された それぞれが 着磁されて、初めて永久磁石となります。 磁石となる S N S すぐれた磁石の条件 N 磁石は微細な磁石の集合体となっています。 このため、2つに分割すると、それぞれがN極とS極をもつ2つの磁石となります。 磁力線は磁石のN極から出てS極に戻る 1 S せ合って吸着します。 永久磁石となるのは硬磁性体です。 磁石は微細な磁石の集合体 S 磁界 内部の微細な磁石の向きがそろいます。 すものを硬磁性体といいます。 × 磁石 磁石を近づけて、外部から磁界を加えると、鉄 (永久磁石材料) 地軸 南磁極 磁石は分割しても磁石となるのはなぜ? 微細な磁石の向きはバラバラ 全体では磁石としての性質を示しません。 軟磁性体と硬磁性体 南極点 斥力 磁石を分割すると? 鉄 ①小さな寸法・体積で強い磁力をもつこと。 《着磁パターンの例》 ②高温・低温、 温度変化に対して安定であること。 磁性体内部の微細な磁石の向きがそろうと磁石となる 2 TDKのネオジム磁石 (NEORECシリーズ) TDKのフェライト磁石(FBシリーズ) TDKのフェライト磁石の高特性化は、 DCモータの小型化を推進 最強パワーで省エネ・省電力に貢献、 電気自動車の駆動モータにも多用 フェライト磁石は、酸化鉄を主成分とするため、資 磁石の中で最も強い磁力を誇るのがネオジム 源の枯渇の心配がなく、環境にもやさしい磁石で 磁石(TDKの商品名はNEOREC)。EV/HEV す。TDKが1997年に開発したランタン・コバル などの駆動モータ用としても使われています。 ト系フェライト磁石(FB9)は、従来材と比べて、磁 ネオジム磁石は、希少なレアアースであるジス 力を大幅に高めた磁石材料です。 プロシウムが添加されます。TDKでは先進技 この技術をもとに、さらに磁力を高めたのがFB12 術の投入により、ジスプロシウムを使用しない やFB13B/14Hシリーズです。DCモータのさら ネオジム磁石を新開発。HDDのVCM(ボイス なる小型・軽量化を推進しています。 ランタン・コバルトフリーも実現 コイルモータ)用などとして提供しています。 FB9B FB9BF 従来、フェライト磁石には、ランタン(La)やコバル ト(Co)が添加されてきました。TDKでは特性を 維持したまま、これらの元素を使わないフェライト Average Grain Size : 1.3 μm Average Grain Size : 0.8 μm 磁石も新開発しました。 TDKのフェライト磁石の開発史 フェライト磁石の主成分は鉄サビと同じ酸化鉄 3 レアアースフリーの新磁石の 開発にもチャレンジ TDKではレアアースをいっさい使用しない全 く新しい磁石の研究開発も進めています。 ジスプロシウム(Dy)フリー VCM用ネオジム磁石 TDKのネオジム磁石の開発史 レアアースの使用を低減するTDKの磁性材料技術 4 主なアプリケーション ◎自動車・電気自動車 (HEV/EVなど)の 駆動モータ ◎大型風力発電機用 アセンブリ ◎小型DCモータ (ワイパー、 パワーウインドウ、 パワーステアリングなど) ハードディスクドライブ スマートフォン コピー機 磁石の最大用途はモータ/アクチュエータ 5 エアコン 洗濯機 鉄道 エネルギー分野でもTDKの磁石が活躍 6
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