プラスチック 油化装置

プラスチック
油化装置
http://www.blest.co.jp
ブレスト
株式会社
ク油化装置」を使えば、そんな夢
レスト」が開発した「プラスチッ
平塚市にあるベンチャー企業「ブ
=宝の山に見えてくる。神奈川県
戻せるとしたら、ごみの山が油田
ック。もし、それを原料の石油に
り、最後にはごみとなるプラスチ
私たちの生活のあらゆる場にあ
か え
を実現することができるのだ。
分別収集の意識を高める
「スクール油田」活動
ひと口にプラスチックといって
も、いくつかの種類がある。この
うち、石油に戻せるのはPP(ポ
リ プ ロ ピ レ ン )、 P E( ポ リ エ チ
レ ン )、 P S( ポ リ ス チ レ ン ) の
三種類だ。PPはポリバケツなど
の容器類、お菓子の包装袋、DV
Dケースなど。PEはレジ袋、衣
料、ペットボトルのキャップなど
ないペットボトルやポリ塩化ビニ
発泡スチロールなどだ。油化でき
で、PSはコンビニ弁当の容器、
そこで、装置の開発・生産と併
行して伊東さんが進めているのが、
ったのだ。
ものを選び取るのは至難の業」だ
分 別 さ れ て は な く、「 油 化 で き る
ロー、文具の包材などのプラスチ
ル類とこれらが正しく分別されて
ックごみを授業の一環として分別
いないと、プラスチックを石油に
ない国。一方でプラスチックごみ
収集し、小型の油化装置を持って
学校で出る給食のパンの袋やスト
が問題になっていて、これが石油
いって実際に石油をつくる。そし
「 ス ク ー ル 油 田 」 と い う 取 り 組 み。
になるのなら単純にもうかると思
てその石油で発電機を動かしてポ
「日本は石油をほとんど産出し
ったんです」と、十五年ほど前に
ップコーンをつくるといった環境
することができない。
開発に着手したブレスト社長の伊
活動に学校ぐるみで取り組むこと
東昭典さんがぶつかったのも、こ
で 子 ど も た ち に「 も っ た い な い 」
教育プログラムだ。そうした啓発
ゴミ処理場に行けば、プラスチ
という意識が生まれ、子どもたち
の「分別」の壁だった。
ックごみの山を世界中で見ること
上のタンクにたまっているのが再生された石
油。タッチパネルによる操作は各国語に対応。
だれにでも扱える「簡単操作」もブレストの
プラスチック油化装置の特徴
「 世 界 中 の 子 ど も た ち に『 こ の
に協力的になる。
が家族に話すことで各家庭も分別
ができる。でもそれは種類ごとに
スクール油田でも活躍している
卓上プラスチック油化装置
月刊 海外子女教育 2015.8
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石油から生まれたプラスチックを
石油に還す
スクール油田の活動の様子 給食などで出たプラスチックを分別し石油に還す
ら多くの人の手を借りて「軽量・
先人の失敗に学びながら、専門家
しいものではない。伊東さんは、
のはいまのところ現実的ではない
実際に道路で車を走らせたりする
ぞれにかかる税金の問題などで、
種に分けることはできるが、それ
そのためブレストでは、混合油
という。
のままでも動かすことができる発
コンパクト、シンプルなメカニズ
ーザーフレンドリーな操作性」な
ムで低価格、だれにでも扱えるユ
どを兼ね備えた実用的な装置を開
現在、油化装置を採用している
電機などの開発も行っている。
現 在 は、「 ス ク ー ル 油 田 」 の 環
発した。
のは工場やリサイクル施設が中心
もいわれる。そのうちの約半分は
で、そこで出たごみを石油に戻し、
ことで生まれる電気を油化装置の
「 私 た ち が 目 指 し て い る の は、
石油に戻せると伊東さんは言う。
境教育プログラムやイベントなど
運転や施設内の電力として使用す
でも使う簡単に持ち運びできる卓
けの大型のものまで、さまざまな
るなどの循環システムに活用され
できた石油で専用発電機を動かす
タイプ(処理能力、毎時十〜三〇
上タイプから、大規模な事業所向
〇キログラム)を販売する。世界
ている。
成功するんです」と伊東さんは力
が芽生えれば、このリサイクルは
ごみを石油に戻そう』という意志
援助)事業で南太平洋のパラオ共
今年度の日本のODA(政府開発
際に売れるのはそのごく一部だが、
別の壁」や費用の問題もあり、実
せがあるという。世界共通の「分
料も使う必要がないし、余分なC
すればごみを移動させるための燃
油に戻し、発電などに使う。そう
いたプラスチックを発生場所で石
どの製造過程でごみとして捨てて
な く、『 地 産 地 消 』 で す。 工 場 な
説する。二〇〇四年に始まった「ス
O2も出ない」
この石油にまつわるエコ技術も、
こうして社会全体に貢献すること
「アラスカだろうが南太平洋だ
石油も「地産地消」
の時代へ
クール油田」活動は、これまでに
和国への大型装置の導入が決まっ
で同じなんです。分解されて土に
な装置の開発に結びついた。それ
戻るということがないプラスチッ
は、今後のさらなる普及のカギに
スロバキア、アイスランドで大型
の問題の解決策も同じなはずで
の装置が稼働。卓上型装置は三十
油化装置でつくられる石油は、
す」と伊東さんは語る。
を目標にしている。たんなる営利
ガソリン、灯油、軽油、重油が混
いま、世界中で生産されている
主義ではない広い視野が、実用的
じった混合油で、そのままでは既
プラスチックは、年間二億トンと
クが最後に残って山になる。そし
「プラスチックに熱をかけて沸
存の発動機や暖房装置を動かすこ
て、景色が同じであるならば、そ
騰させ、その湯気を冷やすと石油
とはできない。蒸留器を使って四
五カ国で活躍している。
に な る 」。 こ と ば に す れ ば、 プ ラ
(取材・文=内村 浩介)
なるともいえよう。
スチック油化装置の原理はそう難
大小さまざまな装置
が世界中で活躍
ているほか、タンザニア、カナダ、 ろ う が、『 ご み 』 の 景 色 は 世 界 中
戻した石油を売るということでは
中から年間一万件以上の問い合わ
いちばん右のビンに入っているのが油化装置でできる混
合油。順にそれを分留してできた
「重油」
「灯油」
「軽油」
「ガ
ソリン」
。周囲に置いてあるのはもととなるプラスチック
一〇〇校以上で実施されている。
事業所向けの大型油化装置に石油の原料となるプラスチック
(このときはペットボトルのキャップを砕いたものだった)を投
入する伊東さん
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