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◆2014 年 10 月開講 惣菜管理士養成研修 集合研修(福岡会場)での質問と回答◆
●研修日時:2015 年 3 月 6 日(金)JR 九州ホールにて
●講演演題:
「食品の安全・安心を考える ~食品添加物を中心に~」
●講師
:実践女子大学名誉教授 西島基弘氏(回答者も同じ)
<質問内容>
食中毒増加の要因についてです。
「ノロウイルス・O-157 など昔はなかった」とよく周りから聞きます。毒性が強くなったの
か、私たちの耐性が無くなったのか、原因についてお考えをお聞かせください。また、食中
毒にかかりにくい強い身体作りの方法があるのであれば、お教えください。
<回答>
以前はノロウイルス(平成 15 年以前は小型球形ウイルスといわれていたもの)による中毒
はそれほど分かっていませんでした。厚生労働省の食中毒統計を見ると分かりますが、平成
10 年頃からノロウイルスは急激に出現して、あっという間に中毒うち発症件数や患者数が
1 位になってしまいました。これは平成 10 年まではノロウイルスの検査方法が良いのがな
くて、分からなかっただけです。したがって以前からノロイウルスはあったけれど分からな
かっただけ、という方が正しいと思います。ノロウイルスが比較的簡単に検査ができるよう
になってから食中毒の原因判明率が高くなったことからも、以前からといって良いと思い
ます。
一方、腸管出血性大腸菌 O157 は新興感染症といわれ、昔はなかったと考えられていま
す。1982(昭和 57)年、アメリカでハンバーガーによる中毒から初めて検出されたといわ
れています。それ以前に地球上のどこかにいたのかは分かりません。
したがって、毒性が強くなったわけでもなく耐性がなくなったわけでもありません。
特に、食中毒に耐性があるかは、ないと考えた方が良いと思います。
食中毒にかかりにくい強い身体作りの方法は分かりません。というのは国際会議などで
同じものを食べても日本の人が食中毒を起こしやすいといわれています。これに対して“普
段、清潔すぎる環境にいるから”という意見があります。
これから推察すると、普段あまり衛生的でない環境で育っていると耐性ができるように
も思いますが、それをためすのは無謀なことです。また、同じ食中毒事例でも同じ食材を食
べても発症しない人もいますね。また、症状の軽い人や重い人もいて様々です。口の中に入
れた菌量が違うのか、わかりません。
特に、体力がありそうな人の方が食中毒になりにくいという統計も見たことはありませ
ん。しかし、ハイリスク集団というのでしょうか、子供や高齢者は重症化しやすいことは確
かで、注意が必要ですね。それらのことから体力のない人よりある人の方がよさそうな気も
しますが、運動や栄養と食中毒にならない関係の論文は見たことがありません。
とても興味のあるご質問です。今後、ご質問に関する内容の論文が出た時には意識をして
みたいと思います。
しかし、調理をする前や食べる前にしっかりと手を洗うことの方が賢明かもしれません
ね。