葛温泉を C&R 区間に

葛温泉を C&R 区間に
－釣り人と漁協、そして渓魚のために－
釣り人水谷博
1,C&R 区間
「釣れない」
「魚がいない」と言われ続けている昨今の釣り場環境を何とかしようと、全国の渓流に 10 年ほど前から、
C&R ( キャッチアンドリリース ) 区間が設定されるようになりました。
2,様々な C&R 区間
・集客の手段とする C&R : 管理釣り場のように成魚を放流して集客
・在来種の保護と増殖目的の C&R : 美しい天然魚とスポーツフィッシングが魅力
・釣り客数を制限する C&R : 特別な入渓料を徴収し、大物を釣らせる
・ただ区間指定しただけの C&R : ブームに便乗したが、表示以外特になし
3,成功している C&R 区間の例～石徹白 C&R 区間～
放流に頼らず、自然再生産された渓魚たちが普通にいる川…… 。石徹白 C&R 区間は、本来あるべき渓の姿を取り戻
す、その一点の想いを目指すべく釣り人と漁業組合が越えるべき多くの壁を乗り越えて 2000 年 8 月に設定されました。
その後歳月を重ねるごとに、着実に自然再生産が繰り返され、クレーバーな石徹白の渓魚に対峙しようと多くの釣り人
が訪れるようになりました。～石徹白漁協 HP http://www.itoshiro.jp/candr.html より～
4,北安中部漁協管内の渓流
本格的な山岳渓流から里川まで、非常に変化に富んだ渓相です。フライフィッシングの世界選手権が誘致できるほどの
フィールドです。しかし、大町市在住者が木曽方面に釣りに出かけるほど、釣果は芳しくなく、関東や中京方面からの
釣り客はあまり多くありません。また、彼らの間で話題になるようなこともありません。
5,C&R 指定区間案
大町ダムバックウォータから高瀬館前の堰堤まで、約 2km
6,葛温泉 C&R 区間指定理由
1) 渓流魚の自然繁殖が確認されており、その増殖が期待できる。
（増殖のための再放流専用区として漁協が指定する。)
2) 道路に面しており、様々な管理が容易である。
3) アプローチがよく、集客が期待できる。
4) ダム間に位置し水量が安定しているとともに、比較的安全な渓流で渓相がよい。
5) 駐車スペース・トイレの問題が少ない。
6) 観光資源になる。( 流域には 3 軒の温泉旅館しかなく、3 軒とも指定に協力的である。)
7, 指定による漁協のメリットとディメリット
○メリット
1) 釣り客の増加による収入増が期待できる。
2) 自然増殖によって放流の必要がなくなり、他の河川への放流量を増やすことができる。
3) 渓流魚の増殖が確認されれば、各種のイベントが開催できるようになってさらなる集客が期待できる。
●ディメリット
1) 一般釣り場が減少する。
2) 看板の設置など初期投資が必要になる。
3) 監視員の増員など新たな管理業務の負担が生じる。
8,指定による釣り人のメリットとディメリット
○メリット
1) 必ず渓流魚はいるので、疑心暗鬼で入渓することがなくなる。
（釣れる・釣れないは腕次第）
2) クレバーで美しい再生産された天然魚・野生魚と対峙できる。
●ディメリット
1) 釣り上げたサカナを持ち帰ることができない。
（魚食民族としては耐えられない。）
2) 釣法、特にサカナに負担の大きい餌釣りと針が制限される。( 検討課題 )
9,お願い
大町には素晴らしい渓流があり、黒部峡谷における職漁師の伝統も伝わっています。これらの環境と文化を後世に伝
えるべく、C&R 区間指定にご理解とご支援をお願いします。
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