神奈川歯科大学短期大学部 自己点検・評価報告書 平成26年度版 2009 神奈川歯科大学短期大学部 はじめに 本学が一般財団法人短期大学基準協会による平成21年度第三者評価を受審し、 「適格」 と認定されてから本年(平成27年)度で6年目を迎える。本学の次回受審が平成28年度で あるから、第三者評価の審査対象となる平成27年度版自己点検・評価報告書を含む過去三 年間の自己点検・評価報告書の第二冊分が、 この平成26年度版自己点検・評価報告書である。 この平成26年度版自己点検・評価報告書が完成の運びに至るまでには、 「平成21年度に 発覚した本学創設以来の危機的状況」がもたらした不測の事態を克服する必要があった。 つまり、上記の「危機的状況」が要因となって「渦中の平成22年度及び23年度における本 学の自己点検・評価報告書の作成が中断され」 、またそれによって「平成24年度版及び25 年度版自己点検・評価報告書の上梓が当初予定の期日よりも大幅に遅れる」という事態が 生じ、それをいかに克服するかという課題を課せられたのである ( 「平成25年度版自己点検・ 評価報告書」44頁参照) 。しかしながら、本法人理事長、本学学長のイニシアティブのも と、本学の教職員が一丸となって「本学の再建」に尽力し、またその一環としての自己点 検・評価活動及びその記録である自己点検・評価報告書の上梓に尽力したことが功を奏し て、上記の難題を何とか克服し、上記の平成24年度版及び25年度版自己点検・評価報告書 を平成26年内に発行することができた。そしてそれによってこの平成26年度版自己点検・ 評価報告書の作成のための新たな基盤が四年ぶりに再構築されたのである。 とは言え、この平成26年度版自己点検・評価報告書には、上述以外のさらに新たな課題 があった。それは、この平成26年度版報告書を(本学が受審する平成28年度第三者評価の 審査対象となる)平成27年度版報告書の言わば「原型」たるにふさわしい内容のものにし なければならないということであった。そのためには、報告書執筆担当者が平成26年7月 に改定された報告書「作成マニュアル」に準拠した不備のない記述に努めるのは無論のこ と、報告書作成の基になる本学教職員の自己点検・評価活動を( 「PDCAサイクル」や「学 生主体の教育(学修)」等を絶えず念頭に置きながら)前年度以上に推進・向上させる必 要があった。 以上の課題がこの平成26年度版報告書においてどの程度達成されているかについての客 観的評価は、この報告書の読者とりわけ学外の評価者の皆様に委ねることとし、その忌憚 のないご意見を拝聴できるならば、頗る幸いである。なぜなら、それは、本学の自己点検・ あかし 評価活動の継続的な向上(改善)にとってのみならず、その定期的な「証」である平成28 年度第三者評価における「適格」認定を目指す本学にとって掛け替えのない貴重な指針と なるからである。 神奈川歯科大学短期大学部 自己点検評価委員会 神奈川歯科大学短期大学部 神奈川歯科大学短期大学部 様式2−目次 目 次 自己点検・評価報告書……………………………………………………………………………1 1.自己点検・評価の基礎資料………………………………………………………………3 2.自己点検・評価の組織と活動……………………………………………………………22 3.提出資料・備付資料一覧…………………………………………………………………29 【基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果】… ……………………………………………………………35 テーマ 基準Ⅰ−A 建学の精神… ……………………………………………………………37 テーマ 基準Ⅰ−B 教育の効果… ……………………………………………………………39 テーマ 基準Ⅰ−C 自己点検・評価… ………………………………………………………46 基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果の行動計画………………………………………………49 ◇ 基準Ⅰについての特記事項………………………………………………………………49 【基準Ⅱ 教育課程と学生支援】…………………………………………………………………51 テーマ 基準Ⅱ−A 教育課程… ………………………………………………………………53 テーマ 基準Ⅱ−B 学生支援… ………………………………………………………………74 基準Ⅱ 教育課程と学生支援の行動計画……………………………………………………94 ◇ 基準Ⅱについての特記事項………………………………………………………………94 【基準Ⅲ 教育資源と財的資源】…………………………………………………………………97 テーマ 基準Ⅲ−A 人的資源… ………………………………………………………………99 テーマ 基準Ⅲ−B 物的資源… …………………………………………………………… 111 テーマ 基準Ⅲ−C 技術的資源をはじめとするその他の教育資源… ………………… 114 テーマ 基準Ⅲ−D 財的資源… …………………………………………………………… 118 基準Ⅲ 教育資源と財的資源の行動計画………………………………………………… 122 ◇ 基準Ⅲについての特記事項…………………………………………………………… 123 【基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス】…………………………………………………… テーマ 基準Ⅳ−A 理事長のリーダーシップ… ………………………………………… テーマ 基準Ⅳ−B 学長のリーダーシップ… …………………………………………… テーマ 基準Ⅳ−C ガバナンス… ………………………………………………………… 基準Ⅳ リーダーシップとガバナンスの行動計画……………………………………… ◇ 基準Ⅳについての特記事項…………………………………………………………… 125 126 128 130 133 133 【選択的評価基準:教養教育の取り組みについて】………………………………………… 135 【選択的評価基準:職業教育の取り組みについて】………………………………………… 140 【選択的評価基準:地域貢献の取り組みについて】………………………………………… 157 神奈川歯科大学短期大学部 神奈川歯科大学短期大学部 様式3−自己点検・評価報告書 自己点検・評価報告書 この自己点検・評価報告書は、一般財団法人短期大学基準協会の第三者評価を受けるた めに、神奈川歯科大学短期大学部の自己点検・評価活動の結果を記したものである。 平成27年7月31日 理事長 鹿島 勇 学 長 平田 幸夫 ALO 長谷 徹 ─1─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─2─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式4−自己点検・評価の基礎資料 1.自己点検・評価の基礎資料 (1)学校法人及び短期大学の沿革(1600字程度) 本学は明治43年わが国初の女子に歯科医学を教授する学校として神田猿楽町に東京女子 歯科医学講習所として設立され、2年後の明治45年には東京女子歯科医学校と命名されて 発展をしてきた。大正11年には専門学校令により東京女子歯科医学専門学校となった。昭 和9年にはさらに学園の規模を拡大し、日本女子歯科医学専門学校と改称し翌年、校舎・ 附属病院等諸施設を大田区北千束町(大岡山)に移転した。 順調に発展を続けたが、敗戦後の専門学校廃止令により昭和21年4月に迎えた新入生を 最後に募集不可となり昭和25年3月に最後の卒業生を送り出して閉校に至った。 女子歯科医師の養成に代わって、新たに歯科衛生士養成校として同年4月に日本女子歯 科厚生学校が開校された。昭和27年には日本女子衛生短期大学を開学し、学科名を保健科 (2年制定員80)として社会に貢献できる人材の育成を目的に、歯科衛生士・保健科教諭、 さらに翌年昭和28年には、養護教諭の養成を開始し戦後の公衆衛生水準の向上に大きく貢 献した。また、昭和29年には日本女子歯科厚生学校を短期大学に組み入れ、別科と改称し て1年制の歯科衛生士専修課程とした。これにより全国から優秀な女子学生を集めて教育 し、優秀な歯科衛生士を送り出すことで戦後の乳幼児学童の歯科予防に語りつくせない貢 献をしてきた。 日本女子衛生短期大学学則では、第一条「本学は高い人格と確かな識見、それに豊かな 徳操を養い、かつ予防歯科に重点をおいた保健衛生に関する学術を修得せしめて現代的職 業に即応し得る有能な女子を育成することを目的とし、もって社会福祉の増進と文化の向 上に貢献することを使命とする。」としている。 米国のデンタルハイジニストを取り入れ、歯科衛生士法が昭和23年につくられて、社会 の強力なニーズのもとでわが国の歯科衛生士の原型を構築するに役立っている。またこの 時代の建学の精神が現在の学校法人神奈川歯科大学、神奈川歯科大学短期大学部の基本理 念として今も教育の原点として活かされている。 昭和38年、すべての校舎を神奈川県横須賀市に移転した。昭和62年には歯科衛生士法の 改正に伴い、保健科においては養護教諭・保健科教諭養成を中止し歯科衛生士のみの養成 を行うこととなり、歯科衛生学科に学科名を変更した。 平成元年国文学科と商経学科を増設し、学校名を湘南短期大学と改称した。 さらに平成14年、国文学科を改組してヒューマンコミュニケーション学科を開設し、同 時に男女共学とした。 平成18年、歯科衛生学科の修業年限を歯科衛生士法に基づき2年から3年へ変更した。 平成19年、商経学科を募集停止とし看護学科(3年制、定員80)を開設した。看護学科の 設立は、横須賀共済病院看護専門学校の閉鎖にともない地域の保健・医療の人材を継続し て輩出するために切望されて開設したものである。近年、学齢人口の減少や生涯学習社会 への対応など地域社会の短期大学を取り巻く環境に急速な変化が認められ、その変化に対 応するためにも医療系大学を基盤とする歴史を持つ本学には、看護学科設立は必要であっ た。 ─3─ 神奈川歯科大学短期大学部 平成22年より、ヒューマンコミュニケーション学科の募集を停止し、平成24年の卒業生 を最後に本学科を廃止した。 本学は原点に戻り、医療系に特化した大学としてのあゆみをしている。平成25年4月よ り、組織を変更し神奈川歯科大学短期大学部歯科衛生学科・看護学科として再出発した。 (2)学校法人の概要 ▪ 学校法人が設置するすべての教育機関の名称、所在地、入学定員、収容定員及び在籍 者数 ▪ 平成27年5月1日現在 ─4─ 神奈川歯科大学短期大学部 (3)学校法人・短期大学の組織図 ▪ 組織図 ▪ 平成27年5月1日現在 ─5─ 神奈川歯科大学短期大学部 (4)立地地域の人口動態・学生の入学動向・地域社会のニーズ ▪ 立地地域の人口動態(短期大学の立地する周辺地域の趨勢) 神奈川県全体では人口増が続くものの、本学の位置する横須賀市は平成4年をピークと して人口減が止まらず、平成25、26年と、全国で一番人口が減った自治体になった。また 内訳としては老年人口が増加し、現在では3割近くが65歳以上となり、空き家問題を含め、 憂慮すべき事態となっている。 ▪ 学生の入学動向:学生の出身地別人数及び割合(下表) ▪ 地域社会のニーズ 日本初の女子歯科医学教育機関を祖とする本学は、数年前に文化系学科を廃し、新たに 看護学科を増設して、医療系に特化した短期大学となった。創立以来の歯科医学教育を受 け継ぎ、現在までに歯科衛生士として10,000人以上の卒業生を社会に送り出している。 歯科衛生学科の近年の入学者は約8割が神奈川県内、卒業生も約8割が神奈川県内の歯 科医院に就職している。 短期大学として三浦半島初となった看護学科は、入学者の約8割が神奈川県内、また卒 業生の進路も約9割が神奈川県内、その半数は三浦半島の医療機関に就職している。 ─6─ 神奈川歯科大学短期大学部 両学科とも、求人倍率は20倍近く、地域の高齢化とともに、今後益々医療に対する地元 のニーズは高まるものと思われる。 ▪ 地域社会の産業の状況 本地域は、半島という立地条件、また海洋性の温暖な気象条件から、農漁業が盛んであ る。また、臨海地区の自動車、造船の大工場の存在により、工業の「自動車基幹」傾向が 続いている。 農業は、露地栽培の生鮮野菜を首都圏へ供給している。漁業は、小規模な個人経営が中 心である。しかし高齢化により、農業・漁業ともに従事者は年々減少している。 工業は、輸送機関連が主力であるが、中小事業所の廃業、大企業の工場閉鎖等が目立っ ている。 商業は、山が多く平地の少ない立地の制約により、商業圏も狭小になり、購買力が他の 大商業地区に流出しがちである。 また、横須賀市に限って言えば、大きな特徴として、全従業者数に占める公務従業者(他 に分類されないもの)比率の高さがあげられるが、これは主に自衛隊施設が存在すること によるものと思われる。 ▪ 短期大学所在の市区町村の全体図 ─7─ 神奈川歯科大学短期大学部 (5)課題等に対する向上・充実の状況 ①前回の第三者評価結果における三つの意見の「向上・充実のための課題」で指摘された 事項への対応について(領域別評価票における指摘への対応は任意) ─8─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─9─ 神奈川歯科大学短期大学部 ②上記以外で、改善を図った事項について ③過去7年間に、文部科学省の設置計画履行状況等調査において留意事項が付された短期 大学は、留意事項及びその履行状況を記述する。 留意事項はなし。 ─ 10 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (6)学生データ(学校基本調査のデータを準用) ①入学定員、入学者数、入学定員充足率、収容定員、在籍者数、収容定員充足率 ▪ 学科・専攻課程ごとに、第三者評価を受ける平成27年度を含む過去5年間のデータを 示す。 [参考例]平成23年度~平成27年度の設置学科等について ─ 11 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ※ 下記②~⑥について、学科・専攻課程ごとに、第三者評価を受ける前年度の平成26年 度を起点とした過去5年間のデータを示す。 ②卒業者数(人) ③退学者数(人) ④休学者数(人) ⑤就職者数(人) ⑥進学者数(人) ─ 12 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (7)短期大学設置基準を上回っている状況・短期大学の概要 ※ 大学の設置等に係る提出書類の「基本計画書」 ( 「大学の設置等に係る提出書類の作成 の手引き」を参照)内の量的数値及び質的な事項について記述する。 ※ ①~⑦まで、すべて第三者評価を受ける年度の平成27年5月1日現在 ①教員組織の概要(人) ① ③ ② ①+② ④ ③+④ [注] 1.上表の「設置基準で定める教員数〔イ〕」には、短期大学設置基準第22条別表第1の イに定める学科の種類に応じて定める教員数(昼間又は夜間において授業を行う学科 が通信教育をあわせ行う場合には、短期大学通信教育設置基準第9条第2項に定める 教員数を含む。 )を、また、通信教育学科のみを置く短期大学の場合は短期大学通信 教育設置基準第9条第1項別表第1に定める教員数を、学科ごとに記入し、その小計 を①に記入する。 2.上表の「短期大学全体の入学定員に応じて定める専任教員数〔ロ〕 」②には、短期大 学設置基準第22条別表第1のロに定める短期大学全体の入学定員に応じて定める教員 数を記入する。 3.上表の「設置基準で定める教授数」には、短期大学設置基準第22条別表第1のイの備 考1に定める教授数(通信教育学科のみを置く短期大学の場合は、短期大学通信教育 設置基準第9条第1項別表第1備考2に定める教授数)を学科ごとに記入し、その小 ─ 13 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 計を③に記入する。さらに、〔ロ〕の専任教員数に対する教授数を④に記入する。 4.上表の〔その他の組織等〕には、設置する学科に所属しない教員(例えば、一般教育 科目等を担当する教員や募集停止を行った学科所属の教員等) 数を記入するとともに、 〔その他の組織等〕欄に組織名等(募集停止の場合はその年度も含む。 )を記入する。 該当する教員がいない場合、この欄には斜線を引く。 5.上表の「助手」とは、助手として発令されている教職員をいう。 6.備考欄には、当該学科の種類(短期大学設置基準第22条別表第1のイにいう「学科の 属する分野の区分」)を必ず記載する。 ②教員以外の職員の概要(人) ③校地等(㎡) ─ 14 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ④校舎(㎡) ⑤教室等(室) ⑥専任教員研究室(室) ⑦図書・設備 ─ 15 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (8)短期大学の情報の公表について ①教育情報の公表について ②学校法人の財務情報の公開について ─ 16 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (9)各学科・専攻課程ごとの学習成果について ▪ 学習成果をどのように規定しているか。 ▪ どのように学習成果の向上・充実を図っているか。 歯科衛生学科は医療人としての倫理観を備え、豊かな教養と高い専門性を備えた歯科衛 生士を育成することを目的として、歯科衛生士国家試験は5年継続100%の合格率を維持 している。歯科衛生学科の学習成果は、学習成績(各科目成績評定および取得単位数)を 指標として評価している。教育目的の「問題解決能力」 「専門的知識・技術」 「自律性」に ついての学習成果を測定している。学習成果の向上のため、科目担当者は成果としてプレ テストを行い、チェックしている。チューターは、各学生が受講した科目評価を参考に個 別的指導をしている。また、学科長は教員を招集し、非常勤講師会および専任教員学科会 において学生評価について意見を聞き、3年ごとのカリキュラムの編成や検討の参考にし ている。 看護学科の学習成果は、短期大学士(看護学)と看護師国家試験受験資格の取得と規定 している。看護学科では、幅広い視野で人間を理解できる教養と良識を備え、専門職業人 としての倫理観を育み、科学的根拠に基づいた心温かい看護を実践できる基礎的能力を持 てるよう指導しながら向上・充実を図っている。 (10)オフキャンパス、遠隔教育、通信教育のその他の教育プログラム 該当なし。 (11)公的資金の適正管理の状況 ▪ 公的資金の適正管理の方針及び実施状況を記述する(公的研究費補助金取扱いに関す る規程、不正防止などの管理体制など) 。 平成19年11月7日に制定された「学校法人神奈川歯科大学公的研究費の不正に係る調査 の手続き等に関する規程」に則り、短期大学部における公的研究費の取扱いを厳正に行っ ている。 ─ 17 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (12)理事会・評議員会ごとの開催状況(24年度~ 26年度) 【理事会】 ─ 18 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 19 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 20 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 【評議員会】 [注] 1.平成24年度から平成26年度までに開催した全ての理事会及び評議員会について、理事 会・評議員会ごとに記入・作成する。(評議員会については、上表の「理事会」、「出 席理事数」を読み替えて作成する。 ) 2.「定員」及び「現員(a)」欄には、理事会・評議員会開催日当日の人数を記入する。 3. 「意思表示出席者数」欄には、寄附行為に「書面をもってあらかじめ意思を表示した ものは出席者とみなす」等が規定されている場合、その人数を外数で記入する。 4. 「実出席率(b/a)」欄には、百分率で小数点以下第1位まで記入する(小数点以下第 2位を四捨五入)。 5. 「監事の出席状況」欄には、「/」の右側に監事数(現員)を記入し、左側に当該理事 会及び評議員会に出席した監事数を記入する。 (13)その他 ▪ 上記以外に、評価員が理解を深めるのに役立つ情報があれば記述する ─ 21 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 2.自己点検・評価の組織と活動 ▪ 自己点検・評価委員会(担当者、構成員) 本学における自己点検・評価の専門委員会は、平成5年に設けられた自己評価委員会に よって代表される。本学の自己評価委員会は、FD活動を本学の自己点検・評価の要とす るべく平成18年にFD委員会と改称され、以後その名称のもとに本学の自己点検・評価の 活動の拠点として日常的に自己点検・評価を行い、その成果を報告書に纏め定期的に公表 している。 短期大学基準協会による第三者評価を受けるための特別委員会として平成20年に学長を 委員長とする認証評価対応委員会が併設され、FD委員会と緊密な連携を執りながら7年 毎の受審等に備えた体制を整えている。そして2年後(平成28年度)の第三者評価受審に 備え、平成26年4月から「自己点検・評価報告書」作成作業専門委員会として認証評価プ ロジェクト(プロジェクト長はFD委員長が兼務)が新設されている。(担当者、構成員に ついては、以下の組織図を参照) ▪ 自己点検・評価の組織図(規程は提出資料) ─ 22 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ 組織が機能していることの記述(根拠を基に) 本学においては、平成5年に組織された自己評価委員会が、平成18年以降はFD委員会が 自己点検・評価活動の拠点として日常的に自己点検・評価を行い、また第三者評価受審の 際には認証評価対応委員会と緊密に連携しながら周到に対応ができるような組織作りに努 めている。その成果として本学は、短期大学基準協会による平成21年度第三者評価におい て「適格」と認定された。そしてその際「向上・充実のための課題」として提示された事 項(本書8〜9頁参照)も、本学の全教職員に早急に具体的対策を促すことで改善がなさ れている。 自己点検・評価報告書の原稿については、①各領域の執筆責任者(あるいは執筆責任者 に依頼された者)が、 「自己点検・評価報告書作成マニュアル」に準拠し且つ自己点検・ 評価のための根拠(資料等)に基づきながら作成したものを各領域の統括責任者に提出 し、②統括責任者は、作成された原稿が「マニュアル」に準拠した適切な内容のものか査 読した上で、さらにそれをFD委員会に提出し、③FD委員会は回収された全原稿を校閲し、 問題のある原稿等があれば、委員長がALOや統括責任者と協議の上、執筆者本人に修正・ 加筆等を求め、その作業終了後に認証評価対応委員会に経過報告し、④その承認のもとで 印刷段階に至る、という過程を踏んでいる。そして平成26年4月からは「自己点検・評価 報告書」作成に関して臨機応変に対処できる言わばタスク・フォースとして認証評価プロ ジェクトを新設し、本学の自己点検・評価組織の更なる機能向上に努めている。 (以下の 一覧表を参照) 〈「平成26年度版自己点検・評価報告書」領域担当者一覧 〉 評価基準の領域 領域統括責任者 領域執筆責任者 1.自己点検・評価の基礎資料 事務局長 関連事務部職員 2.自己点検・評価の組織と活動 FD委員長 FD委員長 3.提出資料・備付資料一覧 事務局長 関連事務部職員 ALO ALO Ⅰ-A-1[区分](現状、課題) 学長 学長、学部長 Ⅰ-A[テーマ](改善計画) 学長 学長、学部長 Ⅰ-B-1[区分](現状、課題) 教務部長 学科長 Ⅰ-B-2[区分](現状、課題) 教務部長 学科長 Ⅰ-B-3[区分](現状、課題) 教務部長 教務部長 Ⅰ-B[テーマ](改善計画) 教務部長 教務部長 Ⅰ-C-1[区分](現状、課題) FD委員長 FD委員長 Ⅰ-C[テーマ](改善計画) FD委員長 FD委員長 ■基準Ⅰの行動計画 教務部長 学部長、教務部長 ◇基準Ⅰについての特記事項 ALO ALO 【基準Ⅰ 建学の精神と教育の成果】 [テーマ 基準Ⅰ-A 建学の精神] [テーマ 基準Ⅰ-B 教育の効果] [テーマ 基準Ⅰ-C 自己点検・評価] ─ 23 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 【基準Ⅱ 教育課程と学生支援】 ALO ALO Ⅱ-A-1[区分](現状、課題) 教務部長 学部長 Ⅱ-A-2[区分](現状、課題) 教務部長 学科長 Ⅱ-A-3[区分](現状、課題) 教務部長 入試委員長 Ⅱ-A-4「区分」(現状、課題) 教務部長 学科長、教務部長 Ⅱ-A-5「区分」(現状、課題) 教務部長 キャリアサポート委員長 Ⅱ-A[テーマ](改善計画) 教務部長 教務部長、学科長 Ⅱ-B-1[区分](現状、課題) 学生部長 教務部長、教学部課長 Ⅱ-B-2[区分](現状、課題) 学生部長 教務部長 Ⅱ-B-3[区分](現状、課題) 学生部長 学生部長 Ⅱ-B-4[区分](現状、課題) 学生部長 キャリアサポート委員長 Ⅱ-B-5[区分](現状、課題) 学生部長 入試委員長 Ⅱ-B[テーマ](改善計画) 学生部長 教務部長、学生部長 ■基準Ⅱの行動計画 教務部長、学生部長 教務部長、学生部長 ◇基準Ⅱについての特記事項 ALO ALO ALO ALO Ⅲ-A-1[区分](現状、課題) 教務部長 学科長、教務部長 Ⅲ-A-2[区分](現状、課題) 教務部長 学科長、教務部長 Ⅲ-A-3[区分](現状、課題) 教学部課長 教学部課長 Ⅲ-A-4[区分](現状、課題) 教学部課長 教学部課長 Ⅲ-A[テーマ](改善計画) 教務部長 学科長、教務部長 Ⅲ-B-1[区分](現状、課題) 事務局長 教学部課長 Ⅲ-B-2[区分](現状、課題) 事務局長 学生部長 Ⅲ-B[テーマ](改善計画) 事務局長 事務局長、学生部長 [テーマ 基準Ⅱ-A 教育課程] [テーマ 基準Ⅱ-B 学生支援] 【基準Ⅲ 教育資源と財的資源】 [テーマ 基準Ⅲ-A 人的資源] [テーマ 基準Ⅲ-B 物的資源] [テーマ 基準Ⅲ-C 技術的資源をはじめとするその他の教育資源] Ⅲ-C-1[区分](現状、課題) 学科長 学科長、教務部長 Ⅲ-C[テーマ](改善計画) 学科長 学科長、教務部長 Ⅲ-D-1[区分](現状、課題) 事務局長 事務局長 Ⅲ-D-2[区分](現状、課題) 事務局長 事務局長 Ⅲ-D[テーマ](改善計画) 事務局長 事務局長 ■基準Ⅲの行動計画 教務部長、事務局長 教務部長、事務局長 ◇基準Ⅲについての特記事項 ALO ALO ALO ALO [テーマ 基準Ⅲ-D 財的資源] 【基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス】 [テーマ 基準Ⅳ-A 理事長のリーダーシップ] Ⅳ-A-1[区分](現状、課題) 理事長 理事長 Ⅳ-A[テーマ](改善計画) 理事長 理事長 ─ 24 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅳ-B 学長のリーダーシップ] Ⅳ-B-1[区分](現状、課題) 学長 学長 Ⅳ-B[テーマ](改善計画) 学長 学長 Ⅳ-C-1[区分](現状、課題) 事務局長 事務局長 Ⅳ-C-2[区分](現状、課題) 事務局長 事務局長 Ⅳ-C-3[区分](現状、課題) 事務局長 事務局長 Ⅳ-C[テーマ](改善計画) 事務局長 事務局長 ■基準Ⅳの行動計画 事務局長 理事長、学長、事務局長 ◇基準Ⅳについての特記事項 ALO ALO 基準(1) 教務部長 学科長 基準(2) 教務部長 学科長 基準(3) 教務部長 学科長 基準(4) 教務部長 学科長 基準(1) 教務部長 学科長、教務部長 基準(2) 教務部長 学科長、教務部長 基準(3) 教務部長 学科長、教務部長 基準(4) 教務部長 アカデミックサポート委員長 基準(5) 教務部長 学科長、教務部長 基準(6) 教務部長 キャリアサポート委員長 学生部長 アカデミックサポート委員長、 [テーマ 基準Ⅳ-C ガバナンス] 【選択的評価基準】 教養教育の取り組みについて 【選択的評価基準】 職業教育の取り組みについて 【選択的評価基準】 地域貢献の取り組みについて 基準(1) 学生部長 基準(2) 学生部長 学生部長 基準(3) 学生部長 学生部長 ─ 25 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ 自己点検・評価報告書(平成26年度版)完成までの活動記録(自己点検・評価を行っ た平成26年度を中心に) 以上のような自己点検・評価の組織と活動体制のもとに、平成25年までは認証評価対応 委員会とFD委員会が、平成26年からは認証評価プロジェクトが加わり、それら三者が一 丸となって毎年度の「自己点検・評価報告書」の上梓に向けて鋭意努力しているのだが、 平成21年に発覚した本学創設以来の危機的状況からの本学の再建という緊急課題に全教職 員が専念することを余儀なくされたため、渦中の平成22年度及び23年度における本学の自 己点検・評価報告書の作成が誠に遺憾ながら中断されることになった。またそれが要因と なって「平成24年度版自己点検・評価報告書」の上梓が当初予定の期日よりも大幅に遅れ、 更にそれと連動して「平成25年度版自己点検・評価報告書」も同様に遅れるという不測の 事態が生じた。 以上の事由と反省から、本学の認証評価対応委員会及びFD委員会は、短期大学基準協 会における自己点検・評価の趣旨を再確認し、今一度初心に立ち返り、従来の方針を平成 25年度に関して変更し、むしろ慎重に時間をかけて自己点検・評価活動とその記録である 自己点検・評価報告書の作成に真摯に取り組むことにした。具体的に言えば、平成25年度 は「平成24年度版自己点検・評価報告書」の全原稿を丹念に見直しながら、それと同時並 行的に平成25年度の自己点検・評価活動及び「平成25年度版自己点検・評価報告書」の作 成作業を行っていくことにしたのである。そのため、平成24年度版及び25年度版報告書の 原稿提出期限を共に平成26年6月末日とし、両報告書の発行を同年8~9月とすることに し、その実現に努めた結果、平成24年度版報告書は平成26年8月31日に、平成25年度版報 告書は(予定より3ケ月遅れたものの)平成26年11月30日に発行することができた。そし てそれによって当該の「平成26年度版自己点検・評価報告書」作成のための基盤が4年ぶ りに再構築されたのである。 とは言え、当該の「平成26年度版自己点検・評価報告書」の作成もまた平成24年度版及 び25年度版報告書の作成と同時並行的に行なわれざるを得なかったので、そのような過重 な状況下での作業をより円滑にするため、(既述の如く)従来の認証評価対応委員会やFD 委員会よりも機動性のある認証評価プロジェクトを平成26年4月に新設し、平成26年度版 報告書の上梓に向けた機能的な体制作りを図った。そしてこのような新体制のもとに、前 年(平成25年)度における本学の自己点検・評価に関する課題が再確認・共有され、その 改善のための行動計画の実施が本年(平成26年)度に試みられた。そして平成15年度より 平成22年度まで毎年開催されていた外部評価委員会もまた、上記事由による3年間(平成 23 ~ 25年度)のブランクがあったものの、本年度再開することができた。 ─ 26 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 〈「平成26年度版自己点検・評価報告書」作成に関する略年表 〉 平成18年7月 自己評価委員会(平成5年設置)をFD委員会に改称。 平成21年10月 短期大学基準協会による第三者評価を受ける。 平成22年3月 短期大学基準協会より「適格」と認定される。 平成24年4月17日 第1回FD委員会 (新基準に基づいた「平成24年度版自己点検・評価報告書」を作成することを確 認・周知する。) 平成24年12月10日 第4回認証評価対応委員会 (4回の当該委員会[9/10, 10/5, 11/12, 12/10]で、「平成24年度版自己点検・評 価報告書」の作成に関する事項の協議・決定をする。) 平成25年2月28日 FD委員会が外部評価委員会運用規則(案)を教授会に諮る。 平成25年4月1日 湘南短期大学を神奈川歯科大学短期大学部に改称し、学部長職を新設する。 平成25年5月17日 第1回FD委員会 ( 「平成24度版自己点検・評価報告書」原稿の進捗状況及び「平成25年度版自己 点検・評価報告書」作成準備状況について報告・周知する。) 平成25年12月27日FD委員長が学部長及びALOに、FD委員会と独立した「自己点検・評価報告書」 作成作業専門委員会を設置することを要請する。 平成26年3月29日FD委員長が学部長及びALOに、本学の「自己点検・評価」組織としての現今 のFD委員会及び認証評価対応委員会を改組・統一化し、「自己点検評価委員会」 という名称の委員会を次回の第三者評価受審時までに新設することを要請する。 平成26年4月16日 第1回教授会 (①「自己点検・評価報告書」作成作業専門委員会として「認証評価プロジェクト」 委員会が新設される。②平成24年度版及び25年度版報告書の原稿締切を平成26 年6月末日、両報告書の発行を同年8月~9月とする。) 平成26年5月29日 第1回認証評価プロジェクト委員会 ( 「自己点検・評価」組織の次年度に向けた統一化について審議する。[①短期大 学部自己点検・評価委員会の設立及び同委員会規程の作成、②自己点検・評価 委員会へのFD委員会の「自己点検・評価」業務の移管]) 平成26年6月10日 第1回FD委員会 (FD委員会規程からの「自己点検・評価報告書」作成事項の削除等について審 議する。) 平成26年7月16日 第2回認証評価プロジェクト委員会 (①平成24年度版及び25年度版「自己点検・評価報告書」発行までのスケジュール、 ②短期大学部自己点検・評価委員会の設立及び同委員会規程が理事会で承認さ れたことの報告。) 平成26年7月29日 第1回認証評価プロジェクト編集会議及び印刷業者との打ち合わせ。 (平成24度版「自己点検・評価報告書」発行まで、5回の同プロジェクト編集 会議[7/29, 7/31, 8/12, 8/18]及び印刷業者との4回の打ち合わせ[7/29, 8/19, 8/21, 8/28]。) 平成26年8月31日 平成24年度版「自己点検・評価報告書」発行。 平成26年9月2日 第5回印刷業者との打ち合わせ。 (平成25年度版「自己点検・評価報告書」発行まで、印刷業者との4回の打ち合 ─ 27 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 わせ[9/2, 9/4, 9/8, 11/18]。) 平成26年9月17日 第5回教授会 (認証評価プロジェクトより、①平成25年度版「自己点検・評価報告書」の発行 が予定よりも遅れること、②平成26年度版「自己点検・評価報告書」の原稿締 切を4月とすること等を報告。) 平成26年9月18日 第6回認証評価プロジェクト編集会議 (平成25年度版「自己点検・評価報告書」発行まで、4回の編集会議[9/18, 10/16/, 10/21, 11/25]。) 平成26年11月19日 第3回認証評価プロジェクト委員会 (①「自己点検・評価報告書作成マニュアル」の平成26年7月改定についての説明、 ②平成26年度版「自己点検・評価報告書」の領域統括責任者及び執筆責任者の 確認、③原稿締切を3月末日に変更すること等を議題にする。) 平成26年11月28日 第2回FD委員会 ( 「自己点検・評価」に関するFD委員会規程の改定等について審議する。[平成 27年1月28日にFD委員長、副委員長が法学専門の本学教授の協力を得て当該規 程の最終案を作成。]) 平成26年11月30日 平成25年度版「自己点検・評価報告書」発行。 平成27年1月21日 第11回教授会 (FD委員会管轄の外部評価委員会の開催日及び外部評価委員名の報告。) 平成27年2月12日 平成26年度神奈川歯科大学短期大学部外部評価委員会開催。 平成27年2月18日 第12回教授会 (FD委員会規程改定の審議がなされ、改定案の一部修正の後、持ち回り審議を 経て同年2月20日に承認。) 平成27年4月15日 第1回自己点検評価委員会 (①平成26年度版「自己点検・評価報告書」作成の進捗状況、②平成27年度版「自 己点検・評価報告書」作成のスケジュール、③平成28年度第三者評価のスケジュー ル、④短期大学基準協会評価規準の改定等についての報告及び⑤外部評価委員 会運用規則改正案の審議。) 平成27年5月20日 平成27年5月29日 第2回自己点検評価委員会 (上記①の報告及び上記②[第2回目]。) 第1回認証評価プロジェクト編集会議 (平成26年度版「自己点検・評価報告書」発行まで、4回の編集会議[5/29, 6/26, 7/14, 7/30]。) 平成27年7月15日 平成27年7月31日 第3回自己点検評価委員会 (上記①の報告、及び平成28年度第三者評価スケジュールの確認。) 第1回印刷業者との打ち合わせ (平成26年度版「自己点検・評価報告書」発行まで、3回の打ち合わせ[7/31, 8/17, 8/24]。) 平成27年8月31日 平成26年度版「自己点検・評価報告書」発行。 ─ 28 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式5−提出資料・備付資料一覧 3.提出資料・備付資料一覧 〈提出資料一覧表〉 ─ 29 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [注意] ▪「⑴記述の根拠となる資料等一覧」記載の資料を準備し、提出資料、備付資料それぞれ 一覧表を作成する。 ▪一覧表の「資料番号・資料名」には、提出資料、備付資料それぞれに付した通し番号及 び資料名(評価校独自の名称等)を記載する。 ▪準備できない資料(例えば、取り組み自体を行っていない場合等) については、 「該当なし」 と記載する。 ▪準備する資料は、特に指定がなければ自己点検・評価を行う平成26年度のものとする。 ただし、平成27年度に学科改組等で大幅な変更があった場合、平成27年度のものを備付 資料として準備する。 ▪「過去3年」の指定がある場合、自己点検・評価を行う平成26年度を起点として過去3 年間とする。 ─ 30 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 〈備付資料一覧表〉 ─ 31 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 32 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 33 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [注] ▪「⑴記述の根拠となる資料等一覧」記載の資料を準備し、提出資料、備付資料それぞれ 一覧表を作成する。 ▪一覧表の「資料番号・資料名」には、提出資料、備付資料それぞれに付した通し番号及 び資料名(評価校独自の名称等)を記載する。 ▪準備できない資料(例えば、取り組み自体を行っていない場合等) については、 「該当なし」 と記載する。 ▪提出資料、備付資料をウェブサイトで公表している場合、一覧表の「資料番号・資料名」 にはURLも記載する。 ▪準備する資料は、特に指定がなければ自己点検・評価を行う平成26年度のものとする。 ただし、第三者評価を受ける平成27年度に学科改組等で大幅な変更があった場合、平成 27年度のものを備付資料として準備する。 ▪「過去3年」・「過去5年」の指定がある場合、自己点検・評価を行う平成26年度を起点 として過去3年間・過去5年間とする。 ─ 34 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式6−基準Ⅰ 【基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果】 ▪ 基準Ⅰの自己点検・評価の概要 本学は、 「愛」という一文字を建学の精神として掲げ、その精神の下に「高い人格と確 かな見識、豊かな徳操を養い、専門の知識と技術を基に自ら行動し、その能力を社会に貢 献できる人材を育成する」ことを教育理念としている。入学直後から開始されるスタート アップセミナーにおいて建学の精神についての説明を行い、その後も学生が常に、この教 育理念を意識するよう全教室の前方に掲げている。 建学の精神に基づき、学生の個性を尊重した教育により学問技術を修め、人間性に溢れ た教養と常識を体得した学生を社会に送り出すという両学科共通の教育目的を明確に定め ている。さらに学科ごとの教育の目標も確立し、学則のみならず学生便覧等にも記載する ことで学生への周知ならびに、FD研修会・SD研修会を通じて教職員への周知に努めてい る。 歯科衛生学科、看護学科共に卒業後の国家試験の合格を重要な目標としている。国家試 験の合格が本学学生の社会へ旅立つ前提であり、 社会貢献につながるためである。 したがっ て、学習成果の一面をこの国家試験合格率でも測れると認識している。その他、良い教育 の実行が良い教育の成果をもたらすとの考えのもとに、 授業評価アンケートを行っている。 これは教育の質を探る手がかりとなるもので、 アンケート結果を教員に示し、 フィードバッ クを受けることで、さらに質の高い教育へとつなげている。さらに、教員間の授業参観を 行い、意見交換をしながら、授業内容の改善に取り組んでいる。 ディプロマポリシーの基準を満たした学生に対し学位を授与するという教育の質の保証 は、学生及び社会に対する義務である。その義務を果たすべく、カリキュラム、授業概要 を作成し、授業に取り組んでいる。 自己点検・評価について、従来はFD委員会を中心に自己点検を実施してきたが、FD委 員会は本来のFD活動に専念するべきこととした。そこで、新たに自己点検を専門に行う 委員会の立ち上げに向け、前段階として平成26年4月に 「認証評価プロジェクト」 を設置し、 FD委員会規程の改正および自己点検評価委員会規程の作成に着手した。その成果として、 作成時期は当初の予定から遅れたものの「自己点検・評価報告書」を作成し、この報告書 を踏まえた学外委員による外部評価委員会を開催することができた。外部評価委員からは 忌憚のない率直な意見が出され、本学にとって大変有用で貴重なサジェストを受けること ができた。 昨今の学生の「ユニバーサル化」による多様化に鑑み教育目的の理解をより深め、学習 成果の一つである国家試験の合格率を100%に近づけるための地道な取り組みをさらに継 続する必要がある。限られた時間内で、単純にコアカリキュラム・国家試験出題基準を融 合・編成すると本学教育の独自性が失われ、同時に教育の本質も損なわれる可能性もある。 そのリスクを考慮した上で本学の教育目的である「人間性に溢れた教養と常識を体得した 学生を社会に送り出すこと」ができるための「教育効果」における抜本的見直しの時期に きている。そのためには「学習」から「学修」への転換が求められ、学生自身が自主的積 極的に予習・復習に取り組む習慣をつけられるよう指導する必要がある。 自己点検・評価については、FD委員会と自己点検評価委員会との役割分担を明確にし ─ 35 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 た上で、自己点検評価委員会を定期的に開催することとし、その内容を充実する必要があ る。自己点検・評価報告書を記載するにあたり、執筆担当責任者が「報告書作成マニュア ル(7月改訂版)」および「短期大学評価基準」等を十分に理解し、それに沿った記載に 努める必要がある。また、記載終了後は、内容に再検討を複数回重ね、適切な報告書とし なければならない。さらに、自己点検・評価報告書の作成および外部評価委員会の開催時 期を早め、年間計画に沿った運営としなければならない。 ─ 36 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅰ−A 建学の精神] [区分 基準Ⅰ−A−1 建学の精神が確立している。 ] ▪ 基準Ⅰ−A−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)建学の精神は短期大学の教育理念・理想を明確に示している。 (2)建学の精神を学内外に表明している。 (3)建学の精神を学内において共有している。 (4)建学の精神を定期的に確認している。 (a)現状 本学の建学の精神は、医療の本質でもある「愛」の一字で表されており、 「その精神の下、 高い人格と確かな識見、豊かな徳操を養い、専門の知識と技術を基に自ら行動し、その能 力を社会に貢献できる人材を育成する」ことを教育理念として掲げている。在学中におい ては、学生一人ひとりが建学の精神を理解した上で履修科目を学ぶことが、教育効果を得 るためには肝要であるので、入学時に「スタートアップセミナー」 (初年次教育)でまず その意義を理解する。また、入学生の志望動機は入学時点においても未だ明確でない学生 が存在することも事実である。そうした意味で、入学後に建学の精神ならびに教育理念が 学生に勉学を通じて少しずつ理解され、また人間尊重を基調とした高い医療技術によって 社会の一員として奉仕したいという気持ちが自ずから醸成されることを目指したカリキュ ラムの構築とそれに基づいた講義、実習が行われるよう努力している。 実際に卒業生一人ひとりが社会的にも健全な人間として旅立っていくことを見るにつ け、建学の精神、ならびに教育理念が彼らの生き方に着実に根付きつつあるという手応え が感じられる。 (b)課題 本学の建学の精神ならびに教育理念は簡明で誰にでも分かりやすいものであると考えて いる。しかし、学生本人がその精神を自分のこととして捉えなくては意味がないので、そ の周知の一環として各教室の黒板の脇に掲示して日々目に触れるようにしているが、学生 にとって授業を円滑に受けるうえで極めて重要な存在であるシラバスにはその記載がな い。さらに、言葉の意味を理解するだけではなく、言葉に内在しているその精神の共有こ そが重要である。その意味で、建学の精神の周知を「スタートアップセミナー」のみに頼 るのではなく、各教員も各自の授業においてできるかぎり工夫をし、 「愛」の精神の実践 としての講義を展開しなくてはならないが、学生による授業評価アンケート結果を総覧す ると未だ十分とは言えないので、この問題に関する対処が課題である。 ▪ 基準Ⅰ−Aの改善計画 建学の精神の確立は、教員と学生がお互いにその精神を共有することによってはじめて 可能となり、そのもとに、学生の勉学が本来の成果を生む。その意味で、建学の精神の文 言が学生の目に留まる機会を増やせばそれで良いというのではなく、むしろ授業を通じて ─ 37 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 学生が建学の精神である「愛」の精神を体得できるようにすることが理想である。そのた めにも各教員は日々授業プログラムの改良に努め、 学生に受け入れられやすい授業の工夫、 学生に分かりやすい授業への改善を怠らないようにしなければならない。併せて、学生に よる授業評価アンケート評価に僅かに垣間見える学習者視点での改善すべき点を的確に認 識し、しかも大学としてそれを全学的に実行に移すために、FD研修会のテーマとして取 り上げていく必要がある。 [当該関係資料] (提出資料) №1 Campus Guide 2014(学生便覧) (備付資料) №16 平成26年度授業評価アンケート ─ 38 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅰ−B 教育の効果] [区分 基準Ⅰ−B−1 教育目的・目標が確立している。 ] ▪ 基準Ⅰ−B−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の教育目的・目標を建学の精神に基づき明確に示している。 (2)学科・専攻課程の教育目的・目標は学習成果を明確に示している。 (3)学科・専攻課程の教育目的・目標を学内外に表明している。 (4)学科・専攻課程の教育目的・目標を定期的に点検している。 (a)現状 教育基本法および学校教育法に基づき、 「愛」という建学の精神の下に教育目的、目標 を定めている。 教育目的は、神奈川歯科大学短期大学部学則「教育目的」第2条に明確に規定され、 CAMPUS GUIDE(以後「学生便覧」と表記) 、Guidebook(以後「学校案内」と表記) 、 公式ホームページに記載し、学内外に表明している。 学生に対しては「学生便覧」等の資料の配布の他、授業開講時のガイダンス、臨地実習 前の実習オリエンテーション等で周知している。 学外に対しては、「学校案内」を使用して、高校生を対象とした進学説明会、また、病 院主催の「看護師1日体験」での講師による学校案内等でも説明している。 前年度には、教育目標・目的をわかりやすくすることを改善計画として挙げ、その取り 組みとして授業概要(以後「シラバス」と表記)の記述方法の改善をしたため、学生が理 解しやすくなっている。 [歯科衛生学科] 歯科衛生学科は、教育基本法および学校教育法に基づき、 「愛」という建学の精神の下で、 教育目的を「自ら考え、問題を解決する姿勢と行動力を持ち、歯科保健・医療を通じて人々 が健康で快適な生活を営めるよう健康の実現に向けてサポートし、社会のニーズに応える 専門的知識や技術を身につけ、生涯にわたり自己研鑽し、人々に信頼され自律する人材を 養成する」ことと定め、それはさらに以下のような歯科衛生学科教育目標の文言に繋がる。 歯科衛生学科教育目標 1 情報化社会の進展を背景にコミュニケーション能力を重視した教育を行う。 2 オリジナリティあふれる人材を育成するための教育環境と機会を用意する。 3 実社会における即戦力となる技術や知識を身につける教育を行う。 4 資格取得(歯科衛生士)のための専門教育を行う。 ─ 39 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [看護学科] 看護学科では「愛」という建学の精神の下に、 「高い倫理観と看護観、並びに判断力と 看護実践能力を身につけた心あたたかい有能な看護師を育成し、以て社会への貢献を目指 す」ことを教育目的としている。それは、看護学科の教育理念である「幅広い視野で人間 を理解できる教養と良識を備え、専門職業人としての倫理観を育み、科学的根拠に基づい た心温かい看護を実践できる基礎的能力を身につけた看護師を育成する」 ( 『学校案内』52 頁)に明記されるとともに、次のような看護学科の教育目標の文言に繋がる。 看護学科教育目標 1 人間を身体的・精神的・社会的に統合された存在として、幅広く理解する能力を 養う。 2 生活者としての人々の健康を、環境(自然・社会・文化的)との相互作用の観点 から理解する能力を養う。 3 人々の多様な価値観を認め、尊重し、専門職業人としての倫理に基づいた行動が できる能力を養う。 4 人々の健康上の課題に対応するために、科学的な根拠に基づいた看護を実践でき る基礎能力を養う。 5 様々な健康状態に応じた看護実践能力を養う。 6 保健・医療・福祉制度と、多職種の役割を理解し、連携・協働して看護を実践す る基礎的能力を養う。 7 人間として、専門職業人として、自己成長していく力を養う。 以上は、各教科、シラバスの一般目標、学習項目・行動目標に表示されている。 (但し、 臨地実習の実習目的・目標は領域別の実習要項に明記されている。 ) 実習オリエンテーションで配布する「実習要項総論」には①看護学科教育目標②臨地実 習の位置づけと目的・目標③実習における倫理的配慮④実習上のルール等が明記され、 「教 育目標」の1から7を網羅している。 学外に対しては、実習施設の看護管理者、指導者を対象に行う臨地実習説明会等で「実 習要項総論」を基に、建学の精神「愛」から看護学科理念、 実習目標等を説明している。 (本 学の実習施設:神奈川県内の特定機能病院2病院、地域連携急性期病院、老健施設、訪問 看護ステーション、専門病院等の50か所以上) (b)課題 実習への重要な動機づけになる事柄に関しては、学生が未だ主体的に受け止める状況に はなく重要なことが伝わっていない。オリエンテーション方法を検討し学生が主体的に取 り組める工夫が必要である。 同時に、学生への周知は、開講時ガイダンスや実習前のオリエンテーションでは不十分 であり、周知方法を工夫し学生が主体的に教育目的・目標を学ぶシステムづくりの必要が ある。 また、歯科衛生学科においては、歯科衛生士コア・カリキュラムが改定されたことを踏 ─ 40 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 まえ、次年度は内容の見直しが必要である。 ] [区分 基準Ⅰ−B−2 学習成果を定めている。 ▪ 基準Ⅰ−B−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の学習成果を建学の精神に基づき明確に示している。 (2)学科・専攻課程の学習成果を学科・専攻課程の教育目的・目標に基づいて明確 に示している。 (3)学科・専攻課程の学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みを持って いる。 (4)学科・専攻課程の学習成果を学内外に表明している。 (5)学科・専攻課程の学習成果を定期的に点検している。 (a)現状 学習成果は、建学の精神、教育の理念、教育の目標等に基づく授業の一般目標・行動目 標として示している。各科目の具体的な学習成果は、シラバスに記載している。 平成24年度自己点検評価において、国家試験合格率の低迷等に対する改善策のひとつと して、シラバスの見直しを行った。平成25年度シラバスは大幅に改修され、一般目標、行 動目標、国家試験出題基準範囲、1コマ毎の授業内容等を明示した。定期試験は、各科目 のシラバスに記載された一般目標および行動目標から出題し、学習成果がより客観的に評 価できるよう整備された。 学生がシラバスを確認することで、受講科目の授業内容や目的、学修しなければならな い知識や技術をあらかじめ知ることができ、それによって、自学自習しやすくなるように 配慮した。 学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みとしては、定期試験、中間試験、小 試験、レポート、出席や授業への取り組み状況等を点数化し、総合的に評価する方法をとっ ている。試験規程に掲げる受験資格は、3分の2を超える出席を必要条件とし、評価は 100点満点で行い60点未満は不合格としている。不合格者に対しては再試験を行うが、そ れでも不合格の場合は、翌年再履修となる。 学習成果の内外への表明としては、入学式の際、入学生及び保護者に対して学習成果に ついて説明し周知するようにしている。特に本試験の受験資格については、保護者に、学 生が授業に欠席することがないよう学生の学習環境の確保に協力を要請している。 重要な学習成果である本学国家試験合格率については、他校と本学との合格率を比較し ながらオープンキャンパスや進学相談会などで内外に表明している。 また、学習成果が高い学生に対しては、学年修了時および卒業時に成績優秀者として学 長による表彰を行っている。特に卒業時の成績優秀者は、卒業式の壇上で学長より表彰状 が授与され、その様子はホームページのフェイスブックで情報公開している。 また、定期的な点検としては「授業評価アンケート」がある。授業評価アンケートはあ くまで学生の主観的な評価であるが、学習成果のひとつの目安となるため、教員は、授業 ─ 41 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 評価アンケートの結果に基づき、自己分析を行い今後どのように授業を改善して学習成果 を上げていくのかを報告書にまとめて提出することが義務づけられている。教学部(FD 委員会事務局)は、その報告書を学生が閲覧可能な状態にして保管している。また、教員 間の授業参観を行い、意見交換をしながら、授業内容の改善に取り組んでいる。 就職先からの評価としては、キャリアサポート委員会が中心となりアンケートなどで意 見(情報)収集している。また、キャリアサポート委員会主催の就職説明会を開催するこ とによって、学生が将来の方針を定めやすく、就職活動の意識を高めて学習成果が合理的 に得られるようにしている。 [歯科衛生学科] 本学科の定める学習成果は、歯科衛生士国家試験受験資格・短期大学士取得のため、神 奈川歯科大学短期大学部学則の第6章に、卒業等に歯科衛生学科は3年以上在学し、97単 位以上を修得することと定めている。 本学科に必須となる重要な学習成果は、歯科衛生士国家試験の合格であり、昨年度の合 格率は98.4%であった。 [看護学科] 本学科の定める学習成果は、建学の精神に基づく教育目的「高い倫理観と看護観、並び に判断力と看護実践能力を身につけた心あたたかい有能な看護師を育成し、以て社会への 貢献を目指す」と定めている。卒業認定は、短期大学士取得の学習成果に繋がるが、本学 科に必須となる重要な学習成果は、看護師国家試験の合格である。 臨地実習では、各領域の実習要項に、実習目標と連動した「学生自己評価表」が添付さ れている。実習終了後、教員は学生の自己評価を参考に面接し、学生と相互に実習の学習 成果を確認しながら実習評価を行ない基準に沿って点数化している。 臨地実習の学習成果の内外への表明については、実習終了後の実習評価会で学生の平均 点、最高点、最低点を資料で示している。 平成26年度の新たな取り組みとして、これまで医師担当の「病態治療論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」 を看護教員が担当した。これは、看護教員が「病態治療論」の授業内容を確実に1年次か ら3年次を通して看護学に繋げ、重複を最小限にすることや1年次から看護学への動機づ けを可能にするためである。 (b)課題 卒業生の就職・就業状況から学習成果をみるため、卒業後アンケート調査の回収率を上 げる。学内・外のトピックス・状況・研修会等をホームページ・配布物で常に更新し、学外 からより注目されるようにすることが必要と考える。 学習成果をわかりやすくするために、改善計画として、授業評価アンケートの内容を見 直すことが挙げられたが、行動計画としては、その案件はFD委員会および教学委員会の 合同作業となり、次年度の継続課題となった。 シラバスの内容改善による学生の学習成果向上への影響が明確になっていない。教員全 体で評価していく必要がある。 ─ 42 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 また、シラバスに記載した行動目標が複数あり、具体的に明示された分、授業中の学生 の集中力が分散し学習成果が減少する傾向がある。教員も、シラバスの内容を授業内で網 羅して授業展開するには限界があるため、授業方法の工夫が必要である。 [歯科衛生学科] 学習成果として、歯科衛生士国家試験合格率を高めることは重要である。しかし、国家 試験合格率を上げることを目標とするのではなく、歯科衛生士として社会に輩出するにあ たり学生が習得しておくべき知識と技術を検討の上設定し、それを達成し、その結果とし て国家試験の合格という結果が自ずと得られるような学習成果としなければならない。そ のためには、入学時から卒業時までの学習状況、成績、出欠席等のデータを蓄積、分析し 教育に反映してその学習成果を得る必要がある。このデータ収集、および分析をより充実 する必要がある。また、今後GPA等の評価導入に向けて検討する必要がある。 また、 歯科衛生士コア・カリキュラム (二次改訂) が策定されたので、 それを見据えた目的・ 目標をたて、「学習成果」をより具体的に明示する必要がある。 [看護学科] 成人期の学生にとって、課題学習は効果的な方法であるが、他教科との連携がないと学 生への負担が多くなり逆効果になることは否定できない。また、 シラバスが改善されても、 それを展開する時間割や各教科間の連携が十分考慮されないため、学生は関連付けて学ぶ ことが難しい状況となっている。 入学者全員が看護師国家試験に合格することが学習成果の最終目標であるが、そのため の教育体制、学生支援体制の見直しをする必要がある。 平成26年度より新たに看護教員が担当した1年次科目「病態治療論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」の 授業内容が平成27年度2年次看護学科目にどう有効に繋がったかを評価測定し、さらには 平成28年度に繋がるよう改善することが課題である。 ] [区分 基準Ⅰ−B−3 教育の質を保証している。 ▪ 基準Ⅰ−B−3の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更などを適宜確認し、法令順 守に努めている。 (2)学習成果を焦点とする査定(アセスメント)の手法を有している。 (3)教育の向上・充実のためのPDCAサイクルを有している。 (a)現状 「学校教育法」「短期大学設置基準」等の法令の変更などを適宜確認し、法令順守に努め ている。また、文部科学省のホームページを参考にして教育関係情報の収集に努めている。 各学科の教育理念および国家試験出題基準を基にカリキュラム、 授業概要を作成している。 講義に関する学習成果の査定は、本試験を柱に、講義中の態度、提出物の評価の総合評価 ─ 43 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 としている。また、実習評価に関しては実習ごとに細かい評価対象、評価基準を設け査定 を行っている。 PDCAサイクルについては、学生からの授業評価(授業評価アンケート)を受け、評価 および教員自身の改善点を開示し、各教員が学生へフィードバックし、次回の教育に反映 させている。また、授業評価ばかりでなく随時、学生からの意見を聴取し教育の改善に努 めている。 国家試験の成績も最終的な総合評価と見ることができる。歯科衛生学科は、高い合格率 を維持し、平成26年度3月実施の結果も1名不合格で合格率98.4% であった。看護学科は、 国家試験対策委員会で検討を重ね、補講等の他は学生の自主性に任せた。国家試験対策は 教員全員が担当し、平成26年度から臨床実習の終了時期を早めた。その結果、国家試験合 格率は平成26年2月実施において86.9%の合格率であったが、平成27年2月実施において は全国平均の合格率を上回り97.6%となった。 (b)課題 国家試験は高い合格率を保っているものの、本学教育の独自性についても検証しなけれ ばならない。 大学全入時代を迎え、学力低下の学生が増えている。リメディアル教育で数学や理科の 基礎を学ぶ機会を設けたが、どれだけ有効であったかの検証が行われていない。また、入 学後の基礎学力に関する指導の徹底を図ることも課題である。さらに、予習・復習を習慣 づけられるよう教員が予習内容を与えたにもかかわらず十分な予習復習が行われたとは言 えない。予習・復習を行うことによって授業への理解度や勉学意欲を高め、ひいては学習 成果を高められることに繋がると考える。したがって教員は、義務付けられている予習復 習の課題を授業概要に示す。また、学生が予習復習を実行し授業に臨んでいるか確認する 必要がある。 以上のような具体的対応と同時に、教育の質を担保するために抜本的な教育の改革に取 り組まなければならない。3つの方針を実行可能で具体性のある内容に改め、 「何を教え たか」ではなく「何ができるようになったか」というアウトカムから考えたカリキュラム を設計しなければならない。 また、学習成果の査定についても、従来の本試験や出欠席による評価から多角的な評価 が可能な学修方略に改めていかなければならない。いずれにせよ、短期間に実行可能な課 題ではなく、今後2年程度を目処に進める必要がある。 ▪ テーマ 基準Ⅰ−B 教育の効果の改善計画 [歯科衛生学科] ①シラバスの記述方法の改善を行い、学生が授業内容を理解しやすくなったので、記述方 法のさらなる明確・具体化をする。また、歯科衛生士コア・カリキュラムが改定された ことを踏まえ、 「学習成果」を検討し明示するとともに、 シラバスの内容の見直しも行う。 学生により一層ディプロマポリシー、カリキュラムポリシーを理解させる。 ②学習成果として、歯科衛生士国家試験合格率を1年前の100%に戻す。 ③卒業生の就職・就業状況から学習成果をみるため、アンケート調査の回収率を上げる。 ─ 44 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 アンケート回収について卒業式、ホームページなどで周知する。質問項目、回答方法を 簡略化するなど検討する。 ④学習成果の量的・質的データについては、情報収集からGPA等の評価導入に向けて検討 していきたい。 [看護学科] ①FD活動として「ディプロマポリシーならびに看護学科カリキュラムポリシー」をテー マに議論し共通理解を深める。 ②学生への授業ガイダンス及び実習オリエンテーションの方法を改善する。 ③平成27年度のシラバス全体の構成要素の検証や各教科のシラバスの見直し、学生が主体 的に学べるようにする必要がある。 ④授業担当者は他教科の授業内容を共有し、学生が各教科間の授業内容を関連づけて学べ るようにする必要がある。 [当該関係資料] (提出資料) №1 Campus Guide 2014(学生便覧) №2 神奈川歯科大学神奈川歯科大学短期大学部Guidebook2015 №3 公式HP №4 授業概要(シラバス) 平成26年度 (備付資料) №8 就職先アンケート調査 №9 卒業生アンケート調査 №16 平成26年度授業評価アンケート №45 実習要項 ─ 45 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅰ−C 自己点検・評価] [区分 基準Ⅰ−C−1 自己点検・評価活動等の実施体制が確立し、向上・充実に向けて 努力している。] ▪ 基準Ⅰ−C−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)自己点検・評価のための規程及び組織を整備している。 (2)日常的に自己点検・評価を行っている。 (3)定期的に自己点検・評価報告書等を公表している。 (4)自己点検・評価活動に全教職員が関与している。 (5)自己点検・評価の成果を活用している。 (a)現状 現状(平成26年度)の記述に際し、読者(評価者)の理解に資するため、本学の自己点 検・評価の組織・活動等に関する過去の経緯について(本書26頁における記述との重複を 厭わず)概説することから始めたい。 本学は、 「教育の継続的な質の保証を図り、社会的に魅力のある短期大学であり続ける ために」 ( 「短期大学評価規準」)、平成5年に自己評価委員会を設置し、それを本学の自己 点検・評価活動の専門委員会とした。本学の自己評価委員会は、学長を委員長とし、副学 長、教学部長、学科長、図書館長、学長により指名された教職員を委員として発足したが、 かなめ 全学を挙げたFD活動を本学の自己点検・評価の要とするべく平成18年にはFD委員会と改 称され、以後その名称のもとに本学の自己点検・評価活動の拠点として年度単位で自己点 検・評価を行い、その成果を報告書に纏め定期的に毎年公表するよう努めてきた。 さらに平成20年には、短期大学基準協会による平成21年度第三者評価を受けるための特 別委員会として認証評価対応委員会が併設され、学長を委員長とし、ALO、FD委員長、 学科長等を委員として第三者評価受審に向けた本学における自己点検・評価についての具 体的方針や作業工程が協議され、本学の全教職員の協働のもとに速やかに実行された。そ の結果、平成22年3月に本学は短期大学基準協会より「適格」と認定されることができた。 しかし平成21年に発覚した法人の不祥事が招いた経営悪化により、組織の抜本的改革に 取り組むために全教職員がその後の数年間を費やすこととなった。そのため、本学の「自 己点検・評価活動等の実施体制が確立し、向上・充実」するための要とも言うべき「自己 点検・評価のための規程及び組織を整備」することが現今の情勢に見合った仕方で未だ十 分にはなされていない、という年来の懸案も手付かずのままであった。したがって、本学 における従来の「自己点検・評価のための規程及び組織」を再検討し、現状にそぐわない 不十分な点を早急に改善する必要があった。具体的に言えば、前年度(平成25年度)の自 )で述べたこと、すなわ 己点検・評価報告書における当該箇所(基準Ⅰ−C−1の「課題」 ち「本学における自己点検・評価の専門委員会として従来位置づけられているFD委員会は、 併設されている認証評価対応委員会と将来的に一体化され、文字通り『自己点検・評価委 員会』と改称され、また当該FD委員会は『自己点検・評価』ではなく文字通りFDに関す る専門委員会として現状と名称に則した位置づけがなされる必要がある」 ( 『平成25年度版 ─ 46 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 自己点検・評価報告書』47頁)ということである。 この課題を遂行するための具体的行動として、平成25年度にFD委員長が学部長及び ALOに、①FD委員会と独立した「自己点検・評価報告書」作成作業専門委員会を設置す ること、ならびに②本学の「自己点検・評価」組織としての現今のFD委員会及び認証評 価対応委員会を改組・統一化し、「自己点検評価委員会」という名称の委員会を次回(平 成28年度)の第三者評価受審時までに新設することを要請した(本書27頁「略年表」参照) 。 その結果、上記①の専門委員会として平成26年4月より「認証評価プロジェクト」委員会 が設置され、そして当該委員会及びFD委員会において、従来のFD委員会規程の改正作業 ならびに次年度(平成27年度)新設予定の本短期大学部「自己点検評価委員会」の新たな 規程の作成に向けた審議等が継続的になされた。 (後者の規程は、平成26年7月に理事会 で承認され、前者の規程は平成27年2月に教授会で承認された。 ) 以上のような平成26年度における「実行状況」において、本学の「自己点検・評価のた めの規程及び組織」も新たに整備し直され、 それによって (無論未だ十分ではないとは言え) 本学の新たな「自己点検・評価活動等の実施体制」の要が確立し、またその「向上・充実」 に向けた努力も、第三者評価受審を平成28年度に控えている本学としては怠ることのない ようにしている。 (b)課題 「現状」の箇所で述べたように、本年度(平成26年度)における本学の「自己点検・評価」 に関する「課題」は、前年度(平成25年度)における上述の「課題」遂行のための具体的 な行動をすること、すなわち本学の「自己点検・評価のための規程及び組織」を新たに検 討・整備することであった。その一環として、 従来のFD委員会規程の改正作業や次年度(平 成27年度)新設予定の自己点検評価委員会の規程の作成作業等がなされた。とは言え、そ れらの作業は、本学の「自己点検・評価活動等の実施体制が確立」するための言わば新た な足場作りであって、その足場が実際の「自己点検・評価」という教育現場で十分通用す る安定したものか否かの判定に関しては、次年度(平成27年度)の本学の「自己点検・評 価」結果を待たねばならないが、しかしその足場をできるかぎり安定したものにするため には、それを今後さらに臨機応変に修正してゆく必要がある。具体的に言えば、①FD委 員会規程及び自己点検評価委員会規程の更なる見直しである。また、それ以外にも、②本 学における従来の「自己点検・評価」方法・範囲の現状に則した見直し、③自己点検・評 価報告書作成に関する執筆担当責任者の共通理解不足の解消、④自己点検・評価報告書発 行期日の遅延及びそれに伴う外部評価委員会開催期日の遅延の是正などが、次年度(平成 27年度)以降着手されるべき当該の課題として挙げられる。 また、 「当該区分に係る自己点検・評価のための観点」における(2)(3)(4)(5) に関しては、未だ十分とは言えないものの、概ね実行されていると思われる。しかし、更 なる向上・充実に向けて鋭意努力したい。 ▪ テーマ 基準Ⅰ−C 自己点検・評価の改善計画 「自己点検・評価の改善計画」の内容については、先の「課題」の箇所で「次年度(平 成27年度)以降着手されるべき当該の課題として挙げられ」た4つの項目に集約される。 ─ 47 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 つまり、当該の4つの項目が今後改善されるべき具体的な課題となるのである。そしてそ れらの具体的な「改善計画」は、以下の通りである。つまり、上記①については、自己点 検・評価に関する従来のFD委員会と自己点検評価委員会との役割分担の明確化(明文化) であり、上記②については、本学の授業評価アンケート内容の現状に則した改定や本学の 卒業生へのアンケート調査の拡大であり、上記③については、自己点検・評価報告書の執 筆担当責任者に対する「自己点検・評価報告書作成マニュアル(7月改定版) 」や「短期 大学評価規準」等の合同検討会による周知徹底であり、上記④については、自己点検・評 価報告書の原稿提出期限の早期化及び厳守による編集・印刷工程の迅速化というのが、そ れである。上述の「改善計画」以外にも具体的に着手されるべき「計画」は幾つかあるが、 とりあえず本学にとって急を要すると思われるものに敢えて限定した。そして次年度中に それらの「改善計画」ができるかぎり全て実行されるよう努めたい。 また、併設大学を含めた法人全体としての自己点検についても検討していく。 [当該関係資料] (提出資料) №5 FD委員会規程(改正版) №6 自己点検評価委員会規程 (備付資料) №4 平成24年度版自己点検・評価報告書 №5 平成25年度版自己点検・評価報告書 ─ 48 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ 基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果の行動計画 卒業生の就職・就業状況から学習成果をみるため、アンケート調査の回収率を上げる。 アンケート回収について卒業式、ホームページなどで周知する。質問項目、回答方法を簡 略化するなど検討する。 学習成果の量的・質的データについては、情報収集からGPA等の評価導入に向けて検討 する。 [歯科衛生学科] ①学生自身の長期目標設定に役立たせるため、シラバスの各教科の目的・目標を明確化す る。歯科衛生士コア・カリキュラム(二次改訂)が策定されたので、 「学習成果」を検討、 明示し、シラバスの内容も見直す。学生により一層ディプロマポリシー、カリキュラム ポリシーを理解させるには、オリエンテーションおよび初回の授業時に説明を加える。 ②学習成果として、歯科衛生士国家試験合格率を1年前の100%に戻すべく、教員が一丸 となって学生の支援にあたる。 [看護学科] ①FD活動として「ディプロマポリシーならびに看護学科カリキュラムポリシー」をテー マに議論し教員間の連携を図り共通理解を深める。 ②学生への授業ガイダンス及び実習オリエンテーションの方法を改善する。グループワー クを取り入れた実習オリエンテーションを企画運営する。 ③学生が主体的に学べるようするために、カリキュラム委員会、各領域での会議を開催し、 平成27年度シラバス全体の構成要素の検証や各教科のシラバスを見直す。 ④授業担当者は他教科の授業内容を共有し、学生が各教科間の授業内容を関連づけて学べ るようにする必要があるので、各学年の授業担当者カンファレンスを前期・後期開始時 の年2回開催する。 ◇ 基準Ⅰについての特記事項 (1)以上の基準以外に建学の精神と教育の効果について努力している事項。 建学の精神は、日常においても、意識的に、学内外に表明している。高校訪問はもちろ んであるが、オープンキャンパスや大学祭の折に、保護者や訪問者に対して説明をしてい る。学生に対しても、倫理問題や、医療の本質など授業の際に「建学の精神である愛」と 関連づけて説明し、学生に伝わるよう工夫をしている。 教育の効果ついては、学生に対して、授業の開講時、シラバスの説明の中で具体的に表 明し、学習成果に向けて目標を持って学習するよう動機づけを行っている。 また、教育の質保証のためのPDCAサイクルに則り、教科毎に学生の授業評価アンケー ト(FD委員会)や定期テストの成績、実習成績などの結果を取りまとめて改善計画に繋 げるよう努力をしている。単元毎のPDCAサイクルも実施し、授業内容の改善に努力して いる。 基準Ⅰ全般において、それをたえず意識しながら全教職員が日々行動し、自己点検・評 価活動にもれなく関与するよう周知を行っている。 ─ 49 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (2)特別の事由や事情があり、以上の基準の求めることが実現(達成)できない事項。 特記することはない。 ─ 50 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式7−基準Ⅱ 【基準Ⅱ 教育課程と学生支援】 ▪ 基準Ⅱの自己点検・評価の概要 医療人として社会的に通用する人材であることを学位授与の方針とし、卒業要件、成績 評価基準、資格取得要件を学生便覧およびシラバスに明記し、公式ホームページで内外に 表明している。課題としては、カリキュラムポリシーによって学習した結果を測定する方 法を確立し、その学習成果を調える必要がある。 教育課程は、ディプロマポリシーに対応し編成されている。成績評価は教育の質保証 にむけて、担当教員が厳格に適用している。教育の質をより高めるために、成績評価を GPAの量的指標に変更する方向にしていくといった行動計画を立てたが、現状では依然 「優・良・可・不可」の質的指標を用いている。GPAの量的指標の変更について委員会を 設立し検討することとしている。教員配置については、教員の資格・業績を審査して配 置している。なお3年生には卒業研究を推奨しているが、実際に行う学生は見られない。 GPAの件等とともにその対応を考える必要がある。 「入学者受け入れの方針(アドミッションポリシー) 」は学生募集パンフレット、 本学ホー ムページで明示している。 「建学の精神」 の下、 教育理念、 教育目的、 アドミッションポリシー を入学希望者に十分理解してもらうために、オープンキャンパスや進学相談会での入試説 明の機会を利用して周知を図っている。 入学者選抜の方法は、AO入試、推薦入試(指定校、公募) 、特待生推薦、社会人特別入試、 一般入試の5つ試験区分による多様な選抜方法を採用し、入学希望者の事情に適した選抜 方法が選択できるよう配慮している。 また、 入学者受け入れ方針 (アドミッションポリシー) に対応した適切な入学選抜試験が実施されているか、否かは不明である。各入学試験結果 の標準化を行い、試験科目による難易度に差を生じないようにするとともに、試験の評価 はできるだけ数値化し、客観的判断を行う必要がある。 学習成果の査定法については「神奈川歯科大学短期大学部試験規程」に定めている。単 位認定の方法は、シラバスに明示し初回授業で説明している。講義科目の大部分の科目に おいては筆記試験を実施し、レポート、論文、実技、授業態度などで総合的に評価してい る。履修した各科目の単位認定科目担当者が客観的かつ公平に行っている。 学習成果に関する教員に対する評価を定期的に実施し、その評価を真摯に受け止め、授 業の改善に努めている。アンケートの問題点は、①真剣さに欠ける回答、②教員への無責 任な誹謗中傷、③フィードバックまでの時間、などがあげられる。そのために授業評価ア ンケートを検討するワーキンググループを立ち上げ改善へ向けた活動を行っている。その ほか、教育施設としてグループディスカッションできる施設、アクティブに学習できる施 設数が不足しており、既存施設の再利用を検討する段階にある。 学習成果の獲得に向けて、学生に分かりやすい学生便覧やシラバスを作成し、選択科目 のガイダンスなども行っている。科目の選択にあたっては、 チューターがアドバイスを行っ ている。学習の動機づけとして初回授業時にシラバスに沿って科目の概要、到達目標、評 価方法、単位認定、予習・復習を含む学習方法、オフィスアワーなどを詳細に説明している。 基礎学力が不足する学生についての支援をいつ、誰が行うのかが課題であり、まずは学 科会議において当該学生の情報を共有し、科目担当者とチューターの連携のもと早めに対 ─ 51 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 応を行った。学力・技術力が到達しない学生への学習支援は、科目担当者を活用し指導す ることとした。 国家試験への対応は、模擬試験の実施とそのフォローをゼミ形式で指導している。看護 学科では、学生が自主的にグループ学習を行っており、教員はアドバイザーとして随時指 導している。歯科衛生学科では学生からの希望で土・日曜日に補講、模擬試験を実施する 学習支援を行っている。また、国家試験にともなう不安感に対する精神的ケアは、常に チューターや国家試験対策委員が相談に応じるシステムを整えている。学習上の悩みなど の相談は、科目担当者やチューターらが中心となり指導助言を行うのを基本としている。 しかし、該当教員を苦手とする学生もいるため厳しく限定はしていない。但し、相談内容 によって科目担当者、チューター、学科長に報告し、情報の共有化を図って解決する体制 を整備している。 学力・技術が不足する学生の補習授業や実習等教員間で情報を共有し補習時間を調整し て支援を計画的に行う。底上げだけではなく、優秀な学生へのアドバンス的な教育のため に、その担当者を教員の中から選出し、学生の更なる能力を伸ばし医療専門職としてリー ダーシップを発揮できるように指導する体制を整える必要もある。 ─ 52 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅱ−A 教育課程] ] [区分 基準Ⅱ−A−1 学位授与の方針を明確に示している。 ▪ 基準Ⅱ−A−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の学位授与の方針は、それぞれの学習成果に対応している。 ①学科・専攻課程の学位授与の方針は、卒業の要件、成績評価の基準、資格取 得の要件を明確に示している。 (2)学科・専攻課程の学位授与の方針を学則に規定している。 (3)学科・専攻課程の学位授与の方針を学内外に表明している。 (4)学科・専攻課程の学位授与の方針は、社会的(国際的)に通用性がある。 (5)学科・専攻課程の学位授与の方針を定期的に点検している。 (a)現状 本学の学位授与方針(ディプロマポリシー)は以下の通りである。 1.医療人としての全人的で高い自覚と倫理観をもち、患者や地域住民に対し、いかん なく人間力を発揮できる。 2.豊かな教養・知性・英知を備え、患者・地域住民・他医療職とコミュニケーション をとることができる。 3.与えられる資格に必要な医療専門職としての知識と技術を修得し、患者や地域住民 が、ライフステージに応じて健康をコントロールできるように支援することができ る。 4.医療専門職としてのリーダーシップを発揮し、他職種と協同・連携してチーム医療 を実践できる。 5.常に高い研究マインドをもち、臨床・地域社会・教育の場で、科学的思考力に基づ き、多様な課題や問題を発見し、分析、解決することができる。 6.高齢者や障害者に対しても、優しさに溢れるケアサービスを実践できる。 7.国際協力・被災者支援など、人々への貢献に取り組むことができる。 8.医療機器の操作、確認など医療安全管理の重要性を理解し実施できる。 平成24年度までの学位授与方針4項目が、平成25年度には現代の社会情勢に即したより 具体的な内容8項目に再構築された。 学位授与の方針、成績評価の基準はシラバスに明確に示している。また、卒業の要件は 学生便覧に明確に示している。医療人として社会的に通用する人材であることを学位授与 の方針に掲げ、方針は定期的に点検している。 学位授与方針は、学生が必ず確認するようシラバス(冊子)の表紙裏に示し、さらに学 生便覧にも掲げ学生への周知を図っている。また、ホームページ上にて公開し、受験生を はじめ広く外部にも公開している。 本学は両学科とも、医療に携わる専門職業人を養成し、 国家試験に合格した後に社会で活 躍する人材を輩出することが重要な目的である。その点に鑑みると、本学の学位授与方針 は、社会的にも通用するものであり、広く国際的に認められる内容のであると考えている。 ─ 53 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 医療の世界は、知識の面でも技術的にも日進月歩であり、また社会との関わりも国民の 意識の変化、価値観の多様性に適応できるよう常に柔軟な姿勢が求められる。そこでの学 生の活躍を目指す大学としては、学位授与方針も定期的に見直し、社会の要請に応える姿 勢が必要である。そのために本学は、概ね2〜3年に一度、内容の変更の必要性について 検討を行っている。 (b)課題 本学学則には、建学の精神、教育理念および両学科それぞれの教育目的は掲げられてい るが、学位授与方針は規定されていない。現在の教育に求められることは、 「何を教えるか」 ではなく「何ができるようになるか」という点に力を注ぐことである。卒業時、すなわち 学位が授与される時点で学生が身につけることが求められる学習成果を具体的に学則に規 定し、広く内外に公開しなければならない。その点に鑑みると、学則に規定されていない のは、公開の観点、学生、教職員への周知という点で不十分である。その点を早急に改善 する必要がある。 また、学位授与方針は、個人学習の履歴、知識・能力の証明にもつながるものであり、 また社会が求める職業人としての基礎能力を意識した具体的な要素を示すものでなければ ならない。さらに、それが測定可能な内容でなければならない。その点からすると、本学 の学位授与方針は、具体性はあるものの、どのような基準でどのように評価するのかとい う視点に欠けているきらいがある。その点を再度検討し、教育改革に求められる成果とし ていく必要がある。 ] [区分 基準Ⅱ−A−2 教育課程編成・実施の方針を明確に示している。 ▪ 基準Ⅱ−A−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の教育課程は、学位授与の方針に対応している。 (2)学科・専攻課程の教育課程を体系的に編成している。 ①学習成果に対応した、分かりやすい授業科目を編成している。 ②成績評価は教育の質保証に向けて厳格に適用している。 ③シラバスに必要な項目(達成目標・到達目標、授業内容、準備学習の内容、 授業時間数、成績評価の方法・基準、教科書・参考書等)が明示されている。 ④通信による教育を行う学科・専攻課程の場合には印刷教材等による授業(添 削等による指導を含む。)、放送授業(添削等による指導を含む。)、面接授業 又はメディアを利用して行う授業の実施方法を適切に行っている。 (3)学科・専攻課程の教育課程は、 教員の資格・業績を基にした教員配置となっている。 (4)学科・専攻課程の教育課程の見直しを定期的に行っている。 (a)現状 教育課程は、各学科のカリキュラムポリシーに沿って編成されている。 各科目のシラバスには、ディプロマポリシー(学位授与方針)を明記し、学年別に各授 ─ 54 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 業科目の担当者、担当者連絡先(メールアドレス) 、開講時期、開講年次、単位数、必修 科目または選択科目の区別、授業概要、一般目標、授業回毎の学習項目・行動目標・授業 方法・教科書頁数・担当者、評価方法、教科書、参考文献、履修上のアドバイス、オフィ スアワーを明記している。加えて、授業回毎に国家試験出題基準項目を明記している。シ ラバスは毎年、年度の初めに冊子にして全学生に配布し各授業の初回に学生に口頭で説明 しているほか、短期大学ホームページにも示している。 さらに、本学においては、以下の特色を生かしてカリキュラムを構築している。 1.本学両学科共通科目を設定している。 2.海外の大学との交流を企画し、進行している。 3.神奈川歯科大学所属の基礎医学・医学系講師も講義を担当している。 4.災害看護については、実践者からの講義が受けられる。 5.同じ敷地内に設置された神奈川歯科大学歯学部、短期大学部歯科衛生学科、看護学 科のコラボレーションの教育により口腔ケア、摂食嚥下ケアに強い看護師、看護領 域に強い歯科衛生士の育成が可能である。 [歯科衛生学科] 歯科衛生学科カリキュラムポリシー 医療専門職である歯科衛生士として必要な知識・技能を修得するため、以下の科目 を設置した。 1.基礎分野においては、導入教育としての「スタートアップセミナー」 、科学的思 考の基礎として「化学」 「生物学」 、 患者・地域住民・他医療職とのコミュニケーショ ンとチームワークを図るための「コミュニケーション論〈含、実習〉」、「英語Ⅰ」 「英語Ⅱ〈 医用英語〉」「英語Ⅲ〈英会話〉 」、国際協力のための 「海外事情Ⅰ〈欧 米〉」「海外事情Ⅱ〈アジア〉」 、豊かな人間力をもつ医療人としての全人的で高い 自覚と倫理観を養うための「心理学」 「発達心理学」を設置する。 2.歯科の専門職としての専門基礎分野においては、歯科衛生士としての知識を得る ため、人体の構造と機能「解剖学〈人体の構造〉」「組織発生学」、歯・口腔の構 造と機能「口腔解剖学」「生理学〈含、口腔生理学〉 」 「生化学〈含、口腔生化学〉 」 、 疾病の成り立ちおよび回復過程の促進「病理学〈含、 口腔病理学〉 」 「微生物学〈含、 免疫学〉」「薬理学」、歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み「衛生学・ 公衆衛生学」「衛生行政・社会福祉行政」「口腔衛生学Ⅰ・口腔衛生学Ⅱ〈含、歯 科衛生統計〉」「小児保健」を設置する。さらに、本短期大学部の看護学科と連携 をとりながら実施する「介護技術〈含、口腔リハビリテーション〉 」を設置し本 学の特徴とする。 3.歯科予防処置は医療職の中でも唯一歯科衛生士に任された予防業務である。「歯 科衛生士概論」 では歯科衛生学の総論を学ぶ。さらに歯科予防処置業務を充実さ せるために、 「歯科予防処置論」「歯科予防処置歯周病予防Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」「歯科予 防処置う蝕予防処置法」「口腔保健管理法」を設置する。 4.歯科医療機関では、チーム医療は不可欠のものである。チームの一員として診療 ─ 55 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 を円滑に進めるために、「歯科診療補助論Ⅰ〈診療室管理・感染予防〉・歯科診療 補助論Ⅱ・歯科診療補助論Ⅲ〈歯科材料〉・歯科診療補助論Ⅳ」「歯科放射線・臨 床検査学」を設置する。また、 「歯科臨床概論 〈含、 医学概論〉 「成人歯科学Ⅰ 」 〈歯周〉 」 「成人歯科学Ⅱ〈修復・歯内〉」 「成人歯科学Ⅲ〈補綴〉 」 「成人歯科学Ⅳ〈高齢者歯科、 先端医療〉」「成人歯科学Ⅴ〈障害者歯科、 先端医療〉 」「小児歯科学」 「歯科矯正学」 「口腔外科学〈含、麻酔学〉」など歯科治療の全体を理解する。 5.患者や地域住民の健康維持・増進を支援するために、また障がい者・要介護者の 歯科保健を支援するための知識・技術を身につけるために、「歯科保健指導論Ⅰ・ Ⅱ・Ⅲ」「栄養指導Ⅰ・Ⅱ」を設置する。 6.歯科医療の現場と連携を持ちながら、実践的な技術を身につけるための実習を以 下のとおり設置する。臨地実習(含、臨床実習)「臨床実習Ⅰ−1〈附属病院・歯 科診療所〉 ・臨床実習Ⅰ−2〈附属病院・歯科診療所〉 」 、 「臨床実習Ⅱ〈総合歯科〉 」 「臨床実習Ⅲ〈総合実習〉」(附属病院ペリオケア外来との連携) 、 「臨地実習Ⅰ〈教 育施設〉」「臨地実習Ⅱ〈福祉施設〉 」 7.選択必修分野としては、卒業研究分野「 臨床基礎統合ゼミ」 、 卒業制作として「テー マ研究」、基礎分野として「健康とスポーツ」 「情報リテラシー」 「手話」 「社会福祉論・ ボランティア論」専門分野では、 「保険請求事務」 「医療倫理学」 「健康教育論」 「看 護学概論」を設置する。 歯科衛生士養成所指定規則に則り、規則の卒業要件である「93単位以上」に準拠して、 歯科衛生学科の卒業要件は97単位以上としている。 学年 表Ⅱ−A−2−1 26年度入学生 歯科衛生学科カリキュラム及び履修学年 分 野 1 年 次 基礎分野 領 域 教科目 *:選択科目 導入科目 スタートアップセミナー 科学的思考の基盤 化学* 生物学* 人間と生活 英語Ⅰ* 海外事情Ⅰ〈欧米〉* 海外事情Ⅱ〈アジア〉* 発達心理学* 心理学 コミュニケーション論〈含、実習〉 専門基礎分野 人体の構造と機能 解剖学〈人体の構造〉 組織発生学 歯・口腔の構造と機能 口腔解剖学 生理学〈含、口腔生理学〉 生化学〈含、口腔生化学〉 疾病の成り立ち及び回 病理学〈含、口腔病理学〉 復過程の促進 微生物学〈含、免疫学〉 薬理学 ─ 56 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 歯・口腔の健康と予防 に関わる人間と社会の 口腔衛生学Ⅰ 仕組み 専門分野 歯科衛生士概論 歯科衛生士概論 臨床歯科医学 歯科臨床概論〈含、医学概論〉 成人歯科学Ⅰ〈歯周〉 歯科予防処置論 歯科予防処置論 歯科予防処置歯周病予防Ⅰ 歯科保健指導論 歯科保健指導論Ⅰ 栄養指導Ⅰ 歯科診療補助論 歯科診療補助論Ⅰ〈診療室管理・感染予防〉 歯科診療補助論Ⅱ 歯科診療補助論Ⅲ〈歯 科材料〉 選択必修分野 年 次 2 基礎分野 健康とスポーツ* 情報リテラシー* 専門分野 医療倫理学* 基礎分野 人間と生活 英語Ⅱ〈医用英語〉* 海外事情Ⅰ〈欧米〉* 海外事情Ⅱ〈アジア〉* 専門基礎分野 歯・口腔の健康と予防 に関わる人間と社会の 仕組み 衛生学・公衆衛生学 口腔衛生学Ⅱ〈含、歯科衛生統計〉 専門分野 臨床歯科医学 成人歯科学Ⅱ〈修復・歯内〉 成人歯科学Ⅲ〈補綴〉 成人歯科学Ⅳ〈高齢者歯科、先端医療〉 成人歯科学Ⅴ〈障害者歯科、先端医療〉 小児歯科学 歯科矯正学 口腔外科学〈含、麻酔学〉 歯科予防処置論 歯科予防処置歯周病予防Ⅱ 歯科予防処置歯周病予防Ⅲ 歯科予防処置う蝕予防処置法 口腔保健管理法 歯科保健指導論 歯科保健指導論Ⅱ 栄養指導Ⅱ 歯科診療補助論 歯科診療補助論Ⅳ 歯科放射線・臨床検査学 ─ 57 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 臨地実習(含、臨床実 習) 臨床実習Ⅰ−1〈附属病院・歯科診療所〉 基礎分野 社会福祉論・ボランティア論* 専門分野 看護学概論* 基礎分野 人間と生活 英語Ⅲ〈英会話〉* 専門基礎分野 歯・口腔の健康と予防 衛生行政・社会福祉行政 に関わる人間と社会の 仕組み 介護技術〈含、口腔リハビリテーション〉 小児保健 歯科保健指導論 歯科保健指導論Ⅲ 臨地実習(含、臨床実 習) 臨床実習Ⅰ−2〈附属病院・歯科診療所〉 臨床実習Ⅱ〈総合歯科〉 選択必修分野 3 年 次 専門分野 臨床実習Ⅲ〈総合実習〉 臨地実習Ⅰ〈教育施設〉 臨地実習Ⅱ〈福祉施設〉 選択必修分野 卒業研究分野 臨床基礎統合ゼミ* テーマ研究* 基礎分野 手話* 専門分野 保険請求事務* 健康教育論* 基礎分野では①導入科目 ②科学的思考の基礎 ③人間と生活、専門基礎分野では①人 体の構造と機能 ②歯・口腔の構造と機能 ③疾病の成り立ち及び回復過程の促進 ④歯・ 口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み、専門分野では①歯科衛生士概論 ②臨床 歯科医学 ③歯科予防処置論 ④歯科保健指導論 ⑤歯科診療補助論、臨地実習(含、臨 床実習)、選択必修分野では①卒業研究分野 ②基礎分野 ③専門分野に分類した。97単 位以上を取得したものに対して、本学の「学位規程」に基づき短期大学士(歯科衛生学) の学位を授与している。 歯科衛生学科の教育課程は、全国歯科衛生士教育協議会編コア・カリマュラムに沿うよ うに体系的に編成し、歯科衛生士養成教育の質を担保している。学習成果に対応したわか りやすい授業を展開するために、講義のほかに演習・実習を取り入れ、学生とのコミュニ ケーションを取りながら授業を展開している。 成績評価は教育の質保証にむけて、担当教員が厳格に適用している。 教員配置については、「歯科衛生士養成所指定規則」等に基づいて、教員の資格・業績 を審査して配置している。さらに教育課程の見直しを毎年行っている。 また、歯科衛生学科は、次年度教育課程を作成する際、倫理的思考力や問題発見・解決 力を向上させるため、全員が「卒業研究」を選択できるカリキュラム編成を立てたが、積 極的に卒業研究を行う学生が見られないのが現状である。 ─ 58 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [看護学科] 本学看護学科の教育課程は学位授与の方針に従い、以下のカリキュラムポリシーに則り 体系的に編成し、実施している。 カリキュラムポリシーは平成25年度のディプロマポリシーの再構築に伴い、 改訂された。 看護学科カリキュラムポリシー 医療人として幅広い視野で人間を理解できる教養と良識と倫理観を養い、科学的根 拠に基づいた看護の実践ができる人材を育成することを目的として以下のカリキュラ ムを設置する。 1.1年次カリキュラムは、看護師の基本的素養を身につけるため、以下の分野を 設置する。 1)「基礎分野」科目を中心に生命観・倫理観やコミュニケーション力を養う。 2) 「専門基礎分野」科目では人体の構造と機能、 疾病の成り立ちと回復の促進、 および健康支援と社会について学ぶ。 3) 「専門分野Ⅰ」および4) 「専門分野Ⅱ」の科目から看護の基礎について学ぶ。 2.2年次カリキュラムは、看護師の専門知識と技術を中心に身につけるため、以 下の分野を設置する。 1) 「専門基礎分野」科目は、1 年次カリキュラムを継続として健康支援と社 会における公衆衛生や社会保障制度について学ぶ。 2) 「専門分野Ⅰ」科目の講義・演習、臨地実習からフィジカルアセスメント の基礎や健康管理カウンセリングにおけるアドバイスの基本知識や手技を 学ぶ。 3) 「専門分野Ⅱ」科目では様々な症例や発達段階に応じた看護の基礎を学ぶ。 4)「統合分野」は、在宅看護を通して看護の統合と実践力をつける。 3. 3年次カリキュラムは、看護の実践的知識・技術を身につけるため、臨地実習 を中心に設定する。 1) 「専門分野Ⅱ」臨地実習は発達段階の看護を実践する。 2) 「統合分野」科目では在宅看護論実習、統合実習を実施する。 以上、3年次のカリキュラムを経て看護総合力および問題解決能力を向上させる。 (1)基礎分野における取り組み 「情報倫理と情報処 表Ⅱ−A−2−2に示したように、基礎分野では「導入科目」1科目、 理」領域2科目、「コミュニケーション」領域10科目、 「人間理解と倫理」領域3科目の計 16科目を1年次を中心として開講している。社会性を養い人間理解を中心に幅広い教養お よび倫理観を培い豊かな人間性を涵養する。中でも「コミュニケーション」領域は、海外 の大学との交流を行う2科目を含む5科目の選択科目を擁し、人間理解を土台とした実践 的な科目を数多く開講している。本学看護学科は、短期大学士の学位授与機構であるのみ ならず看護師国家試験受験資格要件を満たす必要があるため、文部科学省の定める「保健 師助産師看護師学校養成所指定規則」に準拠した卒業要件98単位以上(上限100単位)中、 ─ 59 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 必修単位が95単位あり、卒業要件単位のほとんどを占めているが、学生の学問への探求心 および自主性の育成を考慮して6科目という選択科目を設けている。また、入学後すべて の科目履修に先立ち、「導入科目」である「スタートアップセミナー」を設定・実施して おり、入学前教育から継続して本学における履修のスムーズな導入を促進する科目編成と している。 (2)専門基礎分野、専門分野Ⅰ、専門分野Ⅱ、統合分野における取り組み 各分野それぞれ文部科学省の定める 「保健師助産師看護師学校養成所指定規則指導要領」 に則って科目編成している。これらは、1年次の専門基礎分野および専門分野Ⅰから3年 次の統合分野まで段階的に構築されている。 専門分野Ⅰ、 専門分野Ⅱ、 統合分野においては、 臨地実習が課せられており、学習成果に対応した講義、学内演習、臨地実習と段階的に知 識および技術能力を養うカリキュラム編成となっている。さらに臨地実習においては、実 習全体の目的・目標を以下のように定め、その下に各看護学領域(基礎、成人、老年、母 性、小児、精神看護学、在宅看護論)の実習がなされている。 【実習目的】 看護学臨地実習において、あらゆる健康レベル・発達段階にある看護の対象に、学内で 学んだ知識、技術、態度を統合・実践することを通して、看護の基礎的能力を養うと共に、 看護の本質を考える姿勢を養うことを目的とする。 【実習目標】 1)看護の対象を理解する。 2)看護の対象に応じた看護過程(アセスメント・計画・実践・評価)を展開できる。 3)医療チームの一員としての役割と責任を理解できる。 4)看護の対象の多様なニーズを充足し、自立への援助を通して、看護の本質を考える ことができる。 5)社会の一員として、看護学実習を通して自己成長できる。 これらの科目に係る成績評価は、学則に「試験等の評価は100点を満点とし、80点以上 を優、70点以上を良、60点以上を可、60点未満を不可とし、 不可は不合格とする」と定め、 「保 健師助産師看護師学校養成所指定規則」の到達レベルに準拠した教育の質保証に向けて厳 格に適用している。 さらに臨地実習については、シラバスのほかに実習要項を毎年作成している。これは、 各看護学領域に共通する総論と各看護学領域別の実習要項から成り、実習目的、実習目標、 実習施設、実習時間、実習内容、実習の進め方、学習課題、実習記録を含む提出物、評価 表等を提示し、口頭にて説明をしている。 これらの教育課程は、「短期大学設置基準」および「保健師助産師看護師学校養成所指 定規則」等に基づいて、教員の資格・業績を任用時に審査し配置している。特に「専門基 礎分野」科目は、平成25年度まで医学領域全般の基礎知識修得のために医師及び歯科医師 が担当していたが、教育課程の見直しを行い看護の専門性の観点から平成26年度より同分 ─ 60 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 野科目である「病態と治療論Ⅰ」「病態と治療論Ⅱ」 「病態と治療論Ⅲ」の全てと「病態と 治療論Ⅳ」のほとんどの授業について看護師資格を持つ看護学科専任教員が担当している。 教育課程(カリキュラム)の見直しについては、看護学科内委員会であるカリキュラム 委員会が中心となって学科カリキュラムの見直しを行っているほか、短期大学部全体とし てもカリキュラムの検討を行っている。学科内カリキュラム委員会は、基礎、成人、老年、 母性、小児、精神、在宅の各看護学領域教員より編成され、大学組織全体の教育課程の編 成方針とすり合わせを行いながら、次年度カリキュラム、時間割、シラバス内容や提示方 法の見直しと改善を実施している。 学年 表Ⅱ−A−2−2 26年度入学生 看護学科カリキュラム及び履修学年 分 野 1 年 次 基礎分野 専門 領 域 教科目 *:選択科目 導入科目 スタートアップセミナー 情報倫理と情報処理 情報リテラシー 統計学* コミュニケーション 論理と文章表現 心理学* 英語Ⅰ・Ⅱ 英語Ⅲ* 人間関係論Ⅰ・Ⅱ 健康とス ポーツ* 海外事情Ⅰ・Ⅱ* 人間理解と倫理 哲学 倫理学 人体の構造と基礎入門 人体の構造と機能 人体の構造と機能Ⅰ 人体の構造と機能Ⅱ 基礎分野 専門分野Ⅰ 食物摂取と身体機能 疾病の成り立ちと回復 の促進 人体と薬理 病理学 病態と治療論Ⅰ 病 態と治療論Ⅱ 病態と治療論Ⅲ 病態と治 療論Ⅳ など 健康支援と社会 保健医療福祉概論 社会福祉概論 医療と 法律 など 基礎看護学 看護学概論 安全管理 生活援助技術Ⅰ 生活援助技術Ⅱ 診療補助技術Ⅰ 診療補 助技術Ⅱ 看護過程 など 成人看護学 成人看護学概論 臨地実習 基礎看護学実習Ⅰ ─ 61 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 2 年 次 基礎分野 文化とコミュニケー ション 海外事情Ⅰ* 海外事情Ⅱ* 専門基礎分野 健康支援と社会 公衆衛生学 社会保障制度の実際 専門分野Ⅰ・ 基礎看護学 Ⅱ 統合分野 3 年 次 統合分野 専門分野 健康管理カウンセリング 健康診査 看護 研究 成人看護学 成人臨床看護Ⅰ・Ⅱ 成人看護学演習 老年看護学 老年看護概論 老年臨床看護 小児看護学 小児看護学概論 小児病態学 小児臨床看 護 母性看護学 母性看護学概論 母性生理的変化 母性臨 床看護 精神看護学 精神看護学概論 精神病態学 精神臨床看 護 精神保健 臨地実習 基礎看護学実習Ⅱ 老年看護学実習Ⅰ 成 人看護学実習Ⅰ 在宅看護論 在宅看護概論 在宅看護技術 家族看護 看護の統合と実践 災害看護と国際看護 健康支援と社会 医療と法律 看護の統合と実践 チーム医療と看護管理 看護技術の統合 総合看護学 臨地実習 成人看護学実習Ⅱ 成人看護学実習Ⅲ 老 年看護学実習Ⅱ 老年看護学実習Ⅲ 小児 看護学実習 母性看護学実習 精神看護学実習 統合分野 臨地実習 在宅看護論実習 統合実習 (b)課題 学位授与方針をもとにカリキュラムポリシーを作成しているが、 今後はさらに、 カリキュ ラムポリシーによって学習した結果を測定するための学習成果を調える必要がある。 従来、成績評価は「優・良・可・不可」であったが、学習の達成度を評価するGPAの 導入の検討を始めた。GPA評価導入の必要性、得られる効果、具体的方法などを全教員 間で共有し、スムーズに移行していく必要がある。 ─ 62 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [歯科衛生学科] 3年生は国家試験の学習に集中することを理由に、卒業研究を行う学生が最近はまった く見られない。しかし、大学である以上アカデミックに研究し、あるいは、学生時代に研 究の楽しさや面白さを経験することが将来につながることもある。そこで、学生研究の時 期の検討、あるいは国家試験に結びつく研究テーマなど再考する必要がある。 [看護学科] 平成26年度より「専門基礎分野」科目である「病態と治療論Ⅰ」 「病態と治療論Ⅱ」 「病 態と治療論Ⅲ」の全てと「病態と治療論Ⅳ」のほとんどの授業について看護師資格を持つ 看護学科専任教員が担当したことによる看護教育課程の評価を継続的に実施していくこと が必要課題である。また、教育課程の編成の改善のみでなく、ディプロマポリシーの到達 に向けて学生自身がさらに主体的、能動的に学習に取り組むことができるような授業方法 を工夫していくことも課題であり、ポートフォリオとルーブリックの手法を取り入れた学 習の実施に向け教育課程を検討すること等が課題である。 また、我が国の方針である在宅看護強化に本学の教育課程が対応しているか、見直す必 要がある。 ] [区分 基準Ⅱ−A−3 入学者受け入れの方針を明確に示している。 ▪ 基準Ⅱ−A−3の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)各学科・専攻課程の学習成果に対応する入学者受け入れの方針を示している。 (2)入学者受け入れの方針は、入学前の学習成果の把握・評価を明確に示している。 (3)入学者選抜の方法(推薦、一般、AO選抜等)は、入学者受け入れの方針に対応 している。 (a)現状 入学試験要項には、歯科衛生学科と看護学科の「入学者受け入れの方針(アドミッショ ンポリシー)」を以下のように明示し、その周知を徹底するように努めている。 (歯科衛生学科のアドミッションポリシー) ①歯科衛生士を目指す明確な目標意識を持ち、特に歯科医学、口腔ケアに対し知的・技術 的向上心のある人 ②深い思いやりの心で人に接することができる人 ③新たな課題に対して深く考え、協調性をもって取り組める人 ④人間性豊かに成長することをめざす人 (看護学科のアドミッションポリシー) ①生命を尊び、人とのかかわりを大切にし、社会に貢献したいと考える人 ②看護への関心があり、看護学の修得に必要な基礎学力を有する人 ─ 63 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ③生涯を通じて探究心をもって看護学を学び続けられる人 ④柔軟な発想を持ち、進んで困難や課題に対処できる人 ⑤自己の心身の健康に留意し行動できる人 本学「建学の精神」の下に、教育理念、教育目的、アドミッションポリシーを入学希望 者に十分理解してもらい、各学科の入学者受け入れの方針に納得した学生のみを受け入れ ている。また、オープンキャンパスや進学相談会での入試説明、学校案内、本学ホームペー ジへの掲載など多くの機会や媒体を利用して周知している。その際、同じ医療職である歯 科衛生士と看護師の各々の特殊性、特色、求められる適性についてとくに分かりやすく丁 寧に説明し、入学希望者が事前に本学の方針を判断できるよう努めている。 入学者選抜の方法については、AO入試、推薦入試(指定校、公募)、特待生推薦、社 会人特別入試、一般入試の5つ試験区分による多様な選抜方法を採用している。各々の試 験区分についての特徴、実施日、受験資格等の受験生にとって必要な入試情報は、事前に オープンキャンパスでの入試説明会、学校案内、ホームページ、入学試験要項、高校教員 説明会等で公表し、入学希望者の事情に適した選抜方法が選択できるよう配慮している。 とくに、AO入試は、目的意識や熱意・意欲を重視した人物重視型専願制入学試験である こと、高等学校時の成績だけでなく、課題作文や面談を通して評価することを明示してい る。さらに、オープンキャンパスで模擬実習や模擬授業を受講することを受験資格として 課し、入学希望者が適性や職業内容を理解できるよう、また将来の展望がより一層深めら れるよう努めている。推薦入学試験は、本学での勉学に強い意欲をもった優秀な学生を高 等学校の推薦により受け入れる選抜方法である。この趣旨を理解していただくために高等 学校・進学担当教員を対象に予め学科説明を実施し、本学の特徴やアドミッションポリ シーを理解した上で学生を推薦していただけるよう配慮している。推薦を受ける受験生の 条件として、公募推薦では両学科共通で評定平均値を3.0以上、指定校推薦では歯科衛生 学科は評定平均値3.0以上、看護学科に関しては高等学校別に評定平均値を設定して通知 し、本学が定めた学習成果のある学生の推薦をお願いしている。加えて、看護学科につい ては、高校3年間での欠席日数が20日以下である勤勉な就学態度も重視して受験条件とし ている。受験生には高校での課外活動や成績が重視されることが判断できるよう明示して いる。一般入試では、受験機会を広く設け、科目試験結果と面接結果から学力と人間性・ 適性の両面を評価して選抜を行っていることを明示している。 (b)課題 入学者選抜は公平性を保たなければならない。しかし、各種選抜区分で難易度に差が生 じているきらいがあるため、各入学者選抜の評価方法の客観性(公平性)を保つ基準等に ついて、検討する必要がある。 また、入学者受け入れ方針(アドミッションポリシー)に合致した入学者を選抜するた めの適正な試験(課題作文、面接、面談、科目試験)内容が出題されているか否かについ ての検討も必要である。 ─ 64 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [区分 基準Ⅱ−A−4 学習成果の査定(アセスメント)は明確である。 ] ▪ 基準Ⅱ−A−4の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の教育課程の学習成果に具体性がある。 (2)学科・専攻課程の教育課程の学習成果は達成可能である。 (3)学科・専攻課程の教育課程の学習成果は一定期間内で獲得可能である。 (4)学科・専攻課程の教育課程の学習成果に実際的な価値がある。 (5)学科・専攻課程の教育課程の学習成果は測定可能である。 (a)現状 学習成果の査定については、「神奈川歯科大学短期大学部試験規程 第1条~第12条」 において、定期試験実施に関して、試験日時の告知、受験資格、試験時間、学業成績区分、 追試験、再試験につき厳格かつ具体的に定め、学生便覧に明示している。 試験方法には筆記試験のほか、レポート、論文、実技などがある。試験は、前期末と後 期末の指定された期間に実施され、試験を受け合格しなければならない。前期末試験は主 に前期で終了する科目の試験で、後期末試験は通年科目および後期開講科目の試験である。 本試験の受験資格があった者で、試験当日にやむを得ない理由で受験できなかった場合に は追試験を実施する。本試験で不合格になった者には再試験を実施している。再試験に際 しては、当該担当教員より、合格に達しなかった学生の理解不足分を補い確実な学習能力 を身につけられるよう、正答を開示し、必要に応じて個別もしくは集団での補講を実施し ている。再試験でも不合格となった学生には、科目担当者およびチューター教員が面接を 実施して学業への一層の努力を喚起している。 各科目の具体的な評価方法はシラバスに記載し、ホームページに掲載している。学生に は年度初めに口頭でも説明している。単位認定の方法は科目により異なるが、講義科目の 大部分においては筆記試験を実施し、演習・実技を含む科目の大部分においてはレポート 提出を含め単位認定評価を行っている。 進級・留年の査定については、各学科試験成績規程に学年ごとに進級条件を明示してい る。 また卒業判定の査定条件については神奈川歯科大学短期大学部学則30条に規定があり、 学生便覧に掲載している。査定結果は、学年ごとに学生本人および保護者に通知され、学 生自身が結果を承認し納得できる指導をしている。医療系学科であり、卒業直後に資格取 得試験があるので、査定は厳正に実施している。 実際的な価値に関しては、医療専門職として必要な知識・技術を教育課程のなかで体系 的に修得することにより、卒業時には短期大学士および歯科衛生士国家試験受験資格、ま たは看護師国家試験受験資格を得ることができる。本学のカリキュラムで学習し必要単位 数を獲得した学生は、社会に出て医療職として活動できる十分な能力を得る。本学のカリ キュラムが、国家資格を持つ専門職であると同時に社会のニーズにも応えられる医療人の 育成につながることには、実際的な価値がある。 ─ 65 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [歯科衛生学科] 一定期間内での学習成果の獲得に関しては、本学科の教育課程は「歯科衛生士養成所指 定規則」に基づき、3年間で卒業認定に必要な97単位の修得に向けて編成されている。実 習評価は、 「実習に臨む態度」、「知識」 、 「技術」 、 「患者への対応」 「身だしなみ」について 5段階評価を行い、科目としての評価はこの実習評価に筆記試験、レポートを加えた総合 評価で行っている。また評価要素や割合等については実習科目ごとに異なるが、シラバス に記載し、さらに実習オリエンテーション、初回に必ず口頭でも学生へ説明を行っている。 [看護学科] 看護学科における臨地実習評価については、実習要項に、評価項目と配点および評価基 準を具体的に表記した評価表を提示し、実習期間内での学生の到達目標を明らかにするこ とにより学生自身の実習方向性を明確なものにしている。また評価にあたり、実習担当教 員が日々学習指導を行い、実習期間の中間で担当学生と個別の形成評価を実施し、学生の 振り返りと目標到達に向けた課題を確認し、学習を促進しながらかかわり、実習最終日に 個別の評価面接を実施したうえで、最終評価をしている。 一定期間内での学習成果の獲得に関しては、本学科の教育課程は「保健師助産師看護師 学校養成所指定規則」に基づき3年間で卒業認定に必要な98単位の修得に向けて編成され ているので、単位獲得が可能である。進級・留年に関しては、看護学科試験成績規程第1 条により、1年次から2年次への進級に限り単位認定不可科目が2科目以内(臨地実習を 除く)の場合、進級が可能である。また同規程第2条により、単位認定不可科目を有して 進級した場合は、不可科目を再履修することにより単位認定が可能である。以上の規程か ら3年間という学修期間内での卒業認定に必要な単位の獲得の促進に努めている。 (b)課題 [歯科衛生学科] 学生に対して学習成果の査定がわかるように評価基準を明確化し、具体的に評価法をシ ラバスのみならずホームページに公表する。 また、学生自身の学習意欲向上のために、到達目標や評価法についての精査も必要と考 える。 [看護学科] 看護学科の学習成果は、建学の精神および「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」 に基づきその査定内容と方法を厳格、公平に実施している。しかしながら再試験において も不合格となり単位未認定となる学生が若干名おり、また、必要単位はすべて認定された ものの看護師国家試験に1回で合格できない学生も若干名いる。それぞれの科目における 学習成果が単独のものでなく、看護師になるために必要な能力として確実に修得できるよ うにしていくことが課題である。 ─ 66 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [区分 基準Ⅱ−A−5 学生の卒業後評価への取り組みを行っている。 ] ▪ 基準Ⅱ−A−5の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)卒業生の進路先からの評価を聴取している。 (2)聴取した結果を学習成果の点検に活用している。 (a)現状 卒業生の進路先からの評価を聴取するために、卒業生の就職先に対して卒業の半年後に アンケート調査を行っている。アンケートの内容及び結果は以下のとおりである。 設問は両学科共通で、問1では、本学卒業生がその能力を身に付けているかを、5:強 く思う 4:思う 3:普通 2思わない 1:全く思わない の5段階評価で回答を求 めた。 内容を評価するために各項目の平均値を求めた。普通が3であり、3より値が大きけれ ば肯定的であり、3を下回れば否定的な見方となる。設問は「臨床で必要とされる内容」 なので評価が高いほど身に付けていることになる。また、 「思わない、全く思わない」と いう評価の割合を百分率で表示した。この数字が多いほど身に付けていない卒業生の割合 が多いことになる。 問2では、本学卒業生が身に付けてほしいと期待する項目で、同様に5段階評価で回答 を求めた。 なお、この設問も内容を評価するために各項目の平均値を求めた。普通が3であり、3 より値が大きければ身に付けてほしいことになり、3を下回れば身につけなくても良い、 つまり身に付いているという見方となる。設問は臨床で必要とされる内容なので就職先か らすると数字が高いほど卒業生にもっと身に付けてほしいと感じていることになる。 また、 「思う、強く思う」という評価の割合を百分率で表示した。この数字が多いほど卒業生に 身に付けてほしい割合が多い、つまり現状では就職先は卒業生に対して満足していないこ とになる。 歯科衛生学科 設問1 ①社会的マナー 平均 3.7 思わない、全く思わない% 17 ②倫理観 3.8 8 ③表現スキル(含む 文章) ④プレゼンテーションスキル ⑤専門科目の知識・技能 3.1 3.1 3.1 14 19 19 ⑥情報収集・整理・利用のスキル ⑦学んだことを活用できる能力 3.3 3.7 22 19 ⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲 3.9 ⑨チームワーク力 3.8 14 17 ⑩対人関係・コミュニケーション能力 11 4.0 ─ 67 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ⑪課題や問題を発見し分析解決する能力 ⑫社会活動への参加意欲 3.4 3.6 19 17 ⑬向上心・能力開発につながる学習方法 ⑭幅広い知識、教養 3.5 3.3 22 25 ⑮思いやり、礼儀、マナー 4.1 8 4.0点以上を良い、3.5 〜 3.9点を比較的良い、3.0 〜 3.4点を普通、2.9点以下を悪いとする。 「良い」が⑮思いやり、礼儀、マナー 4.1点、⑩対人関係・コミュニケーション能力4.0点の 2項目、 「比較的良い」が ①社会的マナー、②倫理観、⑦学んだことを活用できる能力、 ⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲、⑨チームワーク力、⑫社会活動への参加 意欲、⑬向上心・能力開発につながる学習方法の7項目、「普通」が ③表現スキル(含む 文章) 、④プレゼンテーションスキル、⑤専門科目の知識・技能、⑥情報収集・整理・ 利用のスキル、⑪課題や問題を発見し分析解決する能力、⑭幅広い知識、教養の6項目で あった。 この結果、患者に対峙する、就職先で職場の方々と概ね対応することはできていること が伺え、ある程度の倫理観や社会的なマナーも身に付け、学校で学んだ知識をもとに向上 を目指していることが想像される。しかし、診療現場で必要とする専門科目の知識・技能 の評価はそれほど高くなく、学ぶ意欲はある程度評価されているが情報収集整理利用スキ ルが不十分と見なされ、課題や問題に対し十分な対応ができていない、そのための幅広い 知識も不足しているという評価と考えられる。更に、設問1で「思わない、全く思わない」 のパーセントでは、⑥情報収集・整理・利用のスキル、⑬向上心・能力開発につながる学 習方法、⑭幅広い知識、教養が20%以上の回答だった。実に4〜5診療施設のうち1つの 診療施設でこれらが欠如しているという判断である。そして、⑤専門科目の知識・技能、 ⑪課題や問題を発見し分析解決する能力、④プレゼンテーションスキルも19%でほぼこれ に匹敵し高い値であった。 ①社会的マナー、⑨チームワーク力 、⑫社会活動への参加意 欲が17%、③表現スキル(含む 文章)、⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲、 ⑩対人関係・コミュニケーション能力が10%以上、10%を下回ったのは ②倫理観、⑮思 いやり、礼儀、マナーの2項目であった。 平均点では普通以上の評価であったが、新人としてはこのレベルでやむを得ないが臨床 ではまだ不十分である。中には評価が低いなど卒業生に問題がある場合、就職先の要求が 通常より高い等があるが、いずれにせよ「思わない、全く思わない」の割合を減らす努力 が必要である。 下記は問2の結果である。 身に付けてほしいと期待する項目 ①専門的な知識・技能 平均値 強く思う、思う% 3.9 67 ②幅広い知識、教養 ③コミュニケーション能力 4.4 4.6 89 100 ④責任感 ⑤自己管理能力 4.4 4.6 92 92 ─ 68 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ⑥マナーや言葉遣い ⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力 4.7 4.3 97 92 ⑧論理的思考力 ⑨汎用能力(情報検索、コンピューターのスキル) 4.3 4.0 92 86 ⑩その他(具体的に) ①〜⑩の設問に対し身に付けてほしいとする期待度を「強く思う」5点、 「思う」4点、 「ふつう」3点、 「思わない」2点、 「全く思わない」1点で点数化した。また、「強く思 う、思う」 、の割合を百分率で表示した。身に付けてほしいという項目で最も高かったの は ⑥マナーや言葉遣いで4.7点、③コミュニケーション能力、⑤自己管理能力が4.6点でそ れに次ぎ、②幅広い知識、教養4.4点、④責任感、⑦課題や問題を発見し分析・解決する能 力、⑧論理的思考力、⑨汎用能力(情報検索、コンピューターのスキル)の順でここまで が4点以上であった。3点台は ①専門的な知識・技能の1項目のみで3.8点と4点に近い。 4.0点が「思う」であるので4点を超えると「強く思う」という評価である。 「思う、強く 思う」の割合を見ても ③コミュニケーション能力は100%で全ての診療所が身に付けてほ しいと望むという結果であった。更に ⑥マナーや言葉遣い、④責任感 、⑤自己管理能力、 ⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力 、⑧論理的思考力 が90%以上であった。つい で ②幅広い知識、教養 、⑨汎用能力(情報検索、コンピューターのスキル)も80%台後 半、最もパーセントが低い項目は ①専門的な知識・技能でそれでも67%で約7割であった。 7割が専門的な知識・技能の向上を望んでいるが、現場ではそれ以上に ③コミュニケー ション能力においては全ての診療所が身に付けてほしいと望むという結果であった。更に ⑥マナーや言葉遣い 、④責任感 、⑤自己管理能力 、⑦課題や問題を発見し分析・解決す る能力など、卒業生個人の人間性に関する項目を重視していることが伺える。技術や知識 は診療所内でも研鑽向上できるが、人間性に関する性格や責任感などは教育が難しく、医 療施設で働く人たち全体に影響しかねない問題であるため非常に重要視している結果と考 えられる。 以上データを分析した結果をまとめる。問1、問2の項目は、歯科衛生士として患者に 対峙し医療に従事するためには必須の項目である。問1の「本学卒業生が身に付けている と思うか」の設問には平均値では殆どが3点台、一部4点台と普通〜やや好意的な評価で あった。しかし、「思わない、全く思わない」の割合は1〜2割で、これらの診療所が強 い否定的な評価をした。これは、全員ではないものの、一部の卒業生に問題があると考え られ、良好な卒業生もいるが一部には受け入れがたい卒業生がいることを認識する必要が ある。問2は、身に付けてほしいと期待する項目で、問1とほぼ同じ内容であるが殆どが 4点以上で身に付けてほしいというのが就職先の意見である。さらに、 「思う、強く思う」 の割合も殆どが90%以上でありコミュニケーション能力に至っては100%である。最も低 いものでも ①専門的な知識・技能で約70%であった。問1から、新卒として受け入れら れて働いているが、1 〜2割の卒業生の評価は低い。現場では働くうえで必要な能力は十 分と評価されず殆ど全ての面で向上を求めている。特に向上が求められているのがコミュ ニケーション能力で全ての診療所があげている。次いでマナーや言葉遣い、責任感、自己 ─ 69 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 管理能力、課題や問題を発見し分析・解決する能力、論理的思考力で9割以上、最小は7 割であるが専門的な知識・技能であった。歯科衛生士としての知識技術も必要としている が、就職先ではコミュニケーションやマナー等社会人として医療人として最も基本的な能 力を強く求めていることが伺える。 問2では、問1と内容が殆ど一致し、問1では普通よりはやや肯定的に身に付けている と評価しているにもかかわらず問2で「身に付けてほしいか」を問うと、 全ての項目で「強 く望む」という結果が得られた。このことから、仕事は学修した範囲で対応しているが、 就職先が求める能力と比較すると不足である。歯科診療所は、自医院の診療レベル向上に 日々努力しており、そのためにはスタッフ全員が診療レベル向上という共通認識を持ち日 常臨床での検討会、自己研鑽、講習会参加などが必要となる。そのためには ③コミュニケー ション能力、⑥マナーや言葉遣い 、④責任感 、⑤自己管理能力 、⑦課題や問題を発見し 分析・解決する能力 、⑧論理的思考力 が必須である。従って、教育の中にも臨床症例検 討会等のプログラムが望ましい。しかし、卒業時点で時代の最先端医療について今まで研 鑽を積んできたスタッフと同等の対応は困難であり、基礎学力と自己研鑽能力の向上が必 要と考える。 看護学科 問1 本学教育の成果 ①社会的マナー ②倫理観 ③表現スキル(含む 文章) ④プレゼンテーションスキル ⑤専門科目の知識・技能 ⑥情報収集・整理・利用のスキル ⑦学んだことを活用できる能力 ⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲 平均点 3.4 3.3 3.0 2.9 3.0 3.0 3.3 3.5 思わない、全く思わない% 18 12 22 27 18 22 16 14 ⑨チームワーク力 ⑩対人関係・コミュニケーション能力 ⑪課題や問題を発見し分析解決する能力 3.6 3.2 2.9 6 22 18 ⑫社会活動への参加意欲 ⑬向上心・能力開発につながる学習方法 3.0 3.2 20 20 ⑭幅広い知識、教養 ⑮思いやり、礼儀、マナー 2.9 3.5 22 14 本学卒業生が身に付けているかを5段階評価して頂いた結果である。 平均点は概ね3点前後である。ポイントの高いものでは ⑨チームワーク力3.6点、⑧知 ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲3.5点、①社会的マナー 3.4点であるが「思う」 が4.0点以上なのでほぼ普通という評価であった。逆に ④プレゼンテーションスキル2.9点、 ⑪課題や問題を発見し分析解決する能力2.9点は3.0点を僅かとはいえ下回るため、改善す る必要がある。 「思わない、全く思わない」の割合は、④プレゼンテーションスキルが最 ─ 70 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 も高く27%であった。看護では一人の患者に医師、看護師、その他職種が複数関与するた め互いの意思疎通を図り専門的な立場から症例検討をする必要があるので、プレゼンテー ション能力は欠かせない。学生時代から臨床実習で実際の症例検討会への参加、座学で模 擬患者の症例検討の機会を増やす等の対応が必要である。次いで ③表現スキル(含む 文章)、⑥情報収集・整理・利用のスキル、⑩対人関係・コミュニケーション能力、⑭幅広 い知識、教養が22%、⑫社会活動への参加意欲、⑬向上心・能力開発につながる学習方法 が20%であった。さらに、①社会的マナー、⑤専門科目の知識・技能、⑪課題や問題を発 見し分析解決する能力がほぼ僅差であった。これらの項目は、臨床で医学の進歩に対する 日々の学修、患者の情報収集と整理、文章化、患者との接し方、基本となる教養、社会性 等が含まれ臨床では重要な項目である。それが5件に一件で身に付いているとは思わない との評価である。チームワーク力は6%なので現場の一員として働いているようではある が、その他の項目も10%以上であるため、現場で必要な知識、向上心、患者との接し方、 コミュニケーション能力、マナーは向上しなければならない。 問2 身に付けてほしいと期待する項目 ①専門的な知識・技能 ②幅広い知識、教養 ③コミュニケーション能力 ④責任感 ⑤自己管理能力 ⑥マナーや言葉遣い ⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力 ⑧論理的思考力 ⑨汎用能力(情報検索、コンピューターのスキル) 平均値 3.6 3.6 4.1 4.3 4.2 4.1 3.7 3.8 3.2 強く思う、思う% 63 60 83 88 84 76 73 65 37 「身に付けてほしい」と期待する項目の結果である。最も高いのが ④責任感で4.3点であ る。 ⑤自己管理能力が4.2点、③コミュニケーション能力と ⑥マナーや言葉遣いが4.1点で あった。4点が「思う」であるのでこれらの結果は「強く思う」の範疇に入る。任された 仕事に対して責任が持てず他人の手が必要となり、仕事を抱えると自己の範疇を超えてし まい、解決や相談がうまくいかず、助けを得るのに手順が悪いことが伺える。3点台でも ⑧論理的思考力、⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力、①専門的な知識・技能、② 幅広い知識、教養は3.5点以上で、 「身に付けてほしい」と思う項目になる。最も低いのが ⑨汎用能力で3.2点であった。従って、 殆どの項目で更なる向上を求められている。更に 「強 く思う、思う」の割合は責任感が88%で最も高く、ほぼ9割が向上を求めている。これは かなり高い値で、臨床の場では常に責任ある行動が求められ、それに十分応えていない状 況が想像できる。臨床現場ではミスが許されないので責任感が問われるが、現場に出てす ぐに順応するのは現場での教育も必要かと思われる。その他、⑤自己管理能力、③コミュ ニケーション能力も8割以上が「強く思う、思う」と答えており、①専門的な知識・技能 63%、⑧論理的思考力65%を大きく上回っている。現場では専門的な知識技能よりも医療 人としての基本的素養を求め、卒業生には特にその分野で更なる向上を求めていることが ─ 71 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 わかる。 問1と問2では質問内容は一部表現の違いはあるが内容はほぼ一致している。問1で教 育の成果としては3点台前半が多くを占め、 本学卒業生が身に付けているかは「ほぼ普通」 であったことから、教育に対して普通の評価であると考える。しかし、 「思わない、全く 思わない」の評価は1〜3割、プレゼンテーションスキルを筆頭に低い評価であるので、 学校教育に一定の評価をしつつも現場においては力不足であると感じている。そして「身 に付けてほしい」項目は技術や技能も概ね4点以上であることから、就職先ではさらなる 向上を求めている。技術的向上を6割があげているが、それよりも医療人として基本的な 項目の欠如を8割以上があげている。このことから現場が求めているのは技術や知識だけ ではなく医療人として十分な素養を身に付けた卒業生で、教育には一定の評価を示すもの の現状では評価しない就職先も1〜3割存在し、更なる向上を比較的強く求めていて、多 い項目では9割に及ぶ。これはかなりの高率であるが、人としての素養は家庭環境、今ま での学校教育等も影響するため、大学内の教育のみで十分まかなえるとは考えにくい。選 抜制度なども含め検討が必要と思われる。 (b)課題 基本的な知識は必ず修得する必要はあるが、患者の状況は個人個人で全く異なり、臨床 では基本的な知識をもとにそれらを応用し、各患者に合わせて変えていかなければならな い。そのためには臨床経験を積む事が重要になるが、在学中の限られた時間でいかに効率 よく様々な症例を経験するかが課題である。 また、マナー、社会性、コミュニケーション能力、課題を発見し解決する能力、勉学に 対する姿勢等の学修に対する評価が低い。コミュニケーション学や海外研修など人を知り 人と交わる科目の充実、病院実習や施設での実習では技術や知識とともに患者との対応方 法、医療人との対応方法、動き方等の改善が必要である。 現状で、学生への連絡は掲示板に掲示するが、個人的な内容は呼び出して対面で伝える。 最近は、伝達手段に電子メールが使用されることが多いが、文字だけを見て相手の細かい ニュアンスを理解することは直接の会話より難しく、対面コミュニケーションの機会が減 れば患者の発信する表情などの感情表現を理解する能力に欠ける恐れがある。チーム医療 における状況の逼迫感、危険度などを理解する力も低下する。現在、学生は電子メール等 の使用頻度が高く、対人関係が希薄になる要因と考えている。 ▪ テーマ 基準Ⅱ−A 教育課程の改善計画 入学者選抜については、公平性を保つため、各入学試験結果の標準化を行い、試験科目 による難易度に差を生じないようにする必要がある。試験の評価は数値化し、客観的判断 が行えるようにする。また、面接・面談では客観的評価できるよう評価基準の統一と共有 化を図り、 アドミッションポリシーに則した課題を作成するよう入試委員会にて検討する。 学習成果の査定については、各科目の、中間・前後期本試験・実技試験・レポート・製作 物・授業態度などを判断材料にしているが、卒業時の質の保証、国際化に対応するために GPAの導入を検討する。 学習成果の獲得について、合格・不合格の人数に偏りのある科目については学科ごとに ─ 72 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 到達目標を査定するにふさわしい試験問題であるか、あるいは国家試験出題基準に沿って いるか、など評価方法について検討していく。 平成26年度まで、シラバスに国家試験出題基準の項目を番号で記載していた。各授業、 到達目標が国家試験とどのようにつながっているのかを学生が理解できるよう記載してい た。しかし、番号だけの表示では学生の理解が困難であり、さらに毎時間の出題基準内容 をそれぞれの科目で目にしても、それを統合することは困難であった。そこで、平成27年 度のシラバスは、出題基準項目の記載を中止し、代わりに、各科目におけるディプロマポ リシーおよびカリキュラムポリシーとのつながりを含んだ学修内容、学生の視点に立った 具体的な到達目標、授業1回ごとの予習内容、復習内容、国家試験出題基準につながるキー ワードとともに明記することとした。これにより、学生自身が授業に向けた事前準備内容 や到達位置を把握して主体的・能動的に授業に参加することを促進できると考える。今後 は、さらに各回ごとの事前学習を具体的に示し、能動的学習を促すのにも役立つシラバス へと進化させる必要がある。 また、授業そのものの環境を学生が主体的・能動的に学ぶ場として整え、授業を実践し ていく教授方法としてルーブリックおよびポートフォリオを取り入れていくことを計画し ている。段階的に取り入れるための実施計画を立案しており、学内のFD委員会とも連携 をはかりながら、教員自身の理解と運営能力を高め、学生への適用を進めていくつもりで ある。 学生の卒業後評価について、アンケート結果により、マナー、社会性、コミュニケーショ ン能力、課題を発見し解決する能力、勉学に対する姿勢等の学修に対する評価が低いこと が分かった。技術や知識とともに患者との対応方法、医療人との対応方法、動き方等の指 導を強化するべく検討する。また、卒業後のアンケート結果を各教員に説明し、 「課題や 問題を発見し分析解決する能力」をつけるための積極参加型授業を行う。 [当該関係資料] (提出資料) №1 Campus Guide 2014(学生便覧) №3 公式HP №4 授業概要(シラバス) 平成26年度 №7 平成27年度 入学試験要項 (備付資料) №8 就職先アンケート調査 ─ 73 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅱ−B 学生支援] [区分 基準Ⅱ−B−1 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて教育資源を有効に活用 している。] ▪ 基準Ⅱ−B−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)教員は、学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて責任を果たしている。 ①教員は、学位授与の方針に対応した成績評価基準により学習成果を評価して いる。 ②教員は、学習成果の状況を適切に把握している。 ③教員は、学生による授業評価を定期的に受けている。 ④教員は、学生による授業評価の結果を認識している。 ⑤教員は、学生による授業評価の結果を授業改善のために活用している。 ⑥教員は、授業内容について授業担当者間での意思の疎通、協力・調整を図っ ている。 ⑦教員は、FD活動を通して授業・教育方法の改善を行っている。 ⑧教員は、学科・専攻課程の教育目的・目標の達成状況を把握・評価している。 ⑨教員は、学生に対して履修及び卒業に至る指導ができる。 (2)事務職員は、学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて責任を果たしている。 ①事務職員は、所属部署の職務を通じて学習成果を認識している。 ②事務職員は、所属部署の職務を通じて学習成果に貢献している。 ③事務職員は、所属部署の職務を通じて学科・専攻課程の教育目的・目標の達 成状況を把握している。 ④事務職員は、SD活動を通じて学生支援の職務を充実させている。 ⑤事務職員は、所属部署の職務を通じて学生に対して履修及び卒業に至る支援 ができる。 (3)教職員は、学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて施設設備及び技術的資源 を有効に活用している。 ①図書館・学習資源センター等の専門事務職員は、学生の学習向上のために支 援を行っている。 ②教職員は、学生の図書館・学習資源センター等の利便性を向上させている。 ③教職員は、学内のコンピュータを授業や学校運営に活用している。 ④教職員は、学生による学内LAN及びコンピュータの利用を促進している。 ⑤教職員は、教育課程及び学生支援を充実させるために、コンピュータ利用技 術の向上を図っている。 (a)現状 教員は学位授与の方針に対応した成績評価基準により学習成果を評価している。また、 学生による授業評価を定期的に実施している。通年科目は前期と後期それぞれ実施してい る。教員は授業評価を受けた内容を真摯に受け止め、授業の改善に努めている。その評価 ─ 74 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 およびフィードバック内容は図書館に置き、 いつでも学生に閲覧できるよう公開している。 評価は学生からだけでなく、教員相互で授業を参観し評価を受けることにしている。授業 を参観した教員は対象教員に評価報告し、次の授業改善に生かしている。 授業・教育方法の改善のためのFD活動は年に数回開催され、各回ともに教員のほぼ全 員が参加している。授業・教育方法の改善に向けて平成26年度に開催されたFDは、「主体 的学習を促す授業設計とルーブリック part 2」というテーマで、前年度に引き続き行わ れた。具体的な内容としては、「学習者中心のカリキュラム・プランニング~シラバスに おける学修目標、方略、評価の一貫性~」 、 「知識・技能・態度を総合的にアセスメントす るラーニング・ポートフォリオ」、「歯学部の教育改革について」 、 「歯学部のカリキュラム 作成について」であった。取り組んでいる教育改革の今後の方向を見定め、それへ向けて の具体的方法などの研修であった。 手続きを中心とする事務業務のみを学生との関わりと認識するのではなく、事務職員も 広く学生支援に取り組むという意識のもとに職務を遂行している。そのため、学生の個々 の学習状況、学習成果を概ね把握している。また、学生が事務部に来た際には、履修、試 験などの指導が学生ごとに個別かつ適切に実施されている。その点では、学習成果の獲得 へ向けた事務職員の貢献度は高い。 SD活動については上記のFD活動の記載のとおり、平成26年度はFDに参加を義務付け るようにした。学習支援については教員との教職協働という概念を歯学部を含め確立した。 今後は、教職協働を主眼としてSD活動を行い、事務職員の学修支援の向上に努める。 教室に関しては、同じキャンパス内にある神奈川歯科大学と相互利用を図り、施設の効 率利用を進めている。特に、国家試験当日を想定し、学生が慣れていない歯学部の階段教 室をあえて模擬試験で使用し、本番さながらの緊張感を持って模擬試験に臨ませる工夫も している。椅子と机が稼働式でスクリーンが6台あり、グループ学習に最適な多目的学習 室も授業で多用している。 図書館には司書が配置され、情報検索の支援等、学習支援を行っている。また、教員に よる図書選定委員会が組織され、学生向け図書の選定を行っている。 学内には、学生が自由にコンピュータを使用できるオープンルームがあり、担当教員が 学生支援に当たっている。 (b)課題 授業評価アンケートについては、「現状」で記載した内容で一応は実施し、形式的には 教員の振り返り、授業・教育方法の改善への取り組みとして改善に向かう体制は整えてい る。しかし、現実的には次のような問題が挙げられる。第1に、授業終了時にアンケート を行うため、実施時期が集中し学生は短期間にたくさんの同様アンケートに答える必要が あり、その手間と繰り返しの煩雑さから真剣さに欠ける回答となる場合が少なくない。第 2に、無記名ということもあり、自由記載アンケートにおいて教員への無責任な誹謗中傷 が書かれる場合があり、教員の自信喪失やモチベーションの低下につながる場合もある。 第3に、 アンケート結果を授業に反映するまでに時間がかかりすぎる問題もある。第4に、 最も重要な点であるが、学生からの評価内容を真摯に受け止めて、授業を改善する取り組 みが不十分な教員もいる。これらの問題点を改善するためにも、授業評価アンケートに関 ─ 75 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 する検討を行う必要がある。 事務職員のSDは、事務業務に関する内容、および教育に関し事務職員が関わるべき内 容という2つが考えられる。本学は、従来は前者に関するSDは行われてきた。しかし、 研修のテーマを中長期で考えた上で一連のプログラムされた内容が行われていたわけでは ない。そこで今後は、事務職員の教育業務、学生支援、学習支援といった幅広い業務内容 に関するSDを積極的かつ系統的に実施する必要がある。 また国家試験に向けて、図書館の開放時間延長および休日開放を行っているが、特に国 家試験前は遅くまで開放を希望する声もある。開放時間延長時、休日の開放時にどれだけ の学生が利用しているのか検討し、有効な利用環境を作ることが課題である。また、 グルー プディスカッションのできる施設、アクティブに学習できる施設は歯学部と共有している が、施設数は不足している。現在の教室を有効利用できるよう環境を整えることが課題で ある。 [区分 基準Ⅱ−B−2 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて学習支援を組織的に行っ ている。] ▪ 基準Ⅱ−B−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学習の動機付けに焦点を合わせた 学習の方法や科目の選択のためのガイダンス等を行っている。 (2)学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学生便覧等、学習支援のための印 刷物(ウェブサイトを含む)を発行している。 (3)学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、基礎学力が不足する学生に対し補 習授業等を行っている。 (4)学 科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学習上の悩みなどの相談にのり、 適切な指導助言を行う体制を整備している。 (5)学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、通信による教育を行う学科の場合 には、添削等による指導の学習支援の体制を整備している。 (6)学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、進度の早い学生や優秀学生に対す る学習上の配慮や学習支援を行っている。 (7)学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、留学生の受け入れ及び留学生の派 遣(長期・短期)を行っている。 (a)現状 学習成果の獲得に向けて、学生便覧やシラバスを作成し、学生に分かりやすくしている。 また、オリエンテーション時に履修科目のガイダンスを行い、学生自身がシラバスを熟読 し科目選択するよう指導している。選択した科目については、チューターが確認してアド バイスを行っている。学習の動機づけとして初回授業時に、 シラバスに沿って科目の概要、 到達目標、評価方法、単位認定、予習・復習を含む学習方法、オフィスアワーなどを詳細 に説明している。 ─ 76 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 基礎学力が不足する学生については、学科会議において当該学生の情報を報告事項とし て共有し、教員間で意思の疎通を図りながら早めの対応を行っている。とりわけ、科目担 当者とチューターが連携を密にして対応している。 学力・技術力が到達しない学生への学習支援は、学生からの質問に答える形での対応と 教員側からの積極的アプローチとがある。前者についてはオフィスアワーを設定し、学生 が自由に教員のもとを訪れ、学習することを可能にしている。オフィスアワーに来られな い学生については、メールでの質問にも応じている。このオフィスアワーは、 各教員のメー ルアドレスとともにシラバスに記載されており、確実に教員に質問できるよう学生の利便 性を図っている。 国家試験対策は、模擬試験の実施とその結果に対するフォローをし、ゼミ形式で個々に 指導している。また、基礎学力不足の学生対応として、グループ学習を導入し、教員は各 グループを総監し、具体的な指導を行っている。基礎学力が大いに不足し、その後の学習 に影響していると考えられる数学については、入学直後から補講を開始し対応を行ってい る。さらに、学生の希望により土・日曜日に補講、模擬試験を実施することで学習支援を 行っている。 国家試験にともなう不安感などの精神的ケアに関しては、常にチューターや国家試験対 策委員が相談に応じる体制を整えている。 学習上の悩みなどの相談は、 科目担当者やチュー ターが中心となって指導助言を行うのを基本としている。しかし、該当教員を苦手とする 学生もいるため厳しく限定はしていない。ただし、相談内容によって科目担当者、チュー ター、学科長に報告し、情報の共有を図って解決する体制を整備している。 学力が不足している学生、実習における技術が未熟な学生の対応に追われ、進度の早い 学生や優秀学生に対する学習上の配慮がなされていないのが現状である。 (b)課題 学力・技術が不足する学生に対する補習授業や補講実習等は放課後に行われることが多 く、一人の学生が受けられる量には限りがある。そこで、入学後の早い時期から計画的な 補講プログラムを策定し、各学生に必要な補習の実施を検討しなければならない。また、 各教員が担当する学習内容に必要な基礎学力のプリント等を準備し、各学科でのプログラ ムと同時に教員が個別に基礎学力の充実に取り組むという2段構えの対応の実施を目指す 必要がある。また、進度の早い学生や優秀学生がやる気を失わないように、アドバンス的 な内容の学習上の配慮を企画する必要がある。マンパワーも必要であるが、まず手始めと して、当該学生が何を求めているのかを聞き取り、次年度へ備える必要がある。 看護学科において、実習先施設より学生の基礎技術の不足が指摘され、基礎技術指導強 化を行った。このため、基礎領域の教員の負担が増加していることが課題である。また、 複数教員で演習指導を行う際、教員間で指導内容に差が出ないような工夫が必要である。 留学生については、ベトナムから看護学校を卒業したばかりの看護師の受け入れ予定が ある。これは、科目等履修生として、看護職に就く前の1年間を日本の看護教育で学修し、 さらに病院で実習を行うもので、平成27年10月から受け入れる予定で、その準備が必要で ある。 ─ 77 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [区分 基準Ⅱ−B−3 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて学生の生活支援を組織 的に行っている。] ▪ 基準Ⅱ−B−3の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学生の生活支援のための教職員の組織(学生指導、 厚生補導等)を整備している。 (2)クラブ活動、学園行事、学友会など、学生が主体的に参画する活動が行われる よう支援体制が整備されている。 (3)学生食堂、売店の設置等、学生のキャンパス・アメニティに配慮している。 (4)宿舎が必要な学生に支援(学生寮、宿舎のあっせん等)を行っている。 (5)通学のための便宜(通学バスの運行、駐輪場・駐車場の設置等)を図っている。 (6)奨学金等、学生への経済的支援のための制度を設けている。 (7)学生の健康管理、メンタルヘルスケアやカウンセリングの体制を整えている。 (8)学生生活に関して学生の意見や要望の聴取に努めている。 (9)留学生の学習(日本語教育等)及び生活を支援する体制を整えている。 (10)社会人学生の学習を支援する体制を整えている。 (11)障がい者の受け入れのための施設を整備するなど、障がい者への支援体制を整 えている。 (12)長期履修生を受け入れる体制を整えている。 (13)学生の社会的活動(地域活動、地域貢献、ボランティア活動等)に対して積極 的に評価している。 (a)現状 本学の学生生活支援の柱として教員によるチューター制度がある。この制度は、中学や 高校の担任制よりさらにきめ細かく学生に対応するため、学生10 〜 15名に1名ずつの教 員を配置している。対応する内容は、学業に関するもの(履修科目、学修方法、試験対策 等) 、経済的不安に関するもの(学納金、奨学金、アルバイト等) 、さらに健康面の相談等 幅広い。相談にあたっては、まず学生自らの自主的な解決を促すようアドバイスを行い、 次の段階として積極的関与が必要と判断した際には、大学のあらゆる資源を利用して問題 の解消にあたっている。具体的には、専門的観点からの回答を必要とすると判断した場合 には、チューターが後述する国試対策委員、健康管理室、オレンジルーム、ハラスメント 相談員、法律相談担当教員、奨学金担当職員等につなぎ、学生が納得、安心できるよう専 門的立場からのアドバイスを行なっている。教員だけではなく教学部の学生担当の職員も 学生の相談に応じ、さらに保護者を交え四身一体となり、1人の学生に生じた問題の解決 に向け取り組んでいる。 チューターは、学生からの相談に乗りやすいよう携帯メールを相互にもち、いつでも連 絡が可能な状態で対応しており、長期休暇中であっても対応可能となっている。相談を受 けるだけではなく、チューターから学生間のトラブルなどの報告があれば、双方から事情 を聴取し、学生の指導が必要と判断した場合には、学生担当教員や教学部職員が一体とな り、学生への積極的指導を行うこともある。大学の無対応や無作為が学生にもたらす影響 ─ 78 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 を常に意識し、対応するよう心がけている。 本学は、平成22年にヒューマンコミュニケーション学科を募集停止して以来、医療系2 学科の短期大学となった。その影響で、本学独自の部活数は減少傾向にあり、2年前まで ポップス部、吹奏楽団、ジャズダンス部、看護研究会、弓道部が活動していたが、現在で はポップス部、弓道部の2つの部活動となっている。しかし、同じキャンパス内にある歯 学部の部活が40団体ある。具体的には、バスケット部、バトミントン部などの運動系の部 活26団体、軽音楽部や写真部など文科系および研究に関する部活が11団体、さらに準公認 の3団体あり、そこに参加する短期大学部の学生が増えつつある。中には、短期大学部の 学生がキャプテンを務めたり、中心的選手なっている部活動も見られる。 学生の自治組織としては学生会がある。医療系2学科となった本学においては、講義、 実習、模擬試験、国家試験の勉強と時間的な余裕がないために学生会の不活発な状況が続 いていた。そのため、学内に「学生会サポートプロジェクト」と称する教員組織を立ち上 げ、学生会をバックアップする体制を整えていた。それが功を奏し、徐々に学生の意識も 高まり、学生会活動に積極的に取り組む学生が増え、イベントの企画運営を自主的に行う までに成長し、一昨年には「学生会サポートプロジェクト」を解散するに至った。その際 には、学生会スタッフが20名を超えていた。具体的活動としては、 新入生の歓迎会(4月) 、 稲岡祭(10月)、クリスマス会(12月) 、卒業パーティー(3月)を開催し、参加者も多く 学年を超えた交流であった。しかし、昨年度から今年度にかけて学修のために学生会をや める学生が続出し、その一方で新たに参加する学生がおらず、 昨年度末には僅か数名となっ ている。そのため、再度「学生会サポートプロジェクト」を設置するまえに、もう一度、 学生への啓蒙を始めているという現状である。 学内に学生会館(パレット)があり、1階には「グルメジャンクション」 、2階には「わ さび」という学生食堂を外部業者が営業している。本キャンパス内の学生・教職員総数は 約1,500名であり、学食座席数は、1、2階の合計が500席となっている。外部業者が営業 しているが、その運営に関しては、法人の常設委員会である学内環境委員会が学食の環境 やメニューに対する学生の声を反映できるシステムを取っている。 1階の学食スペースは、 平日は22時まで、土日、祝祭日も17時まで開放されており、単に食事をするだけではなく、 学生が飲食しながら勉強できるスペースとして活用されている。また、学生会が主催する 新入生歓迎会やクリスマス会、保護者会のイベントなども学食を借りきって行われる。学 生会館2階には文房具店が入店しており、 教員と情報交換しながら学修に必要な教材類を、 随時入荷販売するという学内の店舗ならではの連携が取れている。また、価格面でも文具 等が一般より廉価で学生に販売されている。 成人式の晴れ着などのサービスも行っており、 季節に応じた学生へのサポートにもつながっている。学生会館2階には、クリーニング店 も入っており、学生の白衣クリーニングを行い、清潔な身なりでの実習を支えている。4 号館1階にはコボという学生が自由に利用できるスペースがあり、自動販売機で飲み物、 アイスクリーム等の販売および外部業者による昼食用弁当の販売が行なわれている。 また、 キャンパス内各所に飲み物の自動販売機が設置されている。これは、本学法人が設立した KDC株式会社が管理運営しており、学外の一般自動販売機よりも安価に飲み物が提供さ れている。さらに1号館1階には、学生が用いる医療器具とともに書籍を扱う店舗がある。 そこでは、国家試験対策の問題集や参考書をはじめとする書籍が一般書店よりも廉価で販 ─ 79 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 売され、学生が利用している。 女子学生の多い本学においては、トイレに関する学生の要望が強く、洋式トイレ、ウォ シュレット付トイレを増設し、女性用全トイレに擬音装置(音姫)を設置することで、快 適な環境整備を行っている。また、本学は医療系の大学ということもあり、キャンパス内 には喫煙場所は1箇所のみとし、非喫煙者が快適に過ごせるよう配慮するとともに、短期 大学部は年齢に関係なく学生の喫煙を認めていない。 地方から本学へ入学する学生がおり、女子の一人暮らしに不安を覚える保護者も少なく ない。そのため本学では、学内にマリーンハウスという名称のワンルームタイプの女子専 用賃貸マンションを設置している。鉄筋コンクリート4階建(うち3、4階部がマリーン ハウス) 、全24室で各部屋約24㎡、フローリング、玄関オートロック、ユニットバス、トイレ、 クローゼット、シューズボックス、エアコン・無線LAN・IHキッチンを備えた部屋とい う構成となっている。入居に際して敷金、礼金はなく、入居費用は80,000円であるが、電 気代や水道費を光熱費として一律1,800円を徴収するだけであり、生活にかかる費用とし ては、結果的に近辺の賃貸物件より安価となっている。さらに、マリーンハウスは、男性 入室禁止、入居者以外の宿泊禁止、ペット類の持ち込み禁止、退去時の原状回復という規 則のもとに運営されている。 その他、教学部では宿舎を必要とする学生に対して、本学からの距離、間取り、家賃等 の諸条件が学生にとって比較的優良な物件をファイルし、必要とする情報の提供を行なっ ている。ただし、学生の要望も多岐にわたり、その全てを満足させるような住居の提供を 斡旋することは困難であり、不要なトラブルを避けるために不動産業者と学生の間に入っ ての斡旋は行っていない。 本学は、横浜駅から快速特急で25分の京浜急行横須賀中央駅から徒歩10分、京浜急行汐 入駅より徒歩13分、JR横須賀線で横浜から約40分の横須賀駅から徒歩18分(バス約5分) という立地であるため、スクールバスの運行など通学用交通手段の提供を大学が行うこと はしていない。また、通学時の安全確保の観点から車、バイク通学は認めていない。駐輪 場は、自転車通学者全員が駐輪できるスペースを正門付近に確保している。 また、バスを利用する学生も最寄り停留所から徒歩3分程度となっている。最も多くの 学生が利用する横須賀中央駅からの通学路は、その大半が人通りの多いアーケード商店街 を通るため、夜間の通学時も比較的安全となっている。 日本学生支援機構の奨学金取得状況は以下のとおりである。近年の社会経済状況を反映 し、両学科ともに奨学金の取得者が最近増加している。看護学科においては、卒業後神奈 川県内で看護師等として就業する意思のある学生に対し修学資金を貸し付ける「神奈川県 看護師等就学資金」制度があり、平成24年度は6名、平成25年度は18名、平成26年度は16 名が貸与を受けている。この他、看護師確保のために関東各地の医療機関が独自に奨学金 を貸与する制度が数多く行なわれている。これは、 月額3万円〜8万円を貸与するもので、 貸与を受けた年限と同じ期間、卒業後看護師として就業した場合には、返済が免除される もので、本学では学生への情報提供を行なっている。1年時から支援を受ける場合には支 度金も支払われる優遇制度も実施されている。また、平成23年3月11日に発生した東日本 大震災で被災した学生を対象とする「三菱商事緊急支援奨学金」を平成24年度は1名、平 成25年度は3名、平成26年度は1名の学生が取得している。本学が独自に実施している奨 ─ 80 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 学金制度はないが、入学試験において特待生入試を実施し、応募した受験生の中で特に成 績の優秀な学生には授業料全額免除、 優秀な学生には授業料半額免除としている。これは、 学生募集の観点から行われているとともに、経済的支援としての意義もある。 日本学生支援機構奨学金取得状況 (平成27年3月31日現在) 学 科 歯科衛生学科 看護学科 種 別 平成24年度 平成25年度 平成26年度 一種 7名 17名 28名 二種 26名 80名 72名 一種 7名 27名 28名 二種 20名 71名 52名 本学は、学生ならびに教職員の心身の健康保持増進をはかり、憂いなく学業や職務に専 念できるよう支援するための専門部署として保健師が常駐する健康管理室を設置してい る。健康管理室の中核は、健康教育と健康相談であり、学内での急病や外傷時における応 急手当及び対処方法の指導、休養室の利用ほか、必要に応じて医療機関を紹介し、緊急時 には救急車の要請も行なう。定例の活動として、毎年春に定期健康診断を実施し、結果を 各自に通知するとともに、健康診断結果に関する説明、保健指導を実施している。また、 病院実習等に必要なB型肝炎予防接種については、神奈川県結核予防会を介して実施し、 抗体ができない学生には再度、予防接種を行っている。健康管理室の平成26年度の利用状 況は、法人全体の利用者数988名、そのうち短期大学部の学生451名(歯科衛生学科272名、 看護学科179名)となっている。また利用内容の内訳は、法人全体の数値であるが、外科 的問題128名(13%)、内科的問題22名(23%) 、婦人科的問題29名(3%) 、健康相談56名 (6%)、 証明書関連310名(31%)等となっている。また、 救急車の要請1名に対応しており、 文字通り学生健康管理の中心的役割を担っている。 また本学は、友人や家族にも打ち明けにくい悩みや相談等を担当する学生相談室(名称: オレンジルーム)を設置している。このオレンジルームは、健康管理室内に設置されてお り、利用する学生が入室時に他人の目を気にすることなく利用できるよう配慮している。 オレンジルームには、臨床心理士(常勤男性・非常勤女性各1名)が常駐しており、講義 を担当している時間を除き相談に応じている。オレンジルームを利用する短期大学部生の 状況は、平成24年度が48名、平成25年度が32名、平成26年度が29名となっている(法人全 体の利用状況は、歯学部学生を中心に、教職員や保護者の相談も含め平成24年度が464名、 平成25年度が350名、平成26年度が351名となっている) 。相談内容の内訳は、 平成24年度は、 学習進路12件、家族関係14件、友人関係4件、異性関係7件、身体健康9件、その他2件、 平成25年度は、学習進路8件、家族関係6件、友人関係6件、異性関係6件、身体健康4 件、その他2件、平成26年度は、学習進路6件、家族関係5件、友人関係8件、異性関係 6件、身体健康2件、その他7件、となっている。また近年、学生の中に発達障害の悩み を抱えた学生が散見されるほか、精神的な病気を抱える学生もおり、頻回にオレンジルー ムに通う学生もいる状況である。 ─ 81 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 本学は18歳から22歳の年齢の学生を中心に約550名が在籍しており、学生生活に関する 意見や要望は多岐にわたる。それを吸い上げ学校運営、学校整備に反映することが大切で ある。そこで、チューターが学生と面談する際に学生の意見等を聞くように心がけてい る。また、具体的に学生に意見を聞きたい場合には、チューターから積極的に学生へ意見 を求めるよう心がけている。しかし、教員であるチューターに直接には言い難い事柄や要 望があることも否めない。そこで、「目安箱」という名称の投書箱を平成23年5月より4 号館1階のコボ(オープンな談話室)内に紙と筆記用具とともに設置した。無責任な誹謗 中傷の投書を防ぎつつ、学生の声に真摯に向き合えるよう記名式とし、記名で投書された ものについては必ず対応し、その結果を学生に通知することとした。学生の立場からする と、教員への要望について記名では投書しづらいという点も理解できることから、無記名 であっても重要な点の指摘と判断した場合には、記名投書と同様の対応に心がけている。 投書数は、平成23年度29件、平成24年度40件、平成25年度28件、平成26年度22件となって いる。投書内容は多岐にわたっており、大きく分けると、講義、実習に関わる学修に関す る投書と学食、Wi-Fiなどの設備や環境に関する投書に分けられる。学修に関しては、教 員の配布資料の質と量に対する意見、板書が読みづらい、出席管理が適切に行われていな いとの指摘、講義時間の変更の通知時期と方法に関する意見、講義内容がシラバスと一致 していないとの意見等が寄せられた。このような投書に対しては、記名の場合にはまず直 接学生から聴取し、問題点を確認し、その後、必要に応じて教員に投書内容を伝え、改善 を図るよう依頼を行う場合もある。学内の設備環境については、図書館の蔵書内容、学食 のメニューや自動販売機に関する要望、加湿器・空気清浄機の設置、学内のWi-Fi化など が寄せられた。これらについては担当部署に伝えるとともに、解決するために必要な時間 や費用に応じ順次対応することとしている。 現在、本学に留学生として在学する学生はいない。しかし、同じキャンパス内にある歯 学部には毎年度、韓国、台湾、アメリカから約20名の留学生が入学しており、外国語の分 かる教員、職員を採用し、住居の契約、銀行口座の開設、日本の生活習慣のレクチャーな どの学生支援を行なっている。また、1年次には日本語教育に特に力を入れている。平成 26年度には、国際交流室を立ち上げ、外国人留学生の支援体制の強化を図った。本学へ外 国人留学生が入学した場合には、これらの人的資源、組織や経験を生かした留学生支援が 速やかに実行できる状況にある。そのような状況の中、ベトナムの首都ハノイにありベト ナムを代表するバックマイ病院が運営するバックマイ病院附属看護学校との交流協定の締 結及び学生受け入れの打診が平成26年度にあった。そこで、まず交流協定を締結し、次の ステップとして平成27年度秋に数名の学生受け入れに向け、関係機関と連携し、現在調整 を続けている。 社会人に対しては、歯科衛生学科、看護学科ともに社会人特別入試をⅠ期、Ⅱ期と2回 実施している。入学の選考方法も、高校等を卒業してすぐに入学を希望する受験生と区別 化し、課題作文と面接により就学意欲が高く目的意識が明確である学生を選抜できるよう 工夫している。その結果として、クラス内でリーダー的存在となり、他の学生を牽引する 役割を果たし、また、他の学生も社会人学生を信頼するなど相互に良い影響を及ぼしてお り、その点をチューターを通して本人に伝えることで、更なる励みとなっている。また、 平成23年度及び平成26年度では歯科衛生学科において、 平成25年度では看護学科において、 ─ 82 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 特に成績が優秀な社会人学生が複数おり、卒業式においてそれぞれ総代を務める結果とな り、まさに他の学生の模範となっている。社会人学生の中には他大学を中退ないし卒業し た学生も多く、本学カリキュラムの中で前校ですでに履修した科目を有する学位取得者も いることから、それらの学生の学修負担軽減のために既修得単位認定を行っている。 本学は現在、歯科衛生学科と看護学科の医療系2学科であり、臨床実習があるため重度 の身体障害を持つ学生はいない。そのうえで、障がいを持つ学生に対し、エレベーターや スロープの設置などバリアフリー化を進め、教室、図書館、教学部等には車椅子で行ける ようにしている。また、障がい者用トイレも設置しているが、現在は車椅子を用いる学生 はいない。聴覚障害のある学生に対しては、聴覚を必要とする実習内容を繰り返し個別指 導し、課題を解決している。学習面においては、チューターがきめ細かく対応し、障がい のある学生の要望を聞き、教学部とも連携して当たっている。なお、病院実習においては 患者の承諾が必要であり、高齢者や新生児を対象とする実習においては、医療安全の観点 から困難を伴うことがある。 多様な学修の需要や機会の拡大に対応するためには、卒業年限を柔軟に考える長期履修 生の受け入れは大切である。本学の現状としては、履修にあたり病院実習や診療所実習を 行う必要があり、その日程調整が困難であるため、長期履修学生の受け入れは行なってい ない。また、適切な順序に基づいた学修により効果が高まると考えられ、 他方複数カリキュ ラムの運用においては困難な点もあるという理由からも受け入れてはいない。 歯科衛生学科、看護学科ともに、個人レベルでは介護施設でのボランティアに積極的に 参加している。歯科衛生学科では、2年次に「社会福祉論・ボランティア論」という講義 が開講されており、ボランティアの実践について座学として学ぶ。それを踏まえて、学生 各人が自分の能力に応じたボランティアへの取り組みを目指す流れを作っている。東日本 大震災をはじめ全国各地で発生する災害地に赴いてのボランティア活動や募金活動の報告 は受けている。しかし、大学として正確な数字や活動内容の調査は行っていない。同じキャ ンパス内の歯学部が実施する国際医療ボランティア研究会に参加している学生もおり、活 動は活発に行なわれている。しかし、それを積極的に評価するシステムはない。 (b)課題 チューターは、各自が担当する学生の情報を把握し、面談等を通して細かい指導を行 い、学生支援の方法としては適切に運用されている。そのなかで、チューターが把握しき れていない大切な要素がある。それは、学生の出席状況を一元的に管理するシステムがな いため、続けて欠席する学生の把握が遅れてしまうということである。現在は、各科目の 担当教員が出欠状況をチューターに知らせるが、チューターに集まるまでにタイムラグが 生じ、例えば1週間続けて欠席した学生を把握できるのが翌週末以降になることもあり得 る。多欠席者については月に一度の学科会を通して把握される場合もあるが、漏れが生じ る場合も見られる。これは、チューター制度というよりも出欠管理システムの問題である が、チューター制度により解決が可能かもしれない。また、40名を超えるチューターの教 員がいると、チューターとして学生に取り組む姿勢に教員間の温度差が見られるのも否め ない。教員の個性に関わらず学生に対応するチューターが望ましい。また、チューターに 積極的に相談等働きかけてくる学生の場合には問題ないが、学生自ら動くことをしない受 ─ 83 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 け身の学生の場合、相談が無いことで安心していると、実は問題を抱えながらも相談等の 動きを見せない場合がある。このような時は対応が後手に回り、手遅れとなることも考え られる。さらに、現在、各学科がチューターに学生を振り分けているが、人対人である以 上、相性が合わないケースも考えられる。それが原因で双方の意思疎通に支障が出てはな らない。その点を配慮して担当を決める、あるいは途中で担当の変更を認める必要性を考 えなければならない。 クラブ活動に参加する学生数が全体的に減少傾向にある。これは、最近の学生は個を大 切にするため、大学が終わるとアルバイトや小さな友人関係の中だけでコミュニケーショ ンをとることにも起因している。それはまた、臨床実習、国家試験のある医療系2学科を 擁する本学独自の課題かもしれない。クラブ活動に参加したい学生が活動できる環境(時 間、頻度、場所等)を整え、学修に悪影響を及ぼさずに活動できる体制作りも求められて いる。もう一つの学生の主体的活動である学生会活動は、一時復活の兆しが見えたが、ま た元に戻りつつある。学生会活動に参加する学生も減少しており、学生会活動を行うこと が、貧乏くじを引いたように捉えられてはならない。そのためには、学生会活動の意義、 この活動が社会に出てどのように生かされていくのかを学生自身に考えてもらう機会を作 る必要がある。本学の最大のイベントは、11月に開催される学園祭の稲岡祭である。この 稲岡際は、短期大学部だけではなく歯学部の学生会と共催するもので、平成26年度は第50 回記念の学園祭であったため、教職員も積極的に関わり実施されたが、その分、学生の自 主的関与が弱くなるという弊害も見られた。学生会とは別に、稲岡際だけを担当する実行 委員という形式をとるのもよいかもしれない。 学内に外部業者が営業する学生食堂が2箇所あるが、そのメニューや価格に関する学生 からの要望は少なくない。食堂内に写真付きで掲げられているメニューは種類も豊富であ るが、実際に提供されるメニューはその半分程度の種類しかない。また、開店して1年程 度でまず価格が上がり、その後も大幅な値上げが行われたため、学外との比較において決 して安価であるとは言い難く、既述のメニューの問題と考え合わせると、学内にある食堂 という意義しか認められない。学生、教職員総数が数千人単位の総合大学とは異なる単科 大学で収益を上げる食堂自体が難しいのかもしれない。しかし、 学生にとって毎日利用し、 楽しみの一つである学生食堂として相応しい場所となるよう、業者とさらに検討を重ねて いる。状況によっては、業者の入れ替えも視野に入れる必要性がある。あるいは、大学生 協の立ち上げも選択肢の一つかもしれない。学内には文房具店、クリーニング店、書店が 存在するが、学生からはコンビニの設置を求める声も大きい。平成29年度完成を目指した 附属病院の建設が始まり、そこにコンビニエンスストアが入る可能性もあり、その状況を 見て、学生へのアナウンスを行いたい。 学内にあるワンルームマンションタイプのマリーンハウスは、受験生のご父兄の関心も 高く、オープンキャンパスの際に公開し、受験前に内容を確認できるようにした。現在は、 食事の提供が一切行なわれていない。朝食を取ることの重要性が言われており、さらに学 食の隣という立地にあることから、健康管理、教育効果の観点からも朝食の提供を考え、 業者と交渉しているが、利用者数が不確定であり採算面で折り合いがつかない状況にある。 宿舎や部屋の斡旋を積極的には行っていないが、自宅からの通学者が9割を超える本学に おいては、必要な資料を準備し、学生に情報提供を行っている。 ─ 84 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 現在、スクールバスの運行はしておらず、車、バイク通学も認めておらず、公共交通機 関および自転車通学のみを認めている。しかし、大学の立地環境からすると適切な対応で あると考えている。 最近の社会経済状況は先が見えずらい状況にある。 経済的な柱である保護者が長期入院、 失業等になった場合には、直ちに学生にその影響が及ぶことは避けられない。その際、日 本学生支援機構の緊急採用、応急採用の紹介しかできていない。医療系の短期大学では、 学生のアルバイトにも時間的な制約があり、経済的に充分な補填とはなり得ない。特待生 入試により授業料の全額免除あるいは半額免除を受けた学生は、優秀な成績を維持するこ とで2年次、3年次まで同様の免除を受けることができる。しかし一方で、入学試験の成 績でその後の減免が決定する仕組みであるため、入学後に優秀な成績を収めた学生への特 典が何もない状況にある。そこで、現在、 入学後1年次あるいは2年次の成績が優秀であっ た学生に対し翌年度の授業料の減免について検討中である。学費減免の特待生制度とは別 に、大学独自の奨学金制度の創設も考えるべき時期に来ている。それは、貸与型ではなく 返還不要な給付型が望ましい。2学科のうち看護学科の学生に対しては、卒業後の就職を 条件とする各病院の奨学金制度が比較的充実しており、希望する学生の多くが給付を受け ている。一方、歯科衛生学科の学生に対しては、同様な制度がなく、学生支援機構の奨学 金に頼る状況にある。両学科の学生に対し、選考基準や給付内容を工夫した本学独自の奨 学金制度の創設を検討するように、経営を担う理事会にも働きかける必要がある。 健康管理については、健康管理センターと附属病院が連携して学生の対応を行っている ため大きな問題は認められない。既述のオレンジルームを訪れた学生には2通りがある。 多くは、臨床心理士への一回ないし数回の相談で精神的負担が減少し、勉学等に専念でき るようになる。一方で、臨床心理士へ相談しただけでは解決が困難な精神的な病を抱えて いる学生もいる。そのような学生に対しては、学生相談室から医療機関へスムーズに移行 できるようなルートを作っておくことが大切である。そして、本人と保護者に医療機関受 診の必要性をどのように伝えていくのかが、重要でかつ困難な問題である。その対策とし てはやはり、学内の精神科医が診ることを考えていきたい。まずは、週に数回、非常勤の 精神科医を雇用し、その医師が学生に患者として対応できるようにする。 学生の投書箱である「目安箱」や、チューターとの面談により、学生の意見や要望は比 較的直接に聴取することができているといえる。 留学生が入学する際には、国際交流室を中心に、今まで蓄積したノウハウを生かした対 応をしなければならない。ただ、短期大学への入学は初めてであり、問題となりそうな点 を抽出し、具体的に事前準備をしておく必要がある。 社会人学生は、目的意識も高く、時間を無駄にしないとの思いもあるため、学習時間が 確保されれば学習のハンディを感じさせない成績を収めている。その点からすると、アル バイトの時間を減らせる経済的サポートが結果的に学習サポートとなるとも言える。そこ で、平成26年度には、本学看護学科が教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)の実施講座 となるための手続きの申請を行った。これは、平成27年10月1日からの指定となるための ものである。成績優秀な社会人学生が毎年多い現状に鑑みると、 入試選抜方法、 学修サポー トに関する本学の取り組みが順調に進んでいると考えられる。現状に満足することなく、 更なる学習支援も学生の声を取り入れながら進めていきたい。 ─ 85 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 障がい者への支援体制に関連し、設備面のバリアフリー化策等の対応は進んでいるとい えるが、他の支援に必要なマンパワー等の観点からは充分とはいえない。本学は歯科衛生 学科と看護学科を擁する短期大学であり、卒業までに臨床実習(臨地実習、病院実習)が 必修であり、卒業要件となっている。身体に相当程度の障がいのある学生がこの臨床実習 を行うにあたっては、かなりのマンパワーを必要とする。それは、病気を抱える患者を対 象とする実習であり、ミスの許されない状況で実習を行うからである。そのようなマンパ ワーを現在の本学で十分に確保することは困難である。また、実習に際しては、対象とな る患者の同意を必要とする。その同意を得ることも容易ではない。以上の諸条件がすべて クリアされてはじめて臨床実習が可能となる。これは決して容易なことではなく、また、 患者の生命・身体に影響をもたらすこともある。そこで本学では、障がいのある受験生が 本学を受験しようとする場合は、上記の実習の内容等の説明、および実習が困難な場合の 大学の対応、進級・卒業への影響を説明し、納得した上で受験してもらえるよう、願書提 出前に相談することを学生募集要項に明記してある。これは、決して障がいのある学生を 排除するものではなく、入学後に起こりうる状況を事前にきちんと説明し、納得の上で入 学することで、入学後に戸惑うことなく学修を継続するために必要なことである。また、 本学を卒業した後の社会の受け入れ態勢、医療機関への就職状況等も学生とともに調べ、 社会的バリアフリーを本学がサポートしていく必要がある。 入学し正式に卒業認定を受ける長期履修学生の受け入れは、 直ちには困難である。ただ、 まずは、実習科目を除く座学の講義を選択的に履修し、その単位認定を行なうかたちでの 履修は可能である。その制度設計や学費の問題等を今後検討して結論を得る必要がある。 学生のボランティア活動や社会貢献活動は、無償で自主的に社会活動や社会奉仕活動に 参加することを意味し、したがって評価が必ず得られるものではない。しかし、人間は評 価されることを力や糧にして活動の継続をはかるものでもある。この観点からすると、学 生のボランティア活動や社会貢献活動を積極的に評価する体制を構築する必要がある。本 学内部では評価基準の定まっていないボランティア活動を学修評価に加えることは困難で あるが、学園祭等の学内イベントにおいて表彰し、それを評価に当てることは可能である。 そのためには、まず学生がどのようなボランティア活動をどの程度実施しているのか、と いう実態を把握する必要がある。これをまず行うことから始めたい。 ] [区分 基準Ⅱ−B−4 進路支援を行っている。 ▪ 基準Ⅱ−B−4の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)就職支援のための教職員の組織を整備し、活動している。 (2)就職支援室等を整備し、学生の就職支援を行っている。 (3)就職のための資格取得、就職試験対策等の支援を行っている。 (4)学科・専攻ごとに卒業時の就職状況を分析・検討し、その結果を学生の就職支 援に活用している。 (5)進学、留学に対する支援を行っている。 ─ 86 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (a)現状 就職支援のための組織として、歯科衛生学科教員3名、看護学科教員3名、事務職員兼 任1名で構成するキャリアサポート委員会を設置している。活動は、就職関連資料の収集 と学生への情報提供、就職セミナーの実施、就職先の把握、卒業生と就職先のアンケート 製作、発送、回収、分析及び本学附属病院、横浜研修センター、その他企業、自治体、病 院、企業などからの求人対応、キャリアサポート室の管理などである。その他、学内の委 員会として組織されているため、年間3回以上委員会を開催している。 前述のキャリアサポート室は4号館一階ラウンジに接する一室に設置し、求人に関する 資料を自由に閲覧できるように常時開放している。 キャリアサポート室の広さは約40㎡で、 閲覧席27名分、その他就職関連視聴覚資料閲覧コーナーがある。歯科衛生士、看護師とも に約2000名の求人を頂いている。 卒業生の状況として、卒業生が自分の就職先の様子を一定の様式でまとめたレポートを 閲覧できるように同じ場所に設置している。 就職先選びに際し生の声を聞くことができる。 その他、就職活動に関する一般書籍約70冊、関東の地図10冊、面接対策、募集案内など のAV資料約100件、看護系就職パンフレット50件、歯科衛生士就職パンフレット約10件 を置いている。 就職試験対策として、歯科衛生学科では、3年次4月、第一回就職ガイダンスとしてメ イクアップ講座90分、6〜7月に第二回就職ガイダンス、就職活動の進め方 見学・面接 の申し込み方、履歴書の書き方、内定時の意思伝達、Uターン就職、夏期休暇中の活動に ついて、8〜9月に進路個別相談と就職登録、編入希望者対応、10月に第3回就職ガイダ ンス、開業医就職活動に関する指導、11 〜2月に進路個別相談、進路希望に応じたアド バイス、就職進学決定の意思確認を行っている。 看護学科では、2年次7月に、第一回就職ガイダンス、就職活動の基本、病院説明会、 インターンシップ、12 〜2月に第二回就職ガイダンス、活動の進め方、履歴書記入セミ ナー、面接対策講座、3年次4月に第3回就職ガイダンス、メイクアップ講座、5〜2月 に進路個別指導、進路志望に応じたアドバイスを行っている。 卒業時点で就職先・内定先調査を行っており、その結果、国家試験合格者全員が就職を したことがわかった。その後の動向について卒業生を対象とする追跡調査アンケートを 2014年12月に実施した。その結果、歯科衛生学科は27名から回答があり、23名が卒業後最 初に就職した医療機関にそのまま勤務しているが、4名は別の診療所に移動していた。看 護学科では、43名から回答があり、38名はそのまま勤務し、3名は2回病院を移動し、2 名は看護師以外の仕事に就いていた。 (b)課題 就職支援の充実という観点からは、世間の動向分析、離職率、待遇その他就職に関する データベース構築、求人先新規開拓、卒業生訪問調査、就職先からのクレーム対応、その 他相談など幅広い活動が必要であるが、専属職員がいないため十分ではない。 しかし、幸いなことに現在は医療職に対する求人が非常に多く、実際に学生、保護者か らの不平などは寄せられていない。この状況がいつまで続くか定かではないため、今後、 求人先の確保、本学の認知度アップに努める必要がある。 ─ 87 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 資格取得については、卒業生全員の国家試験合格が目標となる。現状100%ではないの で合格率を上げることが課題である。 歯科衛生学科では、就職して半年で1割強が就職先を変えている。歯科衛生士はほとん どが開業医に就職している。無記名のアンケートなので診療所か病院かなどは不明だが、 歯科診療所では医院長である歯科医師の指示で仕事が動くために、診療所の個性が強く、 働くには歯科医師の影響を大きく受ける。事前に多くの情報を得る必要がある。したがっ て、求人票の記載項目に工夫をする、ホームページなどで事前に確認するよう指導するな どの対応が必要である。 看護学科は、実習先などへの就職も多く、内部事情もある程度事前に分かると思われる が、1割以上に就職先変更が見られた。しかし、配属される科により勤務が変わり希望先 に行けない、研修が長い、現場に出るまでに学ぶべきことが多い、思った以上にストレス が多いなど働く環境は厳しいと言われている。やはり、 労働条件の詳細な分析、 ホームペー ジなどでの事前確認を指導し、見学などで内部状態をよく把握することが必要である。学 生自体の仕事への認識も場合によっては新たにする必要がある。特に問題は、違う職に就 いた卒業生が2名もいることで、そこには職業への適性という根本的な課題がある。入学 試験の面接などでできるだけ適性を正確に判断する、本人のやる気を十分に確認する、実 習などで現場にとけ込めるよう自験を進めるなどのさらなる対応が必要である。 留学希望があった場合でも本人の語学力不足から、日本での国家資格取得、就職を優先 している。今後、卒業生の進学、留学希望者数増加の動向を見て、適切な対応のできる体 制を構築する必要がある。 ] [区分 基準Ⅱ−B−5 入学者受け入れの方針を受験生に対して明確に示している。 ▪ 基準Ⅱ−B−5の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学生募集要項は、入学者受け入れの方針を明確に示している。 (2)受験の問い合わせなどに対して適切に対応している。 (3)広報又は入試事務の体制を整備している。 (4)多様な選抜を公正かつ正確に実施している。 (5)入学手続者に対し入学までに授業や学生生活についての情報を提供している。 (6)入学者に対し学習、学生生活のためのオリエンテーション等を行っている。 (a)現状 入学試験要項は、歯科衛生学科および看護学科の「入学者受け入れの方針(アドミッショ ンポリシー)」を各々明示している。「建学の精神」の下「教育理念」 「教育目的」 「アドミッ ションポリシー」を入学志願者に理解できるよう学校案内や本学ホームページに掲載する ことで、早い時期から入学志願者に周知できるように努めている。また、受験に関する問 い合わせに対しては、適切に対応できるよう教学部が窓口となり事務職員6名があたって いる。とくに学生募集・入試担当として専属事務職員を1名配置し、入試広報・入試事務 の迅速な対応と効率化を図っている。加えて、専任教員11名と職員2名から構成される入 ─ 88 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 学試験委員会(委員長1名、委員12名)が中心となり、学生募集・入試広報の企画、入学 試験要項の点検と作成など全ての入試関連業務を担当している。入試委員会における議案 の決定事項はすべて教授会に諮り、その承認を得て業務遂行することになっている。本学 の学生募集および入学試験情報等に関する広報活動は、①オープンキャンパス、②高校教 員対象進学相談会、③業者主催進学相談会(会場開催と高校開催) 、 ④高校訪問、 ⑤本学ホー ムページ等によって行われている。以下に概要を示す。 ①オープンキャンパスの実施状況:入学志願者に大学キャンパス内の雰囲気を自分自身で 感じ取ってもらい、摸擬授業や体験実習を受講することで入学後の学業や大学生活をイ メージできるよう企画している。実施時期は5月から10月までの月1回を基本とし、7 月、8月は2回ずつ実施している。また、10月には学園祭会場に学部紹介ブースを開設 し、現役大学生とのふれあいを通して情報交換できる機会を設けている。3月には高校 2年生(新3年生)を対象に進路決定の一助となるよう特別プログラムを企画している。 開催日時の決定に際し、大学の都合ではなく、高校の行事日程とくに定期試験期間を避 け、多くの高校生が来校しやすい日程を設定している。オープンキャンパスの内容は、 学科紹介・入学試験説明(30分)、体験実習もしくは模擬授業(40分程度)とし、その他、 施設案内や個別進路相談、現役大学生との「歓談の場」を設けてキャンパス内の様子や 学生生活状況が気軽に聞けるよう配慮している。体験実習や模擬授業の内容は、実際の 授業内容に則して分かりやすく解説し、 毎回異なった内容を企画している。 オープンキャ ンパスは広報活動として最も発信力があるため、精力的に取り組んでいるが、平成25年 度の参加者総数869名(歯科衛生387名、看護482名)に対して平成26年度は848名(歯科 衛生375名、看護473名)とほぼ横ばいであった。看護学科創設時の平成19年度から平成 24年度(参加者総数1063名、歯科衛生377名、看護686名)までは毎年増加していたが、 平成25年度から減少に転じている。看護学科の平成25年度以降の参加者総数がピーク時 の約30%減であるという事実は、近隣に看護師養成所施設が増加したことと無関係では ないと考えている。 ②高校教員対象入試説明会:本学では次年度入学試験要項が確定する6月下旬に高校教員 を対象とした入試説明会を実施している。平成26年度は6月18日(水曜日)に実施した。 特に本学を希望する学生、あるいは進学を検討する学生に対して進路指導の一助となる よう、進学担当教員に情報提供する機会としている。学科説明、教育方針をわかりやす く説明し、歯科衛生士および看護師についての業務内容や資格取得状況、就職状況等の 情報を提供している。 ③進学相談会:高校からの依頼による進学相談会ならびに業者主催の校内進学相談会は、 受験生に本学の特徴を直接アピールできる絶好の機会であると捉えている。高大連携を 深めて大学をより理解してもらうため、専門職業に関する模擬講義を実施している。ま た、業者主催の会場型の進学相談会は、進路をほぼ決定している学生がとくに集まる機 会であるため、本学の教職員も積極的に出向き、受験生から寄せられる質問にわかりや すく丁寧に説明している。 ④高校訪問:高校訪問は、本学教員が予め決められた担当校を訪問することを基本に実施 している。高校との信頼関係構築を目的とし、本学に入学した学生の現況や卒業後の状 況について情報提供するとともに、高校からの要望を聞ける機会としている。 ─ 89 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ⑤ホームページ公開:インターネットの急速な普及から、現在、ホームページの閲覧、ア クセスが非常に多い。特に受験生にとってホームページ閲覧による情報の入手は、時間 的労力的に大変効率的な方法であり、今後も、広報ツールとしての重要性はさらに増す ものと考えている。本学では、入学志願者にとって有意義な入学試験情報、イベント、 現役大学生の学習風景や生活等の様子が閲覧できるよう、最新情報を素早くアップロー ドしている。特に、現役大学生のキャンパスブログを充実させることで、受験生が1年 後2年後の自分の姿をバーチャル体験できるよう工夫している。 入学者の選抜方法については、多様な選抜を用意し、公正かつ正確に広く人材を集める ために現在、「アドミッション・オフィス(AO)入試」 「推薦入試(指定校、公募) 」 「特 待生推薦」「社会人特別入試」「一般入試」の5つ試験区分によって入学者の選抜を実施し ている。以下に各試験区分について概説する。 ①AO入試:調査書と時間をかけた丁寧な面談を組み合わせることによって、入学志願者 の能力、適性、学習に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する人物重視型専願制入 学試験である。高等学校時の成績だけでなく、課題作文や面談を通して評価する。さら に、入学志願者が適性や職業内容を理解できるようオープンキャンパスで体験授業を受 けることを受験資格として課している。本人の入学志願の意志を行動実績で確認し、ま た、エントリー時には調査書の提出を求めることで、より正確な入学意志の確認と高校 での勉学状況の把握に努めている。さらに、面談時に課題作文を通して、問題把握能力、 解決能力、文章表現能力に関するより正確な基礎学力を把握している。募集定員は、歯 科衛生学科が30名、看護学科が10名である。 ②推薦入試:高校長からの推薦を最大限に尊重し、学力試験を免除し、調査書と面接を主 体として入学の合否判定をする選抜方法である。これには、 本学が定めた指定校推薦と、 指定校以外の高校からの公募推薦がある。また、選抜時期を1期と2期に分け、2回実 施している。推薦入学制度は、1回の選抜試験で入学の合否を判定するのではなく、3 年間の高校生活を通した成績が反映されるため、適性評価の信頼性が高いものと認識し ている。定員数は、歯科衛生学科70名、看護学科40名である。なお、看護学科では、公 募推薦での出願者に課題作文を課し、本人評価の精度向上に努めている。 ③社会人入試:多様化する受験生のニーズに応えるために設定した入試カテゴリーである。 社会人として生活・就労経験のあるものに対して課題作文と面接により選抜する入試区 分である。社会経験者が入学することで、クラス全体の学習意欲が向上することを期待 している。なお、受験資格は、歯科衛生学科20歳以上、看護学科は就労経験2年以上も しくは大学卒業を条件としている。 定員数は、 看護学科10名、 歯科衛生学科若干名である。 ④一般入試:学力試験と面接を組み合わせて入学志願者の能力、適性、学習に対する意欲、 目的意識等を総合的に判定する入試方法である。学力試験は、歯科衛生学科では「国語 総合」もしくは「英語Ⅰ」から1科目を選択、看護学科は「国語総合」もしくは「英語 Ⅰ」から1科目と「数学Ⅰ」が必須科目として設定されている。定員数は、歯科衛生学 科、看護学科ともに20名である。 ⑤特待生推薦入試:入学試験の成績により授業料を全額もしくは半額を免除するもので、 歯科衛生学科では「国語総合」と「英語Ⅰ」の2科目と面接を課している。看護学科は「国 ─ 90 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 語総合」「英語Ⅰ」「数学Ⅰ」の3科目と面接を課し、さらに両学科とも調査書を加えて 判定している。入学者が模範生となってクラスの雰囲気づくり、学習意欲の向上に貢献 してくれることを期待している。定員数は、 歯科衛生学科、 看護学科ともに若干名である。 早期に入学が決定した学生の対応については、入学までの間、自宅学習テキストで自学 自習をさせ、入学後の授業を円滑に受けられるよう基礎知識の復習・予習を中心に課題を 課している。入学手続者に対しては、3月に入学前(リメディアル)教育として講義を実 施している。実施回数は1回と限られているため、内容が過重にならないように留意し、 かつ医学教育を学ぶのに必要な最小限の内容となっている。平成26年度は、1. 「専門科 目で使う単位」2.「接遇法を学ぶ」というテーマで講義を行っている。また、入学時の 不安が解消できるよう入学後直ちに学習・学生生活オリエンテーションを実施している。 3日間のオリエンテーション期間中、学生と教員の親睦を兼ねた「1日研修」を行い、ま た、キャンパスライフにおける各種学内規則、履修科目、試験規程、単位制等についての カリキュラム説明を行い、授業へ円滑に入れるよう配慮している。さらに、1年次前期の 必修科目として両学科ともにスタートアップセミナーを設け、両学科長が科目担当者とな り各々の専門領域の学修の心得、基本事項について講義を行っている。 (b)課題 ①アドミッションポリシーに示している内容が抽象的であるため、入学志願者に具体的に どう対処してよいか理解しにくい。予め明示されていても、どのような基準と方法で評 価するのか不明である。 ②AO入試においては、入学試験の趣旨が理解されておらず、学力試験がないことや合格 発表の時期が早いなどの安易な理由で受験する志願者がいる。入学志願者の能力、 適性、 学習に対する意欲、目的意識等を短時間での面談、作文及び調査表から正確に客観的評 価することは難しい。 ③多様な入学試験区分を設定しているが、難易度に差が生じている可能性がある。 ④オープンキャンパスへの参加者が減少する傾向を示している。近隣の新規養成所が増加 し、学生の選択肢が広がることにより他校に流れた可能性が考えられる。 ⑤学校依頼または業者企画の進学相談・説明会が頻繁に開催され、進学情報誌やインター ネットの活用により情報が容易に収集できるため、高校側は大学側からの高校訪問を敬 遠する傾向がある。 ⑥入学前教育は、入学予定者が入学後の授業を円滑に行う上で必要な基礎力を確認・習得 するための予備教育である。本学では、早期に決定した入学予定者に基本的な課題を出 して自学自習をさせている。入学直前に1回実施する講義で課題を提出させ、それにつ いての解説を行っている。課題は単純な計算問題のみであるため、専門的カリキュラム に必要な基礎力を習得するためには不十分な内容である。 ▪ テーマ 基準Ⅱ−B 学生支援の改善計画 [区分 基準Ⅱ−B−1 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて教育資源を有効に活用 している。]の改善計画 ─ 91 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ①学生による授業評価を定期的に実施して授業の改善に努めているが、教学委員会で現行 のアンケート項目、アンケートの時期、実施方法などについて、その問題点を検討する。 ②図書館の夜遅くまでの開放を希望する声がある。開放時間延長時、休日の開放時にどれ だけの学生が利用しているか再度検討する。同時に安全性も視野に入れ検討する。 ③教育施設としてグループディスカッションできる施設、アクティブに学習できる施設数 が不足している。現在の教室を有効利用できるよう環境を整える。 [区分 基準Ⅱ−B−2 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて学習支援を組織的に行っ ている。]の改善計画 ①学力・技術が不足する学生の補習授業や実習等は、一人の学生が多くの科目の補習授業 を受けなければならない。教員間で情報を共有しながら補習時間を調整して支援を計画 的に行う。 ②優秀な学生への学習支援が十分になされていないので、さらに能力を伸ばし医療専門職 としてリーダーシップを発揮できるような指導体制を整える。 ③看護学科は留学生の受け入れが徐々に整ってきたが、歯科衛生学科も順次整えていく。 両学科の留学生の派遣については、国家試験に鑑み慎重に検討する。 [区分 基準Ⅱ−B−3 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて学生の生活支援を組織 的に行っている。]の改善計画 ①チューター間の学生対応に差が生じないよう、各チューターが一定の業務を確実に実施 する。 ②学生の出席状況を一元的に管理する。 ③チューター変更の必要性、その実施の可能性を探る。 ④学生会の主要メンバーないしは稲岡祭実行委員の確保を推進する。 ⑤本学独自の経済的支援を具体的に策定する。 ⑥精神的な病気を抱えている可能性のある学生に対し、学内の精神科医が患者として学生 に対応できるシステムの導入を検討する。 ⑦ベトナムからの留学生の受け入れが現実となる際の受け入れ態勢を速やかに整える。 ⑧長期履修学生の受け入れを検討する。 ⑨学生のボランティア活動が評価につながる方策を検討していく。 ]の改善計画 [区分 基準Ⅱ−B−4 進路支援を行っている。 ①アンケート回収率を上げるため、委員会で発送時期やアンケート内容を吟味し、回答者 がより答えやすいものに変更する。 ②歯科衛生学科の卒業生が早期離職する原因の一つに、就職先が院長の個性が強く出る個 人の歯科診療所の場合、在学中の病院実習とは環境が大きく異なり、なじめないという 問題がある。在学中に、実践の場で自験をする機会を増やし、内容的にも現場の動きに そった内容とし、現実をみる機会を増やす。 ③看護学科の卒業生が早期離職する原因は、人間関係、配属部署が希望にそぐわない、習 得すべき内容が多い、患者との対応などが予想と異なるなど様々である。できれば就職 ─ 92 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 先、卒業生双方からの意見を聞き、就職先としてのデータ収集や学生側の問題点を抽出 し教育に生かすなどの手法も必要である。 ④卒業生の早期離職を防止するため、卒業生と就職先のマッチングがある程度はかれるシ ステム作りが望ましい。そのためには、的確な専任者が必要だが、人員増員は現状困難 であり、まずは教員増員が優先されるべきと考えるため、教員の増員をすすめ、充足後 改めて就職に関する専任者の希望を出す。 ]の改 [区分 基準Ⅱ−B−5 入学者受け入れの方針を受験生に対して明確に示している。 善計画 ①アドミッションポリシーに則った面談・面接時の質問を作成し、学生の能力、適性、学 習に対する意欲、目的意識、基礎知識レベルを正確に測れるようにする。 ②入学試験区分相互の公平性を保つため、各入学試験結果の標準化を行い、試験科目によ る難易度に差が生じないようにする。 ③オープンキャンパスへの参加が本学を志願する要因となっていることが、アンケート結 果から判明しているため、多くの参加者を集められるよう広報活動を活発にし、さらに 興味を引く企画を多く打ち出して学生獲得に結びつける。 ④他校との差別化を図るため、国家試験合格率をさらに向上させるための国家試験対策を 講じる。 ⑤訪問を希望する高校には積極的に訪問し、高校側との信頼関係を深める。加えて高校教 員が学生の進路先に本学を選んでもらえるような教育内容の検討をする。 ⑥入学前教育を実施するにあたり、専門的カリキュラムに求められる基礎力を調査し、入 学までの短期間に入学予定者が基礎力の効果的な確認に高める。 [当該関係資料] (提出資料) №1 Campus Guide 2014(学生便覧) №2 神奈川歯科大学神奈川歯科大学短期大学部Guidebook2015 №3 公式HP №4 授業概要(シラバス) 平成26年度 №7 平成27年度 入学試験要項 (備付資料) №9 卒業生アンケート調査 №16 平成26年度授業評価アンケート №19 FD研修会報告書 ─ 93 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ 基準Ⅱ 教育課程と学生支援の行動計画 教育課程の実施にあたり、シラバスの表記内容が適切であるか見直す。看護学科では教 育理念の実現に向け教育の質を向上するために、教育課程の見直しを行う。さらに、学生 の主体的・能動的な学習の推進をはかるために、ルーブリック、ポートフォリオを取り入 れた学習を進めていく。 入学者受け入れ方針について、アドミッションポリシー(本学が求める人材像)に基づ く入学試験を実施する。明確化、具体化したアドミッションポリシーを元に、簡潔な「面 接・面談基準票」を作成し、面接担当者が評価基準の共有化を図って、質問事項に反映さ せる。また、複数の受験科目間の難易度を統一することは困難につき、場合によっては各 科目の平均点と標準偏差から偏差値を算定して標準化して判定する。 学習成果の査定について、GPA(Grade Point Average)の量的指標への変更を教育改 革プロジェクトおよび教学委員会共同で検討するにあたって、先にGPAへの理解を深め るべくFD研修を計画する。また、試験問題等、国家試験出題基準に沿っているか、到達 目標・評価方法について検討する。 卒業後評価については、卒業後のアンケート結果を教員に説明し、期待されている能力、 不足している能力を補う授業を検討していく。 施設設備では、図書館、図書室の開放時間を安全性も考慮し再度検討する。さらにグルー プディスカッションできる施設、アクティビティーに学習できる施設として現在の教室を 有効利用できるよう環境を整える。 学生生活支援について、根幹となるチューター業務については、担当学生に対して行わ なければならない事項を再度洗い出し、内容の検討およびその実施時期を定める。 各学生を担当するチューターは年度ごとにかわり面談内容や各学生の情報の教員間の引 き継ぎは、口頭で適宜行われている。しかし、即応性や正確さに欠ける面がある。そこで、 各学生の情報を記録に残し、引き継いでいく仕組みとする。将来的には、独自に教員共通 にweb上で共有できるようにしていきたい。 また、学生の出欠席の状況を一元的に把握できる状況にない。欠席が数日続いた段階で チューター等から学生へ確認をとり、出席を促す等の対応が取れない。学生支援の観点、 休退学の防止のためにも、出欠席の状況を一元的に把握できるシステムの早期の導入が考 えなければならない。 学生のメンタル支援のため、学内に精神科医がいるという体制を整えるために、精神科 医と非常勤の契約ができないか法人に働きかける。 ボランティア活動に関するアンケートの実施によって現状を把握し、両学科で評価基準 の検討を行う。 ◇ 基準Ⅱについての特記事項 (1)以上の基準以外に教育課程と学生支援について努力している事項。 学生支援に直接に関連するか定かではないが、学生とのコミュニケーションを図る手始 めとして、教員から学生への挨拶、声かけを積極的に行うよう心がけている。まず、入学 時に1年生全員にマナー講座を開講し、挨拶の重要性や、挨拶の仕方の研修を行っている。 その上で、日常的に教員から挨拶や声かけをすることで、返事、反応をしなければという ─ 94 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 心理が働くため、無視する学生はいない。これが習慣となると、意識せずに、また学生の 側から挨拶が向けられるようになる。医療者を目指す者には大切な指導であり、支援であ ると考えている。また、講義の開始、終了時に起立・礼を担当学生の掛け声で行うことと している。教わる者が教える者に礼を以て接し、教える者も礼を持って応えている。これ は、他大学にはない将来に向けての学生支援である。 (2)特別の事由や事情があり、以上の基準の求めることが実現(達成)できない事項。 障がい者の受け入れについては、身体的障がい等を理由に職業選択の機会が制限され、 また将来への夢を著しく損なうことがあってはならない。 その点に鑑みると、 医療系であっ ても入学に際して門戸を狭めることはすべきではない。障がいを持つ学生を健常な学生と 同様に受け入れるべきとの方針に何ら異を唱えるものではない。一方で、前述のとおり歯 科衛生学科、看護学科ともに卒業までに相当な時間の臨床実習が卒業要件となっている。 看護学科を例にとると、新生児に対する実習や高齢者に対する療養上の世話などの実習を しなければならない。医療安全の観点から、 1名の障がいを持つ学生が実習を行うに当たっ ては、少なくとも1名ないし2名の教員が専属で担当する必要がある。万が一にも新生児 の落下事故や高齢者の転倒事故を起こすことは許されない。そのような状況において、専 属教員を配置しての病院実習は困難を極める。これは、想像ではなく過去の経験に基づく ものである。新たに専属教員を雇用し、マンパワーが十分であれば積極的に受け入れたい というのは、冒頭に記載したとおりである。しかし、マンパワーが不足する現状において は、障がいのある学生を積極的に受け入れることは困難であると言わざるを得ない。 ─ 95 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 96 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式8−基準Ⅲ 【基準Ⅲ 教育資源と財的支援】 ▪ 基準Ⅲの自己点検・評価の概要 本学の人的資源については「短期大学設置基準」を順守し、本学のディプロマポリシー 及びカリキュラムポリシー達成に不可欠な教員組織の構築・向上に努めており、短期大学 設置基準第22条に定める教員の定数、職位、配置等を充足している。課題は、ひとりの教 員が担当する科目が多く、実技科目は教授方法など工夫が必要なため、負担が過剰になり つつある点である。また、教員の高齢化が認められ、両学科共に中心的役割を果たしてい る教員に数年後定年を迎える教員が相当数いるため、その対応を考えておかなければなら ない。 教員は、多忙な教育環境でありながら、各自工夫して研究成果をあげている。また、課 題は研究費、研究時間、国内外研究・研修制度が十分確保されているとは言えないので、 漸次改善する必要がある。専任教員の研究活動状況は、毎年、大学で業績集としてまとめ られ発行している。科研費や外部資金の調達は、コンスタントと言える状況にはないが、 一部の教員が獲得し、あるいは目指している。研究を行うための共同研究室は備えられて いるが、研究を行うための十分な時間の確保が困難な状況にある。 FD活動は、FD委員会が中心となり企画し、学内での講演会やワークショップを行い、 ほとんどの教員が積極的に参加している。教職員の就業は「就業規則」に基づいている。 課題は教員の研究時間・情報の共有化が必要である。 事務組織の責任体制は明確であり、その根拠となる業務内容、責任の所在に関する規定 等の整備も行われている。また、教職協働の必要性から関係部署が連携しRIへの取り組 みを行っている。その中で、教育に関するSDの頻度が低く、SDの充実を測る必要がある。 本学における物的資源は、校地及び校舎である。いずれも短期大学設置基準に照らし、 その要件を充分満たしている。学生が使用する校舎は、主に歯科衛生学科が使用する3号 館、看護学科が使用する4号館、5号館、歯学部と共用の体育館、大講堂とクラブ棟の6 号館である。それぞれの建物には各科で使用する講義室、実習室が用意されている。4号 館は、平成元年に3号館に増設する形で建設されていることから昭和56年以降の新耐震基 準に適合している。一方、3号館は、昭和53年に建設され耐震面ではやや不安な面もある。 5号館は、簡易耐震診断によるとX-Y両方向ともIs値が0.6以上あり、いくらか安心な面も ある。歯学部との共用部分である体育館は耐震性に優れており、災害時における横須賀市 の帰宅困難者の一時避難場所として指定されている。また、6号館(パレット)も平成2 年建設であるので、新耐震基準を満たしている。 技術的資源をはじめとするその他の教育資源は、学内コンピューターを整備し、学習環 境の充実を図っている。なかでも、オープンルームにはインターネットに接続可能なコン ピューターを30台設置し、プリンターも含め学生がいつでも自由に利用できるようになっ ている。また、ネットワークの管理および情報に対するセキュリティーについての委員会 設置し、ネットワークセンターに専門知識を有した人材を常駐させ、コンピューターシス テムのセキュリティー対策を行っている。また、東日本大震災時より、全学をあげて節電、 省エネルギー化に取り組んでいる。 歯科衛生学科で使用する実習室に設置されている歯科用ユニット、マニキンの老朽化が ─ 97 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 目立つため、今後の学習効果への影響が懸念されることから、新たな購入を検討しなけれ ばならい。看護学科では血圧測定トレーナー「あつ姫」を次年度は5体を備えることを基 礎領域から提案中である。使用するにあたっては学生が自主的に練習できるようにする。 「フィジコ」は学修効果が期待される教材であるため数年間で予算を捻出する。現在の教 室を改築しての多目的学習室の設置を提言していく。 財的資源に関しては、困難な時期を乗り越え、ようやくせいじょうにもどりつつある。 今後は、教育研究用の重要な設備投資として法人は新付属病院の建設を視野に入れ、長期 的な整備の計画を策定している。 今後は、学生充足率を高め、教職員の資質の向上を図り、国家試験の合格率を高めるこ とで、安定した入学生を確保し、財務状況の安定を図る必要がある。 ─ 98 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅲ−A 人的資源] [区分 基準Ⅲ−A−1 学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて教員組織 を整備している。] ▪ 基準Ⅲ−A−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)短期大学及び学科・専攻課程の教員組織が編成されている。 (2)短期大学及び学科・専攻課程の専任教員は短期大学設置基準に定める教員数を 充足している。 (3)専任教員の職位は真正な学位、教育実績、研究業績、制作物発表、その他の経歴等、 短期大学設置基準の規定を充足している。 (4)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて専任教員と非常勤教員(兼 任・兼担)を配置している。 (5)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて補助教員を配置している。 (6)教員の採用、昇任はその就業規則、選考規程等に基づいて行っている。 (a)現状 教員組織の編成は、設置目的に従い学則第41条で学長、短大部長、教授、准教授、講師、 助教等をおくほか、必要時に名誉教授・客員教授をおくことができるとしている。学長は 歯学部、短期大学部の学長を兼ねているため、補佐に学部長を選任し(神奈川歯科大学短 期大学部副学長選任規則)本学専任の教授をもって充てている。また学部長を補佐し学科 内の調整やとりまとめとして学科長をおき、本学専任の教授をもって充てている。 新任の教員の採用(非常勤講師を含む)及び昇任に当たっては「神奈川歯科大学短期大 学部教員人事規定(任用及び昇任)」により、教授会の下に人事委員会を設け、適正に執 行されている。 [歯科衛生学科] 平成26年5月現在の短期大学部専任教員の現状について示す。 短期大学設置基準第22条に定める必要教員数及び本学専任教員数を表Ⅲ−A−1−①に示 す。 Ⅲ−A−1−① 設置上定める必要教員数と本学専任教員数 本学専任教員数 学科名 入学 定員 別表表第一イに定める 教員数(内教授数) 教授 准教授 講師 助教 合計 歯科衛生 学科 120 12(4) 5 3 3 2 13 主要担当科目を記述した専任教員一覧を表Ⅲ−A−1−②に示す。 ─ 99 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 表Ⅲ−A−1−② 歯科衛生学科専任教員一覧 平成26年5月現在 氏 名 相原まり子 職位(免許) 教授(獣医師) 鈴木 幸江 教授(歯科衛生士) 長谷 徹 教授(歯科医師) 西村 康 藤野富久江 伊ヶ﨑理佳 井出 桃 山田 直樹 石田 直子 歯科臨床概論(含医学概論) 、 成人歯科学Ⅰ(歯周) 、 成人歯科学Ⅱ(修復・歯肉) 、臨床基礎統合ゼミ、 歯科診療補助論Ⅲ(歯科材料)、臨床実習Ⅰ(附属 病院歯科診療所) 、臨床実習Ⅱ(総合歯科) 、生物学、 保健請求事務 教授(歯科医師) 歯科臨床概論(含医学概論)、栄養指導Ⅰ、小児歯 科学、歯科矯正学、口腔保健管理法、小児保健、保 健請求事務、生化学、臨床実習Ⅲ(総合実習) 、臨 地実習Ⅰ(教育施設) ・Ⅱ(福祉施設) 、臨床基礎統 合ゼミ 教授(歯科衛生士) カウンセリング実習(含カウンセリング論)、歯科 診療補助論Ⅰ(診療室管理・感染予防) ・Ⅱ・Ⅲ(歯 科材料) 、臨床実習Ⅰ(附属病院・歯科診療所) 、健 康教育論 准教授(歯科衛生士) 歯科衛生士概論、歯科保健指導論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、カウ ンセリング実習(含カウンセリング論)、臨地実習 Ⅰ(教育施設) 准教授(歯科衛生士) 歯科診療補助論Ⅰ、歯科保健指導論Ⅰ、栄養指導Ⅱ、 臨地実習Ⅱ(福祉施設)、臨床実習Ⅱ(総合歯科) 、 介護技術 准教授(歯科医師) 成人歯科学Ⅲ(補綴) 、成人歯科学Ⅳ(高齢者歯科、 先端医療)、歯科診療補助論Ⅳ、臨床実習Ⅲ(総合 実習) 、英語Ⅱ(医用英語) 講師(歯科衛生士) 歯科予防処置論、歯科予防処置う蝕予防処置法、歯 科診療補助Ⅳ、 臨床実習Ⅰ(附属病院・歯科診療所) 、 臨床実習Ⅱ(総合歯科) 片岡あい子 講師(歯科衛生士) 中向井政子 講師(歯科衛生士) 五十嵐智子 石渡 弥久 星野 由美 主 要 担 当 科 目 衛生学・公衆衛生学、衛生行政・社会福祉行政、社 会福祉論・ボランティア論、微生物学(含免疫学) 、 英語Ⅱ(医用英語) 、スタートアップセミナー、 歯科衛生士概論、歯科予防処置論、歯科予防処置う 蝕予防処置法、口腔保健管理法、臨床実習Ⅲ(総合 実習) 、スタートアップセミナー、 歯周病予防法Ⅰ、 歯科予防処置予防的歯石除去法Ⅱ・ Ⅲ、臨床実習Ⅲ(総合実習) 歯周病予防法Ⅰ、歯科予防処置予防的歯石除去Ⅱ・ Ⅲ、臨床基礎統合ゼミ、臨地実習Ⅱ(福祉施設) 、 介護技術 助教(歯科衛生士) 歯科診療補助論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、臨床実習Ⅰ(附属病院・ 歯科診療所) 、栄養指導Ⅱ、臨床基礎統合ゼミ 助教(歯科衛生士) 歯科保健指導論Ⅰ・Ⅱ・Ⅱ、臨地実習Ⅰ(教育施設) 、 臨床実習Ⅲ(総合実習) 准教授(歯科衛生士) 9月中途採用のため、後期専門科目はない ─ 100 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 職位別性別および平均年齢は平成27年3月31日現在のとおりで、男女比が男性20%、女 性80%であり、女性の比率が高い。教員の平均年齢は、52.7歳(教授62.4歳、准教授54.8歳、 講師47.7歳、助教32.5歳)と職位別の年齢構成上のバランスはとれているが教授、准教授 の年齢をみると、今後4~5年以内に定年を迎える教員が半数いる状況にある。 前年度には、教員13名で学生対応してきたが、学生への対応をより充実させるため、改 善計画として教員補充を進め、行動計画として准教授を1名補充したことで、学生の授業 評価向上に努めた。 [看護学科] 平成26年4月1日現在、専任教員は、学科長1名(教授兼務)、教員19名(教授2名、 准教授5名、講師6名、助教6名)で、専任教員数は20名である。 職位別性別および平均年齢は、備付資料「専任教員の年齢構成表」 (平成27年5月1日 現在)のとおりで、男女比が男性20%、女性80%であり、女性の比率が高い。教員の平均 年齢は、55.7歳(教授59.0歳、准教授56.0歳、講師60.0歳、助教49.5歳)と職位別の年齢構 成上のバランスはとれている。教授、准教授、講師陣の平均年齢をみると、看護学科を支 えるべき重鎮方が今後4~5年以内に定年を迎える状況にある。平成25年度自己点検・評 価報告書の、専任教員数は19名から1名増員し、教員の平均年齢は54.3歳から55.7歳と伸 びた。また全体的に年齢の高い教員が多い組織構成になっている。 平成25年度自己点検・評価報告書の専任教員数は19名から1名増員し、教員の平均年齢 は54.3歳から53.0歳と若干だが若返った組織構成になっている。 領域ごとの常勤教員数は、基礎・教養科目2名(教授) 、基礎看護学4名(准教授2名、 講師2名)、成人看護学4名(准教授2名、 助教2名) 、 老年看護学2名 (講師1名、 助教1名) 、 在宅看護学2名(准教授1名、助教1名) 、精神看護学1名(講師) 、母性看護学3名(教 授1名、助教2名)、小児看護学2名(講師)である。 科目構成は、基礎分野(導入科目、情報倫理と情報処理、コミュニケーション、人間理 解と倫理) 、専門基礎分野(人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援 と社会)、看護専門分野(基礎看護、成人看護、老年看護、精神看護、在宅看護、母性看 護、小児看護の7領域)となっている。書式3と教員以外の専任職員の一覧表(平成27年 5月1日現在)のとおり、教員の科目区分別内訳は、基礎科目の基礎分野と専門基礎分野 を教授する常勤教員は13名(看護学科講師以上7名、歯学部教授3名、歯科衛生学科准教 授以上3名)、非常勤講師7名である。看護専門科目を教授する専任の常勤教員は20名(講 師以上12名、助教8名)、非常勤講師3名である。 医学部併設が一般的な中、本学は歯学部、歯科衛生学科という歯科に特化した学部が併 設されている希少な存在の看護学科である。この特徴を生かし、他の看護系大学や看護師 養成機関では学ぶことが少ない歯科学や口腔衛生管理学等を専門基礎分野科目の授業の中 に取り入れ、オムニバス形式で歯学部・歯科衛生学科の教員が教授している。看護の対象 者の健康管理および疾病予防は口腔の衛生管理からと言われており、疾病理解の視点を口 腔から全身へ広げた専門知識の獲得ができる取り組みを行っている。一方、歯科衛生学科 の必修科目である看護学概論(1年次) 、介護技術(3年次)を看護学科教員が教授して いる。学科に捉われずに協力体制を組織的にすることで教育効果を上げる工夫をしている。 ─ 101 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 また、看護学科の領域を超えて看護系教員全員が看護基礎実習(1年次) 、成人看護学実 習(2年次)、老年看護学実習(2年次)に関わるような協力体制を組織的に作っている。 平成25年度の自己点検・評価の課題であった「1人の教員が複数部署を受け持つ」といっ た負担も改善されている。 専任教員は複数科目を担当するため、学外から非常勤講師10名、実習補助職員5名を確 保している。非常勤講師については実習施設である横須賀共済病院や横浜市立市民病院の 協力を得て、看護実践力の強化授業に講師が派遣されており、臨地実習指導の教育効果を あげている。 本学の教育目的から求められる看護教員の能力や資質としては、幅広い教養と豊かな感 性、専門領域における確かな知識や教育力、相手を思いやるあたたかい心の看護実践能力 や指導力等が挙げられる。学生が入学してよかったと思える要因は、学生が入学した学校 で受ける教育の質であり、学生教育に直接かかわる教員の指導力や人間としての魅力であ ることは言をまたない。教員選考に関しては、短期大学部設置基準23条~ 25条2項を踏 まえた本学の教員選考基準「神奈川歯科大学短期大学部教員資格基準に関する規程」があ り、職位ごとの教員資格・要件が規定されている。看護学科教員の採用・昇任については、 「学校法人神奈川歯科大学教職員任用規程第6条及び9条」 「神奈川歯科大学短期大学部教 員選考委員会規程」に基いて選考委員会が開催され、本学が求める教員の役割に関する達 成能力の判断材料として提出された看護教育歴や看護職としての職務経験、研究業績書等 の個人調書や面接結果等をもとに厳正な審査が行なわれ、さらに理事会での承認を経た上 で執行される。 平成26年3月に、教育・研究、社会貢献、管理運営、特色ある活動等に関する教員評価 についての実績調査が神奈川歯科大学の法人全体で実施された。教員の質の確保対策は、 法人全体で取り組む体制ができている。また教員の教育・研究活動ならびに職位・学位に ついては、本学ホームページにおける情報公開サイト内の「教員の業績」で公表されてい る。学位の内訳は、博士2人、修士11人(看護学修士4人、心理学修士2名、文化科学修 士3名、教育学修士1人、医療福祉経営修士1人)である。また年度ごとの研究業績につ いては、 「学校法人神奈川歯科大学業績集」において公表されている。 平成26年度の教員の退職(定年退職除く)は、准教授2名、講師2名、助教2名の計6 名であった。 表Ⅲ−A−1−③ 看護学科専任教員取得学位および資格 2014(平成26)年度4月1日現在 平成26年 (2014)年度 職位 学位 専 攻 教員養 成課程 資 格 1 塗々木和男 教 授 博士 歯学 2 川口 雅之 教 授 修士 哲学 3 前山 直美 教 授 学科長 修士 医療福祉経営学 ○ 助産師、看護師、看護教員、 NCPR認定助産師 4 平井 純子 准教授 学士 法学 ○ 看護師、看護教員 ─ 102 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 5 棚橋 泰之 准教授 修士 看護学 ○ 看護師、看護教員 6 森山 恵美 准教授 修士 看護学 看護師 7 葛西 朱美 准教授 修士 教育学 看護師 8 松崎加代子 准教授 なし ○ 看護師、看護教員 9 菅谷 洋子 講 師 修士 文化科学 ○ 看護師、看護教員、 介護支援専門員 10 山田ノリ子 講 師 博士 歴史民俗資料学 11 木村美津子 講 師 修士 心理教育学 ○ 看護師、看護教員、 認知予防ファシリテーター 12 中村 仁志 講 師 学士 教養 ○ 看護師、看護教員 13 原田美枝子 講 師 修士 学校心理 助産師、看護師 14 菊池美保子 講 師 なし 看護師 15 山本江里子 助 教 修士 文化科学 助産師、看護師 16 寺田 智美 助 教 修士 看護学 17 池谷 理江 助 教 修士 看護学 18 渡辺 礼子 助 教 なし 19 上ノ町成子 助 教 なし 20 石川 智子 助 教 なし 看護師 ○ 看護師、看護教員 看護師、BLS ○ 看護師、看護教員 看護師、訪問看護従事者 ○ 看護師、看護教員 (b)課題 [歯科衛生学科] 学科の専攻課程の教員編成・教員数は短期大学設置基準を現在ほぼ満たしているが、定 年退職者が2名いるため、その専門科目の担当教員確保が必須である。教員採用について は、本年度は他歯科衛生士学校の卒業生を受けいれ、教員組織の充実を図った。今後は、 定年退職者が毎年でることもあり、「行動計画」をたて、教員確保のための条件を整備し ていきたい。また、教員の臨床経験を充実させるため、附属病院および横浜クリニックと の連携を強めていくことが必要である。 [看護学科] 一人の教員に対する担当科目が多く、授業の準備を含め教育に費やす時間の割合が大き い。学生の指導や学内の委員会活動や業務、さらに事務作業担当者の配置がないため、授 業担当教員が学生への配布資料の準備をするなど時間外業務が増え、研究活動まで進まな い状況である。このように講師以上は個室の研究室で実務に追われる時間が多く、また、 本学を牽引している最もパワフルな助教らは、臨地実習指導の時間的負担が大きく、若手 研究者として貢献する機会も低下し、 さらに教員間の情報共有や交流も疎遠になっている。 臨地実習の時間的負担を軽減し、助教が教育者として力を発揮できる体制の構築が今後の 課題である。臨地実習指導者の確保は、人事課と協力し尽力しているが、実習施設の地理 ─ 103 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 的問題や任用コストの問題などで応募者が少なく、十分な確保に至らず、対策が必要と考 える。 本学が求める教員像について明文化したものがなく、それを実行するのが今後の課題で ある。教員選考に関しては、教育力の評価項目がなく、プレゼンテーション力や模擬授業 などを織り込んだ選考になっていない。また、教員評価が実施可能な体制や方策を検討し ていく必要がある。 [区分 基準Ⅲ−A−2 専任教員は、学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づ いて教育研究活動を行っている。] ▪ 基準Ⅲ−A−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)専任教員の研究活動(論文発表、学会活動、国際会議出席等、その他)は学科・ 専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて成果をあげている。 (2)専任教員個々人の研究活動の状況が公開されている。 (3)専任教員は、科学研究費補助金、外部研究費等を獲得している。 (4)専任教員の研究活動に関する規程を整備している。 (5)専任教員の研究成果を発表する機会(研究紀要の発行等)を確保している。 (6)専任教員が研究を行う教員室、研究室等を整備している。 (7)専任教員の研究、研修等を行う時間を確保している。 (8)専任教員の留学、海外派遣、国際会議出席等に関する規程を整備している。 (9)FD活動に関する規程を整備している。 (10)規程に基づいて、FD活動を適切に行っている。 (11)専任教員は、学習成果を向上させるために短期大学の関係部署と連携している。 (a)現状 [歯科衛生学科] 研究活動、研究費、科学研究費補助金については次の通りである。 表Ⅲ−A−2 歯科衛生学科専任教員研究活動一覧 平成26年度 氏 名 職 位 著 書 論 文 学会発表 その他 相原まり子 鈴木 幸江 長谷 徹 教 授 教 授 教 授 0 1 0 0 2 0 0 2 3 0 6 0 西村 康 教 授 0 0 3 0 藤野富久江 伊ヶ﨑理佳 井出 桃 教 授 准教授 准教授 0 0 0 2 2 0 4 2 3 1 1 0 星野 由美 山田 直樹 准教授 准教授 0 0 1 0 1 1 7 0 ─ 104 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 石田 直子 片岡あい子 講 師 講 師 0 0 4 1 16 2 0 1 中向井政子 五十嵐智子 講 師 助 教 0 0 4 2 16 1 0 3 石渡 弥久 助 教 0 1 1 3 専任教員1人当たりの一般研究費・研究旅費 年 度 一般研究費 研究旅費 合 計 平成26年度 教授 40.000円 准教授 40,000円 講師 40,000円 助教 12.000円 助手 8,000円 教授 30,000円 准教授 24,000円 講師 24,000円 助教 16,000円 助手 16,000円 教授 70,000円 准教授 64,000円 講師 64,000円 助教 28,000円 助手 24,000円 [科学研究費補助金] ①星野 由美(代表) :歯科衛生士における頸部聴診可能な専門的口腔ケア技術教育システ ムの開発,若手研究(B),25870480,平成25-27年度. ②星野 由美(分担) :介護従事者のヒューマンファクター解明による安全な食事介助技術 の開発,基盤研究(C),24500647,平成24-26年度. 前年度には、教員の教育と研究の両立をするために「改善計画」ならびにその取り組み として、教員の教育配当、研究費の使用について「行動計画」を立て、その実行に努め たため、歯科衛生学科としては研究業績として、表に示した実績をあげた。 [看護学科] 平成26年度における専任教員の教育研究活動の現状は以下のとおりである。 1)研究活動 研究活動支援は、個人研究費、旅費は職位により上限が異なるが各教員に定められてい る。また研究費の獲得に向けて各省庁補助金・研究助成関連の案内は、総務部総務課が担 当し、各教員へ呼びかけを行っている。専任教員の研究発表の場として年1回「神奈川歯 科大学短期大学部紀要」を発行し、学内および全国の医療系大学・短期大学をはじめ看護 協会や関連医療施設等に配布している。また教員の研究成果は学会や研究会で活発に発表 し、学会誌等に論文として投稿している。 2)研修活動 研修活動については、一部の教員ではあるが研修会の講師として招かれて活動している。 研修受講については、看護学、医学、教育学といった即座に実践に結び付く内容が多く、 教員は関心と時間のマッチングに苦慮しながらも自己研鑽している。また大学院修士課程 や博士課程への進学者が平成25年度より増えてきている。各教員は、学位取得や最新の知 見の獲得、教員としての資質向上に努力している。 3)FD活動 短期大学部のFD活動を継続的に行うためFD委員会を設置し、年間計画に沿って研修会 ─ 105 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 を実施している。平成26年度は、学内教育改革に関する企画公募に本学科も応募し、企画 名「看護学生が看護師らしく行動できる実習評価の構築」が学内教育改革の趣旨に相応し いという理由で採択された。教育改革に関する事業は学校法人全体で行う必要があること から、本学歯学部FD委員会と短期大学部FD委員会との協賛で「学習者中心のカリキュラ ム・プランニング」の講演会およびワークショップを2日間実施した。学長はじめ総合教 育部教職員12名、歯学部教職員4名、看護学科教員22名、歯科衛生学科教員9名、歯学部 学生1名の49名が参加した。同法人の教職員が交わり学生主体の教育方法についてさまざ まな意見交換ができた。また、学生の評価方法ついて新しい知見を獲得でき、今後の授業 や実習評価に生かしたいという声も多く聞かれた。 4)看護師に必須の看護総合能力の修得に向けての教育 将来の看護実践者として求められる看護総合能力を学生が修得できるよう1学年から3 学年の学生に個別指導や集中講義がなされ、各専門基礎分野、専門分野の実力向上の試み が計画的になされた。学生には週別および月別の学習プランを立案させ、各学年担当教員 が中心になって支援を行った。業者による「実力試験」 、 「模擬試験」の受験料を学校負担 とし、学生の経済的状況で不公平が生じないよう配慮した。国家試験を控えている3学年 には、実習グループで学習を進めていくグループダイナミックスやチームワーク力を期待 した対応がなされた。 5) 「学生による授業評価アンケート」の実施 教育の質の向上を図る目的で、専任、 非常勤を問わず全科目について科目終了ごとに「学 生による授業評価アンケート」を実施している。アンケート実施に関してはFD委員会か ら趣旨の理解を促すとともに運用手順を統一するために、年度当初の教授会や学科会等で 説明をしている。また学生に対しては、毎年全学年に対し授業アンケートについてのオリ エンテーションを行い、趣旨や倫理的配慮について十分に説明を行っている。アンケート の結果は、FD委員会を通じて担当教員にフィードバックし、各教員はFD委員会を介して 教育の質向上に向けて自らの改善計画を、学生へフィードバックしている。多くの教員は 学生からの授業評価アンケート結果を生かし、自らの教育活動に反映している。 だが、アンケート項目については、不都合な項目があることから見直しが行われている。 6)臨地実習における個人面接の実施 実習科目については、各領域の実習前の集合オリエンテーションや個人面接、実習中の 個人対応の指導、実習後の個人面接を行っており、教員と学生間に齟齬が生じないように している。学生の学力や性格、かかえている問題等の学生レジネスをチューター教員や臨 地実習でかかわった教員から情報収集し、教育・指導の参考にしている。 7)チューター担当教員による学生の個人面接の実施 チューター担当教員による学生の個人面接の時期や回数は、チューター担当教員に任さ れている。新学期初めや学年の成績が判明する後期の時期に行っている教員が主である。 チューター面接結果は、チューター学生ごとのファイルに記載され、平成25年までは担当 教員が管理していた。しかしチューター教員が不在時に学生の対応に苦慮したことや情報 共有化の困難から平成26年からは記録を1か所にまとめて管理するようにした。さらに学 科内会議(学科教務会や領域会議)の報告事項に「学生に関すること」を入れた。個人面 談した結果やチューター教員が知らない学生の情報等を公平に共有し、それらを教育指導 ─ 106 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 活動に反映している。 8) 「教員相互の授業参観」の実施 教員の教育力向上のために教員相互の授業参観を実施している。授業参観を希望する教 員は、事前に担当教員に所定の用紙で申し込みをし、実施後は相互に意見交換をし、感想 を所定の用紙に記入提出している。専任教員は年1回以上授業参観を行い、各自の授業に 生かしている。 (b)課題 [歯科衛生学科] 専任教員、神奈川歯科大学教員がチームを組んで共同で研究を行なう体制が整っている。 個人の研究は固より若手教員の研究能力向上に努めている。短期大学部として、紀要を発 行し、多くの教員が論文投稿できるように配慮している。 研究業績をあげるため、昨年度の行動計画はそれなりの成果をおさめたが、次年度は研 究費・旅費が充分でないので、外部資金の調達ができるような体制を整えることが急務で ある。 [看護学科] 専任教員の研究活動(論文発表、学会活動、国際会議出席等、その他)は、教員各自に 任され、教員の努力によって成果が上がっている。とは言え、専任教員がより一層安心し て研究・研修等に取り組める時間の確保や体制の整備が課題である。研究費補助金や外部 研究費の獲得は、この体制整備が進むことで可能になると考えられる。FD活動は、大学 教員の資質向上に必要な活動であることから、本学の歯学部、短期大学部の枠を超えて合 同で取り組んでいくことがより効果的だと思われるので、今後そうしていきたい。 また、授業評価アンケートの項目の改正によって、より明確な授業評価となると期待す るが、学生側から教員への一方向の授業評価になっていることに変わりはない。正しい授 業評価になるような方策の構築が課題である。 ] [基準Ⅲ−A−3 学習成果を向上させるための事務組織を整備している。 ▪ 基準Ⅲ−A−3の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)事務組織の責任体制が明確である。 (2)専任事務職員は、事務をつかさどる専門的な職能を有している。 (3)事務関係諸規程を整備している。 (4)事務部署に事務室、情報機器、備品等を整備している。 (5)防災対策、情報セキュリティ対策を講じている。 (6)SD活動に関する規程を整備している。 (7)規程に基づいて、SD活動を適切に行っている。 (8)日常的に業務の見直しや事務処理の改善に努力している。 (9)専任事務職員は、学習成果を向上させるために関係部署と連携している。 ─ 107 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (a)現状 法人および大学それぞれに処務規程を定め、 それぞれの業務範囲等を定めている。また、 事務組織の責任体制は、平成24年度から事務職員評価制度を導入し、役職ごとに業務の行 動基準を設け、責任の位置づけを明確にしている。この制度を導入することにより、責任 の所在や役職の業務の位置づけが明確になった。事務組織は教務・学生支援・就職・入試 の担当制となっており、各々専門的な職能を有している。 事務部署には事務室を設置しており、情報機器、備品等を整備している。 防災対策では、各学科、学年ごとに避難時における安否確認ができるよう約15名に班分 けをしている。そのうち1名を避難時における確認者としている。平成26年度は、昨年同 様に併設の神奈川歯科大学附属病院を含め法人全体で防災訓練を実施した。大規模な訓練 のため毎年課題はあるが、今後も改善を図りながら毎年2回の防災訓練を実施する。次年 度以降についても6月と11月に実施することを法人全体で決め、行事予定として組み込ん でいる。事前に実施月を固定化することにより学生と教職員の意識づけの向上を目指して いる。 情報セキュリティ対策については、個人情報となる学籍原簿や成績管理書類は使用する 度に必ず施錠している。パソコンの情報管理では、個々のパソコンにはデータを入れず、 サーバーに一元管理している。また、毎日データのバックアップをしている。 SD活動については、平成25年度から学内SD研修として、FD研修への事務職員の参加 を義務付けた。今後はFD・SD研修として共同参加の研修会とする予定である。その他、 日本私立短期大学協会、学生支援機構や団体等が主催する研修に積極的に参加を促し、事 務職員としての能力向上を推進している。本年度では短期大学部主催のFD・SD研修会が 1回行われたが、年度末の繁忙期のため参加できたのは数名であった。 日常的な業務の見直しについては、評価制度の業務改善の一環として明確にし、それに 努めている。また、毎朝、部署内で事務職員の情報の共有化と業務の改善を含めたミーティ ングを行っている。平成26年度で個々の事務職員の担当業務経験年数が3年以上となった ため、前年に比べて効率よく進められた。 事務局では事務局長を筆頭にした事務役職者会議を月1回行い、法人全体の動向や各部 署からの現状課題などについて協議をしている。短期大学部のみに特化することのないよ うこの会議の情報を各部署に伝え、相互の連携を密にするようにしている。 (b)課題 評価制度を導入して3年目となり、法人全体の事務職員評価制度としては一定の成果が でたと考えられる。平成26年度は評価目標を個々で考えるようになり、概ね課題の修正が できた。人事異動もなく個々の担当業務に馴れてきたことが要因でもある。 事務職員も教育に積極的に取り組むという新たな業務内容への対応と意識改革が求めら れている。そのためのSD開催が必要である。また、今後は学生サービスの質の向上を目 指すために毎年度、目標の設定を各自がし、事務職員同士で情報の共有化をする体制がで きている。しかし、先に述べたとおり事務職員の業務の経験年数が3年以上となり、良い 意味では効率が良くなったが、業務の固定は組織力の低下ともなりうるので、平成27年度 は業務担当者の変更を含めた組織力向上のための見直しが必要である。 ─ 108 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [区分 基準Ⅲ−A−4 人事管理が適切に行われている。 ] ▪ 基準Ⅲ−A−4の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)教職員の就業に関する諸規程を整備している。 (2)教職員の就業に関する諸規程を教職員に周知している。 (3)教職員の就業を諸規程に基づいて適正に管理している。 (a)現状 教職員の就業に関する規程は「学校法人神奈川歯科大学就業規則」に基づき就業をして いる。本学職員は、教員職員、医療職員、事務職員にわかれているため、その職種ごとに 勤務時間を定めている。また就業規則ならびに給与規程、定年規程、旅費規程等の就業に 関する規程は全て教職員用のホームページに掲載している。出退勤管理については、学校 法人神奈川歯科大学全職員に出勤・退勤のタイムカードによる打刻を義務付けている。 教員の就業については、各学科長が就業規則に基づき労務管理を行い、事務職員は管理 職が行っている。 事務職員の時間外勤務については、業務終了が何時となるかを事前に管理職に口頭申告 し、了解を得た上で行っている。また、管理職は、事務職員各自に所定様式の時間外勤務 内訳表の記載を義務付け、翌日に業務内容の確認印をもらうことになっている。また、時 間外勤務が特定の事務職員に集中している場合は、面談を行い、業務の進行状況や計画な どを聞き、負担がかからない分担作業をするよう指示をしている。数年前までは、時間外 勤務は個人の自主判断に委ねられていたが、現在は管理職が業務管理をするよう義務付け られている。 平成25年度からライフワークバランスを配慮、毎週木曜日を“ノー残業デイ”として実 施している。つまり業務に支障がない場合は、 終業時間に業務を終了する取り組みである。 その結果、業務の効率が良くなり、時間外勤務時間が減少し、節電にもなった。平成26年 度は、夏頃までは実施していたが、平成27年1月頃からは繁忙期となり実施が困難な状況 である。 (b)課題 看護学科の助手・助教の研究室が、教授、准教授、講師の研究室と別の建物にあり、以 前から業務遂行や情報の共有に時間を要するため、学科長は管理職としての管理監督がで きない状態にあった。 そのため、平成26年度に、助手・助教の二つの研究室を一つにし、講師以上の研究室が ある校舎に移設をした。その結果、教員間の情報の共有が可能となり、管理もできる状態 になった。国家試験も平均得点を上回る結果となり、さらなる教員間同士の意思疎通を強 めていく必要があるが、歯科衛生学科、看護学科共に教員不足であるため、個々の業務負 担が大きくなっており、将来的に増員に向けた方策が必要である。 事務職員については、時間外勤務数が、昨年同様の者、若干増えた者があり、前年度と ほぼ同様であった。担当者の年度末年度始めの時間外勤務も減少とはなっていない。部署 ─ 109 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 内ではもっと効率を良くできると各事務職員は考えている。しかし、 受験者の減少のため、 入試広報業務の担当職員や補佐職員の時間外勤務の増加を今後どう是正するかが課題であ る。 ▪ テーマ 基準Ⅲ−A 人的資源の改善計画 [歯科衛生学科] 基準Ⅲ−A−1「学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針基づいて教員組織を整備して いる。 」の「改善計画」については、「短期大学設置基準」に順守して教員人数は満たして いるが、教育・学内運営に当たる時間数が多いため、教育および研究のできる専任教員の 確保が必要である。 基準Ⅲ−A−2「専任教員は、学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて教 育研究活動を行なっている。」の「改善計画」については、研究ができる環境整備と外部 資金確保のための研修会参加を義務づける。 」の「改善計画」については、教員 基準Ⅲ−A−4「人事管理が適切に行なわれている。 においては、研究が時間外で実施されているのが現状であるので、学生サービスを鑑み、 講義科目1名、実習科目は内容等吟味して配当する必要がある。 [看護学科] 基準Ⅲ−A−1「学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針基づいて教員組織を整備して いる。 」の「改善計画」については、 ①専任教員が担当する授業科目数・時間数の不均衡が生じているため、公平な授業時間 の配置が必要である。 ②本学が求める教員像の記載を明文化し、実施可能な方策を検討する必要がある。 基準Ⅲ−A−2「専任教員は、学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて教 育研究活動を行なっている。」の「改善計画」については、 ①専任教員の研究活動、社会活動が十分にできる環境整備を行う。 ②教員・学生相互による授業評価を行い、質の高い授業を構築する。 ③歯学部、短期大学部共同によるFD活動、SD活動を充実させ、教員の資質向上を図る。 [当該関係資料] (備付資料) №16 平成26年度授業評価アンケート №18 教授会議事録 №20 研修会報告書 №26 神奈川歯科大学短期大学部紀要 №36 諸規程集 ─ 110 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅲ−B 物的資源] [区分 基準Ⅲ−B−1 学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて校地、校舎、 施設設備、その他物的資源を整備、活用している。 ] ▪ 基準Ⅲ−B−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)校地の面積は短期大学設置基準の規定を充足している。 (2)適切な面積の運動場を有している。 (3)校舎の面積は短期大学設置基準の規定を充足している。 (4)校地と校舎は障がい者に対応している。 (5)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業を行う講義室、 演習室、 実験・実習室を用意している。 (6)通信による教育を行う学科の場合には、添削等による指導、印刷教材等の保管・ 発送のための施設が整備されている。 (7)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業を行うための機器・ 備品を整備している。 (8)適切な面積の図書館又は学習資源センター等を有している。 (9)図書館又は学習資源センター等の蔵書数、学術雑誌数、AV資料数及び座席数等 が十分である。 ①購入図書選定システムや廃棄システムが確立している。 ②図書館又は学習資源センター等に参考図書、関連図書を整備している。 (10)適切な面積の体育館を有している。 (a)現状 観点(1)~(3)に関しては、下表の数字となっており校地の部分で歯学部と共用部 分があるが、設置基準を満たしている。また、体育の授業、クラブ活動、および入学式な どの催しについては、歯学部と講堂(3,024㎡) 、 体育館(アリーナ、 柔剣道場、 フットサル場、 トレーニングマシーン場7,418㎡)を共用している。稲岡町のキャンパス内にはテニスコー ト2面、 弓道場があり、学校から車で15分には馬堀グラウンド(浦上台運動場敷地32,000㎡) がある。 観点(4)障がい者への対応としては、各校舎、図書館、クラブ棟の入り口にスロープ と手すり、4号館(3号館と2~4階で接続)にはエレベーターが設置されている。多目 的トイレは4号館3階と5号館1階に設置され、車椅子の利用に対応している。 (平成26年5月1日現在) 収容定員 校 舎 基準面積㎡ 現有面積㎡ 校 地 差異㎡ 基準面積㎡ 現有面積㎡ 差異㎡ 神奈川歯科大学 短期大学部 600名 7,000 10,799 3,799 7,500 1,890 △5,610 神奈川歯科大学 720名 17,200 42,642 25,422 10,200 11,251 1,051 24,200 72,405 29,241 17,700 その他共用 計 18,964 ─ 111 ─ 52,710 65,851 48,151 神奈川歯科大学短期大学部 観点(5)、(7)に関しては、歯科衛生学科が主に3号館の講義室及び実習室(第1~ 第4)を、看護学科が5号館の実習室及び4号館の講義室を使用している。 3号館の4階にあるコンピュータルーム(ノートパソコン120台設置)を使って情報リ テラシーの授業が行われている。また、同号館の3階のオープンルームには40台のパソコ ンが設置され、誰でも利用可能となっている。 平成26年度にこれらノートパソコン120台 と3階のオープンルーム40台のOSをウインドウズXPからウインドウズ7へ変更し機種も 変更した。 観点(8)、(9)に関しては、基礎資料に記したとおり、適切な面積と蔵書及び設備を 有している図書館がある。今年度は、補助金を使ってラーニングコモンズ(ラーニング広 場)への一部改修を行い、歯学部との共用スペースとして個別学習等に利用されている。 観点(10)に関しては、歯学部との共用部分として7,418㎡の床面積を有する体育館が ある。柔剣道場、フットサル場、アリーナ、卓球場、トレーニングルームなどを備えて学 生の利用に供している。 (b)課題 耐震基準に不安を残す3号館に関しては、耐震補強を含む改修工事を検討しなければな らないが、法人全体の優先順位を付けた上で計画することとした。ただし、地震の際、各 教室の机の下にすぐ潜れるように4号館の机と椅子を変更することを今後の課題とした。 また、共用部分である講堂、体育館及び6号館クラブ棟(パレット)には障がい者用設備 が無いので、今後整備するかどうか検討事項とする。 ] [区分 基準Ⅲ−B−2 施設設備の維持管理を適切に行っている。 ▪ 基準Ⅲ−B−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)固定資産管理規程、消耗品及び貯蔵品管理規程等を、財務諸規程を含め整備し ている。 (2)諸規程に従い施設設備、物品(消耗品、貯蔵品等)を維持管理している。 (3)火災・地震対策、防犯対策のための諸規則を整備している。 (4)火災・地震対策、防犯対策のための定期的な点検・訓練を行っている。 (5)コンピュータシステムのセキュリティ対策を行っている。 (6)省エネルギー・省資源対策、その他地球環境保全の配慮がなされている。 (a)現状 観点(1)、(2)に関しては、物品調達規程に則り、備品は15万円以上の物とし、備品 台帳で管理をしている。また、文科省から通知のあった、公的資金の不正防止に関しては、 「学校法人神奈川歯科大学公的研究費の不正に係る調査の手続き等に関する規程」に則り 検収システムを構築し運営している。 観点(3)、(4)に関しては、火災・防災訓練を毎年6月、12月に全学上げて行い、学 生、患者、教職員の火災・地震から避難と誘導の訓練を実行している。 ─ 112 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 観点(5)に関しては、コンピュータ室のセキュリティは学内ネットワークセンターが 中心に対策を取っている。主な対策としては、ファイアーウオールの充実とアンチウイル スソフトの導入とシステム全体のメンテナンスである。 観点(6)に関しては、各部署にて行うとともに学生にも掲示等で啓蒙している。また、 施設の一部にLED照明を使用、女子トイレには音姫(擬音装置)を設置し、上下水道の 節約を実施している。毎夏使用電力の可視化を図り、月ごとの使用電力を掲示し節電を啓 蒙している。 (b)課題 施設設備の一部老朽化が進み改善および改修を計画している。特に平成23年3月11日の 東日本大震災後耐震のための施設の補強、 補修が必要であるとの認識から計画をしている。 防災訓練は、全員参加を原則として、緊張感をもって出来るよう毎回工夫しながら地元消 防署と連携を図りながら実行していく。 ▪ テーマ 基準Ⅲ−B 物的資源の改善計画 課題にも書いたように建屋に関しては、耐震診断を正確に行い、学生の身の安全を確保 できるように環境を改善すべきであるが、法人全体の予算の関連から優先度が決まってし まう。また、短期大学部学生約550名、歯学部学生約620名のための防災関連グッズの備蓄 を検討する。 [当該関係資料] (備付資料) №36 諸規程集 ─ 113 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅲ−C 技術的資源をはじめとするその他の教育資源] [区分 基準Ⅲ−C−1 短期大学は、学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づ いて学習成果を獲得させるために技術的資源を整備している。 ] ▪ 基準Ⅲ−C−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて技術サービス、専門的 な支援、施設、ハードウェア及びソフトウェアの向上・充実を図っている。 (2)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて情報技術の向上に関す るトレーニングを学生及び教職員に提供している。 (3)技術的資源と設備の両面において計画的に維持、整備し、適切な状態を保持し ている。 (4)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて技術的資源の分配を常 に見直し、活用している。 (5)教職員が学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業や学校運 営に活用できるよう、学内のコンピュータ整備を行っている。 (6)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて、学生の学習支援のた めに必要な学内LANを整備している。 (7)教員は、新しい情報技術などを活用して、効果的な授業を行うことができる。 (8)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて学生支援を充実させる ために、コンピュータ利用技術を向上させている。 (9)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業を行うコンピュー タ教室、マルチメディア教室、CALL教室等の特別教室を整備している。 (a)現状 教育課程編成・実施の方針に基づき、学習成果を獲得させるために技術的資源として教 育および研究に使用する様々な情報機器が整備されている。まず3号館のマルチメディア 教室、オープンルームにはコンピュータ30台が整備され学内LANによるインターネット を活用することができる。学生は必要な情報収集や印刷等、自己学習ができる環境が整備 されている。講義で使用する各教室においてはAVセット(モニター・ビデオなど) 、プ ロジェクターが配備されている。図書館は開館時間の延長(9 : 00 ~ 21 : 00)、土曜日の 開館など学生が自由に学習できるよう便宜を図っている。ここでは大学のネットワークシ ステムによって世界中の専門雑誌なども検索できる。さらに4号館の地下1階ラーニング 広場では、様々なスタイルの学修・研究に合わせられるように5つのエリアを設けた。 まず、 個人のエリア(24席)、グループエリア(95席)、相談エリア(2グループ各2席)、情報 エリア(固定デスクトップパソコン台5席) 、 印刷エリア(コピー及びパソコンからの印刷) がある。開館時間も平日9 : 00 ~ 21 : 00となっているため多くの学生が活用している。 26年度から1号館の多目的学習室が整備され、120名受講できる大教室がオープンした。 ここでは無線LANによって、視聴覚教材を7か所のプロジェクターで多面的に視聴しな がら聴講できる。さらに受講者がグループワークにも取り組めるように120名分の机と椅 ─ 114 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 子を自由にレイアウトし移動することが可能である。 この多目的学習室では連続して講義・ 演習・発表ができるようにマイクも3台整備され、ホワイトボードも数台同時に使用可能 である。参加型授業を展開できる設備が整っていることから学生は主体的な学習姿勢を身 に着けることができる。 教育課程編成・実施の方針に基づいて情報技術の向上に関するトレーニングを学生及び 教職員に提供している。教職員も同様に各自パソコン機器が提供され授業及び学校運営に 活用できるよう整備されている。またメディアセンターから万一のトラブルなどにも対処 できるようにサポートが提供されている。 シラバスに提示されている通り学生へは1年次から情報リテラシーの授業及び演習を通 し情報技術の向上に関するトレーニング等が実施されている。このように技術的資源およ び設備の両面において計画的に維持、整備され学習するにあたり適切な状態が保持されて いる。 また今年度より学内情報システム(ポータルサイト)を構築し、非常時の学生の安否確 認を始め、教職員からの情報を学生が確認できるようになっている。 [歯科衛生学科] 歯科衛生学科が主に用いる第1実習室、第2実習室および第4実習室ではプロジェク ター及びマルチメディア教卓を設置、第3実習室では各実習机に備えつけモニターを10台 配置されており、学生が、より近くで確認できるようになっている。またインターネット 配信ができるようになっている。学生の専門分野の予備・補講実習に実習室を開放し、各 自の手技が向上するように便宜を図っている。また、第1実習室には歯科用ユニットが2 人で1台使用できる様設置され、第2実習室にはマニキンが1人1台設置されている。 前年度には、機器の老朽化が目立つため、早急な対応が必要と改善計画に挙げたが、歯 科用ユニットの新規購入は1台のみであった。 また学内LANおよびサーバーについての整備を改善計画に挙げたが、現在、常時使用 できるようになっている。 [看護学科] 医療の臨床現場においては電子カルテが主流であり、看護教育においても情報処理能力 の向上は不可欠である。臨地実習に備えて各専門領域で使用する標本、模擬人体模型、生 理反応測定機器等についても整備し演習時間を確保し技術的訓練を重視し実施している。 実習室においても基礎看護学実習室、成人・老年看護学実習室、母性・小児実習室、 在宅看護実習室などが整備されている。基礎看護学実習室においては12台のベッド毎に DVDなどの視聴覚教材を視聴できるTVが設置されている。そのため基礎看護技術の習得 にあたりイメージトレーニングを行うことで演習が効果的に実施でき臨地実習に臨むこと ができる。模擬人体模型のラング(主に呼吸音などの聴取)およびフィジコ(バイタルサ イン、生体反応などについてパソコン機器が備わった教材)が備えられている。これらの 教材はフィジカルアセスメントを行う上で学習効果が高い教材であるため、基礎領域のみ ならず他の専門領域でも演習で活用されている。各専門領域でも人体モデル(新生児・乳 幼児・成人モデル)も実習室のベッド数に対応した数が備わっている。新生児モデルにお ─ 115 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 いては心音、脈拍など聴取することができるPC機器が備わったモデルがある。また、妊 産婦モデルにも胎児心音などを聴取できるものが配備され専門実習に備えられている。 (b)課題 多目的学習室は歯学部で大半が使用されているため短期大学部では空いている時間でし か活用できない。短期大学部でも多目的学習室の設備を設けることが課題である。 教育の多様化が進む中で、より高度の情報機器が必要となると考えるので、どのような 機器を購入するか、運用・方針等の確立が必要と考える。歯学部と共通の委員会等の設置 が望まれる。 [歯科衛生学科] 各実習室は昭和53年に校舎を建築して以来、情報機器等順次、設置しているが機器類の 老朽化が目立つ。ここ数年、学生数も回復傾向にあり定員に近づいているため、早急な対 応が必要である。 ①第1実習室で使用している歯科用ユニットは昨年度1台新たなものに交換したが、今後 学生の臨床対応能力をさらに向上させるため、新機種導入が望まれる。 ②第2実習室に設置されているマニキンも同様に老朽化し、修理不可能なものも数台ある ため、これも学習効果を考え、新たなものを購入する等の検討が必要である。 現在、歯科衛生士には、介護が必要な方への口腔ケア(含 吸引)のみならず、摂食嚥 下機能の維持・向上の業務が求められている。これらは講義による理解だけでなく実習 で手技を身に付けることが不可欠である。 ③学科には口腔機能管理シミュレーター(MANABOT)は1体のみであるため、学生に 十分な手技能力をつけさせるのに充足しているとは言えない。今後追加購入を検討する 必要がある。 ④学生及び教職員の情報処理能力向上のための新たな情報ネットワークを構築する必要が ある。 ⑤学生の自己学習効果を高めるためeラーニング、CBT(コンピュータ試験)を積極的 に導入する必要性もある。 [看護学科] 演習や実習で使用する模擬人体模型や生理反応測定装置等は今後さらに充足した数が必 要である。模擬人体模型のフィジコは、現在は1体整備されているが非常に高いコストの ため数をすぐに増し購入はできない。また、フィジコに限らずバイタルサインズの測定の 訓練教材も増やして学生が自主的に練習できる環境を整備することが課題である。 本学看護学科の特色である「口腔衛生に強い看護師」を養成するため、歯科衛生学科の 教材も積極的に活用していく必要がある。 ▪ テーマ 基準Ⅲ−C 技術的資源をはじめとするその他の教育資源の改善計画 [歯科衛生学科] 学内コンピュータ整備の充実を図ることは学習環境の充実に繋がる。そのためにも各教 ─ 116 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 室、研究室におけるネットワーク環境整備が今後の課題である。また、ネットワークの管 理および情報に対するセキュリティについての委員会設置、専門知識を有した人材の確保 が必要と考える。さらに実習室に設置されている歯科用ユニット、マニキンの老朽化が目 立つため、学習効果を上げるためにも、今後新たな購入も含め検討していく必要がある。 [看護学科] 模擬人体模型のコストの低い教材で、血圧測定トレーナー「あつ姫」は今後も学生には 効果的な教材であるため購入計画を行う。この血圧測定トレーナー「あつ姫」は腕だけで 血圧測定の技術訓練用教材であるため学生は収縮期、拡張期の血圧の聴取が可能である。 予算的にも1体が約22万円であるので実習室で学生が練習できるよう次年度は5体を備え ることを基礎領域から提案中である。使用するにあたっては基礎実習室などで学生が自主 的に毎日でも練習できるよう使用依頼表で申し込み、使用状況を提示して空き時間が把握 できるようにする。 「フィジコ」は経費が高いため複数の整備は困難ではある。ただ授業・演習で教員の指 導の基で使用するだけでは効率が悪い。臨地実習に向けて授業・演習で使用する頻度は多 く、 効果が期待される教材であるためより学生が自主的に自由に活用できるよう「あつ姫」 と同様の計画をして数年間で予算を捻出する。 多目的学習室の設置はコストが掛かるのでまずは現在の教室を改善していく。具体的に は4号館の442教室、443教室の椅子及び机を移動できるように設備の改装を計画すると多 目的学習室の機能と同様にできるだけ早く活用できると考える。 [当該関係資料] (提出資料) №1 Campus Guide 2014(学生便覧) ─ 117 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅲ−D 財的資源] [区分 基準Ⅲ−D−1 財的資源を適切に管理している。 ] ▪ 基準Ⅲ−D−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)資金収支及び消費収支は、過去3年間にわたり均衡している。 (2)消費収支の収入超過又は支出超過の状況について、その理由を把握している。 (3)貸借対照表の状況が健全に推移している。 (4)短期大学の財政と学校法人全体の財政の関係を把握している。 (5)短期大学の存続を可能とする財政が維持されている。 (6)退職給与引当金等が目的どおりに引き当てられている。 (7)資産運用規程を整備するなど、資産運用が適切である。 (8)教育研究経費は帰属収入の20%程度を超えている。 (9)教育研究用の施設設備及び学習資源(図書等)についての資金配分が適切である。 (10)定員充足率が妥当な水準である。 (11)収容定員充足率に相応した財務体質を維持している。 (a)現状 本法人は平成20年度から文部科学省高等教育局歯学部参事官室の経営改善5カ年計画の 指導を受けてきた。平成25年改訂版日本私立学校振興・共済事業団の「定量的な経営判断 指標に基づく経営状態の区分(法人全体) 」に基づいて判定をすれば、本法人は全体とし て平成26年度以降はA3正常状態に区分される。つまり、 「教育研究活動キャッシュフロー」 が黒字であり、かつ、「帰属収入から消費支出を控除した帰属収支差額」も黒字の状態に ある。今年度の短期大学部に関しては、久々に教育研究活動キャッシュフロー及び帰属収 支差額も黒字となった。法人全体の過去3年間の資金収支及び消費収支の状況は概ね良好 である。資金収支については、平成29年度の附属病院新設に向けた計画的な予算執行およ び全学を挙げての経費削減努力の結果、教育研究活動によるキャッシュフローは、平成24 年度1,044百万円、平成25年度838百万円、平成26年度962百万円(見込み)と3期連続黒 字で推移しており、平成26年度末における次年度繰越支払資金は、587百万円を計上して いる。消費収支は、平成24年度254百万円、 平成25年度808百万円、 平成26年度120百万円(見 込み)の消費収入超過を達成できた。 歯学部の学生数が減少し、学納金収入が減収となるなか、附属病院、横浜クリニックと いう二つの病院の医療収入の増収に努め、この3年で非常に大きな成果を収めている。支 出面では、教職員の人員の大幅な見直しを行い人件費の抑制、また、研究費の精査、外部 資金獲得の奨励等、教育の質を担保したうえでの経費削減計画を段階的に進めてきた。教 育研究経費比率は直近平成26年度の決算において26.7%(見込み)である。 貸借対照表の状況は、平成14年に新設した横浜クリニック、教室棟、実習棟の機器備品 の減価償却が終了したため固定資産構成比率が下がり、ここ数年のキャッシュフロー改善 により流動資産構成比率が上がっている。流動比率は616.6%と全国平均と比べても高い 水準にあり、学校法人の永続性を担保できる水準で維持できている。退職給与引当預金率 ─ 118 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 は100%で毎年計画通り引当ができている。 短期大学部の収支は、歯科衛生学科は、平成24年度より学生募集状況が改善し、平成25 には資金収支で収入超過を達成、平成26年度には消費収支でも収入超過を達成できる見込 みである。しかしながら定員充足率は77.5%といまだ低い状況にあり、引き続き学生確保 に向けた募集活動を積極的に行っていく必要がある。看護学科は、学生募集の状況は毎年 良好であり、充足率は109.6%と非常に高い水準にあるが、神奈川県内では看護師養成機 関の開設が平成25年度は3校、平成26年度は3校と相次いで行われており、今後、新入生 の獲得競争が激化する恐れがあること、また、平成25年度より教員を増員したことにより 人件費が大きくなったことが今後の経営上懸念される。 教育研究用の設備投資については、 新附属病院の建設を視野に入れ、 長期的な視点に立っ た計画的な整備を進めている。特に平成26年度は、文部科学省、経済産業省の施設整備補 助金の申請を積極的に行い、法人としては合計2つの事業が採択され、スキルスラボシス テム、学内Wi-Fiの整備を行った。 資産運用については、平成21年に運用規則を改め、運用先の選定に関する手続きを明文 化し、手続きを厳格に定めた。現在、運用先の選定は、資産運用委員会で検討した結果を 理事会に答申し、承認を得るという手続きが必要となる。直近3年間は元本割れが想定さ れる商品への運用は行っておらず、運用財産の無リスク資産(定期預金)割合を高めると ともに、流動性を確保する方針のもと、安全性に配慮した資産管理を行っている。 (b)課題 予算編成方針及び予算執行方針を忠実に実行し、法人及び短期大学部の永続性を担保で きるようにすることが課題である。学生充足率の向上、教職員の質の向上そして教育環境 の整備が不可欠かと思われる。歯科衛生学科の学生募集状況が改善したことにより、短期 大学の収支は改善されつつある。しかしながら定員充足率は68.3%と未だ低い状況にある。 高い国家試験合格率をアピールするとともに、歯科衛生士の魅力についての広報を積極的 に行っていきたい。看護学科は定員を充足しているとは言え、出願者は減少傾向にある。 安定した新入生の確保のため、国家試験合格率の向上が急務となる。 [区分 基準Ⅲ−D−2 量的な経営判断指標等に基づき実態を把握し、財政上の安定を確 保するよう計画を策定し、管理している。 ] ▪ 基準Ⅲ−D−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)短期大学の将来像が明確になっている。 (2)短期大学の強み・弱みなどの客観的な環境分析を行っている。 (3)経営実態、財政状況に基づいて、経営(改善)計画を策定している。 ①学生募集対策と学納金計画が明確である。 ②人事計画が適切である。 ③施設設備の将来計画が明瞭である。 ④外部資金の獲得、遊休資産の処分等の計画を持っている。 ─ 119 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (4)短期大学全体及び学科・専攻課程ごとに適切な定員管理とそれに見合う経費(人 件費、施設設備費)のバランスがとれている。 (5)学内に対する経営情報の公開と危機意識の共有ができている。 (a)現状 法人として立ち上げた“将来構想委員会”において短期大学部の位置づけについて話し 合われている。平成24年4月以降文系学科を廃止し医療系学科の大学へと特化してきた。 歯科衛生学科は、平成24年度まで5年間にわたり国家試験合格率100%を維持してきたが、 平成25年度および26年度は受験生の内1人だけが不合格という結果であった。一方、看護 学科の国家試験の合格率は開校以来全国平均を下回っていたが、平成26年度は全国平均を 上回り、今後の見通しが立つ状況になっている。だが、看護学科の教員の定着率が悪く、 7年間でほぼ全員の教員が入れ替わった。また、附属病院が隣接されているが、総合病院 でないため看護学科学生が実習で他施設へ行かなければならない。 施設・設備関係支出については、優先順位をつけ、中・長期計画で整備を行っている。 医療系の大学法人としてその経営・財務を一体化し効率の良い学校運営に移行する準備が できている。法人全体から見ると短期大学部門の規模は学生数で5割弱、財務規模から見 ると消費収入で約10%、消費支出で約13%を占めている。つまり、短期大学だけでは収支 均衡は図れず、しかだい歯学部の収入に頼らざるを得ないのが現状である。 ここ数年における学生数は、看護学科は定員充足しているが、歯科衛生学科は平成18年 に定員割れを起こしてから徐々に伸びてはいるものの、未だ定員が充足されていない。 平成20年以降の財務状況に関しては、理事長自らが全教職員にその推移と現状の問題点 を説明し、情報の共有は十分できている。 (b)課題 今後の課題として、歯科衛生学科の学生確保(定員120名)と看護学科の国家試験合格 率のさらなる上昇が挙げられる。一方、人件費の抑制はここ数年できていないので、教育 研究キャッシュフロー以外の経費削減による財務体質の改善も課題である。また、歯科衛 生学科、看護学科共に教員の充実が課題である。つまり歯科衛生学科においては教員の年 齢構成に問題があり、看護学科に関しては教員の定着率に問題がある。 ▪ テーマ 基準Ⅲ−D 財的資源の改善計画 短期大学部だけでは収支がとれない状況が続いているという現実にどう対処していくか に全てがかかっている。その方法としては、現今の無駄を省き、人件費を抑制する以外に 有効な方策はないが、人件費を抑制すると有能な教員の応募率や定着率が低下するという 悪循環も考えられるので、この点の具体的な見直しが必要である。 [当該関係資料] (提出資料) №12 書式1 ─ 120 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 №13 書式2 №14 書式3 №15 書式4 №16 資金収支計算書・消費収支計算書 №17 貸借対照表 №18 中・長期の財務計画 №19 事業報告書 №20 事業計画書/予算書 №21 寄附行為 ─ 121 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ 基準Ⅲ 教育資源と財的資源の行動計画 「人的資源」についての行動計画として、各学科で次のように計画する。 [歯科衛生学科] 研究費確保のために外部資金・学外の補助金の獲得に積極的に応募できるような環境づ くりとして、 ①実習・実技科目の教員配置数の検討 ②外部資金確保の講習会参加 ③外部資金の情報共有 [看護学科] 専任教員が担当する授業科目数・時間数の不均衡が生じている。公平な授業時間の配置 が必要であるため担当時間数・コマ数の可視化を行う。本学が求める教員像の記載を明文 化し、実施可能な方策を検討する。 また、専任教員の研究活動について、 ①専任教員の研究活動計画、社会活動計画の可視化をはかり目標管理を導入する。 ②教員・学生相互による授業評価を行い、質の高い授業を構築するために効果的な授業 および授業改善計画を研究的視点で分析する。 ③歯学部、短期大学部共同によるFD活動、SD活動を計画的に実施し、教員の資質向上 を図る。 「物的資源」についての行動計画として、 年次計画として防災関連グッズ (非常食、 飲料水、 仮設トイレetc)購入のための予算計上を平成27年度は行う。また、これらグッズの保管 場所の確保と運用の仕方を関連部署と協議していく。 消防計画書の見直しを年度内に行い、 より現実にあった体制にしていく。 「技術的資源をはじめとするその他の教育資源」についての行動計画として、学内コン ピュータ整備の充実を図り学習環境の充実に繋げるために、各教室、研究室におけるネッ トワーク環境整備を行いたい。また、ネットワークの管理および情報に対するセキュリティ についての委員会設置、専門知識を有した人材の確保を検討する。また、多目的学習室の 設置は4号館教室の椅子及び机を移動できるように設備の改装を提言していきたい。 [歯科衛生学科] 実習室に設置されている歯科用ユニット、マニキンの老朽化が目立つため、学習効果を 上げるためにも、今後新たな購入も含め検討していく。 [看護学科] 模擬人体模型のコストの低い教材で、血圧測定トレーナー「あつ姫」の購入次年度は5 体を備えることを基礎領域から提案中である。使用するにあたっては学生が自主的に毎日 でも練習できるよう使用依頼表で申し込み、使用状況を提示して空き時間が把握できるよ うにする。 「フィジコ」は高価であるが期待される教材であるためより学生が自主的に自由に活用 できるよう「あつ姫」と同様の計画をして数年間で予算を捻出する。 「財的資源」についての行動計画として、税制の改正により教育資源に使える寄附を集 めやすくなったので、要件をクリアした段階で平成28年度以降に寄付金の教育資源への有 効利用について具体的に検討をする。 ─ 122 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ◇ 基準Ⅲについての特記事項 (1)以上の基準以外に教育資源と財的資源について努力している事項。 財政面から見ると、教育研究キャッシュフローの黒字は何とか死守している。医療系の 学校法人という立場から、各大学で共用できるものはなるべく共用し、管理経費等の諸経 費を圧縮して財務体質の健全化に努めている。 (2)特別の事由や事情があり、以上の基準の求めることが実現(達成)できない事項。 ここ数年歯科衛生学科の学生定員割れが続き学納金計画が立案できない。また、看護学 科教員の定着率が悪く人事計画が明確に実現できない。 ─ 123 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 124 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式9−基準Ⅳ 【基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス】 ▪ 基準Ⅳの自己点検・評価の概要 平成17年以降平成19年に渡って行われた本法人の投資の失敗および犯罪被害による急激 な財務状況の悪化が大学に与えた影響は様々な形で現れてきた。入学生の減少、理事の逮 捕、補助金の減額などである。 平成20年度以降文部科学省高等教育局私学部参事官室の経営改善5カ年計画に基づき、 理事長のリーダーシップの下、ガバナンスを強力に推し進め、平成24年度にようやく補助 金の減額が無くなった。ただし、経営改善計画はもう1年延長され、平成25年度をもって 経営改善がなされたと判定された。平成26年度は、通常の状態に戻り、補助金は満額支給 となり経営指標もA3評価となった。また、大学が私立学校法、学校教育法等関係法令を 遵守し、公的機関として公共・安全・信頼・自立を全うするためには理事会、評議員会の 担う役割は重要である。 一方、学務においては学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学をマネージメントで きるガバナンス体制の構築が求められ、 学校教育法の改正が行われた。それに伴い本学は、 学則を見直し、教授会規程の改定にも取りかかった。平成27年4月1日付で教授会が最高 の意思決定機関であるかのような内容を改め、学長が学務全般を総理する内容に改めた。 また、次年度より学部長職を廃止、副学長職を新たに設置し、学長の命を受け公務をつか さどる方向で作業を進めている。 正確な情報の下に、学長の方針を全教員が共有できるよう定期教授会にはすべての教員 参加を義務ではなく可能としている。また、教授会の一週間前に学部長が出席する教学委 員会を開催し、学長の方針の遂行をはかるため教授会へ向けた事前協議、審議を行ってい る。 監事は、学校法人全体の業務及び財務に関する状況を把握し、監査に基づく問題点等に ついて、理事会に出席し意見を述べることとしている。また、財務体質の強化へ向け、公 認会計士と意見交換、協議等を実行している。 大学における各々のリーダーシップは、適正かつ強力に発揮されており、内部の統制も なされているといえる。ただ、すべての組織において完璧にガバナンスが行われ、問題が 全く認められないということも新たな問題であるといえなくもない。そこで、内部監査室 の設置を計画し、自発的に問題を見出し、自主的に問題の解決が図れる組織とすることが 望まれる。 ─ 125 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅳ−A 理事長のリーダーシップ] [区分 基準Ⅳ−A−1 理事会等の学校法人の管理運営体制が確立している。 ] ▪ 基準Ⅳ−A−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)理事長は、学校法人の運営全般にリーダーシップを適切に発揮している。 ①理事長は、建学の精神及び教育理念・目的を理解し、学園の発展に寄与でき る者である。 ②理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理している。 ③理事長は、毎会計年度終了後2月以内に、監事の監査を受け理事会の議決を 経た決算及び事業の実績(財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告 書)を評議員会に報告し、その意見を求めている。 (2)理事長は、寄附行為の規定に基づいて理事会を開催し、学校法人の意思決定機 関として適切に運営している。 ①理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督している。 ②理事会は理事長が招集し、議長を務めている。 ③理事会は、第三者評価に対する役割を果たし責任を負っている。 ④理事会は、短期大学の発展のために、学内外の必要な情報を収集している。 ⑤理事会は、短期大学の運営に関する法的な責任があることを認識している。 ⑥学校法人は、私立学校法の定めるところに従い、情報公開を行っている。 ⑦理事会は、学校法人運営及び短期大学運営に必要な規程を整備している。 (3)理事は法令に基づき適切に構成されている。 ①理事は、学校法人の建学の精神を理解し、その法人の健全な経営について学 識及び見識を有している。 ②理事は、私立学校法第38条(役員の選任)の規定に基づき選任されている。 ③学校教育法第9条(校長及び教員の欠格事由)の規定は、寄附行為に準用さ れている。 (a)現状 理事長の職務については「理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する」と学校 法人神奈川歯科大学の寄付行為に明記されている。理事長は、大学法人のリーダーとして 経営責任を全うするため、強力なリーダーシップを発揮しその任に当たっている。また、 たえずステークホルダーを意識し、国家試験、財務、人事等に関して適切な判断と指示を 出している。 理事長は、建学の精神及び教育理念を絶えず念頭に置いて法人の発展と健全経営に寄与 している。また、理事長は、寄付行為の規程に基づいて理事会を開催し、学校法人の意思 決定機関として適切に管理運営している。また短期大学部に学長、学部長を置き、その運 営にリーダーシップを発揮している。理事である短期大学部の学長から学務に関する報告 を受け、特に学生数、国家試験合格率等に強い関心を持ちながらそれらを把握している。 短期大学部の運営に関する諸案件は、事務と学長、学部長が連携し、議案として理事会 ─ 126 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 に上程し、理事長決裁を受けている。 理事会は学内理事(理事長、学長含む)5名、歯科大同窓会から2名、有識者(学外) 2名の計9名による理事会構成となっている。理事の選任に当たっては、私立学校法第38 条の規程に基づいて行われている。 理事長は、毎会計年度終了後2ヶ月以内に監事の監査を受け、理事会の議決を経た決算 書(収支計算書、貸借対照表、財産目録)及び事業報告書を評議員会に報告し、意見を求 めている。 (b)課題 大学を取り巻くステークホルダー(在学生、卒業生、保護者、受験生、教職員、取引 先、地域社会など)の存在が、本学組織に緊張感を与えている。経営サイドとしては、理 事長のリーダーシップとガバナンスをもってこれらステークホルダーのニーズを満たして いくことが必要である。また理事会の構成メンバーの中にこれまで短期大学部関係者(学 長を除く)が含まれていなかったので、今後、経営判断を誤らないためにも、より正確な 情報を得るためにも短期大学部長の出席を義務付けし常勤理事と連絡協議会を月に一度開 催し、短期大学部における諸案件をさらに積極的に協議すること課題とされる。 ▪ テーマ 基準Ⅳ−A 理事長のリーダーシップの改善計画 現在3月、5月を除き毎月1回の理事会と理事連絡協議会を開催し、財務の改善、教育 の改善等に理事長のリーダーシップは十分に発揮されているが、さらに改善できる点を精 査し実行に移していく。 [当該関係資料] (備付資料) №33 理事長履歴書 №35 理事会議事録 №39 評議員会議事録 ─ 127 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅳ−B 学長のリーダーシップ] [区分 基準Ⅳ−B−1 学習成果を獲得するために教授会等の短期大学の教学運営体制が 確立している。] ▪ 基準Ⅳ−B−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学長は、短期大学の運営全般にリーダーシップを発揮している。 ①学長は人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学運営に関し識見を有すると認 められる者である。 ②学長は建学の精神に基づく教育研究を推進し、短期大学の向上・充実に向け て努力している。 ③学長は学長選考規程等に基づき選任され、教学運営の職務遂行に努めている。 (2)学長は、教授会を学則等の規定に基づいて開催し、短期大学の教育研究上の審 議機関として適切に運営している。 ①教授会を審議機関として適切に運営している。 ②教授会は、教授会規程等に基づき教授会を開催し、併設大学と合同で行う場 合には、その規程を有している。 ③教授会の議事録を整備している。 ④教授会は、学習成果及び三つの方針に対する認識を有する。 ⑤学長又は教授会の下に教育上の委員会等を設置し、設置規程等に基づいて適 切に運営している。 (a)現状 本学の学長は、理事会の議により選任し、これを教授会に報告し理事長がこれを任命 する規程となっている。最近は、神奈川歯科大学学長が兼任すること流れとなっている。 そこで、神奈川歯科大学学長選考規程に示された候補者の資格をみると「人格が高潔で学 識に優れ、教育行政に関する見識を有し、かつ、リーダーシップを発揮して本学の運営方 針を執行するとともに、責任を持って的確な学部等の運営を行うことができる者」となっ ている。現在の学長は、本規程に基づき選考された初めての学長である。神奈川歯科大学 学長と大学の運営上、最も重要な改革であるガバナンス改革が進行中であり、その中で特 に学長によるリーダーシップの確立が最重要課題となっている。この点に関して本学では 学校教育基本法の改正に伴い、既に関係する規定の見直しが終了し、学長のリーダーシッ プが十分に発揮できる体制が整いつつある。また、それを補完する意味で新たに副学長を 選任し、大学の方針、学長の意向が速やかに学生教育の現場に伝達されるようなシステム を構築した。 教授会については、法改正に伴い学則変更を行い教授会の役割を明確にした。具体的に は、学長が教育研究に関する重要な事項に関する決定を行うにあたり意見を述べるという 役割と、教育研究に関する事項の審議し、学長の求めに応じて意見を述べることができる 役割を区別し、対応することとした。以上の役割を持つ本学教授会は、毎月1回定期的に 開催している。出席者について規程上「学長、副学長、教授、准教授、専任講師、事務局 ─ 128 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 長」となっているが、多くの教員が学長の方針、正確な情報の共有を可能とすべく全ての 職位(准教授、講師、助教、助手)の出席を可能としている。議事録は毎回指名された議 事録署名人の署名後、教学部にて保存している。 また、教学運営を管轄する委員会として教学委員会を教授会前に開催し、必要な事前協 議、審議を行っている。さらに、スピード感のある教育改革を遂行するため、学長のリー ダーシップの下、教育改革プロジェクトを立ち上げ、教学委員会とは別の構成委員により 新たな視点での教育改革を強力に推し進めている。 (b)課題 学校教育法の改正に伴う教授会の改正は、 学則変更を含め前述のように実行してきたが、 具体的規程の教授会規程の改正が不十分な状態にある。早急に改めなければならない。 教授会において、各教員がアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロ マポリシーに対する認識を有し、それを前提に審議等が行われているとは言いがたい。そ のために、この3方針を認識するよう具体的な検討を行わなければならない。 本学の教育上の諸問題に対しては教授会で必要な審議を行い、その際、学長、もしくは 副学長のリーダーシップが的確に発揮できるような態勢が整備されている。ただ、教育改 革が実効性のあるものとなるには教員一人ひとりの意識改革が不可欠である。そこで両学 科会を活性化することが必要である。そして、学科毎の問題点、あるいはその解決策を教 学委員会でさらに審議を尽くすことで両学科共通の問題点を見定め、それを全学的な改革 のエンジンとしなければならない。 ▪ 基準Ⅳ−B 学長のリーダーシップの改善計画 本学は、法人を中心に大学のガバナンス改革を行ってきた。その中に学長のガバナンス 改革も含まれており、その目的は学長のリーダーシップのもとに教学業務を進めていくこ とにある。学長選考の改革、教授会の改革という大きな改革により、学長のリーダーシッ プは従来に比べ格段に強化されつつある。組織、制度面では確実に進捗しているものの、 教職員の意識が追いついていない現状がある。この意識を刷新することができて初めて学 長のリーダーシップの本領が発揮されるものである。 本学は医療系2学科に特化させた小規模短期大学であることから、幸いにも学長と教職 員間の距離は近いため、今後積極的な意識改革を行うことで、比較的容易であると考えら れる。これを進めていきたい。 ─ 129 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [テーマ 基準Ⅳ−C ガバナンス] [区分 基準Ⅳ−C−1 監事は寄附行為の規定に基づいて適切に業務を行っている。 ] ▪ 基準Ⅳ−C−1の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)監事は、学校法人の業務及び財産の状況について適宜監査している。 (2)監事は、学校法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述 べている。 (3)監事は、学校法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を 作成し、当該会計年度終了後2月以内に理事会及び評議員会に提出している。 (a)現状 監事は、平成26年度開催の理事会に出席し、諸案件に対して意見を述べている。また、 学内各部署における業務監査を実施し、学校法人の業務及び財産の状況を把握している。 なお、学校法人の業務及び財産については毎会計年度に、監査報告書を作成し、それを当 該会計年度終了後毎年5月末の理事会、評議委員会に提出している。また、公認会計士と 意見交換をし、より良い財務体質になるよう協議をしている。 (b)課題 今後、法人役員(理事・監事)の経営能力の向上が求められ、その責任にふさわしい実 力を修得することが課題だと言える。また、学務に関しては、国家試験という医療系大学 に特化したシステムがあるので、その合格率と教育力の検証も課題と言える。 監事による定期的な業務監査に加えて、内部監査室による監査、会計監査の三監査体制 を確立して、より公正性、透明性を図ることが課題と言える。 [区分 基準Ⅳ−C−2 評議員会は寄附行為の規定に基づいて開催し、理事会の諮問機関 として適切に運営している。] ▪ 基準Ⅳ−C−2の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)評議員会は、理事の定数の2倍を超える数の評議員をもって、組織している。 (2)評議員会は、私立学校法第42条の規定に従い、運営している。 (a)現状 評議員会開催日:平成26年5月29日㈭ 平成25年度決算について 平成26年10月30日㈭ 新附属病院の建設について 平成27年3月26日㈭ 平成27年度予算について 評議員は、第一号評議員7名を教職員から選出、第二号評議員7名を卒業生から選出、 第三号評議員7名を学識経験者から選出し、合計21名で評議委員会を構成している。した がって、理事の定数9名の約2倍で評議員会を構成している。 ─ 130 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (b)課題 通常年に2回の評議委員会が開催されており、活発な意見交換がされているが、事前に 資料等配布できていない点が課題である。 ] [区分 基準Ⅳ−C−3 ガバナンスが適切に機能している。 ▪ 基準Ⅳ−C−3の自己点検・評価 ※[当該区分に係る自己点検・評価のための観点] (1)学校法人及び短期大学は、中・長期計画に基づいた毎年度の事業計画と予算を、 関係部門の意向を集約し、適切な時期に決定している。 (2)決定した事業計画と予算を速やかに関係部門に指示している。 (3)年度予算を適正に執行している。 (4)日常的な出納業務を円滑に実施し、経理責任者を経て理事長に報告している。 (5)計算書類、財産目録等は、学校法人の経営状況及び財政状態を適正に表示して いる。 (6)公認会計士の監査意見への対応は適切である。 (7)資産及び資金(有価証券を含む)の管理と運用は、資産等の管理台帳、資金出 納簿等に適切な会計処理に基づいて記録し、安全かつ適正に管理している。 (8)寄付金の募集及び学校債の発行は適正である。 (9)月次試算表を毎月適時に作成し、経理責任者を経て理事長に報告している。 (10)学校教育法施行規則、私立学校法の規定に基づき、教育情報を公表し、財務情 報を公開している。 (a)現状 理事長を中心に理事会による法人全体の経営体制、統治システムを改革し、主に経営基 盤の充実、教育基盤の整備を行っている。前年度末に評議員会で決定された事業計画及び 予算を新年度明けに各部署へ通知し、適正な運用をするよう指示をしている。毎月実施さ れる理事会に財務課から月次報告がなされ、 日常的な出納業務をチェックしている。また、 会計士と監査人との業務打ち合わせを5月の決算評議員会前に行っており、有効な意見交 換がされている。学長、学部長を中心に教授会が組織され、短期大学部の教育に関して適 切に運営されている。事務組織は、教務担当部長、学生担当部長はじめ教員組織を支える 協力体制のもと人事管理が適切に行われている。情報開示は、大学ポートレート及び大学 独自のホームページをはじめ多くの手段を用い行っている。 (b)課題 学生確保に繋がるような効率の良い予算の配分、執行が求められる。また、歯科衛生学 科の実習施設が老朽化し、卒業後、多くの学生が勤務する歯科医院の設備と異なるので、 実習設備の更新も課題といえる。 ─ 131 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ テーマ 基準Ⅳ−C ガバナンスの改善計画 課題はあるものの、監事、評議員のガバナンス機能が十分働いているので、現状での早 急な改善を必要とする計画は無いが、内部監査室の設置を計画している。 [当該関係資料] (提出資料) №3 公式HP (備付資料) №35 理事会議事録 №38 内部監査報告書 №39 評議員会議事録 ─ 132 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ▪ 基準Ⅳ リーダーシップとガバナンスの行動計画 理事長と短期大学部学長は適正なリーダーシップを発揮し、神奈川歯科大学短期大学部 を運営している。社会状況の変化やそこで求められる人材養成のニーズに対応しながら本 法人及び短期大学部を安定的に経営するために、今後もリーダーシップを発揮し続ける。 ◇ 基準Ⅳについての特記事項 (1)以上の基準以外にリーダーシップとガバナンスについて努力している事項。 新執行部になってここ5年間、理事長のリーダーシップとガバナンスにより法人の財務 体質が帰属収支差額の赤字体質から抜け出て、健全経営体質へと脱皮することができた。 この前例を踏襲し、より健全化を目指し、 理事長のリーダーシップのもと教職員一丸となっ て目的意識を持って努力している。 (2)特別の事由や事情があり、以上の基準の求めることが実現(達成)できない事項。 特にない。 ─ 133 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 134 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式10−教養教育 【選択的評価基準】 教養教育の取り組みについて ▪ 以下の基準(1)~(4)について自己点検・評価の概要を記述する。 基準(1) 教養教育の目的・目標を定めている。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 教養教育については基礎分野の「導入科目」 「科学的思考の基礎」 「人間と生活」と選択 必修分野の「基礎分野」に科目を設定し、目的・目標を定め、学生がいつでも閲覧できる ようにシラバスに記載している。「海外事情」は看護学科と共通の教養教育で、台湾の高 雄医学大学、韓国の新丘大学と国際交流を持ちながら、本学学生にアジアの医学情報、ア ジアの学生に日本の医学情報を伝達し、相互理解に努めている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 教養教育の目的・目標を初回授業で提示しているが、授業回数が多くなるにつれ目標を 忘れがちになるので、教材・パワーポイントなど毎回の授業構成に入れて繰り返し伝達す ることが目標到達に繋がると考える。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 教養教育について、他大学の取り組みを参考にしながら看護学科、歯科衛生学科で共通 カリキュラムができるように、改善していきたい。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 本学では、教育目的に「建学の精神を基礎として、学生の個性を尊重した教育により学 問技術を修め、人間性に溢れた教養と常識を体得した学生を社会に送り出す」と明記し、 ディプロマポリシーの中にも「豊かな教養・知性・英知を備え、患者・地域住民・他医療 職とコミュニケーションをとることができる」人材の育成を掲げている。 看護学科の教育理念としても、「幅広い視野で人間を理解できる教養と良識を備え、専 門職業人としての倫理観を育み、科学的根拠に基づいた心あたたかい看護を実践できる基 礎的能力を身につけた看護師を育成する」ことを掲げ、教養教育を基盤に看護の基礎的能 力を身につけた看護師を育成すること目的としている。 このように本学の教養教育は、それを基盤として医療の専門教育に発展するという特性 をもち、教養教育の目的が教育理念の中に包含された形で示されている。 一方、看護学科の教育目標については、臨地実習要項の中に幅広い視野で人間を理解で きる教養を基盤として専門職業人を育成するための7項目を設定している。目的と同様に 目標に関しても、教養教育のみを取り上げた記述とはしておらず、医療専門職を育成する ための基盤として教養教育を位置づけている。 ─ 135 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 教育理念・教育目標が、ホームページ・学生便覧・シラバス・臨地実習要項等に分散し て示されているために全体像がわかりにくいので、わかりやすいものにするのが課題であ る。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 本学の建学の精神に基づくカリキュラム作成過程についての内容配置図を検討し作成す る。内容配置図は、教育理念・教育目標・アドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ ディプロマポリシーを含んだ内容のものとする。 そしてそれを、いかに公表するかの検討もする必要がある。また、教育理念・教育目標 と教養科目の関連が把握しやすいものにする必要があるので、 学生が把握しやすいように、 シラバスに明記する。 基準(2)教養教育の内容と実施体制が確立している。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 学科独自の教養科目は導入科目の「スタートアップセミナー」で、2名の教員が担当し ている。高校までの学びを基礎に、短期大学での専門科目にスムースに移行できるための 学習スキルを習得させる。読解力、傾聴力を身につけ、3年間の学生生活を充実させる。 語学教育については、各学年でステップアップしていくように配置した。特に医療系に特 化した学科なので医用英語を2年生で行い、診療室で使用される英単語、医薬品の情報、 機器の取り扱い説明書等を読めるようになることを目的としている。 「海外事情」のアジ ア地域では、台湾の高雄医学大学と国際交流を実施しており、また韓国の新丘大学の学生 との交流と相互の医療事情を学ぶ科目を設定している。 「生物学」 「化学」は、 医学(歯学) を学ぶはじめの一歩としている。選択必修分野の基礎分野では、 「健康とスポーツ」 、 「情 報リテラシー」、「手話」を開講している。 「健康とスポーツ」は個人の健康と体力を自主 的に管理する能力の育成、 「情報リテラシー」は医療人としての情報収集・処理・発信能 力を身につけることを目標にしている。基礎学力を伸ばすため、「リメディアル教育(補 修教育)」 を行い、学生が自学自習できるように環境を整えている。 また、基礎分野、選択必修分野の授業科目を含む97単位を修めることを卒業要件カリキュ ラム構成としている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 教養科目が1年生に集中しているので、1年次に単位がとれなかった場合の対応策を考 え、カリキュラム改正時に2・3年で受講できる科目を設定することが必要と考える。ま た、本年度のリメディアル教育は「マナーについて:安心感と信頼感が伝わる~医療接遇 を学ぶ~」を実施した。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 今後はコストと授業内容をさらに検討し、新入生が専門科目にスムースに入れるような ─ 136 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 教養科目の設置が必要である。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 教養教育の内容は、将来の看護専門職となることに鑑み、その資質として必要な人間理 解に向けた基本的素養を習得するための内容としている。具体的な授業科目として、1年 次に履修する基礎分野「スタートアップセミナー」 「情報リテラシー」 「論理と文章表現」 「英 語Ⅰ」「英語Ⅱ」「人間関係論Ⅰ」「人間関係論Ⅱ」 「哲学」 「倫理学」 「人体の構造と機能入 門」を必修科目として位置付けている。さらに教養を深める内容として「統計学」 「心理 学」 「英語Ⅲ」「海外事情Ⅰ」「海外事情Ⅱ」 「健康とスポーツ」を選択科目として設定して いる。これら基礎分野の授業科目から必修10単位を含む13単位以上を修めることを卒業要 件とし、教養を高めるためのカリキュラム構成としている。 看護師国家試験受験資格を得るためには、履修単位の合計が97単位以上で、保健師助産 師看護師学校養成所指定規則等に規定する基礎分野、専門基礎分野、専門分野Ⅰ、専門分 野Ⅱ及び統合分野の単位数及び時間数を概ね満たすという条件があるため、教養科目の更 なる設定が困難であるのは否めない。しかしながら、短期大学部内の看護学科と歯科衛生 学科で独自に行われている教養教育科目のうち、他学科が受講可能な科目の検討など学生 が幅広く教養が得られるような教養教育の在り方についての検討の余地はある。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 看護学科カリキュラム委員会においては専門分野の教育内容についての検討が主になさ れているが、教養科目と専門科目での教授内容の関連性や教養科目が1年次に集中してい るという問題についても検討していく必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 教養科目と専門科目の関連性を明確にするために各授業科目のナンバリングを実施し履 修系統図を作成する。教養科目が1年次に集中しているので2年次に移行できる教養科目 がないかの検討を行う。他学科で受講可能な科目について検討していく。 基準(3)教養教育を行う方法が確立している。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 毎年非常勤講師会を設け、教養教育担当教員と教育の方法について議論し、専門科目と のすり合わせをしている。内容については、全国歯科衛生士教育協議会より発行された歯 科衛生士のコア・カリキュラムを参考に実施している。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 教養教育を受講することで学生の授業への態度・習熟度が専門科目へどのように反映し ているか評価し、検討を加えることで専門科目への到達度が明確になるのではないかと考 える。また、講義形式を参加型の授業形態に変えることにより、学生が意欲的に授業に取 ─ 137 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 り組めるようにする必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 教員間の相互評価のために授業参観を行なっているが、更に教員の授業法を向上させる ため、FD委員会を中心にアクティブラーニングを考慮した授業方法を取り入れる必要が ある。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 教養科目は入学初年度に多く設置されており、しかもこの時期の科目内容はその後の学 修成果に少なからず影響するので重要である。その考えのもとに、高校生から大学生とし ての自律的な学習習慣へ円滑に移行できることを意図して、入学前にリメディアル教育を (1日ではあるが)実践している。また入学後には教養科目として 「スタートアップセミナー (15時間1単位)」を開講し、大学生としての自律的な生活や学習習慣の確立を目指してい る。 学士力形成のために「教育パラダイムから学習パラダイムへの転換」が求められている 中、本学においても学生が能動的に授業に参加できるような授業設計に取り組む必要があ る。教養科目の教育方法の中にも、旧来の講義形式から学生が主体的に授業に取り組める ような演習形式が授業方法として多く取り入れられている。また、次年度から運用するシ ラバスのフォーマットの変更に全学で取り組むことができた。フォーマットには、これま で学生に提示されることがなかった毎回の講義に必要な予習復習内容や時間、重要なキー ワードが明確に示されている。 また、教員への授業公開を実施し、教員授業参観報告書を授業者に戻すシステムを活用 し、教員の教育力向上を図っている。今年度は、教養教育に携わる教員の教育方法に関す るFD学習会が2回開催された。そこでは、 学習者中心のカリキュラム・プランニングをテー マにしながら学生が能動的に授業参加する方法論について学習した。現状では、FD研修 会で学習した内容について各授業者が今後の導入を検討している段階である。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 新シラバス運用後の評価・検証をする必要がある。教育方法に関するFD研修会を継続 して開催していく必要がある。 次年度から新たなシラバスを用いて授業展開し、その後の評価・検証を行っていくこと が課題といえる。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 新シラバス運用後の評価を授業評価アンケート、学生生活アンケート等から把握する。 FD委員会を中心として、学生が能動的に授業に参加できるような授業設計に取り組むた めの学習会を企画していく。 ─ 138 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 基準(4)教養教育の効果を測定・評価し、改善に取り組んでいる。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 教養教育の効果は、授業態度およびレポート、小テスト、本試験で評価測定している。 また、学生が授業内容により一層興味が持てるように教材・プレゼンテーションの方法を 吟味しながら、学習を進めている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 学生の授業評価アンケートから学生の要望について聞き取り、早急に改善できるものか ら実施する必要がある。選択する学生の少ない科目についての授業内容および方法につい て検討する必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 学生がより一層興味を持って履修できる授業を提供できるように、カリキュラムの見直 し、新科目の設置を考える必要がある。教養科目は常識・良識のある将来の社会人になる ための基本となるので、トータルな視点からも吟味、検討する必要がある。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 教養教育の効果を測定する取り組みとして、各授業者は、終講時に必ず学生からの授業 評価アンケートを集計し、授業の改善を図ることが義務づけられている。アンケート用紙 は、授業形式に準じて「講義」、「演習」 、 「実習」に分けられており、各授業者が学生にア ンケートの趣旨を説明し回答を依頼している。そして、学生からの評価に対する、各授業 者の改善計画を開示するシステムがとられている。 また、アンケート項目の見直しがこれまで実施されていなかった。次年度に向けて目的 に応じた適切な項目なのかの検討が始まった段階である。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する ①教養教育全体としての教育効果の測定・評価を行う必要がある。 ②アンケート項目の妥当性・適切性の検討をする必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 ①教養教育全体としての教育効果を如何に評価していくかを検討する。 ②教学委員会を中心に、授業評価アンケートの内容を検討する。 ─ 139 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式11−職業教育 【選択的評価基準】 職業教育の取り組みについて ▪ 以下の基準(1)~(6)について自己点検・評価の概要を記述する。 基準(1)短期大学における職業教育の役割・機能、分担を明確に定めている。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 歯科衛生学科は、歯科衛生士になるための「職業教育」を基本に、教員が学生に対して 卒業後の社会で歯科衛生士として活躍できる能力の育成を実施している。教員は学科の独 自性を生かすために、学生約10名にチューター1名を設け、キャリア支援を行っている。 就職のための履歴書の作成アドバイス、面談のサポート等を行っている。全学を横断する キャリアサポート委員会が中心になり、職業教育の講習会を実施し、社会人の素養を育成 するための取り組みがなされ、職業教育の役割・機能・分担を明確に定めている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 2年毎にリカレント講座を設けて、 卒業生へのサポートも実施している。 講座内容もニー ズに応えられるような設定で実施していきたい。 歯科衛生士国家試験の学修のために、就職活動開始時期が遅くなる傾向がある。3月の 卒業式後でも就職先が決定していない学生がみられる。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 歯科衛生士の求人票開示を早め、3年生の10月~ 12月頃に就職活動が行える環境にす ることで学生が精神的にも余裕が持て、翌年の3月実施の歯科衛生士国家試験にスムース に移行できると考える。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 高齢社会となり、医療職に求められるニーズはますます高まっている。現在、入院患者 の大半は高齢者で、治療のために入院し、せん妄を生じて容易に重症化し認知症を発症す る場合もある。治療はますます複雑となり高度化しつつある現状に対して、患者を支援す るために多くの職種が協働する体制が取られるようになった。看護師の力は今後ますます 必要となってくる。本看護学科の教育理念が心あたたかい看護師を育成することであると いう点において、このような高齢社会に十分適応していると言える。 看護師になることを希望して入学した学生が全員国家試験に合格し、看護師資格を取得 することが、看護学科における職業教育の基本的な役割である。チューターは、3年生が 看護師国家試験に合格できるように、学習状況、体調面、心理面等ついても支援している。 看護師国家試験では科学的思考が要求されている。科学的思考を培う授業は、2年次後期 の看護過程の演習によるところが大である。看護過程の演習で関連図を記入しながら、科 ─ 140 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 学的思考の修得を目指している。看護過程の演習は自力での学習であり、ゆっくり考える 時間が必要である。学生は、専門的知識をもとに看護過程を展開するための科学的思考に 不慣れであり、学生の多くが納得理解できるようになる前に他の科目の看護過程の演習が 開始される状況となっている。 資格取得後、臨地実習施設の病院に就職している卒業生に限定してみると、就職後から 同一病院に勤務し、卒業後5~6年目で実習指導者となっている者が2名いる。また、学 会発表した者も1名いる。このように先輩卒業生が活躍している中で、 平成26年6月には、 新卒者10名近くが同じ病院を同時に退職したという現実もある。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 ①看護教員は1人で授業、実習指導、学生指導、病院を含む実習施設との打ち合わせ、職 業教育のための委員会への出席等の役割を担っており、チューター生の話を聞かなけれ ばならない時に不在ということがある。このようなとき、その学生は在室している他の 教員と話すことで満足できている。しかし、チューターが担当学生と信頼関係を築くた めにも、十分に学生と向き合う時間を確保する必要がある。しかし、チューターの役割 は多重であるため、それを軽減する必要がある。 ②学生が納得理解して進むことができるようなるために、各領域の看護過程演習の日程を ずらす必要がある。 ③専門職業人として働き続ける意志を持ち続けられるように、また、少なくとも3年間は 同じ病院で勤務できる看護師を育成する必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 ①チューターの役割を軽減・整理して明文化するとともに、学生と関わる時間をできるだ け多く確保し、学生に明示できるようにする。 ②各領域の看護過程演習の日程が重ならないような日時調整をする。 ③就職する病院に関する学生との面接時に、3年間は勤務できる病院を選択すること及び その利点を説明する。 基準(2)職業教育と後期中等教育との円滑な接続を図っている。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 職業理解のための説明会や出張授業(歯科衛生士の仕事内容、適性、実態、その職に就 くまでのルート、必要な資格取得方法など)の要請があれば積極的に参加するようにして いる。要請内容によっては来校して頂き、教員が説明と簡単な授業を行うなど需要にあっ た対応を心掛けている。近隣や本学入学の実績がある高校には定期的に本学教員が訪問し、 進路担当高校教員に歯科衛生士、看護師の仕事内容、資格取得方法、難易度、学校生活の 様子等を説明して理解を深めて頂き、生徒からの医療系進学相談等に役立てて頂けるよう にしている。オープンキャンパスでは、毎回テーマを変え、実際に行われる授業を高校生 向けにアレンジし、歯科衛生士、看護師の仕事に結びつく内容の模擬授業を行っており、 歯科衛生学科では、歯学部と合同で、歯学部の基礎実習室を利用して歯科医師希望者、歯 ─ 141 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 科衛生士希望者がペアになり歯科機材を使用した模擬実習を行っている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 高校時から将来の職業選択の範囲を広げるためには、中等教育における職業教育の認知 は不可欠である。社会的に見ても看護師、歯科衛生士は不足しており、本学はその需要を 満たすべく優秀な卒業生を輩出することが使命である。その達成のためには看護師、歯科 衛生士が職業として認知される必要があり、その意味でも職業教育と後期中等教育との円 滑な接続が重要である。看護師の仕事、不足状況は社会的に認知されているが、歯科衛生 士に関しては認知度は低い。高校訪問時に説明をしても、歯科衛生士に関しては、仕事の 内容、やりがい、歯科助手との区別、実働者が少なく求人倍率が高いことなど、将来の職 業選択にとって重要な点が高校側に十分把握されていない感があり、そのため面談等でも 医療系希望者にあまり薦められていないようである。希望が少なければ職業教育の機会も 減る。だが、生徒が職業を選択する上で選択肢は多くある方が望ましく、 そのためには様々 な職業教育の機会が必要なので、本学が特定の学校と協定し、看護師、歯科衛生士の職業 教育を担当することはしていない。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 ①高校教員対象説明会等において歯科衛生士という職業内容、社会貢献度、本学における その職業教育の現状等についての説明を強調する。 ②職業教育とさらなる接続を図るために、高大連携を拡大し、活用する。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 本学では、学位授与の方針に基づき、実践的な職業教育、専門的能力の獲得を目指すた めに、地域の高校と密接に連携(高大連携)を図り、出前授業・進学相談・職業説明、短 期大学フォーラム等に積極的に参加して職業教育への取り組みを実施している。また、入 学者の職業教育の発展に留意し、高等学校までの既習事項を活用した入学前教育を実施す るとともに、予備知識、基礎学力、職業意識の向上を目指して後期中等教育と円滑につな がるようにしている。 本学では、オープンキャンパス等の学生募集を単なる学校案内としてではなく、職業の 内容・意義を教育する機会、学生生活のイメージ化を図る機会ととらえている。学生募集 要項、短期大学案内、高等学校の訪問等において入学者の受け入れ方針を明示し、説明す るとともに、オープンキャンパスでは入試案内に限定せず、看護専門職業人としての役割・ 業務内容、短期大学卒後後の就職先、入学後の歯科衛生学科および歯学部との連携授業の 実施等、本学独自の体験授業や学科紹介をしている。そして入学後には、歯科衛生学科お よび歯学部との連携授業が行われている。 高等学校からの要望に対しては、高校生が看護専門職業人になるためのコースの紹介、 仕事内容、短期大学での学び、就職先、どのような職業能力を身につけることができるの か、看護師の適性、生活実態等のガイダンスを活用して高等学校に出向き、またそれによっ て高大連携を図っている。模擬授業を通して学科の学びがどのように看護専門職と結びつ ─ 142 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 いていくのかを高校生が具体的に知るために、 看護領域ごとに特色を活かした授業を行い、 職業教育への理解を深める一助としている。 高校訪問の際に高校の教員に対して、高校までに学習してきた数学の計算問題が看護の 点滴管理や酸素管理の計算に不可欠なので、大学入学前に数学の計算問題の学習強化を図 るよう提案した。そして一部ではあるがこの提案を受け入れてもらえ、入学前に計算問題 を追加する高等学校もみられる。本学では、特に指定校推薦の推薦枠で入学した学生の基 礎学力低下、つまり上述の計算能力だけでなく、国家試験問題の読解力の基礎となる国語 力の低下もみられるため、職業意識、基礎知識の向上を図り、入学後の初年次教育に円滑 につながるように取り組んでいる。 入学後初期に、本学の3年間の学修生活のイメージ化を図り、本学の大学生として主体 的に課題を解決するための、社会人基礎力を養うために、15時間の「スタートアップセミ ナー」を実施している。平成27年度から本学のディプロマポリシーやカリキュラムポリシー と関連させて「スタートアップセミナー」を実施する。大学や学科で求められる人物像や 能力を意識することで入学後教育への導入が容易になると考える。早期から各自の明確な 職業意識や目的意識を認識でき、退学者数も減少でき、職業意識を向上する教育が期待で きる。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 ①年間9回のオープンキャンパスで職業教育と後期中等教育との円滑な接続が十分図られ ているとはいえない。 ②1年生の指定校推薦入学者の多くに数学計算力の低下がみられる。 ③学力低下・学習意欲低下・職業意欲低下・職業目的低下による留年者や退学者が増えて きている。 ④職業教育への移行をスムーズにするための基礎学力が低下している。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 基礎学力や学習意欲の低下により在学途中で留年や退学する学生も少なくないため、早 期に施設見学や個別相談を設け、本学への理解・職業意識・目的意識・学習意欲を高め、 大学での学習の導入をスムーズにできるようにしておく必要がある。 入学前に数学の基礎的な計算力をつける必要がある。そのためには、学生に課題を提示 し、既得知識を確認し、そのもとにテストを行うなどして定着を図る必要がある。 入学者に早期に、学習習慣や学習時間、アルバイトなどのアンケート調査をして学生の 特性を把握し、早期に個別的な学習支援を行い、学習意欲低下・学力低下による留年者や 退学者を減らす必要がある。 1年次から年間計画で国家試験対策の実施および再試験、人体の構造と機能の補講など により学習意欲の向上や学習習慣の継続化を図り、基礎学力をつける必要がある。 基準(3)職業教育の内容と実施体制が確立している。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 ─ 143 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 職業教育の内容は、キャリアサポート委員が委員会での議論を各学科にフィードバック し、 就職状況や職業教育について共有することで教育の場に生かせるように配慮している。 教員は毎月1回の学科会で情報交換をし、職業教育の資質向上に取り組んでいる。その結 果、卒業生のほぼ全員が歯科衛生士として活躍している。その内訳は90%が一般開業医で ある。最近は周術期の保険点数が歯科衛生士に付与されたことから附属病院の求人も増え、 求人倍率は18倍に上り、初任給は23万円~ 24万円と4年制大学卒業生よりも良い条件で ある。また、次年度はリカレント教育を実施し、卒業生のためのキャリアアップに貢献す る予定である。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 職業教育のための専門家を置き、常時学生対応ができるようにしておくことが望まれる。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 職業教育のための就職部またはセンターを設置して、教育・就職・復職支援等を行うこ とで現役の学生・卒業生にサービスの提供が行えるようにしていく。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 看護学科の教育内容は、資格取得を目的としたカリキュラムで編成し、実施体制は確立 している。 職業・進学相談をキャリアサポート委員会が担当し、就職活動に関するガイダンス、病 院就職説明会の開催、看護職の役割と現状等について、各学年の学生に指導するとともに、 3年生には就職支援活動を行っている。就職の際の推薦書は学科長が記載しているが、こ のことを除いて、教員と教学部からなるキャリアサポート委員会が、全学生に対する求人 情報の紹介や、就職試験に関わる指導全般を行うとともに、就職の内定状況などを管理し ている。就職支援活動としては、学内の教員に加え、リメディアル教育の中で、外部講師 による接遇マナーについての講義も行い、早期から職業意識の確立を図っている。 就職に関して、学生はチューターの教員とも個々に相談できるようになっており、全教 職員が連携して支援を行っている。またチューターである教員間でも、各領域実習施設な どの情報を連絡し合い、就職先の情報交換を行っている。 また実習施設で働く指導者を学内演習に招いて臨地実習での連携を図り、効果的な実習 ができる機会としている。さらに学生の統合実習は、病棟スタッフの役割ごとのシャドー イングや、専門医療チームの活動と夜勤帯の実地体験をすることで、卒後のリアリティー ショックへの対応を考慮した内容となっている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 職業教育の成果である免許・資格を取得できない学生がいる。看護学科の職業教育の学 習成果は免許・資格を取得することで達成できることを、入学当初から学生が意識できる ような、指導方法を検討する必要がある。 3学年においては、国家試験対策の内容も、単に授業の補習ではなく、実践を意識した ─ 144 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 効果的な学習が出来るようにする必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 ディプロマポリシーに沿った人材をどれほど輩出させたか、その客観的評価は今のとこ ろ難しい。しかし、就職先での本学出身の学生の評価(ステークホルダー調査)や卒業生 に対する「学生時代についてのアンケート(卒後評価) 」等の調査を分析し、それを積極 的に本学の看護教育へフィードバックし、活用していく。 さらに、学修効果としての国家試験合格率の向上と看護師という職業人としての資質の 向上を図れる具体的な評価方法を確立していく。 基準(4)学び直し(リカレント)の場としての門戸を開いている。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 系統立てた取り組みは十分ではないが、 歯科衛生士免許取得者を対象とした「復職支援」 としてリカレント教育を行ってる。平成25年度は、 8月25日㈰に、 『すぐに役立つ最新のフッ 化物臨床応用』、 『歯周治療を確実に行う方法とさまざまなメインテナンスの対処法』 のテー マで『歯科衛生士のためのリカレント講座 2013』を開講し、30名の受講生を迎えた。リ カレント講座は2年に一度の開催であり、平成26年は、歯科衛生学科、看護学科合同で8 月10日㈰に『平成26年度 ブラッシュアップ講座』 (日本歯科大学口腔リハビリテーショ ン多摩クリニック勤務、神奈川歯科大学短期大学部歯科衛生学科客員教授 水上美樹先生 『口腔リハビリテーションクリニックにおける歯科衛生士の行う摂食機能療法』 )が開講さ れ、受講生は48名であった。平成27年度は8月にリカレント講座を計画している。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 現在は2年に一度の実施で学び直しの機会が少ない。 歯科衛生士の就業の場も多様化し、 求人が増加することが予想されるが、 社会的に歯科衛生士が不足しているのが現状である。 歯科医師会や歯科衛生士会の関係者を集めて「歯科衛生士復職支援対策協議会」も開催さ れるなか、ニーズに確実に応えられるよう最新の情報を取り入れながら、さらにリカレン トの場を充実させることが本学の課題と考える。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 歯科衛生学科では、リカレント教育の場のさらなる充実が必要である。 講義・実習内容や開講時期の検討だけでなく、広報活動についても検討していく。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 平成26年には歯科衛生学科と合同で『平成26年度 ブラッシュアップ講座』が開講され た。平成27年度は、8月にリカレント講座を計画している。 ─ 145 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 実施及び内容については今後の課題である (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 学び直しの機会として再就職希望者や現職の看護師が多く参加できるような内容、開講 時期の検討を行う。また、本学の特徴を生かした入院患者の口腔ケアなど、歯科衛生士と 共通する内容を取り上げていく。 基準(5)職業教育を担う教員の資質(実務経験)向上に努めている。 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 職業教育の場として歯科衛生学科は、神奈川歯科大学附属病院メインテナンス科を歯科 衛生学科の主導で開設した。科長は歯科衛生学科准教授・チーフ歯科衛生士は講師、専任 の歯科衛生士は助教2名を配置した。臨床実習ⅠおよびⅢの学生実習の臨床教育の場でも あるが、歯科衛生士教員も臨床の現場として患者に接することで、資質向上に努めている。 また、歯科衛生士教員は全国歯科衛生士教育協議会主催の歯科衛生士専任教員講習会Ⅰ ~Ⅵを受講し、認定歯科衛生士教員の資格を取得し、スキルアップしている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 学内授業の講義・実習等が3年制カリキュラムとなりコマ数が増加し、教員人数に余裕 がない。メインテナンス科配当および認定研修会参加など厳しい職務状況なので、教員数 の確保が急務である。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 今後は非常勤または常勤の歯科衛生士教員を増加できるように理事会に働きかけていき たい。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 看護学科では、その専門分野に関係する学会や各種研修会、講習会に積極的に参加し、 資質(実務経験)向上に努めている。土曜日、日曜日開催の実務研修への参加も可能であ り、教員の研究等に参加する環境は整えられている。また、担当教員が学生の臨地実習の 指導をすると共に、教員は事前研修を行い、資質(実務経験)の向上に努めている。その ための予算確保(1教員2000円)もなされている。さらに、実際の臨地実習期間に、学生 と共に患者へのケアに参加することで実務経験を積んでいる。各領域での演習前には、教 授する実技に関する練習と教授内容の統一に向けた綿密な打ち合わせを行っている(基礎 看護学、成人看護学、母性看護学)。また、教員は、本学大学院の社会人入学制度を活用し、 大学院での学び、研究能力向上と資質向上を図っている。 キャリアサポート委員会の教員を中心に各情報を学科内でフィードバックし、就職支援 の状況や課題を共有することに努め、社会の求める人物像や社会人として必要な資質など ─ 146 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 を理解し、教育の場に生かせるように取り組んでいる。年2回開催される短期大学部FD研 修会はじめ学内研修会の参加によって、教員は積極的な資質の向上をめざし研鑽を積んで いる。 前年度には、教員間の研究課題や研究成果の情報交換ならびに発表会などの開催を通し て学科全体の資質向上の体制を整えていくという「改善計画」ならびにその具体的取り組 みとして、①看護理論の学習会の開催という「行動計画」を立て、その実行に努めた。各 教員が認識を統一して学生の指導に当たるという点で、実施前より教授内容の統一が図ら れた。 また、②実習病院の看護師とのコラボレーション授業(演習)や歯科衛生士とのコラボ レーション授業(演習)プログラムの実施を通して、より高度な臨床実践能力が求められ る今日の最新技術の教授法の向上に努めている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 ①看護理論の学習会による成果は、直ぐに学生に反映されるものではないため、継続した 学習会の開催が必要である。又、一人の教員による学習会のみならず、その主催者の数 を徐々に増やしていくことがもう一つの課題である。 ②看護教員の自己研鑽のための研究活動の環境に関しては、十分整備されているとは言い がたいので、さらなる整備が必要である。 ③各種コラボレーション授業は、全カリキュラムのごく一部にとどまっているため、今後 様々な領域の中での臨床実践能力の向上に向けた取り組みを行っていく必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 看護理論の学習会を継続して行っていく。 1種類の学習会のみならず、複数教員が学習会を企画する。 専任教員の研究日の設定や研究費の拡充へ向けた努力をする。 様々な領域の中での臨床実践能力の向上を目指した、各種コラボレーション授業の取り 組みをする。 基準(6)職業教育の効果を測定・評価し、改善に取り組んでいる。 大学教育の成果を判定するために、卒業次年度に卒業生に対してアンケート調査を行っ ている。 質問は以下に示す3問で、問1は、現在の状況について卒業後に就職して診療所 (病院等) で勤務しているか、していないのであれば現在どうしているか、新たな就職先か、歯科衛 生士、看護師以外の職種で就職しているか、無職か、進学か、そして現在の就職先は何ヶ 月目かを聞いた。問2は、大学教育の成果について聞き、15項目を挙げ各々の項目を、強 く思う5点、思う4点、どちらともいえない3点、思わない2点、全く思わない1点で評 価を求めた。問2については就職先に対しても同設問のアンケートを実施しているが、そ ちらの詳細は基準Ⅱ−A−5に記載した。問3は、歯科衛生士、看護師として働く上で重要 と見なされている能力の程度を、10項目をあげ、同じく5段階で聞いた。 ─ 147 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 [歯科衛生学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 問2は、大学教育の成果について15項目について、5段階で評価を求めた。 ①社会的マナー 3.4 思わない、 全く思わない% 20 ②倫理観 ③表現スキル(含む 文章) ④プレゼンテーションスキル 3.4 2.7 3.4 0 10 20 ⑤専門科目の知識・技能 ⑥情報収集・整理・利用のスキル 4.2 3.6 0 0 ⑦学んだことを活用できる能力 ⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲 4.0 3.8 0 10 ⑨チームワーク力 ⑩対人関係・コミュニケーション能力 ⑪課題や問題を発見し分析解決する能力 ⑫社会活動への参加意欲 ⑬向上心・能力開発につながる学習方法 ⑭幅広い知識、教養 ⑮思いやり、礼儀、マナー 3.7 3.8 3.4 3.0 3.4 3.4 3.8 10 0 0 20 10 10 0 本学教育の成果 平均点 評価方法として、4点が「思う」であるため、4点以上であれば教育の成果があり、3.5 点〜 3.9点はやや効果がある、3点〜 3.5点はどちらとも言えない、2.9点以下は効果がな いと判定した。その結果、効果があると判定されたのは、⑤専門科目の知識・技能4.2点、 ⑦学んだことを活用できる能力4.0点であった。次いで ⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼ うとする意欲、⑩対人関係・コミュニケーション能力、⑮思いやり、礼儀、マナーが3.8点、 ⑨チームワーク力3.7点、⑥情報収集・整理・利用のスキル3.6点で、やや効果が見られた。 ①社会的マナー、②倫理観、④プレゼンテーションスキル、⑪課題や問題を発見し分析解 決する能力、⑬向上心・能力開発につながる学習方法、⑭幅広い知識、教養が3.4点、⑫社 会活動への参加意欲が3.0点でどちらとも言えないの評価であった。 ③表現スキル(文章 を含む)が2.7点で教育効果は見られなかった。この結果、学校で学んだ専門科目の知識・ 技能を生かし、学んだことを活用できる能力は学修しており、その能力を日々活用し、臨 床に取り組んでいるようである。しかし診療所のスタッフとして働くためにはそのスタッ フと同じように行動することが求められ、そのためには新しい知識、その診療所のシステ ムなど新しいことを修得しなければならないが、知ろうとする意欲、さらに学ぼうとす る意欲、スタッフや患者との対人関係・コミュニケーション能力、医療人としての患者へ の気配りなどの思いやり、礼儀、マナー、チームワーク力、情報収集・整理・利用のスキ ルは重要な事項であるが、 「やや効果がある」にとどまっている。しかし、社会的マナー、 倫理観、プレゼンテーションスキル、課題や問題を発見し分析解決する能力、向上心・能 力開発につながる学習方法、幅広い知識、教養、社会活動への参加意欲など社会性に富ん ─ 148 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 だ項目は、教育成果が自覚されていないため改善が必要である。表現スキル(文章を含む) は教育効果がない。 問3は、歯科衛生士として働く上で重要と見なされている能力の程度を以下の10項目に ついて、問2と同じく5段階で評価を求めた。 ①専門的な知識・技能 4.6 思わない、 全く思わない% 0 ②幅広い知識、教養 ③コミュニケーション能力 4.2 4.8 0 0 ④責任感 ⑤自己管理能力 ⑥マナーや言葉遣い 4.8 4.4 4.4 0 0 0 ⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力 ⑧論理的思考力 4.2 3.7 0 0 ⑨汎用能力(情報検索、コンピューターのスキル) ⑩その他(具体的に) 3.6 0 歯科衛生士として働く上で重要な能力 平均点 評価方法として、4.0点が「思う」であるため、4.0点以上であれば重要な能力と見なさ れている、3.5点〜 3.9点はやや重要な能力と見なされている、3点〜 3.5点はどちらとも 言えない、2.9点以下は重要と見なされていないと判定した。 その結果、③コミュニケーション能力、④責任感が4.8で非常に重要な能力と評価してい た。次いで ①専門的な知識・技能4.6点であった。 専門的な知識・技能の能力の評価もか なり高いが、コミュニケーション能力、責任感の方が高い評価であった。患者に施術する よりも患者に接し信頼感を得る、予定通りの診療を遂行するための準備、計画などを計画 通り進めるための責任感が施術に勝るとも劣らないほど重要と見なされている。続いて⑤ 自己管理能力、⑥マナーや言葉遣いが4.4点、幅広い教養、課題や問題を発見し分析・解 決する能力が4.2点で、以上が4点を超え「思う」であった。論理的思考力、汎用能力が 3点台だが、いずれも後半で「やや思う」である。なお、「思わない」、「全く思わない」 の回答はなかった。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 学校教育の成果では、⑤専門科目の知識・技能4.2点、⑦学んだことを活用できる能力4.0 点の2項目が「成果があったと思う」の4.0点以上で、あとは「やや効果があった」3.5点 〜 3.9点が5項目、3.0点〜 3.4点の「普通」が7項目、1項目は「効果が見られなかった」 。 専門分野の知識技能は学修効果があり、活用しているが、患者と接したりスタッフと共同 作業をしたりなど患者に施術する以前に必要なことをあまり学んでいない傾向が見られ た。教育「成果があったと思う」4.0点以上の項目は15項目中2項目しか無く、臨床に出 て働く卒業生からすると十分な教育を受けたかどうかは疑問である。 「全く思わない」 「思 、 わない」は最大が20%で、その項目数は15項目中3項目で、マナー、プレゼンテーション ─ 149 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 スキル、社会活動への参加意欲など日々の直接治療に関する項目ではなく、社会的な要件 である。10%は表現スキル(文章を含む) 、知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲、 チームワーク力 、向上心・能力開発につながる学習方法、幅広い知識、教養など自己研鑽、 協調性に関するものである。短期大学部内の専門科目や教養科目の座学ならびに基礎実習 では、まず基本的な専門理論を学ばなければならない。そして、それに基づき専門技術を マネキンや相互実習で修得する。その次の段階で臨床実習に進み、基礎教育を応用して患 者の治療実践を学んでいる。アンケート結果によれば、基礎的な知識と技術は修得でき応 用もしているが、医療は今やサービス業であり、患者への接し方、説明、治療への不安や 諸々の相談、治療に関わる様々な相談に的確に対応する教育が十分に受けられていないこ とがうかがわれる。また、医療はチームプレーとの認識も高まり、就職し診療所の一医療 スタッフとなれば、当初からその診療所の診療方針、例えば患者の情報共有とそれに必要 なSOAP形式の考え方、全スタッフが共有できる記録方法、新しい技術や材料に対応する 勉強会や導入に伴う実習、セミナー参加、常に必要な自己研鑽などが求められる。これら のことは、本学カリキュラムで実習が行われている附属病院、横浜クリニック、診療所実 習、施設実習、保健指導実習先で行われているが、基礎教育を終えたばかりの学生がいき なり医療スタッフと同じ行動をとるのは困難である。しかし、実習を通じてこれらのこと を修得しなければ、学校教育の成果は上がらない。 問3では、ここに掲げた項目は全て臨床で必要と思われるものばかりであるが、10項目 中8項目で「思う」 、3項目は4.5点を超え「強く思う」であった。したがって、学校教育 のなかで是非身に付けておくべき項目である。問2の本学の教育成果の項目で、内容が重 複している項目があるので比較した。1.0点以上の差は明らかに差がある、0.5 〜 0.9点ま ではやや差があると判定した。0.5点以上の差異がある項目は対策が必要である。コミュ ニケーション能力は、問3の重要な能力としては4.8点、学校での教育効果では3.8点で1.0 点の差が見られた。学校での教育効果も3.8点でやや教育効果が見られているが、重要な 能力としての認識は教育効果を明らかに上回っている。課題や問題を発見し分析・解決す る能力は、重要な能力としては4.4点、教育効果としては3.4点であった。教育効果は普通で、 臨床での重要な能力と1.0点の差があり、明らかな違いが見られた。臨床の場では学校教 育をもとに課題や問題を発見し解決のために分析し、解決も通常自分一人で行う。その方 法が身に付いていないため、臨床の場で困っている様子がうかがえる。マナーや言葉遣い も、重要な能力としては4.4点、教育成果が3.8点で差が0.6点、やや教育が後手に回っている。 幅広い知識や教養は、重要な能力としては4.2点、教育効果は3.4点で0.8点差だった。臨床 では様々な症例があり対応を求められるために、学校教育の知識だけでは不足し、更に勉 強していかなくては追いつかない様子がうかがえる。これに対し、専門的な知識・技能は 0.4点、倫理的思考が0.3点と大きな隔たりはみられなかった。以上から、専門技術や知識 についての教育は学生の要求に近いレベルで行われているが、患者への接し方、診療所の チームプレーやシステムにとけ込む訓練、自己研鑽方法が不足している。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 ①就職した場合、学生各自に何が重要なのか、必要なのかを自覚させる 特に臨床系授業、実習では、教員が、現在行われている診療、チームプレー、患者との ─ 150 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 対応方法、ケースプレゼンテーションなどを随所で説明し、学生に臨床とはどのようなも のかの自覚を促す。そのためには教員が豊富な臨床経験を積んでいる必要がある。教員が 臨床実習で何を学ぶべきか、そのためにはどうすれば良いかを説明する。内容としては、 専門的な技術や知識が必要なのは勿論だが、実際の診療では、マナー、プレゼンテーショ ンスキル、コミュニケーション能力、社会活動への参加意欲などの社会的要因、表現スキ ル(文章を含む)、知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲、チームワーク力 、向上心・ 能力開発につながる学習方法、幅広い知識、教養など自己研鑽、協調性が必要であること を具体例を交えながら説明する。 毎年、戴帽式が実施されているため、これを良い機会として活用する。 ②歯科衛生士として重要と思われること、必要と思われることを修得するためには臨床実 習にどう臨めば良いかを知った上で学修する。 また、診療各科で定期的にセミナーや勉強会が行われているので積極的に参加し、担当 患者の治療に関してはプレゼンテーションを通してスタッフとの信頼関係構築方法、治療 計画立案、実施、評価、フィードバックなど一連の流れを学修する必要がある。 ③そのためには何をすれば良いかを自覚し、そのための努力をする。 臨床実習に積極的に参加する。できれば自験 、困難なら介助で参加する。可能ならば 直接患者を担当し、積極的に治療を行う。そのためには、基礎で学んだ治療技術や知識が 必須である。また、学生自体が卒業後に治療技術や知識以外にも患者との接し方、医療ス タッフとの協調が必須であることを自覚していなければならない。 歯学部の臨床実習マニュアルでは、学生実習には指導医の監督のもと歯科医師が診療を 行うのと同等の安全性の確保を求めている。したがって、歯科衛生学科の学生にも同等の 内容が求められる。歯学部にはOSCEのような統一規格があるが、歯科衛生学科には無い。 そこで、学内で臨床実習に臨むための基準設置が望ましい。病院実習は歯学部学生と同時 に行われている。そこで、通常の歯科医師と歯科衛生士の役割分担に従い、診療補助、予 防処置、保健指導を行える環境整備が重要である。しかし、病院では患者に自験を行うこ とは年々困難になってきている。自験が困難な場合は、模擬患者を使用した実習での代用 を認めている。やむを得ない場合はマネキンや相互、身内の方に患者になって頂き実技実 習を行う。マナーやコミュニケーションに関しては、病院実習で患者への声かけを積極的 に行うように指導する、自己研鑽、協調性、課題を発見して解決する能力、向上心、能力 向上の学修方法などは、教員指導が模擬患者を提案し、その治療計画、問題点と解決方法、 評価などのセミナー、その他病院内で行われるセミナーへの積極参加を指導する。そのた めには、教員の臨床経験は長い方が望ましい。 学生の中には成績が不良、コミュニケーションが苦手、自己管理が不良な者がいる。入 試の面談や内申書などで十分確認し、病院実習に十分参加できる学生を選ぶことも必要と 考える。 教員は学修環境を整え、上記目標を達しやすくする。 病院実習や施設実習など外部で行われる実習は、一定期間に決められた場所で研鑽を積 まなければならない。一定期間が終了すると次の診療科などに移動する。患者とコミュニ ケーションをとり、医療スタッフのセミナーに参加するとなると、 一定期間でローテーショ ンしてしまうと時間が足りなくなる。そこで、担当患者の診療を優先できる、科が代わっ ─ 151 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 てもセミナーには継続して参加できる、模擬患者としてのマネキンの使用時間を増やすな どの対応が必要となる。なお、各科で行われるセミナーは診療終了後行われるので終了が 遅くなるが、女子学生が多いので19時ころまでを目安に設定できるように努力をする。 [看護学科] (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 問2は、大学教育の成果について15項目について、5段階で評価を求めた。 ①社会的マナー 3.4 思わない、 全く思わない% 4 ②倫理観 ③表現スキル(含む 文章) ④プレゼンテーションスキル 3.4 3.4 3.2 4 4 9 ⑤専門科目の知識・技能 ⑥情報収集・整理・利用のスキル ⑦学んだことを活用できる能力 ⑧知ろうとする意欲、さらに学ぼうとする意欲 3.5 3.5 3.4 3.5 2 2 2 2 ⑨チームワーク力 ⑩対人関係・コミュニケーション能力 ⑪課題や問題を発見し分析解決する能力 ⑫社会活動への参加意欲 ⑬向上心・能力開発につながる学習方法 ⑭幅広い知識、教養 ⑮思いやり、礼儀、マナー 3.5 3.7 3.4 3.4 3.3 3.4 3.7 0 4 4 4 7 7 2 本学教育の成果 平均点 歯科衛生学科と同様に4が「思う」であるため、4以上であれば教育の成果があり、3.5 〜 3.9はやや効果がある、3〜 3.5はどちらとも言えない、2.9以下は効果がないと判定した。 その結果、効果があると判定された項目は無く、最高点は⑩対人関係、コミュニケーショ ン能力の3.7点、⑤専門科目の知識・技能、⑥情報収集・整理・利用のスキル、⑨チームワー ク力が3.5点。以上がやや効果が見られた項目であった。以下、①社会的マナー、②倫理観、 ③表現スキル(文章を含む)、⑦学んだことを活用できる能力、⑪課題や問題を発見し分 析解決する能力、⑭幅広い知識、教養が3.4点、⑬向上心・能力開発につながる学習方法が 3.3点、④プレゼンテーションスキルが3.2点で、以上の項目が教育効果が普通であった。3.0 点を下回った項目は見られなかった。思わない、 全く思わない、 は最大がプレゼンテーショ ンスキルの9%、向上心・能力開発につながる学習方法、幅広い知識、教養の7%で、1 割以下であった。教育には十分な満足が得られた内容とは言えないが、効果に対し疑問を 呈する2.9点以下の項目も無く、全て3点台にまとまっている。 問3は、看護師として働く上で重要と見なされている能力の程度を以下の9項目につい て、問2と同じく5段階で評価を求めた。 ─ 152 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ①専門的な知識・技能 4.4 思わない、 全く思わない% 0 ②幅広い知識、教養 ③コミュニケーション能力 4.1 4.5 2 0 ④責任感 ⑤自己管理能力 ⑥マナーや言葉遣い 4.4 4.7 4.3 0 2 2 ⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力 ⑧論理的思考力 4.3 4.0 2 2 ⑨汎用能力(情報検索、コンピューターのスキル) 3.3 0 看護師として働く上で重要な能力 平均点 看護師として働く上で最も重要な能力と判定したのは、⑤自己管理能力4.7点、次いで ③コミュニケーション能力4.5点であった。4.5点以上であり、看護師として働く上で重要 な能力と強く思われた項目である。次いで、①専門的な知識・技能、④責任感 が4.4点、⑥ マナーや言葉遣い、⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力が4.3点、②幅広い知識、教 養が4.1点、⑧論理的思考力が4.0点で、以上が「思う」の回答であった。4.0点を下回った のは汎用能力の3.3点のみであった。また、思わない、全く思わないの項目は0〜2%で、 ほとんど見られなかった。看護師の仕事は3交代、夜勤もあり、立ち仕事も多く、新薬の 開発や新しい医療技術の導入に対する学修、症例検討会、正確な対応、医療面だけではな く精神面での患者のフォローなど激務である。従って自己管理能力が重要であることはう なずける。また、チームでの行動、患者との意思の疎通、信頼関係の上に成り立つ仕事な ので、コミュニケーション能力も非常に重要となる。そして、①専門的な知識・技能が必 要なのは言うまでもないが、施術以前に自分が施術できる状態であること、チームプレー や患者との信頼関係構築が優先されなければ治療行為に至らないことがうかがえる。医療 行為であるので行動全てに慎重さが重要なため④責任感を痛感している。⑥マナーや言葉 遣い、⑦課題や問題を発見し分析・解決する能力、②幅広い知識、教養、⑧論理的思考力 が4.0点以上の回答であった。いずれも直接医療行為を行う項目ではないが、治療行為に 至る過程で必要と思われる項目である。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 問2の結果では、本学の教育成果として、自己管理能力、コミュニケーション能力が3.7 点、専門科目の知識・技能、情報収集・整理・利用のスキル、チームワーク力が3.5点で やや効果が見られた項目であった。しかし、社会的マナー、倫理観、表現スキル(文章を 含む)、学んだことを活用できる能力、課題や問題を発見し分析解決する能力、幅広い知識、 教養、向上心・能力開発につながる学習方法、プレゼンテーションスキルでは教育効果が 普通であった。教育成果があると思わない、 全く思わないの回答も10%未満であり、 全て3.0 点を超えているので、一定の教育効果はあったと判断される。しかし、以上の項目は看護 師として働く上で重要な項目であるため、教育効果があったと判定される4.0点以上の評 価を目指すことが望ましい。よって、全般的に0.5点以上の評価向上が目標である。その ─ 153 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ためには、各教育の内容を充実させる必要があり、 授業時間は限られるので内容やカリキュ ラムのさらなる充実を考える必要がある。 また、問2と問3では質問内容が重複するものがある。問3の看護師として働く上で重 要な能力と学校教育の成果を比較して、1.0点以上の差は明らかに差があり、0.5 〜 0.9点 まではやや差があると判定した。専門的な知識・技能は0.9点、幅広い知識、教養が0.7点、 コミュニケーション能力0.8点、マナーや言葉遣い0.6点、課題や問題を発見し分析・解決 する能力0.9点、論理的思考力0.6点であった。共通項目全てが0.5点以上の開きがあり、本 学の教育成果よりも看護師として働く上で重要な能力が上回り、やや差があるという結果 であった。このことは、学校では卒業後に看護師として働く上で重要な能力を十分教育し ているとは言えないないとも解釈できるので、今後の課題とする。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 問2の結果、全般的に評価を上昇させる必要がある。問2、問3の結果の比較において も内容が一致する全ての項目で0.5 〜 0.9点の差が見られ、本学の教育成果よりも看護師と して働く上で重要な能力が上回った。最も差が大きかったのは専門的な知識・技能、課題 や問題を発見し分析・解決する能力0.9点、以下コミュニケーション能力0.8点、幅広い知識、 教養0.7点、マナーや言葉遣い、論理的思考力0.6点であった。専門的な知識・技能は全て 大学で教育している内容であるので改善が必要である。授業やカリキュラムも対象になる が、学生自身も就職して臨床に出れば何が必要かを自覚し、授業や実習に対して有効活用 により教育効果が上がると考える。問2、問3の結果から臨床に出て必要な知識や技術が 満たされていなかったが、臨床実習では地域拠点病院での実習にも時間が割かれ、実際の 患者を対象に臨床実習が行われ、周囲では看護師が働いており、チームプレーや症例検討 会などが行われている。したがって、学生なりに必要な知識、技術レベルの把握はできる はずである。それを知り、できるだけ充足するよう実習に参加させることがまず必要と考 える。そのためには学生の自覚認識が必要で、早期の自覚や認識を促すのは教員の役割で ある。同じように点数の隔たりが大きかった項目は幅広い知識、教養で、看護師として必 要な知識は関連分野を含めれば相当な範囲に及ぶ。学校教育では教科書が一つの基準で、 国家試験出題基準でもあるので特に重点的に教育が行われる。しかし、 地域拠点病院では、 発症数が少ない症例もあり、対応するためには症例数の多少によらず知識が必要である。 知識を得るためには様々な言葉、発症の背景、環境なども知る必要があり教養は欠かせな い。病院では様々な患者が来院し、疾患だけではなく患者を取り巻く環境、重症度、生活 力、家族的背景などが個々の事例で異なるために診療に必要な内容は把握しなければなら ない。そのためにはコミュニケーション、マナーや言葉遣い、論理的思考力が必要である。 これらを駆使して患者の情報を得て、信頼関係を築き、苦しい治療に耐えられるように看 護しなければならない。患者は個々で全く異なるため症例毎の工夫が重要で、看護師が方 法を考えなければならず、自己の課題を解決する手法が必要である。このようにこれらの 項目は日常の臨床で看護師であれば経験していることである。従って、学生が少しでも多 く理解をするためには、できるだけ臨床に関るような実習形態にすることが望ましい。そ のためには、臨床で行われていることにそのまま参加することが効果があると考える。卒 業生アンケートも卒業後の状態で書いているため、本人が看護師として働いていて重要性 ─ 154 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 を実感している項目なので、学生実習でできるだけ現場で働く看護師の状況を目の当たり にし、看護師に直接ついて患者との対応方法、話し方、説明の仕方、処置方法を、見学よ り介助、介助より自験を行い学び、事前準備、処置後の片付けは勿論、症例検討会への参 加が必要となる。臨床実習初期の段階で実際の看護師に必要な環境を理解し、基礎実習、 座学ではその認識を踏まえ望む。臨床実習では実際に自験中心の実習を行わないと、卒業 後、学校教育と臨床現場のギャップに悩むことになる。自験を効率よく行うためには患者 を担当するのは最も適した方法である。それには前段階として、看護師が担当するのと同 等の医療安全性確保が必要である。そのための基準作りが課題である。臨床実習に入った ら、看護師の働きを見学や介助を行い観察し、臨床で重要な能力である「専門的な知識・ 技能、課題や問題を発見し分析・解決する能力、コミュニケーション能力、幅広い知識、 教養、マナーや言葉遣い、論理的思考力」がどのように駆使されているかを理解する。そ の上で学内では座学や基礎実習に臨む。目標をとらえていればその授業で学ぶべき目標が 絞れるので効率が上がる。教員は、臨床を熟知した上で授業を行い、教科書レベルはもち ろんのこと臨床で必要な事項を盛り込んだ授業を行う必要がある。臨床実習ではできれば 患者を担当、無理であれば看護師と共同で担当し、できるだけ自験に近い条件で初診から 状況把握、治療計画立案、症例検討会、経過報告会、予後観察までを継続的に行い評価を 受ける。治療計画には医師の参与、症例検討会や経過報告会などは定期的に参加し発表方 法を学ぶ。 しかし、対象は実際の患者で、全ての場面で学生が自験を体験できるわけではない。そ こで、シミュレーション実習、想定された患者実習などを行い補填する必要がある。具体 的には、実習先で行った具体的な患者を対象として、教員が様々な条件を設定し、実際に 病院で行われる処置を想定し、学生とディスカッションしながら進める手法である。 シミュ レーション実習では患者には接する機会が殆どないのでマナー、コミュニケーション、気 配り、疾患以外の患者の環境の理解、情報収集方法などができないが、教員の指導により 問題を見つけ解決する、マネキン実習を併用すれば実技や理論の修得などの効果が期待で きる。 以上のような自験を多く取り入れた実習、臨床を配慮した座学を各教員が担当科目に取 り入れる。 ─ 155 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 156 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 様式12−地域貢献 【選択的評価基準】 地域貢献の取り組みについて 基準(1)地域社会に向けた公開講座、生涯学習授業、正規授業の開放等を実施している。 (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 大学は、教育と研究を主たる使命としているが、社会的存在である以上、社会に向けた 貢献や情報発信の重要性が強調されている。なかでも地域社会への貢献は、学生、教職員 にとり重要であると認識している。そこで本学では、教育、研究の特性および教員の資質 を生かした「ブラッシュアップ講座」 、 「リカレント講座」を展開している。さらに、外来 講師や本学専任教員による「生涯学習セミナー」を行っている。 〔平成24年度〕 ブラッシュアップ講座 受講者総数38名 1 摂食・嚥下障害の患者の口腔ケア(3月21日開催) 2 摂食・嚥下障害の患者の口腔ケア(3月28日開催) 生涯学習セミナー 受講者総数82名 1 直ぐに役立つ話(11月1日~ 11月15日全3回開催) 2 「語られない歴史」の真実Ⅱ(10月4日~ 11月8日全5回開催) 3 易しく楽しく学ぶ仏像の見方(10月4日~ 11月8日全5回開催) 4 一絃の琴を弾く(10月4日~ 11月8日全5回開催) 〔平成25年度〕 リカレント講座 受講者総数32名 1 歯科衛生士のためのリカレント講座2013 『すぐに役立つ最新のフッ化物臨床応用』 『歯周治療を確実に行う方法とさまざまなメインテナンスの対処法』 (8月25日開催) 受講者19名 受講者19名 受講者16名 受講者19名 受講者41名 受講者6名 受講者32名 2 看護師のためのリカレント講座2013 ~素敵なナースとして 現場に復帰しよう!~(8月20,21日開催) 生涯学習セミナー 受講者総数83名 1 古寺・名刹の仏像を巡る(10月3日~ 11月7日全5回開催) 受講者0名 2 「語られない歴史」の真実Ⅲ(10月24日~ 11月7日全3回開催) 3 一絃の琴を弾く (10月3日~ 11月7日全5回開催) 受講者42名 受講者7名 受講者34名 〔平成26年度〕 ブラッシュアップ講座(8月10日開催) 受講者48名 1 『口腔リハビリテーションクリニックにおける歯科衛生士の行う 摂食機能療法』 生涯学習セミナー 受講者総数188名 1 「語られない歴史」の真実Ⅳ(10月2日~ 10月16日全3回開催) 2 一絃の琴を弾く(10月30日~ 11月27日全5回開催) ─ 157 ─ 受講者22名 受講者6名 神奈川歯科大学短期大学部 3 古寺・名刹の仏像を巡る(10月2日~ 11月13日全5回開催) 4 日本近代化遺産Ⅲ (10月30日~ 11月20日全4回開催) 受講者29名 受講者22名 5 わが国の食品衛生の現状と消費者の抱える不安(11月20日開催) 6 認知症を防ぐ強い脳をつくろう!(11月27日開催) 受講者30名 受講者79名 生涯学習セミナーは、例年リピートして受講される方が多い。受講者が継続したテーマ でなおかつ発展した内容の講座を望まれていることから、今後も現在の講座を継続する必 要性を感じる。平成26年度は、新たに本学の専任教員が担当する講座も実施した。 「わが 国の食品衛生の現状と消費者の抱える不安」 、 「認知症を防ぐ強い脳をつくろう!」の2講 座で、どちらも社会で求められる内容であることから参加者も多く、活発な質疑応答が行 われた。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 本学が医療系短期大学であることから、地域の一般住民の皆様に向けた医療に関連す る公開講座をもっと積極的に開講する必要性がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 事前の告知については地域の広報誌、インターネットを使い、参加者の増加をさらに目 指していく。また今後も医療系大学としての本学の特徴を生かせるテーマについて検討を 重ねていく。 基準(2)地域社会の行政、商工業、教育機関及び文化団体等と交流活動を行っている。 (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 平成23年に発生した東日本大震災の状況を踏まえ、本学体育館を帰宅困難者用施設とし て使用する「帰宅困難者避難所に関する防災協定」を平成23年9月5日に横須賀市と締結 し、被災時の地域貢献として一定の評価を頂いている。この協定を受け、平成24年9月29 日には帰宅困難者対応訓練を実施した。その後も帰宅困難者用施設として備蓄品の管理等 を行っている。また、横須賀青年会議所が主催する横須賀シーサイドマラソンには、ラン ナーのためにAEDを携えた職員が走り協力している。同時に、マラソン参加者や応援の 市民に対し大学内で無料歯科検診を提供している。 横須賀市で平成24年から始まった『大人の文化祭』のメイン会場として継続的に体育館 を提供し、市民が楽器演奏、歌、絵画、書道、ダンスを披露する文化活動に協力している。 その際、本学看護学科教員が救護室を設置し、体調不良や怪我をされた参加者の救護を行 う体制を整え、市民への貢献をしている。 また、歯科衛生学科では、保育園・幼稚園・小学校を訪問し、児童への歯磨き指導など の歯科保健指導を行っている。これは、鎌倉市歯科医師会、小田原市歯科医師会等の要望 もあり、学生教育の一環として長年継続的に実施しているものである。平成26年度は、小 学校では鎌倉地区、小田原地区、湯河原地区、真鶴地区、箱根地区の合計48校の1年生か ら4年生を対象に実施した。また、幼稚園は3歳児から5歳児までを対象に2園で実施し、 学生の教育でもあり、また児童が楽しみながら歯磨きの練習をする機会として、学校関係、 保護者から評価を得ている。 ─ 158 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 さらに、本学には「ジャカランダ」というノウゼンカズラ科の紫の花をつける樹木があり、 日本で開花する北限と言われている。以前から見学に来校される地元の方々もいたが、そ の見事に開いた花を多くの市民の皆さんにも見ていただくと同時に地元横須賀にある本学 に親しみを感じていただくために、ジャカランダ・フェスティバルを平成26年度より開催 している。第1回であったにもかかわらず、1,300名を超える市民の方々が来場され、キャ ンパス内のステージで催された演奏や、大講堂での落語などを楽しまれた。基準として明 示されてはいないが、地元市民との交流および地域貢献の点で少しづつ成果を見せはじめ ている。 教育機関に関しては、高大連携の一環として横須賀明光高等学校および横須賀総合高等 学校と協定を結び、高校生が大学の講義を一部履修できる取り組み等を行ってきた。これ に加えて、平成26年度には、緑ヶ丘女子高等学校との連携事業の一環として、高校生が医 療の分野に興味を持つきっかけとなるよう大学教員による出前授業を実施した。平成26年 10月に医療系コースの生徒を対象に、本学の歯科衛生学科および看護学科の教員各1名が 出向き、高校から要望のあった「高齢者と医療」という1つのテーマについて両学科の視 点からそれぞれ45分程度の授業を行った。高校生の興味を引く内容で、反応も良かったと の報告を担当した教員および高校から頂いた。さらに、教育・研究における交流を深める 目的で、緑ヶ丘女子高等学校と交流に関する協定の締結に向け動いている。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 基準として挙げられている行政、商工業、教育機関、文化団体との交流に関しては、医 療系2学科の本学は、商工業や文化団体との交流が少ない。その分、行政や教育機関との 交流は確実に行われている。行政との一般的交流は、地域貢献の観点からは派手ではない が、確実に行なわれている。しかし、医療に関連する交流は、まだ十分とは言えない状況 にある。また、教育機関との交流も、緑ヶ丘女子高等学校との交流のような高大相互の特 徴を生かした活動を行う必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 今まで、行政、教育機関からの依頼や要請により交流が始まる形が中心で、内容もそれ に沿った形のものとなっていた。本学の側からも積極的なアプローチを行なうことで、よ り幅広い相互交流が構築できると考える。今後、息の長い継続的で実質の伴う交流を行う には、いきなり大上段に構えても先に進まない。まずは、横須賀市をはじめとする行政や 地元商店街との忌憚のない対話を始めることが、地道な交流や地域貢献につながると言え る。つまりその対話の中から、大学のもつ潜在力の何を社会や教育機関が求めているのか を真摯に聴取し、それらを無理のない形で生かし、交流につなげることができるような場 を具体的に設ける。 基準(3)教職員及び学生がボランティア活動等を通じて地域に貢献している。 (a)自己点検・評価を基に現状を記述する。 東京から南へ約200kmに位置し伊豆諸島に属する東京都御蔵島に、都の委託を受け年 6回、各回7日間にわたり歯科衛生士の資格をもつ教員が、歯学部の歯科医師、歯科技工 ─ 159 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 士、歯科研修医とともに診療を行なっている。 稲岡祭(学園祭)において、歯科衛生学科の学生は無料歯科検診を、看護学科は無料 健康測定のボランティア活動を行い、来場される地元の方々への貢献と交流を行なってい る。歯科衛生学科の無料歯科検診は、シーサイドマラソンの際にも実施している。また、 毎年11月に開催される横須賀大人の文化祭においては、 メイン会場として体育館を提供し、 同時に看護学科の教員が救護室を設け、出場者や来場者にボランティアの対応を行なって いる。 さらに、地球規模での地域貢献として、歯科ボランティア神奈川歯科大学南東アジア支 援団が組織されており、毎年タイ、プーケットへの歯科ボランティアを行ない、学生も参 加している。 (b)自己点検・評価を基に課題を記述する。 無料歯科検診などは、長く行なわれ、地元にも定着したボランティア活動であり、その 他のボランティアについても確実に広がりを見せている。学生も医療系のボランティア活 動の大切さに気づき、個々に活動を広げているが、参加している学生の数を正確には把握 しきれていない。また海外でのボランティア活動は、多くの経験から学ぶことが多く、ボ ランティア自身が自己の成長できる機会であるが、参加費用が高額となるため、参加者が 限られる現状にある。 医療に関連するボランティア、離島や海外でのボランティア活動は目立ち、評価されや すい。しかし、目立たないが多くの人を必要とするようなボランティアを行っている学生 もいるとの話も聞く。そのような学生の実態を明らかにし、公平に評価する必要がある。 (c)自己点検・評価を基に改善計画を記述する。 ボランティア募集の情報を大学側が提供することで、無関心な学生を啓蒙し、意欲のあ る学生が行動を起こすように支援していく。また、将来的には、学内の正式科目としてボ ランティア論といった科目を創設することで、学生の意欲を喚起し、積極的評価も可能と なる。そのためにはまず、教職員がボランティア活動のもたらす学生への効果を認識する 必要がある。ボランティア活動を積極的に行っている学生や教職員に講演してもらい、イ メージではなく実際の活動や活動から得られる喜びなどを感じてもらえるような具体的環 境作りをする。 ─ 160 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 神奈川歯科大学短期大学部 自己点検・評価報告書 平成26年度版 発 行 日 平成27年8月31日 編集・発行 神奈川歯科大学短期大学部 〒238-8580 神奈川県横須賀市稲岡町82 TEL:046-822-8781 FAX:046-822-8787 URL:http://www.kdu.ac.jp ─ 161 ─ 神奈川歯科大学短期大学部 ─ 162 ─
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